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現代文の具体的な勉強法−現代文勉強法②


※現代文の要素の勉強を始める前に

具体的な志望校が決まっている場合はまず過去問分析を行いましょうそもそも小説は出るのか、何題構成で設問形式はどうなっているのか、どのような内容のものが出題されるのか(学科に関連したテーマのものが良く出典されているのか等)を先に調べ、方針を定めておくことで無駄なく学習を進める事が出来ます。

 

現代文の全体的な勉強の流れ

以下が大まかな流れになります。目指す大学のレベルや問題出題傾向によって省くところが出てくるでしょう。

現代文とは−大学受験の現代文勉強法①

【日東駒専産近甲龍・共通テストレベルまで】

 

①語彙力(漢字)

②科目理解

③読解力・解答力養成(インプット)

④読解力・解答力養成(アウトプットLv.1)

⑤テーマ力+語彙力(キーワード)

⑥過去問演習

 

時間がなければ⑤は省きましょう。

【MARCH関関同立・中堅国公立レベル】

 

①語彙力(漢字)

②科目理解

③読解力・解答力養成(インプット)

④読解力・解答力養成(アウトプットLv.1)

⑤テーマ力+語彙力(キーワード)

⑥読解力・解答力養成(アウトプットLv.2)

⑦過去問演習

 

過去問の傾向から記述対策が必要であれば⑥と⑦の間で実施しましょう。

 

【早慶・難関国公立レベル】

 

①漢字

③科目理解

④読解力・解答力養成(インプット)

⑤読解力・解答力養成(アウトプットLv.1)

⑥テーマ力+語彙力(キーワード)

⑦読解力・解答力養成(アウトプットLv.2)

⑧読解力・解答力養成(アウトプットLv.3)

⑨記述対策

⑩過去問演習

 

各段階の勉強について

【語彙力(漢字)】

漢字が試験で問われない場合

語彙力が少ない人、漢字を読むことが日頃から苦手と感じる人は現代文の勉強はここから始めましょう。

漢字が読めることとその漢字の意味がわかることをここのゴールだと捉えましょう。ですので、漢字の意味まで記載してある参考書を選ぶのが理想です。そうじゃないものを使用する場合も必ず意味を調べましょう。取り掛かる前に、まず一通りテストを行って意味も読みも答えられたもの(書きは意味のみ)には丸をつけます。丸のつかなかったものだけを回転率を意識してできるだけ周回を行ってください。

 

漢字が問題として問われる場合

この場合も漢字からのスタートです。書きも読みもそれぞれの言葉の意味も覚えましょう。

漢字学習で一番効率的なのは手を動かして覚えることです。音読しながら書いて覚えましょう。ただし、書くのは3回程度に抑えてください。書くという作業が加わると、作業的になりすぎてただ手を動かすだけになってしまうことがよくあります。

 何回か書いたら時間を置いて、もう一度書けるか復習し、書けなかったら同様の手順を繰り返す…このように、音や意味を意識しながら反復を重視することで、効率よく学習できます。

 

【科目理解】

現代文ではどのような力が必要となるのか。その力を付けるにはどういったことを意識するべきなのか。そもそも論説、小説とは何が違うのか。具体?抽象?対比?とは。などの事柄を学びましょう。読み方・解き方のインプットを狙いを持って効率的に学習するための橋渡しとして学習します。これからどのような学習をするのか、意識づけを行いましょう。

【読解力・解答力養成 インプット】

 現代文の得点が全く伸びない、もしくは安定しないという人はこの段階での学習が足りていないことが非常に多くなっています。問題文を曖昧な理解のまま読み進め、「選択肢を感覚で選んでしまっている」といった段階を打破するために必ず踏む必要のある段階です。論理展開を理解したうえで読み進め、根拠をもって選択することが出来れば得点は飛躍的に安定するはずです。

 

具体的には「最強の現代文」などの現代文のノウハウ本などでしっかり正しく”読み方と解き方”を学習することが勉強法になります。あくまでもここは知識のインプットですので、読解力や解答力が完全に身につくのはこの後登場する【読解力・解答力養成 アウトプットLv.1〜Lv.3】での問題演習の流れを実践し続けた先です。演習の中で読み方や解き方の知識を忘れてしまったり、意識ができていないと感じた時には必ずここに戻ってきましょう。繰り返し伝えます。正しく読めることが得点力の鍵です

 

【読解力・解答力養成 アウトプットLv.1~Lv.3】

 インプットによって獲得した読み方と解き方を完全に自分のものとする段階です。習得する読み方と解き方のレベルにあった文章を題材にした演習をしましょう。

現代文の利用が共通テストのみの生徒や志望校が日東駒専レベルの大学群の生徒はLv.1、MARCHや中堅国公立レベルの生徒はLv.2、早慶や難関国公立レベルの生徒はLv.3を想定しています。レベルが上がるにつれ、問題文も設問もより難解なものになっていくもの。先ほども触れましたが、演習として問題を解いた後がとにかく大事です。読み方と解き方についてインプットしたものを1題1題の丁寧な演習をすることにより適切にアウトプットできるようになりましょう。現代文は決して、多くの問題を闇雲にこなすことで自然と学力が向上するような科目ではありません。勉強法①にも記載があったような「質>量」という優先順位の意識をしっかり持って取り組みましょう。

 

問題演習の流れの具体例

1,本文を読んで設問を解く


読み方・解き方のインプットで学んだ逆接の記号など(ディスコースマーカー)をしっかり振りながら本文を読み進めます。設問を解くときには、選択肢を読む前に設問文を読んだ時点で答えの根拠となる文に線を引いてから選択肢を確認するようにしましょう。というのは、選択肢を先に読んでしまうと、そこを頼りに根拠を探す癖がついてしまうからです。また、選択肢の先読みは、記述式の設問に対応できない原因、巧妙な選択肢に惑わされてしまい全く得点できない原因になりかねません。これらのことを踏まえて、選択肢を読む前に自分の解答をある程度用意して選択肢を読むようにしましょう。丸付けまでこの段階では行ってしまいます。

 

2,音読+語句調べ+意味段落ごとの要約 


①本文を音読をしましょう。意味が分からない言葉、漢字を浮き彫りにするために行います。また音読と同じペースで本文の読解を進めるという意識を刷り込むという目的もあります。

②意味のわからなかった語句や読めなかった漢字をしっかり辞書などで確認し、暗記するかメモしておくかしましょう。

③意味段落ごとの要約をしましょう。まずは本文を意味段落ごとに区切るという事が可能か確認します。要約という作業は文章から筆者の意見を見つけ自分なりの言葉で表現するという作業です。これを意味段落ごとに行う事で筆者がその意味段落で言いたいことが見えてきます。この意味段落ごとの要約(筆者の言いたいこと)をつなぎ合わせることで、何故筆者はここでこう言うのか、何故この例を出したのかということが見えてくるでしょう。論理展開を分かりやすく追い、文章を立体的に読む力を付けるのに要約は非常に大切な工程です。

 

3,本文解説を読む+ディスコースマーカーの修正

 

本文解説を読み、自分が重要だと思っていた箇所、根拠だと思っていた箇所が正しそうかを考えましょう。また文章の論理構造(例:並列とか対比とか抽象具体とか)を把握してください。誤った問題に関しても、どのように読み解けば根拠にたどり着くことができたのか、自分のディスコースマーカーの振り方は正しかったのかということを細部まで確認するようにしましょう。そのためにも本文解説が充実している参考書や授業を勉強に使用されることをおすすめします。

 

4,根拠の修正+設問の解きなおし

 

根拠だと思っていた箇所を捉え違えていた場合は根拠と思われる場所の修正をした上で、もう一度設問に向き合い、正解の選択肢やどのように記述したら良いかなどについてもう一度吟味してみてください。

 

5,設問解説を読む

 

「読解力・解答力養成 アウトプット」と同様、復習をしっかり行いましょう。どうしてその選択肢や記述内容になるのかという根拠を正しく捉えることができたか、またその設問に正解ができたのかを確認しましょう。

 

【テーマ力+語彙力(キーワード)】

 どの参考書を使うかによりますが、具体的にどのように使われるのか(例文)やイメージ(イラスト)を大切にしながら覚えましょう。理想は、キーワードがテーマごとに分けられているもので、同時にテーマ力を身につけられる参考書ということになります。だからといってそうじゃない参考書を使う際に、キーワードをわざわざテーマ毎に振り分けることまでする必要はありません。日東駒専、共通テストレベルで高得点を狙う人、MARCH関関同立以上を志望する人は、ここの【テーマ力+語彙力(キーワード)】の過程を通るべきです。

 

【記述対策】

MARCH関関同立以上を志す人で記述問題が出題される人は実施しましょう。

ここではどのような参考書を扱うにしても一貫して必要な意識をいくつか紹介します。

①記述問題を解く前

 まずは本文中から根拠を探すことを行いましょう。基本的な作業はマーク式の演習とほぼ同一です。ここで躓かないために、先述した通りマーク式の設問であっても自分の答案を作ることが大切です。

 

②解答のフレームを意識

 「どういうことか。」「何故か。」という問いにはそれぞれ「~ということ。」「~から。」という形で答えることが大切です。ただ文末表現に気を付けるという話ではなく、設問に過不足なく答えることが大切です。そのためのフレームを知り、意識しながら答案作成を行えればより素早く正確に行えるようになるでしょう。

 例えば、「どういうことか」の内容説明問題では対立構造が問われることが多いため、「Aは~であるがBは・・・である。」や「Aは~のみなのに対し、Bは加えて・・・でもある。」といった回答となります。

 一方「何故か」の理由説明問題は本文中の論理の飛躍を補う意識を持つとよいでしょう。傍線部が「AはBということである。」であれば、本文中から根拠を見つけ出し「Aは~であるからB」という因果関係を導ければ正解できます。これらは小説でも同様であり、心情説明問題では心情(結果)の要因は何なのか、因果を見つけ出す事が重要です。

 これらの知識は記述入門系の参考書で得るか、長文系の参考書で演習を積む事で養っていくことが出来ます。これらを通してしっかりとした記述の”型”を身につけてください。

 

③復習を行う

 記述式も当然復習が重要であり本文解説、設問解説を読み自分がどの段階(設問の意図を読み違えていたのか、根拠づけの部分を見誤ったのか)の確認を必ず行い原因究明を行いましょう。

 

Q&A

Q.演習量は重要ですか?

A.優先事項は量より質になります。ただ数をこなすだけで成績が上がるほど現代文という科目は単純ではありません。上記で紹介してきたような1題を質高く学習すること(特に問題を解いた後のアプローチ)が出来ていなければ、成績はいくら問題を解いても安定しないでしょう。1題1題を質高く学習したうえで問題数を積み重ねることが成績の安定に必要なことです。

 

Q.小論文のようにキーワードなどを先に入れてテーマ理解を先にする意味はありますか?

A.ある程度難易度の高い文章に対応していく必要がある場合、キーワードを学習してテーマ理解をしておくことは大いに意味があることです。現代文には、頻繁に使われるが意味が難しいキーワードやセット(対比など)で使われることが多いキーワードなど、学習しておいて損のないキーワードが存在します。例えば、対になってよく出てくるキーワードとして、「形而上」と「形而下」というキーワードが存在しますが、対比の文脈でこれらのキーワードが出てきたとき、意味を知っていれば説明されている対象の特徴を掴みやすくなり大きなアドバンテージになりますが、知らないとなんとなくで読み流してしまうのです。

 

Q.1日1題のように1日のうちに何時間もやらないほうがいいですか?

A.現代文が現状どれくらいの実力で、どれくらいの得点を取れるようになりたいのかによりますが、基本的に1日1題を目標にするとよいでしょう。1日に量をこなすよりは、解いた1題をしっかり復習する方を優先すべきです。また受験生は勉強しなければいけない科目が他にもあるので、現代文よりも継続的な勉強が必要な英語や数学に時間をかけるほうが受験戦略的に効果的です。

 

Q.現代文の学習は継続的にやるべきでしょうか?短期間にまとめて学習しても大丈夫ですか?

A.比較的消化に時間がかかる科目であるため短期集中で演習を行うのは他の科目を考えた上でもあまり好ましくありません。他の暗記教科などとは違い徐々に結果が出ていく科目なので継続的な努力が必要です。また演習量の目安ですが、生徒によって受験における現代文の重要度合いが異なるため一概には言えなくなっております。しかし一つのルートとしては夏頃からは読解に取り組んでいくのが理想的であり、足を引っ張らない(最低限得点する)レベルであれば週1題、受験者平均で週2~3題、得点源にしようと思えば週3~4題のペースで演習時間を確保するようにしましょう。

 

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