目次
化学基礎の特徴
化学基礎は化学と呼ばれる分野のうち、極めて基礎的な知識を扱っている科目です。化学は理論・無機化学・有機化学という3つの大きな分野に分けることができます。化学基礎ではそれらすべてにおける基本的な要素を学習するもので、化学で扱われるような無機・有機化学の細かな知識というものは省かれて、化学結合など特に理論分野での理解に主眼が置かれます。基礎的な知識の暗記が必要であり、さらに理論分野の体系的な理解を必要とする科目というのが化学基礎の特徴です。
化学基礎で学習すること
化学基礎の内容は大きく分けると3つの分野で構成されています。
①物質の構成や性質
②物質の変化
③日常生活と化学
①物質の構成や性質
物質の構成や性質では、様々な物質の分類や性質を整理します。例えば、多くの生徒が初めに学習するのは純物質と混合物、化合物と単体の区別です。このように身の回りの物質を正しく把握するために、それぞれの物質の性質に基づいた整理を行います。その後、物質の構成を学びますが、これは具体的にいえば原子の構造であり、物体の性質や構造について理解を図るものです。さらに発展して、原子の構造が少し変化したイオン、全ての原子を系統的に表に起こした周期表というものについても学習します。また、私たちが普段見ている物質は分子や原子といった粒子が結合しているものであることは中学校で学習したと思われますが、その結合の中身についても学習します。結合には共有結合、金属結合といったいくつかの種類があり、各結合の性質やどの分子がどの結合なのか、などについて把握しておく必要があります。ここでは計算より暗記すべき内容のほうが多いですが、教科書に書かれていることについての正確な理解が重要です。
②物質の変化
物質の変化では、まず物質量や化学反応式を学びます。物質量は、分子や原子などの粒子の個数を6.02×10^23個(アボガドロ数個)ごとに1molとして表すというものです。これは、原子や分子などの粒子は膨大な数が集まって物質を構成しているため、個数を単位としてしまうと膨大な数になってしまうので、計算において扱いやすい数になるようにアボガドロ数をひとつのまとまりとしています。そして、化学反応式は、ある化学反応にどんな物質が関与していて、それぞれの物質が反応する際にどのような物質量比で反応しているかを表す関係式です。例えば、水素が酸素と化合して水が発生する反応の化学反応式は、以下のようになります。
2H2 + O2 → 2H2O
この式では、水素分子2molあたり酸素分子1molが反応し、水分子2molが生成するということを示しています。
その後に学習する中和反応や酸化還元反応といった化学反応についても、この化学反応式を使って表すことができます。この単元では、反応物に対する生成物の物質量を比から求める問題など、問題を解くときの計算の比率が多いです。体系的な正しい理解をもとに、問題を読み解けるよう問題演習をこなすことがポイントとなってきます。
③日常生活と化学
日常生活と化学では、身の回りの物質の化学的性質について学んだり、化学の知識の実用例や環境問題について触れたりします。具体的には、空気や身近なものの元素の構成割合やセッケンについて、地球温暖化についてなどです。この分野は、他に比べて暗記を求められる頻度が高くなりますが、それでも量は多くないのでコツコツと暗記で知識を増やしていきましょう。
物理基礎・生物基礎との比較
まず、暗記が必要な知識量について見てみると、このようになります。
生物基礎>化学基礎>物理基礎
つぎに、計算問題の分量を比較します。
物理基礎>化学基礎>生物基礎
このように見てみると、化学基礎は知識問題と計算問題の両者がバランス良く出題される中間的な科目であると言えるでしょう。生物基礎は計算問題はそれほど出題されない一方で、必要な知識をある程度暗記していなければ問題に対応することはできません。反対に物理基礎は覚えなければならない公式は少ないですが、公式を用いた計算が必須の科目となっています。
下の表に、過去3年のセンター試験及び共通テストにおける理科の各科目の選択者数と平均点を示しています。理科1では、いずれの年度も化学基礎は生物基礎に次いで多くの受験者が選択しております。
センター試験 | ||||
理科1 | 平成31年度 | |||
受験者数 | [%] | 平均点 | ||
物理基礎 | 20,179 | 6.2 | 61.2 | |
化学基礎 | 113,801 | 35.0 | 62.4 | |
生物基礎 | 141,242 | 43.5 | 62.0 | |
地学基礎 | 49,745 | 15.3 | 59.2 | |
合計 | 324,967 | 100.0 | ||
令和2年度 | ||||
受験者数 | [%] | 平均点 | ||
物理基礎 | 20,437 | 6.4 | 66.6 | |
化学基礎 | 110,955 | 34.9 | 56.4 | |
生物基礎 | 137,469 | 43.3 | 64.2 | |
地学基礎 | 48,758 | 15.4 | 54.1 | |
合計 | 317,619 | 100.0 | ||
共通テスト | ||||
令和3年度(1月16日・17日) | ||||
受験者数 | [%] | 平均点 | ||
物理基礎 | 19,094 | 6.5 | 75.1 | |
化学基礎 | 103,074 | 35.0 | 49.3 | |
生物基礎 | 127,924 | 43.5 | 58.3 | |
地学基礎 | 44,320 | 15.1 | 67.0 | |
合計 | 294,412 | 100.0 |
化学基礎の参考書の種類と使い方
教科書
化学基礎に必要な知識、出題内容はすべて教科書に書かれています。基本的には教科書を学習の中心にして進めていくのが良いでしょう。
教科書傍用問題集
学校で配られる問題集で、『セミナー化学基礎+化学』、『リードα』、『センサー化学基礎』や『リードLightノート化学基礎』などが該当します。基礎を固めるために、1冊を繰り返し解くと良いでしょう。教科書や理解本では計算演習が手薄になるので問題集でカバーしましょう。
理解本
教科書に比べてイラストやカラーなども豊富でわかりやすく、暗記が必要なポイントも明確なので初学者には最適です。教科書では頭に入らない、理解しにくいという人はこちらを使用しましょう。
過去問・共通対策問題集
共通テスト対策の中で最も成績が伸びやすいのは過去問など実際のテスト形式をとった演習をする時期です。教科書や理解本を中心に傍用問題集なども利用して学習を進め、一通り範囲を終えた後は過去問や共通形式の問題を実際に解いていくのが勉強の中心となります。間違えた問題があればかならずその分野に戻って復習をしましょう。
資料集
『化学図録』や『サイエンスビュー化学』が該当します。概念や性質などを、図や写真を用いて視覚的に理解できるようにまとめてあります。化学基礎では基本的な概念や暗記が多いので必要ありません。化学まで学ぶ方は1冊持っておくと良いでしょう。傍らに置いて、呈色反応などの問題を解いたらその都度確認するようにしましょう。理解本などをベースに学習を進める中で、実際の色などを確認したい時だけ利用するイメージです。
化学基礎のよくある質問
何から学習を始めればいいですか?
教科書及び理解本を一から学習し直すことから始めましょう。その後問題集で演習をし過去問演習に移ります。
具体的な勉強法は化学基礎の具体的な勉強法−化学基礎勉強法②でお伝えしているのでぜひご覧ください。
いつ頃から勉強を始めるのが良いでしょうか?
分量の少ない理科基礎では、夏〜秋に教科書、理解本を使って1周しておきたいです。定期的に過去問演習と復習の時間を設定するとよいでしょう。
暗記事項をなかなか覚えられなくて困っています
化学基礎は分量は少ないですが細々とした暗記も必要になる科目です。化学基礎でメジャーな暗記法には語呂合わせがあり、イオン化傾向や炎色反応などが有名です。こういった暗記法は教科書にはありませんが、共通テストを意識して作られた理解本には載っているため参考になると思われます。その他自分が暗記に苦労している部分についてはカードを作成し、整理してまとめておくようにしましょう。
カード暗記法
化学基礎で身につくこと
化学基礎で学ぶ内容は化学の内容に比べるとあまり難しいものはなく、分量も少ないですが、どれも私たちに新しい知見を与えてくれる内容です。私たち人間にとって酸素や水などの物質は、大昔から生きるために欠かせないものであり、人間はそれらについて長い年月をかけて明らかにしようと研究を続けてきました。今日では、私達もその叡智を授かって多くのことを知ることができています。化学基礎で習った内容は、今後化学分野に興味が生まれるきっかけになったり、日常での疑問を解消するのに役立ち、自分の世界を広げることにつながったりするでしょう。化学基礎は教養の一環としてぜひ学習をお勧めしたい科目です。
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