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漢文の入試別対策「私立と国公立二次対策」−漢文勉強法④


私立入試における漢文について

私立大学において国語での受験をする際漢文を出題する大学は少ないですが、学部や方式、日程によっても試験の有無や試験形式の違いがあるため自分が受ける学部や日程はよく確認しておきましょう。特に文学部の入試では漢文が出題されることが多いため、受験する方は気を付けてください。また、共通テストの成績を含む際は国語の得点圧縮の仕方についても調べておきましょう。

共通テストと同じく主に選択型の解答方式がほとんどですが、特に特徴的な出題というものはありません。特別に私大に特化した勉強というものはなく、訓読、句法などの基礎→問題演習というオーソドックスな手順を踏んで行くことが大切です。句法や重要語句が抜けていると演習を積んでも成果に表れにくく、そもそも問題文を読むのが困難になるため、基本的な知識に関しては十分すぎるほど勉強してから演習に進みましょう。頻出度合いが高い漢字についても勉強しておく必要があるので、漢文に関する知識がまとまった参考書を一つ選んで長く使い続けていくことをお勧めします。

 

私立漢文の特徴

上記の通り、私大における漢文は他教科と違って特別な対策というものを必要とはしません。

共通テストとほぼ同じ対策になります。句法や重要語句といった基本事項をきちんと抑えられているかどうかが合否の分かれ目になります。

例:2020年の場合

 明治大学(文学部)
早稲田大学(商学部)
試験時間60分(現代文1題+古文1題+漢文1題)
60分(現代文1題+古文1題+漢文1題)
大問・小問数5問3問
解答形式記号・記述式記号式
その他特徴重要漢字の読みから書き下し、口語訳、内容説明問題までバランスよく出題される。文章は100字前後と少なく、基本的な文法事項を押さえていることが大切。
書き下し、空欄補充、内容説明問題が中心のオーソドックスな設問が出題される。分量は少なく文章も150字前後だが、難易度は高く十分な対策が必要。

 

MARCH

文章の長さ、難易度、出題形式ともにオーソドックスなものが多く、過去問は受験近くの12月から最終対策として行うとよいでしょう。句法や重要漢字といった基本的な知識をきちんと抑えたのちは市販の問題集を使った演習が中心になります。

 

明治大学

文学部のみでの出題となります。解答は記述式であり、重要漢字の読みから書き下し、口語訳、内容説明問題までバランスよく出題されますが、基本的な文法事項をきちんと習得しており、入試漢文をスムーズに読むことができていれば十分対応可能です。問題文も短く読みやすいため、現代文、古文に時間を割くため時間をかけすぎないよう早く終わらせることが肝心です。

 

青山学院大学

出題はありません

 

立教大学

文学部のみでの出題になります。内容説明の比重が大きく、細かい文法事項が直接聞かれることは少ないですが、書き下し、読み下しは出題されやすいです。基本的な文法事項をきちんと習得し、問題集や過去問を用いて入試漢文をスムーズに読むことができるよう対策を積みましょう。

 

法政大学

A日程では文学部、T日程では文学部日本文学科のみの出題で、ともに漢字の読みや意味、句法などの文法問題から内容説明問題までバランスよく出題されるオーソドックスな問題形式です。また、記述説明問題が出題されることが特徴的です。また、T方式は全90分で語句問題一題と現代文二題と古文漢文それぞれ一題の計五題をこなさなければならず、時間的制約を意識した対策が必要です。A方式は60分で現・古・漢一題ずつの計三題を解く必要があり、T方式より時間的制約は緩くなっています。

 

中央大学

文学部のみでの出題です。こちらも非常にオーソドックスな問題形式をとっており、漢字の読みや句法、書き下しなどの文法問題から内容説明問題までバランスよく出題されるオーソドックスな問題形式です。文法問題の比重が多く、基本的な文法事項についてきちんと習熟していることが得点を左右します。

 

関関同立

関西学院大学

文学部のみでの出題になります。

 

関西大学

漢文の出題はありません。

 

同志社大学

試験範囲とはされていますが例年出題はありません。稀に古文との融合問題という形で出題されることがありますが、あくまで背景知識として知っておいたほうが良い程度であることも多く、独立問題としての出題はありません。

 

立命館大学

文学部のみの出題であり、現代文一題とどちらかを選択して受験する形になります。両方解答した場合は点数が高い方の得点が考慮されます。

試験内容は、漢字の読み、書き下しから内容説明問題まで出題されるオーソドックスなもので、基本的な知識をきちんと抑えたうえで漢文を読みなれていることが大切です。

 

早慶上智

早稲田大学

私立大学では珍しく、全学部国語受験生は漢文の対策が必須となっています。独立問題として出題されることがほとんどですが、古文漢文融合問題が出題される年もあるため年度や学部など幅広く過去問をあたっておくことが大切です。

書き下し、空欄補充、内容説明問題が中心のオーソドックスな設問形式ですが、難易度は高く、文法理解度、読解力ともに共通以上の水準が求められます。白文を句法、文法知識から考察して訓読する問題など、レベルの高い演習問題集や過去問を通じて十分な演習を積む必要があります。

 

慶應義塾大学

出題はありません。

 

上智大学

私立大学では珍しく、全学部国語受験生は漢文の対策が必須となっています。

設問は内容説明問題が中心ですが、難易度は標準レベルです。句法を意識した読解を身に着けること、比較的長文の漢文を読みこなせるように演習を積むことが大切です。

 

国立二次の特徴

国立大学の二次試験で国語の受験が必要な受験生は主に文系選択者が中心で、多くの理系選択者は選択か、もしくは課されない大学がほとんどと言えます。例外として東大や京大、複数の医学部では国語の受験が必須となっています。

二次漢文の特徴は、記述式の解答が中心である大学が多いということです。選択肢に頼るのではなく、自分の力で解答を作成する記述力が必要となってきます。出題傾向や解答形式は大学によって様々であり、例えば東京大学のように指定字数がとても短く簡潔かつ的確にまとめなくては行けない試験から、縦線のない大きな空欄が用意されて自由に書き込むことが出来る九州大学のような試験までバリエーションが広く、大学ごとに個性がある試験が多いです。自分の受験する大学の傾向を早めに掴んでおくことが合格への近道になるでしょう。

根本的には問題の内容に大きな違いはありません。記述が中心なだけあり、理由説明(なぜか)や内容説明(どういうことか)といった問題が多いですが、文章の流れ、内容が正確に理解出来ているかを問う問題がほとんどで、発展的な出題としてその文章の意義や作者の伝えたいことについて問われることもあります。

基本は句法や重要漢字などの基礎知識を意識しながら問題文をきちんと理解できるということですが、自分の言葉で解答できるよう記述中心の演習を進めていきましょう。

 東京大学(文系)
名古屋大学(文系)
試験時間150分(現代文2題+古文1題+漢文1題)
105分(現代文1題+古文1題+漢文1題)
大問・小問数4問7問
解答形式記述式記述式
その他特徴傍線部の現代語訳や内容説明問題が中心。解答量は1〜2行のものが多く、文字数の目安は30〜60字。
内容説明問題が中心だが、書き下し、現代語訳問題も出題されている。解答量の目安として40~60字前後が要求されることが多いが、最終問題では150字などの中論述が出題され、文章全体を踏まえ要約したうえで筆者の考えやテーマについて問われている。

 

二次特有の高度な設問

高度な内容説明問題

・出来事の経緯全体を踏まえた鄭克の批評の最後に、傍線部G「(略)」とあるが、「是請」が具体的にどのような内容であったかを、七十五文字で説明せよ。(北海道大学)

 

文章全体の論旨、筆者の主張を問う問題

・傍線部6「(略)」とはどういうことか。本文を要約した上で、筆者の考えを150字以内で述べよ。(名古屋大学)

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