和歌山大学は、1学部1学科制の下で複合的な学びを提供している大学です。はじめから専門分野を絞らずに幅広い分野を網羅することで、自分だけの針路を描くことができます。この記事では、和歌山大学についてご紹介します。興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
和歌山大学とは
和歌山大学とは、和歌山県和歌山市に本部を置く国立大学です。1949年に新制大学として設立され、和大(わだい)という愛称で親しまれています。積極的に社会と関わる教育を推進し、グローバルな視点を持ち、変革期にある社会の持続的発展に貢献できる人材の育成に力を入れています。
2020年には、新しい地域連携の拠点として「Kii-Plus」を発足し、紀伊半島地域と一体となって地域課題や研究に取り組んでいます。また、同年に大学全体のグローバル化を推進する「WU International」を発足し、短期留学の機会を増やすクォーター制や海外研究機関と連携した研究を積極的に進めています。
和歌山大学の学部紹介
和歌山大学は、教育学部、経済学部、システム工学部、観光学部からなります。特徴は、全学部で採用している「1学部=1課程/1学科制」。1年次に学部内のすべての学びを網羅し、2年次に自身の進む道を意識しながら専門を選択することで、幅広い学問の理解の裏付けによる高度な専門性を習得します。
それぞれの学部の詳細についてみていきましょう。
教育学部
教育学部には、学校教員養成課程があります。1課程3コース制です。
学校教員養成課程(募集定員165名)
学校教員養成課程は、幅広い視点と柔軟な思考力を身につけた、未来の教育を担う人材の育成を目指す課程です。早期から教育現場を体験する実習系授業や、地域がサポートするホームステイ型小規模校実習を通して実践力を養います。また、教育ボランティア活動として、教員免許取得と並行して子どもたちやスタッフと関わる機会を作り、学習補充推進につなげています。
1年次の9月前後にコース・プログラムが、11月から1月にかけて専攻が決定します。
コース | プログラム | 概要 | 卒業後の進路 |
初等教育コース | ・初等教育エキスパートプログラム ・小中連携プログラム | 児童の発達や教科のつながりを総合的に捉え、小中連携の視野を持った小学校教員を目指す | 幼・小・中・高・特別支援学校の教員、心理職、児童施設指導員、障害者施設指導員、公務員、大学院進学など |
中等教育コース | ・中老教育エキスパートプログラム | 教科の専門性を深めた中学校・高等学校教員を目指す | 小・中・高・特別支援学校の教員、諸種の教育関係職、公務員、大学院進学など |
特別支援教育コース | ・特別支援教育エキスパートプログラム | 特別なニーズを持つ子どもの教育に関する専門的知識や実践的な指導力を持った教員を目指す | 幼・小・中・高・特別支援学校の教員、福祉施設職員、公務員、一般企業、大学院進学など |
経済学部
経済学部には、経済学科があります。1学科5プログラム制です。
経済学科(募集定員300名)
経済学科は、経済的視点から社会を読み解く、未来を担うビジネスリーダーの育成を目指す学科です。全国屈指の規模と100年近くの伝統を誇り、幅広い分野の専門教員による教育体制が整っています。また、1年次から複数のメンターが学生一人ひとりの履修を指導するメンター制により、少人数教育を強化しているのも特徴の一つです。
プログラムは、「経済学」「経営学」「会計学」「法律学」「情報学」の5領域から専門科目をクロスオーバーさせたカリキュラムとなっています。加えて、飛び級制度の「エキスパート・コース」を設置しています。
プログラム | 概要 | 卒業後の進路 |
グローバル・ビジネス&エコノミー | グローバルな視点から、経済と経営の世界を中心に社会のあり方を学ぶ | グローバル企業、中堅・中小企業の海外部門、国際機関、NPO・NGOなど |
ビジネスデザイン | ビジネスの改革や新しいビジネスのデザインを学ぶ | 企業や公共団体の企画部門、コンサルタント、起業家など |
企業会計・税法 | 会計学及び税法をはじめとする法学を学ぶ | 税理士、公認会計士、不動産鑑定士、公務員など |
地域公共政策・公益事業 | 地域社会における様々な課題の解決力を身につける | 地域活性化を担う公務員、自治体・公共事業体・シンクタンク職員など |
サステナブル・エコノミー | 経済における持続可能性を実現する多様性・柔軟性を身につける | 企業のCSR関連部門、総務・人事部門、環境NGO・NPOなど |
エキスパート・コース | 学部早期から高いレベルで専門性を追求し、大学院進学を目指す | 社会的にニーズの高い領域で即戦力となりうる人材 |
システム工学部
システム工学部には、システム工学科があります。1学科10メジャー制です。
システム工学科(募集定員305名)
システム工学科は、複数の技術領域を見通し、新しい産業の創成に貢献できる人材の育成を目指す学科です。学部生が大学院の授業を受けられる「大学院特進プログラム」や、理科教員を目指す人が教育学部の授業を受けられる「スーパーサイエンスティーチャープログラム」を展開し、多様なキャリアパスを可能にします。
学科の最大の特徴は、2つの専門領域を学修する「ダブルメジャー制」です。10メジャーの中から2つのメジャーを選択し、組み合わせに応じたコースを構成します。2年次に1年次の成績と希望により第1メジャーを決定し、配属後の履修指導を通じて第2メジャーを決めます。
メジャー | 概要 |
機械電子制御 | 制御工学、ロボット工学などのシステム論を用いた設計や運用について学ぶ |
電気電子工学 | 電気電子技術を学び、電子計測システムに応用する |
材料工学 | 物性物理学、材料科学、電子工学について学ぶ |
化学 | ナノレベルの化学・生命現象、法則、先端的知識を学ぶ |
知能情報学 | 人工知能やロボット、視覚情報処理、コンピュータグラフィクスについて学ぶ |
ネットワーク情報学 | モバイル通信、Webシステム、ビッグデータ解析などを学ぶ |
環境科学 | 持続可能な社会の実現につながる知識と技能を学ぶ |
環境デザイン | 自然と調和する技術や計画技術について学ぶ |
メディアデザイン | サウンド・ビジュアルデザイン、インターフェースデザイン、その基礎となるデザイン制作や企画方法を学ぶ |
社会情報学 | ソフトウェア開発や高度なコミュニケーションを学ぶ |
代表的なコースと構成メジャーは、以下の通りです。他の組み合わせでも履修できます。
コース | メジャー | 卒業後の進路 |
ロボティクスコース | 機械電子制御、電気電子工学 | メーカー(自動車、電機、光学機器、精密機械等)、システム開発会社など |
ナノテクノロジーコース | 材料工学、化学 | メーカー(素材、製薬・化粧品等)、情報技術関連の開発・設計技術者など |
コンピュータサイエンスコース | 知能情報学、ネットワーク情報学 | 情報通信・サービス産業、電子・電気機器産業の研究・開発など |
環境システムコース | 環境デザイン、環境科学 | 公務員(技術職)、環境エンジニアリング会社、建設会社など |
デザインシステムコース | 社会情報学、メディアデザイン | メーカー(自動車、電機、ゲーム等)、システム開発会社など |
環境化学コース | 環境科学、化学 | 公務員(化学、環境)、環境測定・環境分析会社、化学メーカーなど |
ナノエレクトロニクスコース | 材料工学、電気電子工学 | 材料、電子部品、電子機器等の製造業、情報システム関連の技術者など |
知能機械システムコース | 機械電子制御、知能情報学 | メーカー(自動車、電機、精密機器等)の研究・開発・プログラマなど |
ネットワーク社会システムコース | ネットワーク情報学、社会情報学 | 情報通信サービス産業等のシステムエンジニアやソフトウェア設計・開発者など |
観光学部
観光学部は、国立大学唯一の学部で、観光学科があります。1学科3コース制です。
観光学科(募集定員120名)
観光学科は、経済の活性化と観光産業のエキスパートとして活躍できる人材の育成を目指す学科です。LIP(地域インターンシップ)やGIP(海外研修)などの多彩な実践型教育プログラムを展開し、現場での学びを通じてジェネリックスキルを形成します。
エントリー制の「Global Program」は、授業を英語で履修するプログラムです。習得した知識を国際的に活かすためのコミュニケーション力やグローバルな視点を養います。観光学を構成する3つの領域「観光経営」「地域再生」「観光文化」をコンセプトとしたコース体制で、カリキュラムが組まれています。
コース | 概要 | 卒業後の進路 |
観光経営コース | 組織・商品・顧客関係のマネジメント、経営戦略の策定・実行を学ぶ | 観光産業、宿泊産業、レジャーサービス、運輸業など |
地域再生コース | 経済学、農学、法学などの多分野から、地域問題を学ぶ | 公務員(観光庁、総務省等)、観光協会など |
観光文化コース | 文化という視点から観光現象(観光客の心、生じる出会い等)を読み解く | 公務員(観光庁、総務省等)、イベント企画会社など |
和歌山大学の学生数
次は、和歌山大学の学生数をご紹介します。こちらは、令和2年5月1日付のデータです。
学部 | 男 | 女 | 合計 |
教育学部 | 413人 | 299人 | 712人 |
経済学部 | 876人(10) | 476人(10) | 1,352人(20) |
システム工学部 | 1,129人(9) | 244人(10) | 1,373人(19) |
観光学部 | 164人(1) | 365人(4) | 529人(5) |
合計 | 2,582人(20) | 1,384人(24) | 3,966人(44) |
()内は、外国人留学生を内数で示す
和歌山大学の所在地(キャンパス)
和歌山大学は、4学部が一箇所に集うワンキャンパスです。ワンキャンパスを活かした縦割りの教養教育により、社会実装につなげる学びを展開しています。
キャンパス住所 | 〒640-8510 和歌山市栄谷930 |
アクセス | 南海「和歌山大学前」駅から和歌山バスで約4分 南海「和歌山市」駅から和歌山バスで約20分 JR「和歌山」駅から和歌山バスで約30分 |
和歌山大学の就職状況・大学院進学率
続いては、和歌山大学の就職と進学の実績についてみていきましょう。こちらは、令和3年度の就職・進学状況のデータです。「その他」は、公務員試験等受験準備、就職準備、大学院以外の学校への進学、研究生、自営業などです。
学部 | 就職率 | 進学率 | その他 |
教育学部 | 90.20% | 7.9% | 1.8% |
経済学部 | 87.3% | 4.6% | 8.0% |
システム工学部 | 47.7% | 46.8% | 5.5% |
観光学部 | 91.6% | 6.7% | 1.7% |
和歌山大学では、「実践的キャリア教育」と「進路選択・就職活動支援」を軸とした就職支援を行っています。とくに実践的キャリア教育では、「PBL型(問題解決型)科目」や「コーオプ型インターンシップ」を推進し、1年次から社会への関心を高めています。
和歌山大学の共通テスト得点率と偏差値
次に、和歌山大学の一般選抜における大学入学共通テストの得点率と偏差値です。
学部 | 前期日程 | 後期日程 | ||
大学入試共通テスト得点率 | 偏差値 | 大学入試共通テスト得点率 | 偏差値 | |
教育学部 | 57~62% | 54~59 | 63~65% | 59~63 |
経済学部 | 60% | 62 | 75% | 68 |
システム工学部 | 59% | 56 | 64% | 60 |
観光学部 | 63% | 61 | – | – |
和歌山大学の入試情報
最後に、和歌山大学で採用されている入試方法についてご紹介します。(社会人選抜、帰国子女選抜、私費外国人留学生選抜は除く)以下に示すのは、令和4年度の募集要項です。詳細については、大学のホームページで確認してください。
一般選抜
一般選抜は、大学入学共通テストの成績と個別学力検査の成績で評価されます。それぞれの日程の個別学力検査の内容は、以下の通りです。
前期日程
学部・募集区分 | 個別学力検査 | |
教育学部 | 文科系 | 国語総合、面接 |
理科系 | 数学、面接 | |
実技系「音楽又は美術」 | 実技検査(声楽、ピアノ、造形表現など)、面接 | |
実技系「保健体育」 | 実技検査(運動能力テストなど)、面接 | |
経済学部 | 総合問題A、総合問題B(数学) | |
システム工学部 | 数学、外国語 | |
観光学部 | 総合問題 |
後期日程
学部・募集区分 | 個別学力検査 | |
教育学部 | 文科系 | 面接 |
理科系 | 面接 | |
経済学部 | 総合問題 | |
システム工学部 | 総合問題(数学と物理と化学から2つ選択) |
学校推薦型選抜
学校推薦型選抜は、出願書類と以下の内容を総合して判断されます。
学部・募集区分 | 試験概要 |
教育学部 | 大学入学共通テスト、面接 |
教育学部(地域【紀南】推薦枠) | 小論文、面接 |
経済学部 | 小論文、集団討論 |
経済学部(スポーツ) | 小論文、面接 |
経済学部(簿記) | 小論文、面接 |
システム工学部 | 大学入学共通テスト、面接 |
観光学部 | 大学入学共通テスト、面接 |
総合型選抜
総合型選抜は、大学入学共通テストを免除し、出願書類と以下の内容を総合して判断されます。
学部 | 試験概要 |
観光学部 | プレゼンテーション、面接 |
まとめ
今回の記事では、和歌山大学について深掘りしました。和歌山大学は、1学部1学科制の複合的な学びによるカリキュラムで、特色ある教育を実施しています。広い学びから自身のキャリアパスを決めることができるので、将来やりたいことが決まっていない人にもおすすめの大学です。
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