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英検の「有効期限」は2つある! 大学受験で英検を使うときの注意点


大学受験のときに役立つ資格として、「英検」があります。英検を取得することで英語に対する理解を深めることができますし、加点要素として判断する大学もあります。ただ、英検を大学受験の武器としてより有効に使うためには、「英検の有効期限」を意識しなければなりません。ここでは、英検の有効期限や、大学受験の武器として求められる英検のレベル、有効期限が切れてしまった場合の対処方法について解説していきます。

英検自体には有効期限はない

実用英語技能検定(通称・略称「英検」。以下は、特段の必要がある場合を除き、「英検」とする)は、英語の能力を測ることを目的として、公益財団法人日本英語検定協会が実施している資格試験です。

1963年から60年以上にもわたって親しまれている資格であり、合計7段階の級に分けられています(5級・4級・3級・準2級・2級・準1級・1級)。

毎年400万人以上の人が受けるこの英検は、日本の英語技能検定のなかでももっともメジャーなものです。

この英検は、「期間内に更新しなければ、取得した資格が取り消しになる」というものではありません。

一度取得してしまえば、一生涯にわたって持ち続けることができます

英検そのものには有効期限がないため、10歳で英検を取得すれば、20代になっても30代になっても40代になっても、またそれ以上の年齢になっても、英検〇級取得済みと履歴書などに書くことができます。

出典:

公益財団法人日本英語検定協会「英検について」内「受験の状況」

https://www.eiken.or.jp/eiken/about/situation/

大学受験に有効利用したい場合は、期限があることもある

「英検を取得している場合は、その資格を得点とみなして計算する」「英検を取得している人に対しては、学費を一部免除する」「外国語の試験を免除する」などのような、英検取得者に対して優遇措置を敷いている大学は、数多くあります

ただし、英検を大学入試の武器として使う場合には、大学独自に設けられている英検の有効期限に注意する必要があります。

上でも述べたように、英検自体には有効期限はありませんが、大学受験の場合は「あまりにも昔に取得した英検の資格については、優遇措置の対象としない」としているところもあるからです。

具体例として、2025年の受験における各大学の英検の有効期限について見ていきましょう。

※下記では「英検」のみに焦点をあてています。実際には英検以外の試験(TOEICなど)でも利用することが可能なケースが多いといえます。

  • 【早稲田大学】2022年の第3回以降

六大学の一つである早稲田大学では、文学部などで英検を利用しての受験が可能です。

早稲田大学の場合は、英検の有効期限について「2022年度第3回以降に実施したものを有効とする」としています。

2022年の第3回の一次試験は2022年の2月4日に実施されていますから、これ以降に英検をとった人が対象となります。

出典:

早稲田大学「入学試験情報」

https://www.waseda.jp/flas/hss/applicants/admission/

 

  • 【立教大学】出願期間の初日からさかのぼって2年

立教大学を受験する場合は、原則、英検を含む英語資格もしくは共通テストでの英語の受験が必須です(2月に行われる文学部での受験のみ例外)。

そのため、立教大学を受験するのであれば、受験を突破するだけの英語力は必ず求められるといってよいでしょう。

立教大学の場合は、「どの英語資格・検定試験であっても、出願する初日より2年以内のもの」と決められています。

立教大学の場合は、1月7日~1月17日が出願期限ですから、2023年の1月7日以降に受験した英検が対象となります。

出典:

立教大学「2025年度特別入試についてのQ&A」

https://www.rikkyo.ac.jp/admissions/faq/admissions2.html

 

  • 【近畿大学】2022年11月以降

近畿大学の場合は、「英検などを、外国語科目の得点とみなす。そのうえで、個別の学力試験で英語のテストを受けてもらい、高い方を採用して採点を行う」というスタイルをとっています。

そのため英検を持っていても英語の試験を受ける必要はありますが、英検で難易度の高い級を取得しておきさえすれば、たとえ英語の試験の点数が伸びなくても、合格する可能性が非常に高くなります(例:英検準1級以上、CSEスコア2300以上でみなし得点100点。CSEスコアについては後述)。

近畿大学の場合は、英検の有効期限を「スコアが認定された日が、2022年の11月以降であること」と定めています。

 

  • 【金沢大学】2022年4月以降

金沢大学では、「共通テストで英語を受けてもらい、その共通テストの英語の点数と、英検のみなし点数を比較して、高い方を採用する」というスタイルを取っています。形式としては近畿大学に似ている部分がありますが、金沢大学の場合は、「換算の基準は非公開とする」としているため、近畿大学に比べて、自分の点数の状況が計りにくいという難しさがあります。

金沢大学の場合は、英検の有効期限を「2022年の4月以降」としています。

なお金沢大学の場合は、英検だけでなく、ほかの英語試験の成績も提出できます。「換算の基準は非公開とする」としていることもあわせて考えれば、ほかの英語試験の資格も持っているのであれば、これも一緒に出した方が合格の可能性は高くなるかもしれません。

出典:

金沢大学受験生特設サイト「入試について」

https://examination.w3.kanazawa-u.ac.jp/faq/faq-436/

 

このように、大学によって、利用できる英検の有効期限は異なります

ただ有効期限を設けている大学のなかで、「ここ1年以内の資格取得の経歴のみを採用する」というところは基本的にはなく、厳しい基準を設けているところでも「2年以内」としています。

そのため、現役生の場合は、高校1年生の冬以降に英検を取得すれば、問題なく受験に使えるでしょう。

実際に受験で英検資格を取得する場合は、受けようとしている大学の出している英検の有効期限の基準をしっかり確かめておく必要があります。

また、同じ大学であっても、学部によって英検資格を所持していることによる優遇措置に違いがあるため、これも必ず確認しておかなければなりません。

 

なお、詳しくは後述しますが、

  • 大学受験に必要な級にチャレンジしたが、不合格となってしまった
  • 求められる級の資格を持っていたが、昔にとったものであるため、(大学受験における)有効期限が切れてしまっていた

 

という場合でも、救済策はあります。

大学受験に求められる英検のレベルとは

英検は合計で7つの段階があり、下記で述べるように3級でも満点ならば考慮対象となることがありますが、大学受験で武器となるのは基本的には準2級からだと考えた方がよいでしょう。

英語を得意科目として得点源にすることを考えるのならば、準1級以上の取得を目指すべきです。

下位の級を取ることも英語力のステップアップとしては意味がありますが、受験のときの直接的な武器にはなりません。

英検の合格率は意外なほどに高く、高校生でも1級の一次試験には44パーセントが、二次試験でも66.2パーセントが合格しています。

準1級の一次試験の合格率は高くはありませんが、それでも、「高校生が合格するには難易度が高すぎる資格」とまではいえません。

中学校卒業レベル程度の英語能力(3級程度)から準2級を目指した場合は170時間程度の、2級を目指した場合は350時間程度の、準1級を目指した場合は700時間程度の、1級を目指した場合は1150時間程度の勉強が必要になるとされています。

1日に1時間程度勉強した場合準2級取得には半年程度の、2級を目指した場合は1年程度の、準1級を目指した場合は2年程度の、1級を目指した場合は3年程度の時間がかかると考えられています。

ただこの数字については個人差や統計による差も大きく、「もっと長くかかる」とする説もあります。

準2級合格までを目指すのであれば高校3年生になってからでも間に合いますが、1級合格を目指すのであれば高校1年次からこつこつと勉強していくことが求められます

 

【合格率と、3級程度の英語力から合格までに必要な勉強時間】

 一次試験二次試験時間
1級44.0パーセント66.2パーセント1150時間程度
準1級18.0パーセント89.8パーセント700時間程度
2級34.0パーセント80.4パーセント350時間程度
準2級非公開非公開170時間程度

※合格率は、公益財団法人日本英語検定協会が公開した最新のデータ(2016年)に基づく

出典:公益財団法人日本英語検定協会「高校生 1級・準1級・2級の受験者数、および合格率昨年度同回次より大幅アップ!!」

https://www.eiken.or.jp/eiken/info/2016/pdf/20160729_pressrelease_passrate.pdf

 

ただし、「受験はしたが、惜しいところで失格した」という場合も、諦める必要はありません。

上で軽く触れましたが、英語の試験には「CSEスコア」の考え方があります

これは、資格の合格・不合格だけではなく、「受験者の英語の総合力がどのようなものであるか」を客観的に測るものです。

画像引用:公益財団法人日本英語検定協会「英検CSEスコアとは」内“Common Scale for English(CSE)2.0イメージ図”

https://www.eiken.or.jp/cse/

 

たとえば立教大学では、「英検準1級以上、CSEスコア2300以上でみなし得点100点」としています。

ただこの表から見ても分かる通り、準2級でも満点を取っていればCSEスコアは2400となり、みなし得点100点を得られます。

また早稲田大学でも、「英検の基準値はCSE2200以上とする。各級の合否は問わない」としているので、3級で満点をとって準2級に不合格であっても、準1級で「合格」のラインであっても、問題なく判定されます。

 

有効期限が切れてしまっていたらどうする?

「英検を取っていたが、有効期限が切れてしまった(切れてしまいそうだ)」という場合は、下記の対策をとるようにしましょう。

  1. 違う受験方法を考える
  2. 同じ級を再度受ける
  3. さらに上位資格を目指す

 

  • 違う受験方法を考える

英検を利用して受けられる大学のほとんど全ては、「英検に合格していれば優遇」はありますが、「英検を持っていなければ受験できない」という受験スタイルは取っていません。

そのため、一般入試などの別の受験方法を考えるのもひとつの手です。

特に「現在高校3年生であり、英検用の英語の勉強と受験用の英語の勉強を両立するのは厳しい」という場合は、この方法が有効です。

また、「A大学とB大学、どちらも同じくらい魅力的に感じる。英検1級を取得したのは3年前で、A大学は英検の有効期限が2年であり、B大学は英検の有効期限が3年である」という場合は、思い切ってB大学に焦点を当てるのも手です。

 

  • 同じ級を再度受ける

英検は、「同じ級を何度でも受けることができる」という検定です。

そのため、2020年に2級を取った人が、2025年に再度2級に挑戦することもできます。

2025年の段階でもう一度2級を取得すれば、その時点から有効期限がカウントされるため、「2024年以前に取得した英検は受験には使えない」としている大学の受験にも利用できます。

また、たとえ2025年の2級の試験に不合格になったとしても、2020年に取った2級の資格ははく奪されません。

この「同じ級を再度受ける」という方法は、有効期限を延ばすためだけではなく、スコアを伸ばしたい人にもおすすめです。

たとえば以前に準1級を取得した時には「合格」扱いだった人が、再度の受験で準1級で「満点」とされた場合、CES評価を2304から3000まで一気に伸ばすことができます。

CES評価で判断される大学を受験する場合は、この「スコアの伸び」が非常に有利に働くことでしょう。

 

  • さらに上位資格を取得する

「以前に2級の資格を取得したが、その有効期限が切れる」という場合は、思い切って準1級や1級などの上位資格取得に向けて動くのもひとつの方法です。

上位資格を取れば、有効期限はその段階からカウントされることになりますし、受験時の得点もさらに伸びることになります。

この方法は「英検対策用の勉強」と「入試用の勉強」を並行して行っていかなければならないという難しさはありますが、英語力そのものを伸ばしたいと考える人にとっては非常に有用な方法です。

 

なおここでは英検のことのみを取り上げましたが、ほかの英語資格(ケンブリッジ英語検定など)に挑戦する方法もあります

英検の取得は計画的に!

「英検」は60年以上にもわたる歴史を持つ非常にメジャーな資格です。

2025年には準2級プラスという資格も新設されるなど、今後も進化し続ける資格だといえます。

みなし得点として受験に有利な判断がされるケースが多い英検は、受験時の武器となるものです。

ただし、英検自体には有効期限はないものの、大学によっては「〇年以降に取った資格のみ有効」としていることがあります。

この「受験時における英検の有効期限」は大学ごとで異なるため、受験をしようと考えているのであれば確認が必要です。

英語力を客観的に測るCES評価を採用している大学の場合は3級でも満点であれば評価されることがありますが、大学受験に有効活用できる英検の級は基本的には準2級以上と考える方がよいでしょう。

もちろん、上位の資格であればあるほど、受験時に有利になります。

英検は高校生でももちろん取得できますが中学卒業程度の英語能力の場合は、準2級合格には170時間程度の、2級合格には350時間程度の、準1級合格には700時間程度の、1級合格には1150時間程度の勉強が必要となります。

そのため、英検を使いたい場合は早めに計画を練らなければなりません。

なお、有効期限が切れそうな場合は、「違う受験方法を使う」「同じ級を受ける」「上位資格の取得を目指す」などの対策が必要となります。

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