この記事を読んでいる皆さんの中には、「英検は入試で使える」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、グローバル化の進展を背景として英語力のある人材を求める風潮は年々強くなっており、入試で英検利用できる大学は増えてきているため、英検の活用の幅はますます広がっています。また、4工大(芝浦工業大学・東京都市大学・工学院大学・東京電機大学)はその知名度の高さや就職の強さにより受験生から高い人気を誇っており、4工大を志望校にしている受験生の中には、英検利用での受験を検討している方もいらっしゃるかと思います。
しかし、入試で英検利用したいと考えている方であっても、大学ごとに英検利用の制度が異なっていたり、入試要項を読んでも「CSE2.0スコア」等の分かりづらい単語が出てきたりと、入試での英検利用についてなかなか理解しづらい部分もあります。そこでこの記事では、4工大入試の一般選抜(=総合型選抜や学校推薦型選抜等を除いた学力試験による選抜方式)における英検利用に焦点を当て、出願条件等の詳細についてご説明します。
目次
4工大入試における英検利用のパターン
4工大入試における英検利用には下記の通り3つの基本パターンがあり、場合によっては、複数のパターンを組み合わせて出願条件が設定されています。
入試への出願資格となる
最も基本的なパターンが、英検が入試の出願資格として利用されるパターンです。例えば、「英検2級以上合格で出願可能」といった条件が設けられているパターンがこれに該当します。
英語試験が免除される
一定の基準(「英検準2級以上」など)を満たすことで、大学独自の英語試験が免除となるパターンです。英語試験の受験が免除され、残りの科目のみで合否判定されるパターンなどが代表例です。
英語試験で得点換算される
取得した英検のレベルに応じて、大学独自の英語試験の点数へ換算されるパターンです。例えば、「英検準1級合格で満点(100点)として換算」といった条件が設けられている場合、英検準1級を所持していれば、大学が実施する英語試験で満点を獲得したものとして換算されます。
4工大入試で英検利用するために必要な英語力とは?
受験級だけでなく、英検CSE2.0スコアをチェックすることが重要
4工大入試で英検利用するためには、英検の受験級だけでなく、CSE2.0スコアについてもチェックしておく必要があります。これは、大学によっては受験級の合否に関係なく、CSE2.0スコアのみを出願基準として設定する場合があるためです。具体例として、下記のようなケースについて考えてみましょう。
(例)
・英検2級(合格基準スコア1980)を受験したが不合格
・CSE2.0スコアは1950であった
・志望校の出願条件は「CSE2.0スコア1728以上」
⇒英検2級の試験自体は不合格ですが、志望校の出願条件は満たしています。
このように、自分が受験した級に不合格であったとしても、その際に獲得したCSE2.0スコアにより英検利用で受験できる可能性があるため、CSE2.0スコアもしっかりとチェックしておくことが重要です。
英検CSE2.0スコアとは
英検CSE2.0スコアとは、「Reading」「Listening」「Speaking」「Writing」の4技能の習熟度を示すスコアのことを指し、このスコアが受験級の合格基準スコアに達しているかどうかで最終的な合否が判定されます。
どの程度の英語力があれば4工大入試で英検利用できるのか
大学によって英検利用する際の出願条件が異なるため一概には言えませんが、4工大入試においては、概ね英検準2級(合格基準スコア1728)程度から英検利用で受験可能なケースが多いです。
4工大入試で英検利用できる学部
本項では、2022年5月28日時点で各大学のホームページで公開されている最新の入試情報を参照し、4工大入試の英検利用について詳細を解説します。入試制度は随時変更となる可能性があるため、最新情報や制度の詳細は各大学のホームページ等をご確認ください。
芝浦工業大学で英検利用できる学部
【工学部、システム理工学部、デザイン工学部、建築学部】
上記の学部では、「英語資格・検定試験利用方式」にて英検利用で受験可能です。「CSE2.0スコア1980」という基準を満たすことで出願でき、英検スコアは出願資格としてのみ利用されます。この受験方式では大学が実施する英語試験が免除され、数学・理科の2科目の合計点で合否判定されます。
※大学ホームページで公開されている2022年度入試情報を参照。
東京都市大学で英検利用できる学部
【理工学部、建築都市デザイン学部、情報工学部、環境学部、メディア情報学部、都市生活学部、人間科学部】
上記の学部では、「一般選抜前期・中期(=前期3教科型、前期2教科型、中期3教科型、中期2教科型)」にて英検利用で受験可能です。
「英検準2級以上に合格」という基準が条件となっており、大学が実施する英語試験の受験が免除されます。その代わりCSE2.0スコアに応じて、大学が実施する英語試験の得点として50~100点へ得点換算され、その他の受験科目との合計点で合否判定されます。具体的な換算条件は下表をご参照ください。
なお、英検利用で受験する場合でも、大学が実施する英語試験を受験することも可能です。この場合、CSE2.0スコアに応じて換算された得点と実際に受験した英語試験の得点を比較し、より高得点の方が英語の得点として採用されます。
換算得点 | CSE2.0スコア | |
100点 | 準1級 | 2,304以上 |
80点 | 2級レベル | 2,142以上 |
70点 | 1,980以上 | |
60点 | 準2級レベル | 1,855以上 |
50点 | 1,728以上 |
また、「準2級以上を合格している条件を満たした上で、CSEスコアにより50~100点の得点換算が行われる」という点には注意が必要です。例えば、英検準2級合格者(CSE2.0スコア2142)と英検2級合格者(CSE2.0スコア1980)を比べた場合、合格級が下であるにも関わらず前者の方がより高く得点換算されることになります。つまり、準2級以上の級に複数合格している場合、受験級に関わらず最も高いCSE2.0スコアを獲得した際の記録を利用した方が有利になります。一般的に考えると受験級がより高い方の記録を利用したくなると思いますが、CSE2.0スコアによっては、2級合格者よりも準2級合格者の方が高得点になる可能性がある点にご注意ください。
※大学ホームページで公開されている2022年度入試情報を参照。
工学院大学で英検利用できる学部
【先進工学部(機械理工学科航空理工学専攻を除く)、工学部、建築学部、情報学部】
上記の学部では、「英語外部試験利用日程」にて英検利用で受験可能です。
「CSE2.0スコア1750」の基準を満たすことで出願可能で、英検スコアは出願資格としてのみ利用されます。大学が実施する英語試験が免除され、英語を除いた各学科指定の2科目の合計点で合否判定されます。
※大学ホームページで公開されている2022年度入試情報を参照。
東京電機大学で英検利用できる学部
【システムデザイン工学部、未来科学部、工学部、理工学部】
上記の学部では、「一般選抜(前期・英語外部試験利用)」及び「一般選抜(後期・英語外部試験利用)」にて英検利用で受験可能です。
「CSE2.0スコア1728(準2級以上を受験)」の基準を満たすことで出願可能で、英検スコアは出願資格としてのみ利用されます。大学が実施する英語試験が免除され、前期選抜では数学試験(必須)と理科・国語試験(科目選択制)の合計点で、後期選抜では数学試験(必須)と理科試験(科目選択制)の合計点で合否判定されます。
なお、スコアが基準を上回っている場合でも、受験級が準2級以上でなければ出願条件を満たさない点に注意が必要です。(例えば、英検3級を受験した場合でもCSE2.0スコア1728以上を得点することは可能ですが、この場合は出願資格を満たしていないことになります)
※大学ホームページで公開されている2023年度入試情報を参照。
4工大入試で英検利用する際の注意点
試験成績の有効期間が定められている場合がある
4工大入試に限った話ではありませんが、入試で英検利用する場合、基本的に英検の試験成績に有効期間が設けられているため注意しましょう。例えば、工学院大学2022年度入試では「2020年2月以降に実施された英語外部試験に限り有効とする」旨の条件が設定されています。出願資格を満たした成績を過去の試験で獲得していたとしても、有効期間外の成績であれば出願時に利用できないため、志望校の入試要項を確実に確認しておきましょう。
受験する日程によっては、出願期限に間に合わない場合がある
こちらも4工大入試に限った話ではありませんが、入試で英検利用する場合、自分が受験した英検試験の結果がいつ分かるのか(結果がいつ手元に届くのか)についても注意を払う必要があります。
例えば、志望校の出願締切日が1/20(当日消印有効)であった場合、どれだけ遅くても締切当日である1/20までに英検試験の結果が判明していなければ、そもそも英検利用の出願を行うことができません。締切日が1/20(大学必着)の場合であればなおさらで、1/20までに大学に必要書類が届いている状態にしなければならないため、書類の郵送にかかる日数も考慮して、1/20の数日前には英検試験の結果が判明している必要があります。
このように、例え英検試験の実施日が大学の出願締切日前であっても、その結果が判明する日が出願締切日に間に合わない場合は英検利用で出願できなくなってしまうため、英検利用での受験を検討している方は余裕を持った受験スケジュールをたてるようにしましょう。
まとめ
ここまで4工大入試における英検利用について解説してきましたが、志望校選びの参考になったでしょうか。英検利用入試は一般方式の入試と併願可能である場合も多いため、上手く活用することで志望校合格の可能性を高めることが可能な制度です。可能な限り早い段階から志望校を定めて英検利用で受験するために必要な条件等を確認し、余裕をもった準備を行うことをおすすめします。
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