理系科目で問題集を解く際に理解を深め、復習効率を上げることができる解答を再現する勉強法です。理系科目の問題集の特徴として、「理解できた」けど「解答できる」状態にならないことがあります。
1問にかかる時間 | 問題量・暗記量 | 復習回数 | |
英単語暗記、日本史暗記など | 短い | 多い | 多い |
数学の問題、物理の問題など | 長い | 少ない | 少ない |
日本史の用語暗記や英単語などの暗記は1問にかかる時間が短く、問題量暗記量が多く、そのため、復習回数が多くなります。それに対し、理系科目の問題系は1問にかかる時間が長く、問題量暗記量が少ないため、復習回数が少なくなります。暗記科目と異なり、同じ問題、類題にふれる回数が少ないのです。そのため、1回問題を解いてから次の復習までの間に時間が開きやすくなります。それによって同じ問題や似たような問題をよく間違えたり、前回解説をみたときに理解していたのに間違えたりすることになります。そのような状態になっている学生の多くがやっている勉強法は「①問題を解く→②できなかった問題を理解する→③次の問題に進む」という流れです。この状態では文系科目の用語暗記と異なり、間違えた問題を暗記する、できるようになったことを確認するという手順が抜けています。それを改善して、理系科目の問題を「できる」状態にするのが、「プロセス要約法」です。
【同じ問題を間違えることが多い人のやっている勉強法】 ①問題を解く ②できなかった問題を理解する ③次の問題に進む |
目次
プロセス要約法の到達レベル
MARCH・関関同立レベル(偏差値60程度)
早慶や難関国公立は典型問題の解法パターンを覚えただけでは合格できません。プロセス要約法により早慶や難関国公立レベルに到達できないわけではありませんが、全員がプロセス要約法だけで到達できるわけではないです。ある程度の応用力や思考力がすでに身についている人はそのレベルに到達することができます。早慶や難関国公立を目指す人はプロセス要約法で典型問題の解法パターンを理解を伴った暗記をして、試行ステージに移行しましょう。
プロセス要約法の概要
対象科目:数学、物理、化学 ① 問題を解く ② できなかった問題を理解する ③ 理解したらカードに解法の手順を要約カードとしてまとめる ④ 要約カードの手順を暗記し、見なくてもその手順が再現できるようにする ⑤ 要約カードを見ずに計算を含め問題をもう一度解いてみて、完答できたら次の問題へ ※完答できなければできるまで何度でもやり直す ⑥ 翌日の勉強始めに前日に記入した要約カードを復習する ⑦ 毎週日曜日に要約カードに書いた問題を復習する ⑧ 月末に要約カードに書いた問題を実際に解く |
プロセス要約法はできなかった問題に出会って、その問題を理解してから使っていきます。間違えた問題を理解してから解法手順を明確にし、それを要約カード化します。この「解答を手順として認識する力を養い」と「何も見ずに自力で正解できるまで解けるようにする」ことで数学物理化学の力は上昇できます。さらに要点カードにすることで、理系科目にある復習頻度が少ないという問題点を改善し、復習効率を高めていきます。
プロセス要約法のメリット
(1) 同じ問題が間違えにくくなる
「理解できた」ではなく、「解答できた」までやることで、同じ問題に出会った際に間違えにくくなる。
(2) パターン化できる
問題を解くときには、自分の知っているパターンを組み合わせて使っているので、そのパターンを明確にすることで類題に出会った際もひらめきやすくなる。
(3) 実は理解できていなかったを防ぐことができる
視覚化することで理解していたつもりがなくなる。本当に理解できていないと手順は作れないし、何も見ずに解答を再現することはできない。
(4) 復習効率が上がる
問題をすべて解かなくても解答の手順が頭に浮かんだらその問題は計算ミスしなければ正解できる。
プロセス要約法の手順
① 問題を解く
計算だけではなく「よって」や「①の式より」などきちんと記述式で書きましょう。数式を並べただけの答案は答案とは呼べません。解説のような解答を出せるようにしていきましょう。
② できなかった問題を理解する
丸付けをするだけでなく、自分の解答と模範解答のどこがどう違うのかを確認します。「なぜこの式変形をするのか」「なぜこの場合分けをするのか」など、一つ一つの操作の意味を理解してください。理解ができないものは学校の先生に質問か、塾・予備校での授業や質問で解消するようにしましょう。理解度別マーク法で◯(解説載っている理屈や暗記事項を抑えながら正答を導き出せた)以外の△✕?をつけたものは理解できるように時間を使いましょう。
③ 解法の手順を要約カードとしてまとめる
解けなかった問題は、解説をみたり、先生に質問して自分の中で理解できたと思っても、実は理解できていない箇所があり、あとで解こうと思うと解けないということも多々あります。そのため、質問したその場で、要約カードを作って、それが作れなかったら再度質問するようにしていきましょう。質問することは恥ずかしいことではありません。その問題ができないまま過ぎてしまうことの方が自分にとってのダメージは遥かに大きいです。理解するまで何度でも質問していきましょう。
解けなかった問題が理解できたら、次にその問題の解法手順をカードにまとめていきます。解説をそのまま書くわけではありません。解法手順を自分の理解できる数の手順に自分の言葉でまとめていきます。
要約カードの例
※以下問題「チャート式基礎からの数学I+A(数研出版)」より引用
基本例題79 aは定数とする。0≦x≦4における関数f(x)=x²−2ax+3aについて次のものを求めよ。 ⑴ 最大値 ⑵ 最小値 |
基本例題48 袋Aには赤玉3個と青玉2個、袋Bには赤玉7個と青玉3個が入っている。 ⑴ 袋Aから1個、袋Bから2個の玉を取り出すとき、玉の色が全て同じである確率を求めよ。 ⑵ 袋Aに白玉1個を加える。袋Aから玉を1個取り出し、色を確認した後、もとに戻す。これを3回繰り返すとき、すべての色の玉が出る確率を求めよ。 |
基本例題197 点(2, -2)から、曲線y=1/3x³-xに引いた接線の方程式を求めよ。 |
基本例題111 奇数の数列を1|3 , 5|7 , 9 , 11|13 , 15 , 17, 19|21 , ……のように、、第n群がn個の数を含むように分けるとき ⑴ 第n群の最初の奇数を求めよ。 ⑵ 第n群の総和を求めよ。 ⑶ 301は第何群の群の何番目に並ぶ数か。 |
要約カード作り方
ⅰ) ルーズリーフを縦横に1回ずつ折り4等分に切る
この要約カードは多くのカードを使うことになります。さらに追加で作成していくものでもあるので、身近なもので作成するのが良いです。そのため、ルーズリーフを活用することを推奨しています。ルーズリーフを縦に1回、横に1回折って、4等分に切りましょう。その1枚につき大問1題(小問は同じ紙に書いても良い)を書いていきます。
ⅱ) 問題文は書かない
問題集を開きながらの勉強をベースにするため、問題文を書く必要はありません。よくある表に問題、裏に解答というフラッシュカードを作るわけではありません。裏面には何も書きません。参考書ごとにまとめるため、参考書名は書かず、参考書の問題番号(問題番号だと判断がつきづらいものはページ数など)を書きましょう。
ⅲ) 計算や式ではなく文で書く
解答を丸暗記しても力の大幅な上昇は見込めません。自分が行っている操作や手順の意味を理解できるように文で手順を書きましょう。グラフや式は書かないようにしましょう。またこの勉強法は計算ができることを前提にします。手順を理解していくことに重点を置くため、余計な情報はなるべく排除します。計算は要約カードに書かないようにしましょう。
ⅳ) 自分が作った要約カードを見て理解できるギリギリの内容まで削る
理解した手順はそのまますべて書くのではなく、なるべく手順を減らしていきましょう。上級者は1つ手順を踏むと、それに応じて次の手順まで芋づる式に見えるようになっていくため、上級者ほどこの手順が少なくなります。複雑な問題ほど手順は増えますが、基本は手順は5つに抑えるつもりで取り組んでください。増えすぎると手順の再現の際に時間がかかる、再現できなくなるというデメリットがあります。しかし、少なくしすぎて自分が復習したときに、思い出せないものでは意味がありません。理想は理解できるギリギリの手数に抑えることです。一度書いてみて、この手順はいらないなと思ったら削っていってみましょう。この作業をしているときにも頭の中でその問題が整頓されていきます。その際に自分が暗記しておきたい公式や内容はメモで残すようにしましょう。はじめは1つ作るのに時間もかかり苦労すると思います。でも継続していくことで、徐々に早く、手順を少なく表現できるようになります。
ⅴ) 解法の手順は解説を見ずに書く。できない時はもう一度解説を見て、再度覚えてから書く。
要約カードに解法の手順を書くときは解説を見ずに書きましょう。書き写すのではなく、自分でその手順を思い出すことに意味があるので、ここでは見ないようにしてください。まだ定着していないため、見ずにかけない場合もあると思います。そのときは解説を再度見て、理解し、カードに書くときは解説は見ないようにしてください。
ⅵ) 手順はローマ数字
手順は(1)①だと問題集と被ってしまい混乱するので、ローマ数字の小文字を推奨する。
ローマ数字
ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅴ、ⅵ、ⅶ、ⅷ、ⅸ、ⅹ
ⅶ) 手順が思いつかないときは解答を逆から読む
慣れるまで解法手順がうまく出せないという人もいるでしょう。その場合は、解説の最後からみていき、この行になるためには前の行からなにをやっているかを逆に考えていくと良いです。
④ 手順を暗記し、見なくてもその手順が再現できるようにする
要約カードを裏面の白紙にして、問題を見て同じ解法手順がでるようになるまで、何度も確認しましょう。ここまでで、冒頭でお伝えした「解答を手順として認識する力」が身についています。ここから「何も見ずに自力で正解できるまで解けるようにする」ことをしていきます。
⑤ もう一度計算を含め解いてみて、完答できたら次の問題へ
今までは「理解できる状態」になっています。それを「解答できる」状態にしていくために、実際にもう一度計算も含めて問題を解きます。これで完答できれば次の問題へと進んでください。それを繰り返し、その日の勉強範囲を終えたら、その日の勉強は完了です。
ⅰ)問題集の解説や要約カードを見ずに解く。
ⅱ)解説を確認して解く過程で抜け漏れがないか確認する。
「〜より」や「◯◯をAと置く」などの文言もきちんと書く。
ⅲ) 手順で抜けているものは要約カードに書き加えてもう一度暗記し直して問題を解く。
※完答の基準
模範解答と一言一句同じである必要はないが
・「〜より」や「すなわち」などがきちんと書かれている
・手順に抜け漏れがない
・答えが合っている
を満たすこと。不安な場合は学校の先生に質問や、塾・予備校での授業や質問で解消する。
※ 完答できなかった場合
解説を見て④に戻り、完答できるまで④⑤を繰り返す
復習の手順
⑥ 翌日の勉強始めに前日に記入した要約カードを復習する
理系科目が復習回数が増やしづらいことをお伝えしたように、前日、カード化した問題が翌日に復習することで、その問題に触れる経験値を増やし、定着させていきます。実際に解くのではなく、解答の手順だけ頭の中で復習しましょう。カードを見ずに手順を全て言えたら復習終了です。
⑦ 毎週日曜日に要約カードに書いた問題を復習する
日曜日にその週に作成した要点カードの問題を復習します。ここでは計算やグラフも書いてもう一度解き直します。ここで解けた問題の要約カードは捨ててしまいましょう。参考書を2周、3周と進んでいくうちに自分の思考力も上昇し、よりその時の自分に最適な手順へとなっていきます。解けなかった問題は翌週に持ち越して、解けるまで繰り返しましょう。
プロセス要約法の注意点
計算ミス
計算を省略することが多いため、計算ミスが多い人は別の方法で計算ミスを減らす努力が必要です。計算ミスが多い状態でこの方法に入ってしまうと、計算機会を減らしてしまうので、注意が必要です。
思考力と最難関大学を目指す人へ
思考力
数学や物理を解く際に「思考力」が必要だとよく言われると思います。思考力とははすでに知っている知識を使って推論していく能力のことだと思います。難問が解ける人はいきなり解法がひらめくのではなく、このやり方でできない、このやり方はどうかと試行錯誤して正解へと近づいていきます。すなわち「思考力=試行できる力」であると考えることができるでしょう。
ただ、入試の多くは典型問題なので、まずは理解型暗記で解法パターンを覚えてから、試行のステージに移行する必要があります。その際に、ただただ解法を丸暗記していては使える知識にはなりません。なぜそうなるのか?と一つ一つの操作を理解していく必要があります。
試行ステージへの移行(最難関大学の問題が解ける人の頭の中)
最難関大学になると見たことのないパターンの問題が出題されます。数学や物理が得意な人は問題を読んで解法がひらめいているのだと思うかもしれませんが、そんなことはありません。また、「人よりも解法パターンをたくさん身につけていてそれらを組み合わせて解いている、解法パターンの量が圧倒的に多いのだ」と思っているかもしれませんが、それもまた違います。
もちろん、典型問題の解法パターンは頭に入っていますが、見たことのないパターンに出会ったときに「この問題はこの解法とこの解法を組み合わせて解くんだ!」と考えて解いているわけではありません。
知らない知識は使えないので、結果的には知っている解法パターンを使っていますが、解いている最中の思考回路は自分の知っている解法パターンの中から解法を選んでいるわけではありません。たくさん手を動かして試行錯誤して正解に辿り着けそうな道を探り、一歩一歩進んでいきます。
解けそうな解法を見つけるというよりも、問題文や与えられた式を基に、それらを変形したり変換したりして計算や手順を進めていけそうなところを見つけ、それを進めていたら正解にたどり着いた!といった感じだと思ってください。
真っ暗な迷路を歩いている姿をイメージするとよいでしょう。手探りで行けそうな道を探して進んでいきます。ところどころ行き止まりで戻って、違う道を進んでまた行き止まりで戻って、、、ということを繰り返していきます。そうしてどうにかゴールへとたどり着きます。この時、自分が今進んでいる道が正解なのかどうかはわからないはずです。進めそうだから進んでみて、行き止まりだったら結果的に不正解の道、ゴールにたどり着けば結果的に正解の道になります。迷路をクリアした後、上から迷路の全体像を見れば正解のルートはこれだとすぐにわかったとしても、迷路を進んでいるその時にはわからないと思います。難問を解いている時も同じだと思ってください。試行錯誤して解けなければ結果的に正しくない解法、解ければ結果的に正しい解法です。解説を読めば知っている解法パターンの組み合わせだとわかりますが、解いているその時には解法パターンを組み合わせているわけではありません。問題文や与えられた式を基に試行錯誤しています。
つまり、典型問題の解法パターンを身につけた後は、実際に手を動かしてたくさん試行していくことが高みに登るためには重要になります。
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