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漢文とは−大学受験の漢文勉強法①


漢文の特徴

 漢文は古文と同様に時間が割きにくく、漠然とした理解のまま受験に臨んでしまうことも多いですが、共通テストでは評論、小説、古文と配点は変わらず、失敗してしまうと大きな痛手となってしまう科目だといえます。他の分野に比べ暗記量も少なく、意識して文構造や漢文特有の世界観の理解を意識しながら勉強を進めていけば得点はかなり安定するようになります。国語の中で最もコスパの良い分野ですが多くの受験生がおざなりにしている分野でもあり、漢文で差を付けられるようになりましょう!

 

漢文の要素

①漢文法

 漢文において忘れがちなのは、私たちが受験で扱う漢文は中国の書物そのものではなく、それに日本人が注釈を加えた物であるということです。当然ながら漢文に元々送り仮名や返り点はなく、本来上から順に漢字を読んでいくものです。その、いわゆる古代中国語を専門知識がなくても読めるよう昔の日本人が付け加えたものが訓点(送り仮名、返り点)といわれるものです。

 

(例)

白文(原文)・・・覆水不返盆

書き下し文(古文)・・・覆水不

現代語訳・・・覆水盆に返らず

 

そのため白文(原文)には中国文法、日本人が作った書き下し文には古文法が必須となります。特に前者に関しては読解のスピード、句形の理解に大きな助けとなるため意識しておきましょう。具体的に英語と見比べると理解しやすいと思います。

 

漢文と英文の比較

 

 漢 師不必賢於弟子。(師必ずしも弟子より賢ならず。)

  A teacher is not necessarily smerter than a student.

 

上の二文はどちらも「必ずしも、先生が生徒より賢いとは限らない。」という文です。漢文でも英語でも登場する部分否定の文法ですが、構文が似通っているのが分かると思います。特に「不必」:「not necessarily」の対応は見えやすいのでは無いでしょうか。このように漢文は文法自体は英語(SV‐)に寄ったものであり、それを日本人が読むために訓点が加えられたり、句法という形で文法が解釈されてきたのです。

 

英語と漢文の関連として語順をあげました。語順は文構造を把握するうえで大切なのできちんと勉強する次官補とるべきですが、簡単に言うと漢文における文構造は5つに分けられているといえます。

 

①SV

②SVO

③SVC

④SVOC

⑤SVCO

 

英語と同じくSは主語、Vは述語、Oは目的語、Cは補語を意味しています。

まずは主語と述語が文頭におかれ、そのあとに目的語、補語が続く構造になっているのがわかると思います。

 

②漢字語彙

 漢文において漢字語彙は必須です。しかし全部を覚えようとすると途方もない分野なので絞って覚えることが必要となり、基本的には句形、句法に登場する物が最も重要だといえるでしょう。また、同じ読みをする漢字が複数存在する場合があり、例えば「すなわち」には「則」「即」「便」「乃」「輒」といったものがありますが意味はそれぞれ異なるため暗記が必要となってきます。こういった文法知識は必須であり、入試の頻出問題の一つです。「なかれ」:「勿」「毋」といったように意味も同じものもあります。

 これらを覚えれば「見たことがない」という理由で漢字問題を落とすことは無くなります。しかしこれでは全問正解は出来ません。次の壁は「見たことはあるが、イメージと違う意味」で使われている漢字です。これらは文脈判断もヒントとなりますが、その漢字に関連する熟語を連想するという方法が一般的です。例えば「封」という漢字。日本語では封じると読み、密封、封印等がイメージされると思います。しかし、「封建」という単語もあります。世界史選択の方は幾らか馴染みがあるかもしれませんがこれはとじるといった意味ではなく、土地を与えるという意味となります。このように普段と全く異なる意味を持つ漢字には注意が必要です。

 

③句法(句形)

漢字語句の項目でも少し触れましたが、漢文には句法というものがあります。英語や古文でいう構文や文法のようなものだと思ってもらって結構ですが、動詞や目的語などの位置からなる文構造が重要になってくるため英語寄りのシステマティックな読み方をする必要があるのが漢文の特徴です。

 

(例)

 豈独其国邪   

 豈に独り其の国のみならんや

 

「豈~(豈に~んや)」という構文を見てぱっと反語(~だろうか、いや~ない。)が意識できるようにならなければいけません(他の意味もあります)。また「独(独り~のみ)」は限定(~だけ)という意味でこちらも重要な句法です。こういった文法内容は漢文の勉強における大部分を占めるもので、ここをきちんと覚えておくことが何より大切ですし、得点向上にも不可欠です。

 

④漢詩

漢文では問題文として漢詩が出題されることがあります。読み方はいわゆる一般的な文章体の漢文と大きく違いはありませんが、漢詩には漢詩特有のルールがあるため必ず押さえておく必要があります。代表的なものに「脚韻(きゃくいん)」というものがあります。大雑把にいえば偶数句末の漢字が韻を踏んでいることを指しますが、このことを直接問いかける問題もあるためやはり重要度は高いといえます。

 

⑤漢文常識や漢文の構成

古文と同じように、漢文においてもまた当時の習慣や常識を知っておくことは読解の大きな助けになります。例えば漢文では名君または暴君のエピソードを例を出して教訓を伝えようとする文章が頻出パターンの一つとしてあり、代表的な国の名前や王の名前は覚えておいて損がないといえます。名前を見るだけで話のオチがなんとなくわかることすらあるため、読解には非常に有効です。

また漢文は話の流れや特徴がかなりつかみやすいのでこれを意識しながら文章を読んでいく必要があります。すでに述べましたが漢文は偉人もしくは愚かな人間のエピソードを通じて私たちにも通じるような人生の教訓や人間の性質について伝えようとする文章であることが多いです。そのような場合は前半のエピソード部分を語り終えたのちに、筆者自身の言葉で内容を総括し教訓を述べなおすことも多く有ります。文章の論旨をざっくりつかむには前半より後半部の筆者の主張部分に着目するべきだといえるでしょう。

こういった漢文常識、さらには漢文の読み方に関するテクニックを知っておくことは読解とは切っても切り離せない部分なのでできるだけ勉強を進めておきたいところです。

 

漢文の参考書の種類・使い方

文法本 

訓読や書き下し文の作り方から始まり句法、重要漢字まで、漢文にも基本的な文法というものが存在します。漢文では基本的な暗記事項がそのまま点に直結することが多く、いかに文法を抑えるかが合否を大きく左右します。段階で文法は固めておき、後は演習を積むだけという状態にできると一気に共通テスト国語も楽になってきます。

 

漢文の文法書は大きく分けて二種類あり、自分に適する方を選択するのが良いでしょう。

① 文法の理解本 ・・・ 一から漢文法の勉強を始める人、漢文法への苦手意識が強い人

② 問題中心の演習本 ・・・ 学習した記憶はあるが精度や暗記に不安がある人

 

① 文法の理解本

迷った時は理解本形式を取っている参考書を選ぶのがおすすめです。勉強の進行度合いにかかわらず効果的で、文法をただの暗記にとどめず本質から丁寧に解説しているため一から漢文法の勉強を始める人、漢文法への苦手意識が強い人は問題中心の演習本より理解本形式の文法書を選ぶべきでしょう。

三羽邦美の漢文教室 改訂版 (教室シリーズ)

 

② 問題中心の演習本

こちらはすでにある程度の知識がある人に向けた参考書です。本格的な演習に入る前に改めて文法を確認しておきたい人や、大方の内容は把握しているがまだ不安だという人はこちらの参考書を使用しましょう。こちらの参考書の良いところは、事細かな説明や冗長な記述がない代わりに短期間で周回できるという点です。

 

 

問題集と過去問

基本的な文法を抑えた後は早速演習に入りましょう。文学系の学科に進む人や、一部大学の受験生を除けばほとんどの人にとって漢文は共通テストでの高得点が最終目標になります。二次や私大で使用するという人も含めて、センター試験、共通テストの過去問を演習の中心にするのが良いでしょう。これらの問題は決して簡単ではないですが、分量から問題まで漢文能力を適切に問う最高の演習教材です。一通り解いた後は、問題文に出てきた句法や重要漢字をチェックすることを忘れないようにしましょう。

 

私大や二次で必要となる人は冬ごろからそちらの過去問にもあたっていくとよいでしょう。特に記述式の問題に対応するにはきちんと演習を積む必要があります。過去問が不足している人は漢文用の問題集を使って進めていくのもよいでしょう。

実戦演習レベル別問題集・基礎・漢文(桐原書店)

 

理解本(読解対策)

基本的な暗記事項はさらったもののいまいち読解に生かせない人やなかなか点数に反映されない人など、壁に当たった人に向けて書かれている理解本形式の参考書です。現代文や古文のように漢文にも効率的な読み方や解き方というものが存在します。特に共通テストのような形式がある程度固定されていると言えるテストでは顕著であり、やる価値は十分にあるでしょう。

漢文早覚え速答法パワーアップ版(Gakken)

 

漢文のよくある質問

Q. 漢文の成績がなかなか伸びません。何が原因なのでしょうか。


A.一番の原因は句形や再読文字、置き字といった基本的な文法事項をきちんと習得していないことだと思われます。そう多くはありませんが、これらの文法事項をきちんと暗記した後であれば既に共通テスト8割前後は得点可能です。

またこれらの文法知識は単体の文法問題を解くためというわけではなく、実際に文章を読む中で自然と利用できるレベルで身に着ける必要があり、そのためには実際に文章を読む中でアウトプットしていく作業が不可欠です。そのため基本的な暗記事項を身に着けた後は繰り返し演習を重ねることで得点が安定していくようになります。

 

Q. 漢文に時間を割く余裕があまりないのですが、あきらめるべきでしょうか。また、どのくらい時間をかける必要がありますか。


A.確かに漢文はウェイトも小さく後回しにされがちな科目ではありますが、共通テストにおける50点は非常に大きくみすみす落とすわけにはいかない点数です。また漢文の費用対効果は非常に高く、最低限の基礎事項を身に着けるだけで40点は視野に入れることができます。時間に押されながらでもやる価値のある科目なので、残り一か月だとしても学習することをお勧めします。二週間前後で文法書を一冊こなした後、赤本にのっている分の過去問を繰り返し解くことで漢文の得点はかなり安定します。余裕をもって重要漢字や問題へのアプローチを抑えるためには秋ごろには一度文法事項を押さえておけると良いでしょう。共通テスト模試でも結果が出るようになればかなりの得点源だといえるでしょう。

 

Q. 漢文に時制のようなものはあるのでしょうか?


文法上に過去形というものが存在するわけではありませんが、私たちが現代語訳するうえでは自然に意味が通るほうを選択し訳に反映させる必要があります。とはいえこれは日本人が後からつけた送り仮名をそのまま参照すればよいことが多く、大した問題になることはありません。ただしその際句点文法の知識が必要とされることには注意が必要です。

 

漢文で身につくこと

多くの受験生にとって漢文は後回しにされがちな副教科といったイメージが強いでしょうが、文章自体は非常に読みごたえがあるものが多く、是非授業を通じて読んでほしいものばかりです。 漢文はその性質上何かしらの教訓を読者に伝えようとするものが多く、時間がたった今でも役に立つことばかりです。例えば孔子は現代の人々にも読まれる代表的な書物ですし、儒教をはじめとして日本にも大きな影響を与えた一つのルーツである中国文化に触れるチャンスだと捉えて前向きに勉強してみれば、きっとためになる教訓が得られるはずです!

 

漢文の具体的な勉強法−漢文勉強法②

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