「大学入学共通テストが始まります…。でも生物基礎ってどう変わるんだろうな」
「センター生物と共通テストの生物基礎。入試が変わってしまうのかな???」
あなたはこう悩んではいませんか?
2020年に大学共通テストが始まります。それに伴って、各科目の出題のされ方が変わると言われています。一体、生物は、センター試験から大学入学共通テストに変わるとどのように変わってしまうのでしょうか?そのヒントが平成30年度に行われた大学入学共通テストの試行調査に隠されているようです。
生物基礎は、国公立大学を受験する文系の方が受験することが多いのではないでしょうか。
今回は文系の方がほとんど受験する生物のセンター試験、大学入学共通テストの試行問題を、今大学で生物を勉強している私が分析・解説していきたいと思います。
目次
大学入学共通テストの概要とセンター試験と共通テストの違い
では早速大学入学共通テストの問題の簡単な概要を説明していきます。大学入学共通テストは、大問3問で構成され全15問です。実際に私が入試問題を解いてセンター試験に比べて難しいと感じた点は以下です。
①考察問題が増えました
②問題文が長くなりました
会話文や図が増えて問題を解くのに時間がかかります。
続いて、共通テスト・センター試験の概要についてご紹介します。
①大学入学共通テスト
試験時間:2科目で60分
大問数:3題
設問数:15問
満点:50点
平均点は約25点でした。
②センター試験
試験時間:2科目で60点
大問数:3題
設問数:16問
満点:50点
2020年の生物基礎の平均点は 約32点 でした。2019年の生物基礎の問題は難化したと言われていますが、2019年の難易度とほぼ一緒で難しかったように感じます。
大学入学共通テスト試行問題(2018年度版)の「生物基礎」試験分析と解説
では早速大学入学共通テストの生物基礎の解説をしていきたいと思います。
大問1
A 葉の作りと働きについて
オオカナダモの葉を観察してそれについて会話している会話文から出題されました。1問目は共生説に関して根拠を選ぶ知識問題でした。2問目は葉の断面図の模式図を選ぶ問題です。会話文の中で、対物レンズとプレパラートの間の距離を広げていくと、最初は小さい細胞が見えて、その次は大きい細胞が見えると書いてあることをヒントに問題を解きましょう。3問目は調べたい結果を掴むにはどの植物を使用するかということが問われた試行問題です。ほしい結果のほかは処理していないものと、なにも処理していないものの対照実験させることでほしい結果がエられるようになります。
B 遺伝子とゲノム
1問目はゲノムに関する知識問題でした。2問目はアミノ酸は何分の1の確率で指定されているかを計算する問題でした。塩基は4種類あり、コドンは塩基を3つ指定するので、コドンの配列は全部で64種類できることになります。トリプトファンはUGGというコドンの並びでしか作られないので指定される確率は64分の1と言えます。しかし、セリンを指定するコドンは6個あるので、トリプトファンを指定する確率の6倍と言えます。
大問2
A 肝臓
一問目は肝臓の位置を問う問題です。肝臓はからだの右側にあってかなり大きい器官であることをイメージできればよいのではないでしょうか。2問目は肝臓の血管関係からの出題です。血液は小葉間門脈から中心静脈に流れており小葉間門脈には消化管からの血液が流れています。3問目は肝臓に関する知識をとう問題でした。肝臓の役割は、体温の保持、胆汁の生成、栄養物質の貯蔵、アルコールの分解、尿素の生成など様々です。
B 生物の体内環境
会話形式の問題でした。1問目はインスリンに関する知識問題です。インスリンはランゲルハンス島のB細胞から出る血糖値を下げる物質です。2問目にもあるとおりインスリンはタンパク質が主成分なので、経口投与すると消化・分解されてしまいます。3問目は血清に関する問題で、グラフを選ぶタイプの問題でした。
大問3
バイオームについての問題でした。
A問題は、1問目はバイオームのグラフを読み取り、設問の文で適切なものを選ぶ問題です。2問目はグラフから熱帯・亜熱帯の地域の年有機物生産量を読み取り、計算すれば解けます。B問題はバイオームに関して会話形式の問題でした。生態系は二酸化炭素濃度を減少させる効果はあるのかという論点で話合われています。1次消費者が二酸化炭素から有機物を生産した後に、消費者や分解者がその有機物を呼吸によって二酸化炭素へと戻しているので、有機物の量が年々増加するもしくは酸素濃度が年々増加すると、生態系は二酸化炭素濃度を減少させる働きがあると言えます。そして生産された有機物のエネルギーが一部熱エネルギーとならずに残ることで残りの有機物に二酸化炭素が蓄積されていることになるので生態系が大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑制していると言えます。
センター試験(2020年度版)の「生物基礎」の試験分析と解説
試行試験に比べると、非常に知識のみで解ける問題が多く、簡単な印象を受けました。
大問1
A 細胞の観察
1問目は真核生物の細胞小器官の知識を問う基本的な問題でした。葉緑体に含まれる主な色素はクロロフィルです。2問目は顕微鏡の接眼レンズと対物レンズの長さの関係から、観察しているものの長さを計算する問題です。日を使って解けるようにしましょう。3問目はヒトのからだの構成成分を聞いている問題でした。
B 遺伝子
1問目は遺伝子やDNAについての気泡的な知識を確認する問題でした。遺伝情報がDNAからRNA、タンパク質へと流れていくという考え方をセントラルドグマと言います。DNAから転写されスプライシングを受けたものがmRNAでありそれが翻訳されるとタンパク質になります。一方でDNAからDNAを合成することを複製といいます。2問目は塩基配列から、DNAの場合とRNAの場合の相補的な塩基配列を考える問題です。AはT、CはGと対応します。RNAはTに値する塩基がUになるので気をつけてください。3問目はS型菌とR型菌に関する問題です。病原性のないR型菌と、病原性はあるが加熱殺菌したS型菌を混ぜて、ネズミに注射すると死んでいいるはずのS型菌が見つかります。これはS型菌のDNAが原因でR型菌が形質転換したものです。
大問2
A 魚の塩類濃度調節
1問目は淡水魚と海水魚の体液の塩類濃度と、尿の塩類濃度について問われたものです。淡水魚は塩類濃度を外液より高く保つ必要があるため、取り込んだ塩類を体内に取り込み薄い尿を排出します。一方で海水魚は塩類濃度を外液より低く保つ必要があるため体液と同等の濃度の尿を出します。2問目は塩類細胞の働きについてです。塩類細胞は、ATP生産の場であるミトコンドリアを多く持ち、生産したエネルギーを用い手塩類の輸送を行います。また成長ホルモンは脳下垂体から放出されます。3問目は淡水魚であるコイと海水魚であるカレイが共生できる塩類濃度を問われています。2本のグラフが、硬骨魚類が長期間生存できる体液の塩類濃度に収まっているところを探してください。
B 免疫
1問目は様々な免疫細胞に関する問題でした。樹状細胞は抗原断片を取り込んで、他の免疫細胞を活性化します。食作用による除去をする免疫細胞を活性化する働きがwるのはヘルパーT細胞であり、感染細胞を破壊する働きがあるのはキラーT細胞です。次の問題はB細胞が抗体産生細胞になる条件を問われたものです。グラフから、B細胞を除く前のリンパ球と抗原、B細胞をのぞいたリンパ球と抗原とB細胞の条件で抗体産生細胞数が上昇しています。よってB細胞を覗いたリンパ球にはB細胞を抗体産生細胞に分化させる細胞が含まれると言えます。
大問3
A バイオーム
1問目はどのバイオームでどの植物が育っているかを問う問題でした。ステップでは稲の仲間が、硬葉樹林ではオリーブの仲間が、熱帯・亜熱帯の地域ではチークが代表的な植物です。2問目は炭素の循環に関する問題でした。脱窒の場合、大気中に窒素が逃げていくのは、一本の矢印のみで表されるはずなので、これは炭素の循環を示した図だと言えます。大気と相互にやりとりしているのは生産者で、そこから炭素は上位の消費者へと流れます。3問目は生態系内のエネルギーに関する問です。生態系内のエネルギーは最終的には熱エネルギーとして生態系外へでていきます。
B 二酸化炭素濃度
1問目は温室効果ガスについて問われた問題でした。温室効果ガスは二酸化炭素の他にメタンやフロンがあります。2問目はグラフを読み取り、文中に正しい語句を当てはめる問題です。
共通テストとセンター試験の比較
同じテーマの問題が、共通テストとセンター試験でどのように変わるのか比較したいと思います。
この問題は2020年のセンター試験の第3問の問1です。
それぞれのバイオームでの代表的な種の名前を聞く知識問題でした。
次の問題は平成30年に行われた試行調査の、大問3の問1、問2です。
三次元のグラフでバイオームごとに年降水量、年平均気温、年有機物生産量があらわされいています。
問1も、問2もグラフを読み取ったり、使う問題でした。もちろんバイオームの知識も必要です。
共通テストの生物基礎の問題を高得点を目指すために必要な対策方法
最後に共通テストの生物基礎の問題で高得点を取る対策方法についてご紹介します。
①教科書に登場する生物用語について正確に暗記しましょう。
最初に生物用語について正確に暗記することが必要です。そして単に1対1対応で単語を暗記することにとどまらず、これはどういう状況なのか等視覚的にイメージできたり、その単語と関連する単語が思い浮かぶまで復習してみてください。
②会話形式の問題に慣れてください。
最後に会話形式の問題に慣れてください。会話形式の問題は共通テストの試行調査では、問2問で出題されていました。会話形式の問題は文章中にヒントが書かれている可能性が高いです。会話文の中から問題を抽出し、ヒントを洗い出す力が必要です。これらについては、生物用語や概念の暗記が終わったあとに、会話形式の問題や考察問題が書かれたテキスト中心に演習していくと良いと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。ここまで共通テストの試行調査を用いながら、共通テストの生物基礎の問題について解説してまいりました。
来年度から施行される大学共通テストは、
①会話文形式の問題、グラフを読み取る問題が増加し、会話の中のヒントや、グラフから情報を読み取って、自分の知識と合わせて解答する問題が増える
②思考力を試される問題が増える。
という特徴がみられます。
単純に知識問題ばかりを演習するのでは無く、様々な種類の問題を解く必要がありそうです。
試験時間中に焦らず会話や問題文をしっかりと確認することも大切になってきそうです。
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