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国語(現代文)を勉強する意味とは


「日本語の読み書きはもう普通にできるのに、なんで国語なんか勉強するんだろう。」

高校生のみなさんも一度は思ったことがあるかもしれません。

 

今回は国語という教科について、主に現代文にフォーカスしながら、

 

  • どうして難しいのか
  • 国語を勉強することでどんないいことがあるのか

 

についてお話していきます。

 

他教科との違い 〜「日本語」なのに満点が取れない理由〜

まず最初に日本語なのに現代文で満点がとれない理由について解説していきます。その最大の理由は

『-「日本語が読める」と「文章が読める」は別物-』

だからです。

 

 

小学校から高校までで、たくさんの国語のテストを受けてきたと思います。問題文も設問も解答もすべて、みなさんが普段ずっと使ってきた「日本語」です。文章中に多少難しい言葉が見受けられたりするかもしれませんが、単語レベルではみなさんが既に知っているものがほとんどだと思います。そして、解答の根拠は全て問題文の中で示されています。

 

それなのに、決して楽に点数が取れる教科ではないのです。

 

なぜでしょうか。

 

それは国語が、「表面的な情報(=文章)から、本質(=筆者の主張等)を読み取る」ことに特化した教科だからです。教科書の本文を知識として吸収することには特段意味はないので、丸暗記をしても満点は取れません。

 

国語について解説する前に、一旦他の教科を思い出してみましょう。

 

他教科との比較

例えば地歴や理科では、確定した具体的な「事実」を「知識」として頭に詰め込んでいきます。

 

単語一つにしてもそうですし、倒幕から明治維新までの流れや中和反応のメカニズムなど、これらはれっきとした事実(または国としての共通認識)なので、モノや出来事同士の関係性も知識として押さえることができます。

 

数学は、物事の関係性を数字や図形などのシンプルな形で表した学問なので、本質的には国語に近いです。ただし数学には各単元はっきりとしたルールがあり、「公式」を知識として覚えてしまうことで、残りは基礎的な計算能力だけで正解できてしまいます。

 

 

では国語はどうでしょう。

国語の文章に使われる「政治論」や「文化論」などのテーマには、唯一絶対の答えはありません。そのような抽象的な議題に対して筆者個人が思考を巡らし、そのアウトプットを「文章」として見せているわけです。

 

評論文ではその「筆者」が存在し、答えが確定していない特定のテーマについて、自分の考えを展開していきます。

 

なので、知識問題としてテストに出すことができません。

 

国語ではどんな能力を問うてる?

それでもテストでは答えを1つに絞ることができます。

 

理由は、「書いてある内容から推察できるものだけが、設問にされる」からです。

 

この「書いてある内容から、過不足なく意味を読み取る」能力が、国語では求められているのです。皆さんご存知、「読解力」です。

 

そして評論文の場合、いちばん読み取るべきは「筆者の主張」です。評論文は、意見の表明です。伝えたいことがあって、文章があるのです。そしてその伝えたい内容を説得力を持って伝えきるために、「筆者の主張vs一般論」のような対立の構図にしたり、途中で具体例をはさんだりしているわけです。

 

数千字の文章を筆者の主張を理解しながら読み、筆者が文や段落をどのように機能させて説得力を補強しようとしているのかを読み取るのが、現代文の評論へのアプローチになります。

 

そして小説問題も含め、そこに「書いてある」内容から過不足なく意味を理解するのが現代文の試験です。この、見えている情報から構造を正しく理解するスキルを「読解力」と呼びます。

 

ではこの読解力を鍛えて、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 

他教科へのメリット

まずは学校の勉強のことからお話していきましょう。

 

他の教科に目を向けると、英語長文がいちばんダイレクトに影響するでしょうか。英語の長文は、現代文と比較するとかなり簡単な論理展開で構成されていることに気づくと思います。ゆえに、必ずしも全ての単語を理解し、全ての英文を正しく品詞分解できる必要もありません。

 

筆者が主張を伝えるためにどのように文章を展開しているのかを理解することが、現代文と同じく高得点への近道です。現代文ではその論理展開を追う力が高いレベルで身につくので、英語の長文を読むのはかなり楽になると思われます。

 

地歴や理科では、物事の関係性を理解するのに役立ちます。国語の文章を読んでいく中で、言葉と言葉、文と文、段落と段落といったように、それらにはそれぞれ「関係性」があります。

 

この構造を理解していく過程で育まれるのが、「論理的思考力(=筋道立てて物事を考える力)」です。物事を体系的に理解するのにとても役立つ能力です。

 

例えば日本史では、どのようにして第二次大戦で日本が追い込まれていったのか、というように何か「流れ」や「条件」など複雑に構成されている物事をクリアに理解することができます。

 

 

日常生活や将来には?

では学校の勉強以外ではどんな応用がきくのでしょうか。

 

先ほど紹介した読解力や論理的思考力は、単に文章を読むという領域にとどまらず、相手の発言の意図を汲み取ったり、わかっている情報から傾向や法則を読み取ったりと、多岐にわたって発揮されるスキルです。

 

大きく分けて2つのスキルに分かれるかと思われます。

 

(1)物事を正しく理解するスキル

 

現代文で行うのは、文章というあらかしめ提示された情報から、適切に意味を読み取る作業です。日常生活でなら、自分やチームの状況を把握し、問題構造を理解することに繋がります。

 

例えば部活でスランプに陥っている時、きちんとポイントとなる問題点を探し当て、それに対応した適切な改善案を導き出すにも、これらの能力が必要になります。

 

将来社会人になった場合はどうでしょう。

 

飲料メーカーに勤めているとして、例えば提示された資料から緑茶の売上が急にあったというデータを見た場合、「先月のコンビニとのキャンペーンが成功したから」「競合のB社が力著そのもののイメージアップのCMを大々的に打ったからだ」等、同じくデータやそれ以外の要素から情報を処理し、真実と思われる要素を導かなければなりません。

上記の部活の話と同様、まず正しく物事を把握できてこそ、成功につながる施策を打っていけます。

 

(2)コミュニケーションスキル

繰り返しになりますが、国語では、相手の主張を正しく読み取るスキルが鍛えられます。日常でのコミュニケーションなら、先生や仲間の言葉から、どんなことを伝えようとしたのかをきちんと理解できるスキルも同時に上がってきます。

 

今は身近なコミュニケーションできっちり相手の発言を読み取る機会は少ないと思いますが、将来社会人になったとき、取引先からの提案を理解できるか、上司からの指示をその通り実行できるかなど、この読解力の存在感がかなり大きくなってきます。

 

また同時に、「自分の言いたいことをきちんと伝えきる」スキルにも現代文での練習が繋がります。

 

論理展開がわかるのなら、同じ様に自分でもその「論理」、すなわち相手に物事を正確にわかりやすく伝えられる力にもつながってきます。

 

自分で何か意見や主張が心の中で出てきたときに、担任の先生や部活のメンバーに対して、誤解の無いよう、また説得力をもって伝えられる確率を高くできます。

 

まとめ

いかがでしたか?「勉強するなんていみないじゃん」とお思いがちな方もいるかもしれません。しかし、勉強することで今後社会で生きていく際に使える可能性もあります。実際に大学受験を受けるだけでなく、受験後にどのように勉強してきたことを生かすか考えていくと前向きに勉強できるかもしれませんね。

 

参考:国語(現代文)って勉強する必要あるの? Part1

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