「看護系の大学はたくさんあるけれど、どこが入りやすいんだろう?」と思ったことはありませんか。受かりやすい看護大学と聞くと、つい偏差値が低い学校を思い浮かべてしまうかもしれませんが、入学難易度は偏差値だけでは測れません。様々な入試方法があるため、自分に合った選抜方法を選ぶことや、得意科目の配点が高い、あるいは苦手科目の受験が必要ない大学を選ぶことも重要になってきます。本記事では、地域別に合格しやすいと言われている看護大学の紹介や、受かりやすい看護大学を選ぶ際に注意すべきポイントについてお伝えしていきます。
目次
【地域別】受かりやすい看護大学
以下で地域別に分けて、合格しやすいと言われている看護大学について解説していきます。大学の特徴や取れる資格、入試科目などについてお伝えしますので、志望校選定の参考にしてください。
※入試科目は、一般選抜についての場合です。
※本文中で記載している偏差値は、河合塾のデータをもとにしています。
北海道・東北で受かりやすい看護大学
北海道・東北で合格しやすい看護大学として、以下の2大学をご紹介します。
- 日本赤十字北海道看護大学看護学部(北海道北見市)
- 岩手医科大学看護学部(岩手県紫波郡)
日本赤十字北海道看護大学看護学部(偏差値35)
通常の看護学はもちろん、赤十字に関する科目を学びながら、将来は指導的立場で活躍できるよう知識や技術を学んでいきます。設備は充実しており、蘇生訓練用シミュレーターも学内に設置されているほどです。就職は赤十字ネットワークがあるため、道内はもちろん全国各地で実績があります。奨学金制度も充実しており、以下のようになっています。
- 日本赤十字社北海道支部管内奨学金(年額60~120万円)
→道内にある赤十字病院で勤務を希望する学生が対象
- 北海道外の赤十字施設奨学資金(年額60~120万円)
→道外の赤十字施設に勤務を希望する学生が対象
- 北海道看護職員養成修学資金(年額38.4万円)
→道内の病院や施設で勤務を希望する学生が対象
在学中に取得できる資格
- 看護師国家試験受験資格
- (選択制)保健師国家試験受験資格
- 養護教諭二種免許状(保健師合格後)
- 第一種衛生管理者免許
入試科目
一般選抜では小論文と2科目の試験が行われます。
- 【必須】小論文、英語
- 【選択】「数学Ⅰ・数学A」、「化学基礎」、「生物基礎」の2教科3科目から1科目選択
岩手医科大学看護学部(偏差値37.5)
2021年3月に初の卒業生を出した看護学部では、医学部、歯学部、薬学部との連携教育を取り入れながら、看護学の知識とスキルを身に付けていきます。夏休みには県内の病院や介護施設などで看護体験を行ったり、現場経験が豊富な看護職員との交流会を開催したりしています。大学附属の病院で実習する学生も多く、充実した教育環境で学べるのが特徴です。
在学中に取得できる資格
- 看護師国家試験受験資格
- (選択制)保健師国家試験受験資格
- (選択制)助産師国家試験受験資格
- 養護教諭二種免許状(保健師合格後)
入試科目
一般選抜では3科目の試験が行われます。
- 【必須】英語・国語
- 【選択】「数学Ⅰ、数学A」、「化学基礎・化学」、「生物基礎・生物」から1科目選択
(「化学基礎」「生物基礎」の2科目選択も可能)
首都圏で受かりやすい看護大学
首都圏で合格しやすい看護大学として、以下の2大学をご紹介します。
- 帝京平成大学健康医療スポーツ学部看護学科(千葉県市原市)
- 文京学院大学保健医療技術学部看護学科(埼玉県ふじみ野市、東京都文京区)
帝京平成大学健康医療スポーツ学部看護学科(偏差値37.5)
東京中野にあるヒューマンケア学部看護学科とほぼ同様の講義を行います。保健師や助産師を目指す場合は、1年生の3月に行われる選抜試験に合格し、2年次前期からそれぞれの科目を履修しながら4年生の夏に実習を行う流れです。実習は病院はもちろん、保健所や介護老人施設などさまざまな場所で行われますが、帝京大学医学部附属病院で多数の学生が実習を行っています。将来は大学病院で働きたいと考えている場合は、附属病院があるためおすすめと言えるでしょう。
在学中に取得できる資格
- 看護師国家試験受験資格
- (選択制)保健師国家試験受験資格
- (選択制)助産師国家試験受験資格
- 養護教諭二種免許状(保健師合格後)
- 受胎調節実地指導員資格(助産師合格後)
入試科目
一般選抜では2科目の試験が行われます。
- 【選択】国語・英語・数学・生物・化学から2科目
(国語と英語の組み合わせは不可)
文京学院大学保健医療技術学部看護学科(偏差値37.5)
文京学院大学では、保健医療技術学部にある他学科と連携し、理学療法士や臨床検査技師を目指す学生とともにチーム医療について学びます。大学内には、日曜日以外20時まで自由に利用できる実習室があります。ベッドや洗髪台などを使い、技術練習を授業外で行えるのも特徴のひとつです。就職先は多岐にわたりますが、順天堂大学医学部附属練馬病院や東京慈恵会医科大学附属病院など、大学附属病院が全体の2割程度になっています。
在学中に取得できる資格
- 看護師国家試験受験資格
- 保健師国家試験受験資格(選択制)
入試科目
3科目
- 【必須】英語
- 【選択】数学(数I・数A・数II)、理科(「化基・化」・「生基・生」)から2科目選択
3科目受験し、英語と高得点の1科目で判定します。
関西圏で受かりやすい看護大学
関西圏で合格しやすい看護大学として、以下の2大学をご紹介します。
- 大阪青山大学健康科学部看護学科(大阪府箕面市)
- 梅花女子大学看護保健学部看護学科(大阪府茨木市)
大阪青山大学健康科学部看護学科(偏差値40)
大阪青山大学の看護学科では、他大学同様看護関連の授業はもちろん、同じ学部の中にある「健康栄養学科」や「子ども教育学科」と連携し、食事や教育などの観点から看護を学ぶ授業があります。実習は北摂地域がメインで、大学から1時間以内でアクセスできる場所にある医療機関を中心に行います。いずれも看護師の需要が多い病院なので、卒業後に就職する学生も多いです。
在学中に取得できる資格
- 看護師国家試験受験資格
- 保健師国家試験受験資格(選択制)
入試科目
「国語(古文漢文を除く)もしくは英語」「数I・Aもしくは化学もしくは生物」の2科目受験です。英語が苦手な場合は国語選択ができるのと、数学もIAのみであること、数学ではなく理科の選択でも受験できるのが特徴です。
梅花女子大学看護保健学部看護学科(偏差値42.5)
梅花女子大学看護保健学部看護学科では、看護関連の科目はもちろん、同じ学部にある口腔保健学科と連携して、チーム医療についても学ぶことができます。また、1年次に学ぶ国際看護学では、ゲストスピーカーを招き体験談を聞くなどの機会をたくさん取り入れています。看護師国家試験の合格率は全国平均を上回る96.5%、就職決定率も100%です。卒業生の9割が大阪、京都エリアの病院や医療機関などに就職しています。
在学中に取得できる資格
- 看護師国家試験受験資格
- 養護教諭一種免許状(選択)
入試科目
国語(古文漢文を除く)・英語が必須で、数I・Aもしくは生物の3科目受験です。
九州・中国・四国で受かりやすい看護大学
九州・中国・四国で合格しやすい看護大学として、以下の2大学をご紹介します。
- 第一薬科大学看護学部看護学科(福岡県福岡市)
- 四国大学看護学部看護学科(徳島県徳島市)
第一薬科大学看護学部看護学科(偏差値35)
伝統のある薬学教育を活かして、「薬物療法に強い看護職育成」をモットーとしています。そのため、一般的な大学と比べると薬物療法関連科目におよそ3倍の単位数が充てられているのが特徴です。2年次の終わりに保健師教育課程(10名)・助産師教育課程(5名)を希望する学生は選抜テストを受験できますが、福岡市内で保健師・助産師・看護師3つの課程があるのは第一薬科大学のみです。
在学中に取得できる資格
- 看護師国家試験受験資格
- 保健師国家試験受験資格(10名)
- 助産師国家試験受験資格(5名)
- 養護教諭二種免許状(保健師合格後)
- 第一種衛生管理者(所定の単位修得後)
- 受胎調節実地指導員資格(助産師合格後)
入試科目
一般選抜I期は3科目選択です。
- 【必須】英語
- 【選択】国語(古文漢文を除く)、数I・A、化学、生物から2科目選択
※一般選抜II期は、上記の選択科目が1科目になります。
四国大学看護学部看護学科(偏差値42.5)
他大学と同様、1年2年次は基礎的な看護を学び、2年次の後半から3年次は実習や応用的な看護講義がメインとなります。学生ひとりひとりにチューターがつくため、質問や相談がしやすい環境です。希望者は2年次の春休み(3月下旬)に、オーストラリアの南クイーンズランド大学で行われる海外語学看護研修に参加できます。
在学中に取得できる資格
- 看護師国家試験受験資格
- (選択)保健師国家試験受験資格
- (選択)助産師国家試験受験資格
- (選択)養護教諭および高等学校教諭一種免許状(看護)
入試科目
一般的な推薦入試や一般選抜の他に、高大接続入試や自己実現入試などユニークな選抜方法もありますが、ここでは一般選抜について紹介します。
◎I期
- 【選択】国語(古典を除く)または英語から1科目選択
- 【選択】数学I、化学基礎、生物基礎から1科目選択
◎II期、III期
- 【選択】国語(古典を除く)、英語、数学Iから2科目選択
看護大学で取れる資格
看護大学では、看護師はもちろん、ほかにも様々な資格を取得できます。以下が、看護大学で取れる主な資格です。
- 看護師国家試験受験資格
- 保健師国家試験受験資格
- 助産師国家試験受験資格
- 養護教諭二種免許状(保健師合格後)
- 第一種衛生管理者(所定の単位修得後)
- 受胎調節実地指導員資格(助産師合格後)
注意点としては、あくまでも「国家試験の受験資格」が得られるということです。大学を卒業したからと言って、国家試験に合格しなければ、看護師などの資格は取れません。また、大学によっては、保健師や助産師のコースが設置されていない場合もあります。設置されている場合も、希望者全員が取れるのではなく、成績優秀者の中から順に選抜制となっている場合も多いです。
看護師に加え、保健師や助産師の勉強や実習を加えて行うのはかなりハードです。しかし、将来のキャリアが広がったり、保健師に合格すると養護教諭の資格も取れたりすることを考えると、看護師以外の働き方を考えている人にとっては、ぜひチャレンジしたい課程です。
受かりやすい看護大学を選ぶ際に意識すべき5つのポイント
ここからは、受かりやすい看護大学を選ぶ際に意識するべきポイントについて解説していきます。
得意な受験方式・受験科目の大学を選ぶ
志望校を決める際には、できるだけ得意な受験方式を選んだり、得意科目の配点が高い大学を選ぶようにしましょう。受験方式は大学によって異なりますが、以下のような方式を採用しています。
- 総合型選抜
- 学校推薦型選抜(指定校・公募)
- 一般選抜
- 共通テスト利用入試
受験科目は、国公立大学であれば共通テストで5科目の受験が必要ですが、私立大学であれば以下のように様々な形式があります。
【受験科目の例】
・3科目必須(英語・国語・数学もしくは理科から1科目、あるいは英語・数学・理科)
・2科目(英語が必須で数学か理科を選択)
・1科目(国語以外)
つまり、極端な話、英語だけで入学できる大学もあります。もちろん、看護学部なので入学後には理系分野の学習が必須となりますが、理系科目が苦手な場合も看護学部に入学できる試験方法もあるということです。数学と理科がどちらとも得意な場合は問題ありませんが、どちらか一方に苦手科目がある場合は、数学と理科のどちらかを選択可能な大学を選ぶなど、より合格しやすい学校を見つけていきましょう。
募集人員や倍率を確認する
行きたい大学がある程度絞り込めたら、募集人員や過去数年間の倍率を確認してください。自分の平均偏差値と同じくらいのレベルの大学を受ける場合、倍率が10倍近くなどかなり高くなっている場合、厳しい戦いが予想されます。どうしてもその大学に行きたいというほどでもなく、受かりやすい看護学部があれば変更しても構わないと思っている場合は、難易度を下げて志望校を再度検討したほうが良いでしょう。
大学附属病院があるか確認する
看護学科では、どの大学でも4年間にわたり何度も実習を行います。1,2年次は1~2週間程度ですが、3年生では3か月~8か月程度、4年生でも前期は実習というケースがほとんどです。もし、以下のように考えている場合は、大学附属病院がある学校がおすすめです。
- 将来の就職先を(入学した大学の)附属大学病院と考えている
- 同期が多くいる附属病院で実習をしたい
たとえば、帝京大学など附属病院がある場合は、多くの学生がそこで実習を行い、卒業後も附属病院に就職するケースが多く見られます。病院側も受け入れに慣れているので、実習もスムーズに進みやすいと言えるでしょう。ちなみに附属病院がない場合も、実習先を大学が確保しているため心配は不要です。
奨学金制度について確認する
看護学部は、理工学部などの一般的な理系学部よりも費用がかかるのが一般的です。私立の看護大学の場合、初年度は入学金を含めて年間200万前後かかります。そのため、文系学部よりも奨学金制度が充実している大学が多いです。主に、以下のような形態で募集されます。
- 試験時に奨学生として募集
- 通常入試で、成績上位が奨学金対象となる
- 親の収入など書類提示により、成績に関わらず奨学金の対象になる
奨学金には給付型と貸与型があり、カバーされる学費は全額から月数万円程度までさまざまです。中には、卒業後に大学が定めた病院に何年間か勤務することで、奨学金の返済が不要になる場合もあります。
地方の看護大学は受かりやすい傾向がある
大都市圏にある大学の看護学部と比べて、地方や郊外にある看護大学のほうが難易度も倍率も低く、合格しやすい傾向があります。例を挙げると、帝京大学には2つ看護学科があります。
- 医療技術学部(東京都板橋区)
- 福岡医療技術学部(福岡県大牟田市)
河合塾の偏差値データは以下の通りです。
- 医療技術学部看護学科の偏差値:50.0
- 福岡医療技術学部看護学科の偏差値:35.0
このように、福岡医療技術学部のほうがかなり難易度が低いです。また、倍率についても東京の医療技術学部は4~10倍程度となっている一方で、福岡医療技術学部は共通テスト利用選抜をのぞき、1~2倍の倍率と合格しやすくなっています。同じ首都圏でも、東京にある大学と比べると千葉にある大学の方が難易度が低く合格しやすいという傾向がありますので、参考にしてください。
まとめ
本記事では、受かりやすい看護大学の紹介や、合格しやすい看護大学を選ぶ際に注意すべきポイントについてお伝えしてきました。近年は多種多様な受験方式があるため、得意科目を利用した入試方法を選ぶと合格しやすいと言えます。また、郊外あるいは地方の大学のほうが都市部よりも入学難易度・倍率が低い傾向があるため、入りやすいという観点から大学選びをするのであれば、立地も検討材料に入れるとよいかもしれません。本記事が、看護学部進学を考えている人のお役に立てば幸いです。
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