「大学入試に内申点は影響するの?」「内申点をあげるにはどうすればいいの?」と考えている生徒は少なくありません。大学入試では、内申点が合否に影響することがあります。合格可能性を少しでもあげるためには、内申点が影響する大学や学部、入試形式を理解しておかなければいけません。この記事では、内申点や入試形式別に内申点が大学入試に与える影響、内申点をあげる方法などについて解説します。大学入試を控えている生徒や保護者は、今後の参考にしてみてください。
目次
内申点とは?
内申点(評定)とは、高校の成績を科目ごとに5段階評価(もしくは10段階評価)で数値化したものです。
定期テストの成績に加えて、授業態度や提出物の状況、小テストの成績などを総合して評価されます。
内申点の評価基準は担当教師により異なるため、内申点が合否に大きく影響する入試形式で受験する予定がある生徒は、担当教師に確認しておくことをおすすめします。
内申書とは?
内申書(調査書)とは、生徒の成績や活動に関する記録をまとめた書類です。
内申書の記載される内容は、文部科学省から様式が指定されているため、学校によって異なることはありません。内申書に記載される9項目は以下の通りです。
- 氏名、生年月日、住所、学校名
- 各教科・科目等の学習の記録
- 各教科の学習成績の状況
- 学習成績概評
- 総合的な学習の時間の内容・評価
- 特別活動の記録
- 指導上参考となる諸事項
- 出欠の記録
- 備考
各教科の学習成績の状況に内申点が記入されます。
評定平均とは?
評定平均とは、すべての内申点の合計を科目数で割った数字です。例えば、10科目の内申点の合計が42の場合は、評定平均は4.2となります。
推薦入試や総合型選抜では、出願条件に評定平均基準が定められている大学が多いです。
そのため学校推薦型選抜や総合型選抜を考えている生徒は、1年生のときから成績だけでなく、授業態度に気をつけて提出物も忘れずに提出しましょう。
【入試形式別】内申点が大学入試に与える影響
内申点が大学入試の合否に影響するかどうかを入試形式別に紹介します。
大学入試の入試形式は、一般選抜と総合型選抜、学校推薦型選抜に分かれています。
内申点が各入試形式に与える影響について以下の表にまとめました。
| 出願時の影響 | 合否への影響 | |
|---|---|---|
| 一般選抜 | 無 | 大部分の大学では内申点が合否に影響することはありませんが、一部の国公立大学では内申点を点数化し合否判定に利用する大学がある |
| 総合型選抜 | 無~大 | 内申点が基準に達していないと出願できない大学もあるが、合否判定に影響する大学は少ない |
| 学校推薦型選抜 | 大 | 内申点が基準に達していないと出願できない大学が多く、合否判定にも利用される |
一般選抜は内申点の影響は小さく、学校推薦型選抜は内申点の影響が大きいといえます。
しかし、国公立大学の中には一般選抜でも、内申点を合否の判定材料に利用するところもあるので注意してください。
以下で入試形式別に内申点が大学入試に与える影響を詳しく解説します。
一般選抜に内申点が与える影響
一般選抜では、内申書を大学に提出しますが、内申点が出願要件になっていることもありませんし、個別試験の合否判定に利用されることもほとんどありません。
内申点が悪くても勉強をして入学試験で結果を出せば合格できるのが、一般選抜の特徴といえます。
国公立大学の一般選抜における内申点の影響
大部分の国公立大学の一般選抜は、「大学入学共通テスト」と「個別試験」の成績で合否が判定されます。
しかし、一部の大学では、個別試験で調査書を点数化して、合否判定に使われています。
例えば秋田大学教育文化学部前期の個別試験では、調査書が10点分点数化されて合否判定に利用されています。個別試験の合計得点は410点あり、調査書はそのうち10点分であるため、配点比率は低めです。国公立大学で調査書を点数化して利用している大部分の大学は、配点比率が低く抑えられています。
さらに以下のようなケースで内申点を含む調査書が合否に影響します。
- 同じ成績の受験生が複数いるケースでは、合否の判定材料として利用する
- 医学部など人間性や適性が重視される学部では、内申点を総合的な評価の一部として参考とする場合がある
上記のようなケースでは、調査書がどのように合否判定に利用されているのかまでは公表されていません。
このように国公立大学の一般選抜では、内申点が合否に影響することがあるので、志望校の募集要項で内申点が合否判定に利用されるのかをしっかり確認しましょう。
私立大学の一般選抜における内申点の影響
大部分の私立大学の一般選抜では、内申点の影響はありません。願書の出願要件になっていることもありませんし、合否定に利用されることもほぼないといえます。
早稲田大学のように調査書が合否に一切影響しないことを、募集要項に明記している大学もあります。
しかし、調査書に記載されている総合的な学習の時間の内容・評価、特別活動の記録などを評価し、合否判定の参考にする大学もあるため、募集要項で確認しましょう。
総合型選抜に内申点が与える影響
総合型選抜は、面接やプレゼンテーションなどから、人物像や将来の目標、学習意欲など多角的に評価する入試形式です。
内申点を出願要件としている大学はありますが、合否の判定に利用していない大学が多いです。志望校が評定平均を出願要件としているかを、募集要項で確認しましょう。
例えば、京都大学総合人間学部や教育学部は、評定平均4.3以上が出願要件として定められています。そのため、評定平均が4.3未満の生徒は出願できません。
このように内申点が低いと出願できる大学が限定されてしまうため、総合型選抜を考えている生徒は、内申点をあげておいた方がよいといえるでしょう。
内申点を合否の判定に利用しない大学でも、調査書に記載されている内容を面接などで参考にするため、ボランティア活動や課外活動に積極的に取り組んでいると有利に働くことがあります。
学校推薦型選抜に内申点が与える影響
学校推薦型選抜は、内申点が最も合否に影響する入試形式です。大学によって基準は異なりますが、内申点を出願要件にしているケースが多く、内申点を含む調査書の内容と面接や小論文で合否が判定されます。
学校推薦型選抜は、指定校制と公募制があります。
指定校制は、大学が指定した高校の中で、評定平均基準を満たしている生徒が出願できる入試形式です。大学が指定した評定基準を満たしていても推薦枠が決まっているため、推薦を希望している他の生徒よりも内申点が低いと、高校内の選考で落ちてしまいます。しかし、高校内の選考に通ればほぼ不合格になることはありません。
公募制は、大学側が指定した出願条件を満たし、高校の校長から推薦があれば誰でも出願できる入試形式です。指定校制に比べると出願しやすいですが、不合格になる可能性も高くなります。内申点を含む調査書の内容と面接、小論文で合否が判定されます。
募集要項で内申点について確認すべきこと
内申点が大学入試の合否判定に影響するかは入試形式や大学によって異なります。そのため、募集要項で内申点への扱いを確認しておく必要があります。
確認すべき項目は下記の2点です。
- 内申点が出願要件に含まれているか
- 内申点が合否判定にどの程度影響するのか
募集要項で内申点について確認すべきことを詳しく説明します。
内申点が出願要件に含まれているかを確認する
学校推薦型選抜や総合型選抜では、出願要件に内申点基準が定められている大学があります。
内申点が定められている基準を超えていなかったら出願できないため、募集要項で必ず確認しましょう。
募集要項は大学の公式ホームページからダウンロードすれば見られます。募集要項の「出願要件」に内申点に関する記載があるかを確認してください。
内申点が合否判定にどの程度影響するかを確認する
内申点を合否判定に利用している場合でも、大学によって扱いが異なります。
内申点が点数化されて合否判定に利用されている大学もあれば、内申点を参考程度にしか利用しない大学もあります。
募集要項の「選考方法」に内申点の扱いについて記載されているので確認してください。
内申点をあげるための具体的な方法
学校推薦型選抜を受験する生徒にとって、内申点は合否を左右する重要な要素です。
ここでは、内申点をあげるための具体的な方法について説明します。
定期テストで高得点を取る
内申点は、高校の定期テストの成績が大きく影響します。定期テストで高得点を取るためには、テスト直前になって勉強をするのではなく、日頃からこつこつと予習・復習をしておきましょう。
内申点をあげるためには、すべての科目の点数をあげなければいけません。一般受験を考えている生徒が手を抜きがちな、保健体育や芸術の定期テストも真剣に取り組みましょう。
前年から教科の担当教師が変わっていない場合は、前年のテストに類似した問題が出題される可能性があります。そのため、先輩から定期テストの過去問をもらい、解いておくことをおすすめします。
内申点は高校1年生からの成績が含まれるため、1年生の成績が悪いと挽回が難しくなります。1年生のときから真面目に取り組み、すべての定期テストで高得点を取ることを心がけてください。
真面目に授業に取り組む
内申点は授業態度も評価されます。私語や居眠りなどは先生にマイナスの印象を与えてしまいます。
授業に積極的に参加し、先生に真面目に勉強に取り組んでいる姿勢をアピールしましょう。
提出物を期限内に提出する
提出物も内申点に影響します。課題やプリントなどの提出物は、必ず期限内に提出するようにしてください。
提出物を不十分な状態で提出していては、評価が下がる可能性があります。先生が求めるクオリティに仕上げて提出しましょう。
少しでも良い印象を持ってもらうために、提出物は書きなぐった字ではなく読みやすい丁寧な字で書くことを心がけてください。
課外活動に積極的に参加する
調査書には学科の評価だけでなく、「総合的な学習の時間の内容」「特別活動の記録」「指導上参考となる諸事項」という項目があります。そのため、課外活動やボランティアに積極的に参加することも調査書の評価をあげることにつながります。
また、英検や漢検などの資格取得も調査書の評価を高めるため、資格取得の勉強に取り組み、できるだけ多くの資格を取得しましょう。
学校をできるだけ休まないようにする
調査書には「出欠の記録」という項目があります。出欠状況は、真面目に高校生活を送っている生徒かどうかを評価する基準のひとつとなるため、大学の中には出願条件に欠席日数の上限を設けているところもあるほどです。病気などでやむを得ない場合を除いて、できるだけ休まず学校に通うことを心がけましょう。
調査書には遅刻の回数を記載する欄はありませんが、2〜3回遅刻すると1回欠席扱いとなる高校もあります。先生に遅刻の扱いを確認し遅刻も調査書に影響する場合は、1限目にぎりぎり間に合うように通学するのではなく少し余裕を持って家を出て、遅刻しないように気をつけましょう。
内申点に関するよくある質問
最後に内申点に関して生徒からよく聞かれる質問を紹介します。
Q:部活動は内申点に関係しますか?
A:部活動が内申点に関係することはありません。しかし、調査書には部活動について記載する欄があるため、部活動の取り組み方や成績が調査書の評価に関係します。特に、総合型選抜での面接や学校推薦型選抜の指定校制では、部活動で良い成績を残していればプラス評価につながる可能性が高いでしょう。
Q:学校で受けさせられる模擬試験の成績は内申点に関係しますか?
A:大部分の高校では、模擬試験の成績が直接内申点に関係することはありません。しかし、模擬試験で良い成績を残せるほどの学力をつけることは、学校の定期試験で高得点につながるため、内申点に関係するといえるでしょう。
まとめ
内申点や入試形式別に内申点が大学入試に与える影響、内申点をあげる方法などについて解説しました。入試形式や大学により内申点が大学入試に与える影響は異なります。そのため、志望校の募集要項で、入試における内申点の扱いについて確認することが大切です。特に学校推薦型選抜は、合否に内申点の影響が大きいため、希望する生徒は1年生のときから、定期テストで高得点を取り、部活動や課外活動にも積極的に取り組むようにしましょう。



