「大学入学共通テストがこれから始まります…。でも物理ってどう変わるんだろうな。」
「センター物理と共通テストの物理。入試問題が変わってしまうのかな??」
あなたはこう悩んではいませんか?
2020年に大学入学共通テストがはじまります。それに伴って、各科目の出題のされ方が変わると言われています。一体、物理は、センター試験から大学入学共通テストに変わるとどのように変わってしまうのでしょうか?そのヒントが平成30年度に行われた大学入学共通テストの試行調査に隠されているようです。
理系で工学系や理学系に進もうとしている人の多くは受験科目として物理を選択していると思います。また、理系に進学した人の中で、覚えることが苦手だから、計算が多いけれど覚えることの少ない物理を選択した人も多いのではないでしょうか。
今回は、ものづくりの職業に就くには必須の科目と言える「物理」のセンター試験、大学入学共通テストの試行問題を、大学で主に物理学を勉強していた私が専門知識も交えつつ分析・解説をしてみました。
目次
大学入学共通テストの概要とセンター試験と共通テストの違い
では早速大学入学共通テスト試行問題の簡単な概要を説明していきます。大学入学共通テストは、大問が4問で構成され、問題数は21問で構成されています。実際に私が入試問題を解いてセンター試験に比べて変化したと感じた部分は以下です。
①問題は従来のセンター試験に比べ図表が多く、「この資料から何が読み取れるか?」「この現象の物理学的意味は何なのか?」など受験生自ら考えさせる問題が多く登場します。
→思考力や資料を読み取る力が必要です。
②正解が複数あり、正解を過不足なく選択できたときのみ得点を与える問題があります。
③大学の二次試験で出てくるような難易度の問題が、誘導付きで出題されています。問題の誘導に上手くのって勉強する必要があります。
④日常の現象について扱ったような問題が多く出てくるようになりました。
→これらは、今までどおり学校の授業で例題を解くだけでは難しいでしょう。普段から日常生活で起こる物理現象について、今まで習った物理の勉強で説明できないか考えてみることが大切になってきます。
⑤選択問題がなくなります。センター試験では最後の大問が原子分野が選択問題の大問となっており、勉強しなくてもなんとかなっていましたが共通テストからは選択問題がなくなりました。
続いて、共通テスト・センター試験の概要についてご紹介します。
①大学入学共通テスト
- 試験時間:60分
- 大問数: 4題
- 設問数: 21題
- 満点:100点
2018年度に行われた大学入学共通テストの物理の平均点は37点でした。選択肢の中から、当てはまるものをすべて選ばせるような問題や物理現象についての理解が伴わなければ答えられないような問題の正答率は低くなった結果となりました。例年のセンター試験と比べてもかなり低い平均点です。
②センター試験
- 試験時間:60分
- 大問数:4問
- 設問数:42問
- 満点:100点
2020年に行われた物理の平均点は61点でした。基本的には今までのセンター試験と形式が変わることもなく、全体的には前年度よりも易化した様子でした。
大学入学共通テスト試行問題(2018年度版)の「物理」試験分析
続いて、共通テストの試行問題の「物理」(2018年度版)について解説していきます。まずは、各大問ごとの分析です。
①大問1
以前のセンター試験と同様、小問集合でした。
問1は、摩擦力によるエネルギー収支問題でした。方程式を導出して計算するような複雑な過程は必要なく、エネルギーの式に代入すれば良いだけの問題です。
問2はリード線のつなぎ方により、手回しハンドルを回す力がどのように変わるか考える問題でした。ハンドルを回すのに必要な力をエネルギーと捉え、いかに回路のエネルギー問題と関連付けられるかが重要な問題でした。共通テスト問題の形式がよく表れた問題です。抵抗とは何なのか、抵抗が0であることや∞であることは物理的に何を表しているかということを考えてみれば解答する上での助力になるかもしれません。やはり普段から、問題にある具体的な数値を代入して考えるだけではなく、「この質量mが仮にかなり大きかったらどういう事が起こるだろう。そして、その現象は普段の生活では何を表しているのだろう」ということなどを考えることまでできれば良い対策になります。
問3は、各運動量保存則について問う問題でした。高校物理の中でもマイナーな公式から出題されていたので少し難しかったと思いますが、普段の日常からイメージをつかめば意外と当然なことを言っている公式です。現象を理解して暗記事項を最小限にしましょう。
問4は気中の振動に関する問題です。固定端のときの定常波の成立条件について理解していれば簡単にできる問題でしょう。こちらが分からなかった人はよく波動の分野を勉強し直しましょう。
②大問2
大問2は日常の生活でよく見る運動であるブランコの運動を物理的に単振動とみなして見る力学問題でした。
問1はブランコの周期を短くするために考えられることについて当てはまる選択を選択肢から全て選ぶ問題です。これは、与えられた公式に代入してみれば考えられる問題だったので解けた受験生も多かったのではないでしょうか。
問2は振り子の運動を測定して得られた表からカッkが得られる部分をすべて選ぶ問題でした。こちらも、知識として知っていなくても、実際に得られた表からわかることを選べば得点が得られるため得点しやすい問題ですが、今までとかなり形式が変わっているからか得点率は低かったです。
問3は、振れはじめの角度と周期の関係がある表について、考察できることをすべて選ぶ問題です。今までは実際にわかることを選べばよかっただけですがこの問題ではそこから考察できることを選ばなければならないため難しい問題です。振り子の公式がどのように導出されていて、その公式はどのようなことを仮定されているのかということを知っていれば答えることができるでしょう。知らなくても本番で考えることはできますが、事前に知っておくほうが遥かに楽です。
③大問3
大問3は道路がどのような考えのもと作られているかということに関する問題です。遠心力と摩擦力に注目している力学問題です。高校知識で日常生活に関連させるとなればやはり力学問題が中心に出題されるようですね。これからも対策として中心に行っていくと良いでしょう。
問1は加速度運動についての問題です。回転運動をする物体に向心加速度がかかるということを知っているかが解答できるかに関わってきます。向心力から求められるので、分からなかった人はよく確認しましょう。
問2向心加速度に上限値が与えられている時、上限値ギリギリの速度に入るための減速に関する問題です。
問3物理の問題として、仮想的に遠心力を考えることはありますが、実際にかかっている力は遠心力と釣り合う向きに生じるということを知っているかどうかを聞いた問題です。円運動に限らず、見かけの加速度運動をしている物体は、なぜそのような運動をしているのか、しっかりと把握することを心がけましょう。
問4は話が変わり、金属原子のそれぞれの原子量と比熱の関係からわかることをすべて選ぶ問題です。以前の問題もそうでしたが、
このような考察問題は現象からわかるエネルギー変化について理解しているかということをよく問うようになっています。おそらくこれは常套パターンであるので、運動とエネルギーの関係をよく知っておくことが望ましいでしょう。
問5は、ブレーキに使われるべき材質について、先ほどの表から計算し、判断する問題です。判断要素は先ほどと同じように、ブレーキの温度上昇の上限値に耐える比熱の物質を選ぶという内容です。このような問題は分からなくても代入すれば答えが得られる、今までと同じ計算問題ですので文章に騙されずによく読んで解答しまししょう。
問6は自動車を減速させる時に失われるエネルギーをどのように効率的に使えるかについての考察問題です。やはり考察問題はエネルギーに関連した出題が多い印象ですね。この問題はブレーキによる摩擦力で運動エネルギーが熱エネルギーに変わったのでその熱をなにかに変えることができないか考察しています。熱力学第二法則について理解できていれば、解答を絞りこむことができます。エネルギーに関する重要事項ですのでよく復習すると良いでしょう。
④大問4
大問4は全体として、難しい問題です。電磁誘導について公式暗記ではなく現象を理解していなければかなり手こずるのではないでしょうか。また、角速度についても計算で扱えるレベルまで知っていなければならず特に難しい問題になります。
問1は電磁誘導による回路の時間変化に関する問題です。これは電磁誘導の公式を今回の面積に置き換えて考えれば良いのですが、長方形のときの公式だけを覚えていては先ほど述べたように解けないので注意が必要です。
問2は電磁誘導の式に具体的な値を代入することで生じる電位を算出する問題です。問1が解ければ解ききることができる問題でしょう。
続いて、共通テストの試行問題の「物理」(2019年度版)について解説していきます。まずは、各大問ごとの分析です。
大学入学共通テスト試行問題(2019年度版)の「物理」試験分析
①大問1
問1は力学から、月の重力のもとで得られる位置エネルギーの大きさの変化に関する問題です。世界で近年月面開発の機運が高まっていることから出題されたものと思われます。このように、世の中で注目を集めていることは問題の内容に使われやすいので記にしておくとようでしょう。問題自体は、いつも使っている重力加速度の部分を1/6倍させて考えればよいです。
問2も力学からの出題。普段起きている物理現象から考えると間違えてしまう問題です。大気のない惑星で物体を上からおろした時、どのように落ちてくるか、その軌道を答える問題でした。私達はいつも物体が上から降ってくる時、物体の進行方向の速度が減少すると感じますが、これは進行方向に空気が存在して、その方向の運動を妨げるから。大気のない惑星ではそのようなことは起こらず、最初の進行方向のまま落ちてくるので注意です!
問3は熱力学からの出題です。平衡状態から運動方程式で初期条件を解いて、そこから起こる物理変化を状態方程式に代入して温度変化を考察する問題です。公式に当てはめれば解ける問題ではありますが、常にどのような物理現況が起こっているのかイメージしておくと自信を持って回答することができるでしょう。
問4は光学範囲からの問題。光が凸レンズによってどのように屈折され、像を作り出すのかを聞いている問題です。あまり光学範囲は出題が少なく、対策がおろそかになってしまいがちな分野ですが、基礎問題レベルは解けるようにしておくと全くわからないということはなくなります。
問5は原子分野からの出題。原子の、最も低い励起状態から基底状態へのエネルギー変化を与えられた公式から求める問題です。基底状態はn=1のときで、励起状態はn>1のときの状態です。これから、最も低い励起状態は2とわかるので、公式に代入してエネルギーを求めれば答えが得られます。やはりこれまでのセンター試験と違い、共通テストでは原子分野も必修の範囲になっています。最後の範囲だからと手を抜かず、しっかりと勉強しましょう。
②大問2
力学の衝突によるエネルギー損失の問題です。
問1は、反発係数についてその意味を理解しているかを問う問題です。反発係数とは衝突前の互いに近づく速さに対する、衝突後の互いに遠ざかる速さの比のことでしたね。定義が曖昧になっているものはすぐに確認しておきましょう。
問2は物体が受けた力の平均値を求めさせる問題です。これは、衝突に関する公式でΔt×F=m×Δvという公式がありましたので、その公式に代入してやると答えが得られます。この式はあまり使うことがないので知らない受験生が多いと思いますが、これまでの共通テストの傾向を考えればこれからも十分出てくる可能性はあります。このような根本の物理問題は教科書を読み込んでおけば間違いなく解くことができます。覚えておくとよいでしょう。
問3は2物体がお互いvの速度で衝突するときに、及ぼし合う力の変化をグラフに表し、そこからわかることを考察するような問題です。聞いている内容は先程と変わらず、Δt×F=m×Δvという公式について理解していれば解ける問題でした。
問4は、問3で用いた式に代入して値を求める問題でした。
問5は、一方の速度を0にしてもう一方を2vにした時、及ぼし合う力の変化のグラフはどのように変わるのかという問題です。この問題は実はグラフに変化はありません。速度vで動く人から見たら前の運動と同じように、2物体がお互いvの速度で衝突するように見えるからですね。しかし、よく考えれば作用反作用の関係で、お互いが及ぼす力の大きさは同じじゃないといけないので殆どの選択は間違いだとわかります。残りの選択肢はFとΔtでできる面積の大きさが違うのですが、明らかに一方の速度を0にしてもう一方を2vにした時でも面積は変わらないため、選択肢を一つに絞ることができます。
③大問3
光の干渉に関する問題です。問1は光が強め合う条件を求める問題。注意するべきところは、強め合う条件が、経路差が半波長の整数倍ではなく半波長×(整数+1/2)倍になっていることです。これは、空気から石鹸膜に衝突して反射する場合は固定端反射になるのに対して石鹸膜から空気へ衝突して反射する場合は自由端反射になるため起こります。
問2は知識問題です。問1で得られた関係式に代入することで完答できます。赤が波長が長く、青が波長が短いということは毎年センター試験でもよく出題される頻出知識ですのでしっかり覚えておきましょう。
問3はアンテナと金属板を用意し、その距離を変化させたときのアンテナの電圧値の変化野表を与えています。その表から確認できる現象について考える問題です。これは、アンテナの電圧値が電波の振幅に比例するという条件がついているため位相差によって電波の振幅が大きくなったり小さくなったりする定常波が、観測できる物理現象として適切でしょう。
問4は位相差の強め合う周期を表から求め、先程の公式から波長を計算すれば求まります。表をうまく使うことが出題意図ですので、普段からこの形式に慣れておきましょう。
④大問4
大問4は全体として、難しい問題です。エレキギターの仕組みを電磁誘導から考える問題でした。公式暗記ではなく現象を理解していなければかなり手こずるのではないでしょうか。
エレキギターの弦を引くことで弦が磁束を貫き電磁誘導を生じさせていることは説明されています。ここで、問1では弦をより強く弾いた時、電圧の大きさはどのように変化するか答える問題でした。これは、振動によって単位時間に貫く磁束が大きくなり、また弦もより広範囲に振れると考えられるので電磁誘導によって生じる電圧は大きくなると考えられます。
問2はおんさが異なる種類の時、鉄のおんさを叩いたときと銅のおんさを叩いたときではオシロスコープの表示が異なっていることを考察する問題です。電磁誘導に関わることなので磁束密度が変化する比透磁率の選択肢を選べます。
問3もまた電磁誘導に関する問題です。高さ30cmから磁石を落とした時、コイルはどのように電流が流れるのかを問うた問題でした。教科書などによく載っていますが、電磁誘導は磁束が変化したときにそれに対抗するように電圧が生じる現象のことをいいます。文章よりコイルの端子はaのほうがbよりも高くなったと言っているので、以上より解答が選択することができます。
問4は問3の実験を高さ15cmにした時、得られる結果がどのように異なるか考える問題でした。かなり高度な問題なのですが、エネルギーの観点から自由落下と誘導起電力の関係を考えることで答えを導出することができます。受験生の多くが苦手としている部分なので十分な対策をしておきましょう。
それでは続いて2020年のセンター試験の分析を行っていきましょう。
センター試験(2020年度版)の「物理」の試験分析
続いてセンター試験(2020年度)の物理の試験分析です。2020年度の物理は、全体的に問題が易化したと予備校等の調査ではわかっています。大問は例年通り6問で、大問5と6は選択問題でした。では早速各大問の分析に入っていきます。
①大問1
小問集合問題でした。剛体の力学や波の共振など、幅広い分野から出題されているので教科書を読むなどして対策することが効果的になります。基本的な現象を扱った問題が多く、よく参考書のA問題に採用される問題です。共通テストでは、難易度は同じくらいですが、このようによく参考書で出てくるままの問題はなくなると考えたほうが良いでしょう。
問1は剛体の力学からの問題。力のモーメントから釣り合いを求める問題です。
問2は導線電流の周りに生じる磁場についての問題。中学から習う、右ネジの法則を使えば答えが得られえますよ。
問3はクインケ管という特殊な管を用いて、波の波長を求める問題です。クインケ管が波に経路差を生じさせるので、強め合う条件や弱め合う条件の公式から波の波長λを求めることができます。
問4は熱力学からの出題です。状態方程式を用いて、圧力、温度、体積それぞれの変化が他にどう作用するのか求める問題。公式に当てはめれば答えが得られる問題ですが、ただ計算するのではなく状態の様子などを考えながら求めると問題が解きやすくなります。
問5は運動量保存に関する問題。2物体が衝突するときの運動を考えるのですが、衝突前後で外力が働かないため運動量は保存されます。そこから、X方向、Y方向それぞれの方程式を立てることで問題を解くことができます。
②大問2
A問題は電磁気範囲でコンデンサーに関する問題です。これは今までに見ることのないコンデンサの形をしており、少し共通テストを意識した問題構成になっているように思われます。しかし、どのような回路としてみなせばよいのか書かれているので実質今までの回路問題と変わりない印象でした。今回は二つの並立したコンデンサが並んだ回路とみなせばよいと示されているので、それをもとに問題を考えていけば簡単に解けるでしょう。
B問題は荷電粒子にかかるローレンツ力の問題です。荷電粒子が電子と違い正の電荷を持つため、電子と逆の運動になることに注意しましょう。ローレンツ力で得たエネルギーを、荷電粒子の運動方程式から導出することができるかが得点の分かれ目になりそうでした。物理の方程式はたくさんあるためどれを覚えればよいのかわからないということが多くあると思いますが、まずはすべての運動の基礎になる運動方程式を覚えておき、わからないときはそれを頼るようにすると良いでしょう。
③大問3
A問題はドップラー効果についての問題です。ドップラー効果の問題はよく音についての現象から出題されるのですが、この問題は水の波から出題されています。ドップラー効果の導出ができると公式に頼らずとも確実に解けますよ。これからの共通テストに備えて勉強しておくと効果的でしょう。
B問題は波の干渉についての問題です。ガラスなどの物体から反射するときは位相がずれてしまうことを覚えているかが鍵となります。また、知識として波長が大きいほうが赤色であることなどしっかり確認しておきましょう。計算することができても知識がなければ、得点が全く得ることができなくなるのがセンター試験です。共通テストに変わるにあたっても前提知識が必要なことには変わりありません。物理の勉強では他強化よりあまり教科書を読まない傾向にあると思いますが、試験前に一通り教科書を読むだけでも十分な対策になります。
④大問4
A問題は球体が円運動をしながら壁を登り切るための必要速度を求める、円運動でよく出題される内容のものです。単純に力学的エネルギーに注目するだけでは不正解で、球体が壁から離れない条件として球体にかかる垂直抗力を考える必要がありましたね。この問題は本当に頻出ですので、難しいですが分からなかった人はまた確認しましょう。頻出問題はきっとセンター試験に限らず共通テストにもよく出される問題となってきます。
B問題はバネの両端に小球を取り付けて、吊り下げたときの運動方程式を解く問題です。全体で見てみると張力がどのように物体に作用しているかがわからないため混乱してしまいがちですが、結局力が作用していて釣り合っているところを探し、そこで運動方程式を解けば答えが出てくる問題です。問題で聞かれている張力がバネのものではなく、取り付けている糸に関するものだということに気をつけましょう。
⑤大問5 熱力学
気体を含んだ容器と、水の浮力とのつりあいを表現できるかどうかを問う問題です。密度から質量が出せるかどうかがこの問題の鍵でした。今までのセンター試験でもよく見られた問題ですが、定義される文字が多く、途中で何をやっているのかがわからなくなってしまうような問題です。体積膨張と圧力変化の関係を知っていれば答えられる問題となっており、ゆっくり考えればそこまで難しくないと感じるのではないでしょうか。先にイメージをしっかりと持ってから解き始めれば方針を持って問題を解くことができ、解答方針を見失うこともないでしょう。
⑥大問6 原子
初めて日本が発見した元素、ニホニウムについての問題です。導入が現代の話に絡めている、いはば共通テスト的な問題となっていますが計算自体は何ら今までと変わることはありません。公式を覚えれば点が取れるという点では大問5より簡単ですので導入のニホニウムという単語を見てすぐにあきらめることのないようにしましょう。
問題は、まずα崩壊について知っていなければ解くことができません。α崩壊とはα線(ヘリウムの原子核)を放出する現象で、この際ヘリウム原子核文である質量数4,原子番号が2だけ減少して新たな物質になる現象です。この分野ではこのように覚えることが多く、この知識も必須となっていますのでしっかり覚えておきましょう。
センター試験と大学入学共通テスト試行問題のここが違う!共通テストを元に解説!
最後にセンター試験と大学入学共通テストの試行問題で違う部分をお伝えしていきます。
新たな傾向がよくあらわれた問題の抜粋
上の問題は、大学共通テスト問題の大問2、振り子問題についてです。この問題はかなり顕著にセンター試験との差があらわれた問題だったのでここで紹介します。問題内容としては、振り子の周期を振動の端と振動の中心の2種類の方位置から測定して得られた結果の違いを考察するというものでした。実験データを表にまとめた読み取り問題は今回の問題が初めてです。思考力を試すという改革に沿った新しい試みがあらわれていますね。この問題はデータの平均値が一緒で、一見制度に差はないかと思われます。しかし、各データの小数第一位に注目すると、振動の端で測定した結果では値が2,3、4などバラバラな値をとるのに対して振動の中心ではほぼすべての結果が3になっていることに注目します。すると、振動の中心のほうが振動の端よりもデータの分散が少なく、より正確なデータが得られていると言えます。
このように、データからわかることを考えさせる問題は、たとえ物理に対する知識がなくとも得られたデータから読み取れる事実を選択するだけで正答を選べる問題となっており、慣れることができれば得点源となります。
続いて2つ目の問題です。
式1とはこの問題の冒頭に紹介された式で、ブランコのような運動の周期
T=2π√g/l
という近似公式です。この公式は実は厳密に正確ではなく、ある仮定のもとで成立するのですが、その仮定が何なのかを物理的に考察する問題です。この問題も深く考えないと解くことができない、共通テストの性質が顕著に表れた問題になっていますね。この問題を解くには、上の公式がどのように導出されたのかを知っておかなければなりません。この問題は、θが十分小さい時にsinθがtanθに近似できることから得られるため、θが大きくなった時に近似が成り立たないということが解答の方針です。この問題を解くには以上のことをしっかりと理解していなければなりませんが、この理解は問題集を解くだけでは足りず、普段から学校の授業で教えてもらう時にその公式の導出まで勉強しておくということを意識することが大切だと感じます。
本問のような問題は今後さらに出題されることと思いますのでこの傾向を踏まえ、しっかりと対策をしましょう。
共通テストの物理の問題を高得点を目指すために必要な対策方法
最後に共通テストで物理を受験するかもしれないあなたに向けて高得点を目指す場合に必要な勉強法等をお伝えします。
①基本的な知識を身につけよう
思考力を試す問題となっているのは確かですが、その問題を解くために必要な前提知識があることが多いです。形式が変わったからと言って闇雲に勉強方法をかえてみるのではなく、まずは公式などの基礎知識を確実に身につけるようにしましょう。そこから、なぜその公式が成り立つのかなどについて理解を深めていくことで共通テストに対して効果的な勉強になるでしょう。
②複数の資料を読み取ったり、関連させたりする力を養おう
センター試験に比べ、写真の資料を含む資料が多く載せられています。そこで、資料について読み取りながら解答する必要のある問題も多く、資料を読み取る問題に慣れておく必要があります。普段から活字に慣れておくと問題を読み進めやすくなるでしょう。
③日常の問題と関連付けながら物理を勉強しよう
最後に、日常の問題と関連付けながら物理を勉強しましょう。今回は、道路の形がどのようになっているか、その問題が題材として出されていました。大学で扱うような道路工学を高校レベルの知識で簡潔に考える良い問題でした。これから物理の共通テストを受ける予定の人は、学校で習った物理の内容を、実際の身の回りの生活等に応用できないか考えてみましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今年センター試験が終わり、大学入学共通テストに向けて、不安に感じている方もいるかもしれません。不安に感じる方は一度ぜひ大学入学共通テストの試行調査を解いてみてください。そのうえで、自分にどんな力が足りないのか、丸付けしながら考えてみてください。もし、自分はどんな力が足りないのかわからない…。これからどう勉強すればいいかわからない等ありましたら、お気軽に弊社にお問い合わせください。あなたの状況や立場に合わせてアドバイスができると思います。なにかお困りのことがありましたらぜひご連絡ください。
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