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【共通テスト地理】試行問題から見る、センター試験との違いと対策法とは


「大学入学共通テストが始まります…。でも地理Bってどう変わるんだろうな」

センター地理Bと共通テストの地理B。入試が変わってしまうのかな???

 

あなたはこう悩んではいませんか?

2021年から大学共通テストが始まり、それに伴って各科目の出題のされ方も変更が余儀なくされます。

今回は、「地理B」の大学入学共通テストの過去2回の試行問題、また最新のセンター試験を分析・解説したうえで、共通テスト地理の概観、そして具体的な対策法を検討していきたいと思います。

共通テストの地理の特徴をまだよくわかっていない人、試行問題も模試も経験しているけど対策の仕方がぼんやりしている人などは、ぜひ一度ご一読ください。

 

大学入学共通テストの概要とセンター試験と共通テストの違い

では早速、大学共通テストの地理の簡単な概要を説明していきます。実際に私が試験問題を解いてわかった、センター試験と違う点は以下です。

①図や表のほかに、発表資料の中での問題が増えました。

特に発表資料の形でまとめなくてもよいと思うような問題もありました。

②大問数が変わりました

センター試験は大問数が6問なのに対し、試行調査の問題は大問数が5問に減少していました。問題の難易度や傾向などは今までと同じような問題が多かったです。

③会話文が増えました

 

続いて大学入学共通テスト、センター試験の概要です。

①大学入学共通テスト(試行調査2017年分)

  • 試験時間:60分
  • 大問数: 5題
  • 設問数:  30題
  • 満点:100点

 

平均点は51.2%で、大体平均点として50点台が多かったようです。

②センター試験

  • 試験時間:60分
  • 大問数:6問
  • 設問数:35問
  • 満点:100点

 

2020年に行われた地理の平均点は66点台でした。

 

大学入学共通テスト試行問題(2017年度版)の「地理B」試験分析

では早速2017年度の地理の試験分析をしていきます。

第1問

自然環境と災害について問題が出題されています。問1は季節風等の知識をしっかり理解しておきましょう。問2はエルニーニョ現象についての正しい理解が必要でした。地理用語もどんな意味だったのか正確に覚えていきましょう。問3が、ナイル川がどこにあるか特定する問題でした。問4は植生について正しく理解している必要がありました。問5は火山に関する知識を解いていた問題でした。これらすべてに関連するものですが、用語が示す現象や働きを正確に覚えておく必要がありました。問6はハザードマップを元に、実際に災害が発生した場合を想定した問題で、日常生活と関連した共通テストらしい問題でした。地形図をしっかり読めれば解ける問題でした。

第2問

食糧問題をテーマにクラスで話し合うというテーマの問題でした。問1は図が間違っていたそうで、今回は採点の対象外だったため解説を省きます。問2は穀物の統計や割合の知識があれば解ける問題です。問3は耕地1㏊当たりの肥料の消費量という見慣れない統計データを用いるのがやりづらかったかもしれませんが、農地の割合が最大となるのはどのエリアか考えることが出来れば解けると思います。問4は穀物の生産等の知識があれば徳子tができます。問5はデータをもとに国をグループ化する必要がありました。問6はクラスの学習のまとめという形で問題の題材を作られているため解きづらさはあるかもしれませんが、一般常識的な知識があれば解けたのではないでしょうか?

 

第3問

世界の人口と都市についての問題でした。センター試験の第3問と似ているといわれています。問1はカルトグラムの読み取りでした。なおカルトグラムとは、「統計データに基づき地図を変形し,地域の特徴を視覚的に表現する地図」のことを言います。問2は、人口ピラミッドの読み取りの問題でした。なお人口ピラミッドとは、「男女別に年齢ごとの人口を表したグラフ」のことを言います。問3は表中のデータを丁寧に読んでいきましょう。問4は3つの内容をそれぞれ正誤を判断する8択問題です。いくつもの内容を正確に判断しなければ解けないため非常に難しい問題でした。問5は港湾や鉄道を手掛かりに問題を解いていくといいと思います。問6は、Xは群馬県前橋市、Yは東京都豊島区、Zは大阪府高槻市でだったそうです。手がかりをヒントに選んでいければよいと思います。

 

第4問

課題研究という題材を使ってはいますがヨーロッパの地誌の問題がテーマでした。問1はは西岸海洋性気候なのはどこか分かれば解答できるはずです。ちなみに、気候や季節風等の知識は地誌を学ぶ際にも生きてくるのでしっかり勉強しておきましょう。問2は写真でえがかれている農業の様子と地図の地点を選ぶ問題でした。問3ははヨーロッパ諸国の言語、宗教の関連の問題でした。ヨーロッパという日本のような島国ではなく、地続きの国ならではで言語や宗教がどう広がっているのか等は知識として押さえておくとよいと思います。問4はどのようにEU(ヨーロッパ連合)になっていったのか問う問題でした。問5ははドイツとルクセンブルクを参照しつつ解いていきましょう。問6は仮説と仮説を裏付ける出たの組み合わせを問う新しい傾向の問題でした。EU内でなぜ移動が起きるのかどれくらい移動するのか等、これらは日常的にニュースを見る、歴史に興味を持つなどするとより解きやすかったと思います。

第5問

静岡県中部の地域調査の問題でした。地形図の読み取りや資料分析等を行う問題です。問1は地形図を読み取りましょう。そのうえで、窓の外の景色としてあり得るものはどれか検討してみてください。問2は問題文中の避寒地という表現に注目してみましょう。もちろん日本の気候等も念頭にあると解きやすいと思います。問3は、メッシュマップの読み取りでした。なおメッシュマップとは、「地表面に方眼線をかけ、各方眼の区域ごとの土地の情報を表示した地図」のことを言います。問4はすべて選べという問題でした。加えて、問4は防災に関わる問で、今後意識的に注目していく必要のある問題傾向です。というのも、防災に関しては次期学習指導要領で盛り込まれる可能性があります。問5は正誤問題で8択のものでした。一つ一つ消去法で解いていく必要があったかもしれません。問6は日本の自然災害と防災対策についての問題でした。

 

大学入学共通テスト試行問題(2018年度版)の「地理B」試験分析

続いて、大学入学共通テスト2018年度の地理の問題分析に移ります。

第1問

大問1は主に自然環境の分野から出題された問題でした。

この大問で、共通テストらしいと感じた問題は、3問目の南アフリカの3点の位置と降水量に関する問題です。

この問題は、位置と降水量を一致させるという問題ではありません。

なぜこのような回答になるのかを確認する問題でした。

ある地域がどのような理由で、そのような自然環境になっているのか、理屈までしっかり覚えていることが必要だと感じました。

第2問

大問2は資源・エネルギーの開発と工業の発展に関する問題でした。初めに模式図が示され、それについて問われるという問題でした。基本的には例年と同じような問題が見られました。しかし、原材料地と製鉄所の位置を示して、輸送費の観点から、年代ごとにどのように変わってきたかを図で示させる問題がありました。

第3問

大問3は展示資料を基に宗教や生活文化などを考えさせる問題でした。共通テストらしく、資料の中から問題を作成したり会話文の正誤判定などが出題されました。

第4問

大問4はオセアニアついての問題でした。今までの大問の中で一番現行のセンター試験に近いものだったと思います。ニュージーランドとカナダの移民数を比較している問題では、資料の中の国が聞かれるのではなく、なぜ、その国からの移民が多かったのかを考えさせているところは少し共通テストらしかったと思います。

第5問

センター試験で言う大問6で出題されるような地図を基にした問題でした。この大問も今までと少し違う出題形式の問題が多かったです。まず、会話文から適当でないものを選ばせる問題が出題されていました。今までのセンター試験だったら、普通に選択肢で出題されていたと思います。資料から、町の現状を読み取る問題も普通の選択肢ではなく、「リョウさんがまとめた文章」として出題されており今までとは少し出題形式が違いましたが、今までと問われている能力は同じものです。また保育所不足の仮説を考えるときの資料を選ばせる問題は、今までは見なかったかなと思います。しかし今まで地理を勉強してきた人なら確実に解ける問題なので、心配する必要はないと思います。

センター試験(2020年度版)の「地理B」の試験分析と解説

今までのセンター試験と特に変わった印象は受けませんでした。

第1問

世界の自然環境と自然災害に関する問でした。設問も特に変わったものはなかったと思います。様々な地域の自然環境の特徴や、気候、地震の震源の位置や、環境について出題されていました。難易度は普通でした。

第2問

大問2は資源と産業に関する問題でした。マンガン鉱の輸入に関する問題やシンガポールとトルコの輸出品目などは少し難しかったと思います。米の生産、輸出、輸入に関する、非常にメジャーな問題も出ていました。

第3問

大問3は都市と村落に関する問題でした。北半球を緯度で区切って人口300万人以上の都市の推移を選ばせる問題、人口1位の都市と人口2位の都市の人口に2倍の差がない国を選ぶ問題、人口集中による都市問題に関する問題、総労働者数とそれに占める管理職・専門職の割合を示しそれぞれどの国かあてる問題、それぞれの県での人口の転出入数のに関する問題、メッシュであらわされた図から資料の題を選ぶ問題など現行のセンター試験と何ら変わりない問題が多かったです。

第4問

大問4は東南アジアとオセアニアに関する問題でした。距離的に近い2つの地域において、地形、気候、農業、鉱山資源、輸出入、文化などが総合的に問われた問題だったと思います。とくに難しいと感じる問題はありませんでしたが、オセアニアは農業というよりは鉱山資源というイメージのほうが大きいので、農業の問題などはしっかりと東南アジアのものを覚えている必要があったと思います。

第5問

大問5は中国とブラジルの比較地理でした。どちらの国も面積が大きく、人口も多い(規模が違いますが…)という点では共通していますが、気候の面ではかなりちがう部分もあります。アマゾン川と長江の流量や勾配の比較に関する問題や国内輸送に関する問題、また日本との関係についての問題が特徴的だったと思います。

第6問

地図を基にした問題でした。気候問題や鳥観図、昔と今の土地利用の比較について、人口問題や資料の読み取りなどが出題されました。養蚕に関する問題は会話文形式になっていて少し共通テストを彷彿とさせる問題だと思います。

大学入学共通テストとセンター試験の比較

同じテーマの問題が、共通テストとセンター試験でどのように変わるのか比較したいと思います。

この問題は2020年のセンター試験の大問6の問3です

昔からの土地利用について地形から読み取っていく問題です。

次の問題は平成30年の試行調査の大問5の問2の問題です。

同じような土地利用の変化に関する問題ですが出題形式が、会話文になっています。このように共通テストは出題形式を会話文にしたり、ほかにも展示資料の形式にしたり、現象の理論を確認したりする問題が出る傾向にあります。しかし聞かれている物事の本質は同じなので、今まで通り勉強したら同じように解けると思います。

 

共通テストの地理の問題を高得点を目指すために必要な対策方法

最後に共通テストの地理で高得点を取る方法を一緒に考えていきましょう。

 

①基本的な知識を確実に身につけましょう。

センター試験と共通テストの試行問題の地理は、他の共通テストとセンター試験の違いに比べれば変化は小さいといわれています。また、共通テストに変わったからといって覚える内容が減るわけでもないので、まずは基本的な地理の知識は身に着けていきましょう。基礎レベルからとりかかれる参考書として、『山岡の地理B教室(東進ブックス)』、『大学入学共通テスト 地理Bの点数が面白いほどとれる本(KADOKAWA)』あたりがおすすめです。話し口調で丁寧な説明がされていて、各単元でどうしても押さえておきたいポイントがわかるようになっています。理系の受験生など、あまり地理の対策に時間をかけられないという人は、このあたりの参考書を踏み台に6~7割を目指しましょう。断片的な用語暗記に走るのではなく、地形と産業の結びつきなど体系的な理解につとめることが大切です。また上記で何度も伝えている気候の話や季節風等の風の話などを確実に覚えておくと、地誌の分野でも生きてきます。

 

②「なぜ?」を考える力を養いましょう。

位置情報等から、どんな景色が見えるのかというような問題なども共通テストでも出題されていました。普段から、「なぜライン川の周りに鉄鋼業等が発達したのか?」など地図帳等を見ながら考えるクセ、そして考えた根拠等を整理する勉強等も合わせて行っておくとよいでしょう。具体的に参考書を挙げると、『村瀬のゼロからわかる地理B(学研プラス)』がおすすめです。テレビ番組でもよくお見かけする、東進ハイスクールの村瀬先生の解説が詰まった1冊です。地図やイラストをふんだんに用いてビジュアルで理解できる作りになっており、物事の背景や理由もわかりやすく理解できるよう丁寧に説明がされています。特に統計資料や図表を用いた解説が多いので、共通テストで数多く出題される資料問題への準備を整えることにもつなげられます。全体的に分量が多く網羅性の高い参考書なので、私立大学や国公立二次で地理を使うという人にもおすすめです。

 

 

まとめ

地理はほかの教科のように大きな変化はなく、出題形式に少し変化があるだけです。今までのように理論からきちんと勉強していたら、考察などはいらないと思います。ぜひ勉強、頑張ってください!

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