漢文のおすすめの参考書ルートをわかりやすく解説します。これから漢文の勉強を始める人や共通テストを使った入試を受験する人などの特に参考にしていただきたいです。使い方もあわせて解説していますので、ぜひご覧ください。
漢文のルートについて
漢文の特徴
古文に比べて覚えることが少なく、共通テストレベルまでなら少しの学習量でかなりの点数が取れる科目です。ただし、漢文を古文より解きやすく感じる生徒の多くは、古文を学習したうえで漢文を学習しています。漢文を書き下し文にした際は古文のような文体になるため、共通テストで漢文のみを選択し、古文も学習していない生徒は通常より少し手間がかかると思ってください。
漢文の主な要素には、①文法(書き下し文の作り方など) ②句形(+重要漢字) ③読解のコツ(+漢文常識) ④漢詩の読み方 があります。③や④を深く解説している参考書は少なく、二次試験の記述問題などでしっかり点数を取ろうと思ったら、ある程度工夫して自分なりの解き方を見つける必要があります。比喩が多いうえに漢字の意味を推測しないといけないので、自分の知っている語彙や説話パターンから引っ張り出してくる発想力は演習で鍛えることになるでしょう。
漢文の学習について
まず、古文と漢文を両方選択する場合の多くは、古文に手間取って漢文まで力を入れられません。参考書はなるべく少なくして学習するのが現実的です。
共通テストまでの場合は、句形+句形の参考書に載っている重要漢字の意味 をとにかくきっちり暗記することが大事です。二次試験で使用する場合は、これらにプラスしてもう1冊問題集を解きましょう。二次試験で記述問題が出る場合は特に、読解の演習をしていないとガクンと点数が下がるので、問題集はしっかり取り組むようにしてください。共通テスト対策の時から本文読解も少し意識して演習するのがおすすめです。もし文学史が出題される場合は、現代文や古文と併せて基本直前期に最低限の内容は暗記します。
※共通テストについて
基本は古文とセットで出題されることが多いですが、試験で古文と選択できる場合がたまにあります。古文に比べて漢文のほうが正答率が高い問題が多い(参照:https://www.zkai.co.jp/kyotsu-test/result/kokugo-rate/)ため、選べる場合は漢文のほうが比較的コスパがよい科目です。ただし最近の共通テストでは、2年連続で漢詩とその解釈に関する出題がされるなど、出題形式の変更に伴って必要な力が変わることも予想されます。油断せず、計画的に学習しましょう。
ルート種別
どの到達レベルの生徒でも、基本は同じ参考書を通過(当然カスタムすることもあるが、軸は同じ)。ランクを上げる=参考書を追加する。主要科目など、時間をかけて基礎に穴がないように固めていく科目に多い。
到達レベルによって、使用する参考書の組み合わせが異なる。ランクを上げる=参考書がそもそも異なる。副教科など、参考書の種類が多く(理解本・資料集・まとめ本・演習用問題集・一問一答…など)、なるべく少ない参考書数で効率よく終わらせたい科目に多い。
※これら2つの考え方を、同じ科目内で両方使うことも多い。最初に使うインプットの数冊はセット方式、問題集は積み上げ方式、など。
★漢文では、基本的にセット方式を採用★
漢文の参考書はかなり少なく、他科目と比べてもあまり時間を割ける科目ではありません。そのため、各ランクに必要な最低限の理解本と問題集の2冊を選定し、必要に応じて演習用問題集を追加できるようにしました。
古文MAP
漢文の参考書ルート【理解本】
到達レベルに合わせて1冊選ぶ
基礎・標準ランク(共通テストまで)
- 『岡本のたった3時間で漢文句法』(学研) 14.5h
映像授業を中心に、最短で理解。句法のみ。
- 『漢文読解が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版) 20h
句法7割、読解3割くらい。句法も「読解」に含めているだけだし、この読解も句法が中心。
難関・最難関ランク(二次試験まで)
- 『1冊読むだけで漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本(改訂版)』(KADOKAWA) 16.5h
句法と読解五分五分。映像はないけど、多分これが一番要素がまとまっている。
理解本ルートまとめ
【所要時間】14.5h ①理解本 ②句形のみ掲載の初学者向けの端的な理解本です。映像・要点整理・一問一答の構成になっており、暗記までサポートします。映像授業とそのテキストという参考書であるため、教材の文章のうち、重要な箇所と流し読みしていい箇所が自然と分かるようになっています。 ③読解問題は収録されていませんが、句形を完璧にする点において適している参考書です。映像中心に進め、参考書に沿って暗記していきましょう。理解度を深めるより、授業を受けるようにざっと参考書の内容をさらうことを意識してください。読解のメイン問題集に進んでから本格的に句形の穴を埋めていきましょう。
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【所要時間】20h ①理解本 ②漢文の文法基礎、句形、読解について1冊で学習できる点が特徴です。文章中での句形読み解き方や文章の前提知識となるような背景や思想を部分的に学べます。共通テストまではこの1冊で十分であり、1冊でここまで網羅的に学習できる本書は、学校である程度学習した生徒がざっと基本を確認するのに最適であると判断しました。 ③この1冊に載っている句形は必ず暗記してください。細かいことは暗記までいかなくても良いですが、理解はするようにしましょう。句形部分はドリルなどがないため、初学者は『基礎からのジャンプアップノート漢文句法演習ドリル(改訂版)』などでアウトプットしながら学習するのもおすすめです。
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【所要時間】16.5h ①理解本 ②句形に焦点を当てた理解本が多いなか、読解までしっかり解説されている参考書です。様々な問題形式における解き方のコツや手順を丁寧に解説しています。 ③標準ランク以下までの場合はオーバーワークの可能性があります。難関ランク以上でも、句形は学校で学習済みの場合は、所々かいつまんで学習しても良いです。特に二次試験で記述問題が出題される大学・学部を受験する場合は、明確に理由付けながら解く練習をしましょう。
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漢文の参考書ルート【メイン問題集】
基礎・標準ランク(共通テストまで)
- 『マーク式基礎問題集漢文(5訂版)』(河合出版) 13.5h
一文ずつ丁寧に解説してくれるので、演習最初の1冊に適している。
- 『実戦演習標準漢文』(桐原書店) 23h
句形をしっかり学習したら解ける問題集。問題形式も様々なので演習本に良い。
難関・最難関ランク(二次試験まで)
- 『精選問題集漢文(4訂版)』(河合出版) 24h
後半になると記述問題もあるが、基本的には句法などはもう頭に入っている人向け。
メイン問題集ルートまとめ
【所要時間】13.5h ①問題集 ②全て選択式で、句形の軽い確認問題、演習編・基礎、演習編・完成で構成されています。演習編の基礎では基礎的な句形を応用した問題が多く、文章もそこまで長くないです。完成に向かうにつれて、内容を細かく問う問題が増え、漢詩が本文の中に入っていたり文章が長くなったりすることでレベルが上がっていきます。漢文は基礎的な知識の確実な積み重ねが点数に繋がるので、標準ランクまでのメイン問題集に採用しました。最近の共通テストでは、漢詩がでたり複数テクストの問題も出題されているので、より共通テストを意識した作りになっている。 ③句形については、基本は理解本に取り組む時点で基礎を覚えていてほしいため、句形をどのように使うか、を中心に知識のまとめ直しをするよう注意して解きましょう。本書を解きながら発見したことを理解本に書き込むことをおすすめします。設問ごとの理由付けは、正解した問題も含めて確認してください。
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【所要時間】23h ①理解本 ②様々な分野、思想家の文章を満遍なく29題出題されています。問題には、口語訳・書き下し文・軽い内容説明など、短い記述問題が含まれています。書き下し文や通釈はあるものの、設問解説はやや簡易的なので、自分でも文章を細かく分析しながら知識の穴はしっかり埋めていきましょう。難関ランクの二次試験にもある程度対応できるような問題選定なので、メイン問題集に設定しています。解説が足りない部分は、理解本での確認やオプション教材で補いましょう。難関ランクの中でもレベルが高い学部の試験は足りない可能性があるので、もう1冊くらい解くのが理想です。 ③句形については、基本は理解本に取り組む時点で基礎を覚えていてほしいので、句形をどう使うか、を中心に知識のまとめ直しをするよう注意して解きましょう。本書を解きながら発見したことを理解本に書き込むことをおすすめします。その一方で、句形ではなく読解のコツが足りないと思った場合、オプション教材を利用してください。
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【所要時間】24h ①問題集 ②漢詩や複数テクストの出題もあります。『マーク式基礎問題集漢文(5訂版)』にも載っているような基礎的なレベルの問題から、二次試験で出題されるような長めで内容理解が難しい文章の記述問題まであります。設問解説が一つ一つ詳しいというより、全体のポイントを解説することに重点が置かれている。句形は頭に入っていることが前提で構成されています。 ③いきなり本書を解くのではなく、レベルに合わせて本書の前後にオプション問題集を追加する必要があります。記述も入っているとはいえ、解説が詳しくないので記述対策に不十分です。記述問題の対策が必要な場合、『得点奪取漢文(改訂版)』に取り組みましょう。
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漢文の参考書ルート【オプション問題集】
習熟度合いと試験本番までの残り時間、他教科の学習状況から随時追加する
オプション問題集ルートまとめ
【所要時間】26h ①理解本 ②文章題の中で身につける前に、句形だけを演習したい人向けの参考書です。理解本にアウトプット用の問題がついていない場合に使用します。 ③理解本のアウトプットとして使用する場合は、ドリル以外の解説部分(上段)はある程度省略してよいです。
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【所要時間】23h ①理解本 ②句形の問題、故事成語や短い著名な文章を沢山解くことができます。基礎ランク〜標準ランクなど、句形をきっちり使うことが重要なランクの演習用に採用しています。③学校の授業をほとんど聞いていなくて読解に慣れていない初学者はメイン問題集の前にこれを挟んでもいいです。ただし、読解の問題集というより、句形の使い方と著名な文章のパターンを知っておくという役割だと意識してください。
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【所要時間】24h ①問題集 ②二次試験で使う人向けの記述対策の参考書です。典型問題編と練習問題編で構成されています。 ③難関ランク・最難関ランクのメイン問題集の後にやりましょう。二次試験で記述があり対策を講じるためには、問題集を2冊以上やる必要があります。
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【所要時間】39.5h ①問題集 ②最難関ランク向けの問題集です。難関〜最難関ランクの大学の過去問で使われた文章が多いです。設問解説が丁寧な上に、頻出テーマに基づいて出題するので、様々な漢文のパターンに触れることができる。文章の読み方と一緒にこのパターンがわかってくると読解にとても役立つので、読解をもう一歩深めたい人におすすめです。 ③オプション教材のためメイン問題集の後に解くようにしましょう。
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漢文の参考書ルート【その他オプション・共通テスト対策】
その他オプション
- 『最短10時間で9割とれる共通テスト漢文のスゴ技』(KADOKAWA) 16.5h
句形は覚えたものの『たった3時間で漢文句法』『漢文読解が1冊でしっかりわかる本』だけでは読解の理解が足りず点数が取れない生徒が使う。 - 『理解しやすい漢文』(文英堂) 11h
最難関ランクの生徒が、漢文常識から学び故事成語・有名な漢詩などのパターンを獲得したい場合に使う。
- 『シグマ新国語便覧(増補3訂版)』〈漢文編〉(文英堂) 2.5h
国語に共通で参照できる資料集がほしい人が使う。学校でもらっている場合は不要。 - 『ハンドブック古文漢文の要点整理(改訂版)』〈漢文編〉(学研) 3h
古文と漢文の必須知識(古文常識・古文文法・漢文常識・句法など)を1冊で確認できるものがほしい生徒が使う。
【所要時間】16.5h ①理解本 ②句形は学習している前提で、共通テスト漢文に特化して時短で読解を学習する参考書です。問題集というより解法の理解本に近いです。読解の解法や問題の解き方について解説している参考書は少なく、大抵は句形の参考書の最後のほうに載っているだけなので、共通テストまでしか使わないけどしっかり点数取りたい人用に採用しました。 ③基本は理解本を終えた後、メイン問題集の前後に取り組むのが良いです。二次試験まで使う人は演習も大事なので、理解本に書かれている解法をしっかり学んであとは演習に時間をかけましょう。
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【所要時間】11h ①理解本 ②漢文の文法・句形(基本的な一部)・漢文常識(古代中学史の一部、文化など)が載っています。そのうえで、故事成語や有名な例文を細かく解説されています。本文の解説や重要漢字・句形のポイントを中心にパターンを覚えていきましょう。 ③漢文で高得点を取りたい人や漢文の背景知識までしっかり知りたい人の理解本としておすすめです。情報量が多いので、使う場合は時間に余裕がある場合にしましょう。
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【所要時間】2.5h ①資料集 ②文学史や中国思想、重要な句形・文法の基礎知識を学べます。現代文や古文に比べて漢文の分量は少ないが、漢文常識をきちんと載せている参考書は少ないので採用しました。 ③国語3科目通しの参考書は1冊もっていて損はないです。学校で使用しているものがあればそれを使用してもいいです。
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【所要時間】3h ①まとめ本 ②資料集の要点がまとまっているようなハンドブックです。古文・漢文の重要事項を1冊で確認できます。自分で書き込みすることで、苦手な部分を試験前に確認する用のまとめ本としても使えます。知識が複数の参考書にまたがっていると確認が大変なので、便利な参考書としてオプションに採用しました。 ③必須ではないが、もっておくと便利です。ハンドブックに最低限の覚えるべき知識は載っているので、足りないところは補いつつ傍用しましょう。時間を使って読み込むものではないので、どのランクにもおすすめです。
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共通テスト対策
- 『共通テスト新課程攻略問題集(現代文)』(数学社) 17.5h
- 『共通テスト新課程攻略問題集(古文・漢文)』 〈古文〉9h〈漢文〉9h
※現代文・古文・漢文のうち使わない科目がある生徒は省く。
↓
- 実戦模試国語(共通テスト2025)
- 実戦問題集国語(共通テスト2025)
- 総合問題集国語(共通テスト2025)
【所要時間】9h ①問題集 ②共通テストの出題形式に特化した問題集。複数テクストや漢詩にも対応しています。古典の複数テクストは現代文の複数テクストより慣れておかないとミスしやすいので、時間がある人は共通テスト予想問題集の前に取り組んでおきましょう。設問解説が特に詳しく、句形を使えるようになってから共通テスト形式の問題を早く解けるようになるために採用しました。 ③基本的に、問題集を1冊は解いてから本書にうつるようにしましょう。基本的な知識の確認や本文解説というより、解き方にフォーカスしているので、基礎の読解はできている状態で解くことが望ましいです。
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