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現代文とは−大学受験の現代文勉強法①


現代文の特徴

みなさんは現代文という教科にどのようなイメージを持っていますか?

 

・勉強しても点数が伸びない

・結局センスだから勉強しても意味がない

・母国語だから読めばわかるはず

・答えに納得できない      …………

 

 一貫して、「何のために」「どのように」勉強したら良いのかわからないというイメージがあるのではないでしょうか。

 

現代文を学習するのは「何のため」?

 

 「論理的思考能力」を養うためです。

 つまり、現代文は「考える力」を学ぶ教科といえます。言葉の意味や参考書の内容を覚えるだけでは現代文の力は伸びません。故に、「点数が伸びづらい」と言われてしまうのです。厄介なことに、現代文は日本語で学びます。当たり前ですが、母国語で学ぶのが一番わかりやすいからです。ただ、日本語で学んでいるがゆえに、「わかったつもり」になってしまうことが多いのも事実です。「母国語だから勉強しなくてもいい」などと思わずに、ぜひ新しい気持ちで現代文に取り組んでもらえたらと思います。

 

現代文は「どのように」学習するべき?

 

 それでは、「論理的思考能力」を養う——現代文の力をつけるためには「どのように」学習したら良いのでしょうか?

 

①現代文の試験の仕組み

 

 現代文の試験では、主に「文章を正しく理解できるか」で「論理的思考能力」を測ります。

 少し例をみてみましょう。

 次のような問題があった時、受験生A・受験生B・受験生C の誰が正解でしょうか?

 もちろん、受験生Bです。受験生Aも受験生Cも自分の主観に基づいて解答しており、筆者が言っていないことを答えているからです。

 大学側は受験生の意見をききたいのではなく、「筆者は何を言っているのか」——文章を正しく理解できているかききたいのです。

 何かに対して自分の意見を持つためには、相手の言っていることを理解しなければなりません。読解問題は、自分の主張をする(論説問題など)の前段階の能力を測っています。

 読解問題を解くときは、受験生Aさん、受験生Cさんのように、自分の主張や飛躍した推測を根拠に答えないでください。答えとその根拠は、筆者の書いた本文中に必ず示されています!

 

②筆者の言いたいこと(=主張)を正しく理解するために

 

 具体的にはどうやって筆者の主張を読み取っていけば良いのでしょうか?

 

 その答えはズバリ、文章の構造を整理することです。

 

 ただ「みんなバナナを食べて!」と言うだけでは、読者は筆者の言うことに納得しません。

 

 そのため筆者は、「なぜ」「何と比べて」など、説得力をもたせる要素を増やしていきます。

 だから複雑な文章構造になってしまうのです。

 しかし裏を返せば、この複雑な文章構造を整理して、筆者の言いたいこと——「みんなバナナを食べて!」という主張を見つけ出しさえすればよいということです。現代文の参考書や授業などで言われる「解法」とは、文章構造を整理するテクニックのことです。よって、現代文の学習では文章構造を整理するテクニックを主に身につけていくことになります。

 

③現代文学習のポイント

 

1.まずは 復習 を重視する

 

 いざ勉強を始めようとする時、いきなり問題集をたくさん解く受験生がいますが、その方法では成績は上がらないでしょう。まずは「読み方・解き方」を身につけるために、復習を重視した勉強をしてください。多くの受験生はこの段階を飛ばして量をこなそうとするので、いくら勉強しても点数が安定せずに終わってしまいます。

 

 ・解答の根拠は文章中のどこにあるか?

 ・なぜそれが根拠になるのか?

 ・論理的なつながりを説明できるか?

 ・なぜ間違えてしまったのか?

 

 復習すなわち、上記のような疑問を深く考えること、をしてから次の問題に進みましょう。本当にきちんと説明できるか、試してみましょう。

 

2.継続的に文章にふれることが重要

 

 論理的な文章に触れてない時間が長くなると、「論理的思考能力」は落ちていきます。早くから継続的に文章に触れ続けることが理想です。現代文で養われる「論理的思考力」や「読解力」、「要約力」などというのはあらゆる科目で必要とされる場面が見られるため、他科目との勉強と並行して行えることがベストです。短期集中的に学習する場合は、受験勉強終盤に演習の時期を持って行くことを心掛けましょう。読解演習をピークに行っていて「論理的思考力」が最大値の瞬間に受験期に突入するためです。

 

3.どんなに難しくなっても答えは本文の中にある!

 

 「難しい」と感じる文章は、文章構造が複雑であるか、知らない言葉が多いか、その二択です。先ほども述べましたが、読解問題の答えは必ず、根拠とともに本文に書いてあります。これを忘れずに根気よく学習していきましょう。

 

現代文の要素

現代文は

⑴科目理解力 

⑵語彙力 

⑶読解力 

⑷解答力 

⑸テーマ力 

の5つの要素から構成されています。

 

⑴科目理解力

そもそも現代文とは何か、どうして必要なのか、何を受験では問われるのか、どのようなことを意識して勉強すべきなのかに対しての理解度のことです。

 

現代文は我々が元々日本人であるがために軽率に扱ってしまったり、受験に対して特別な意識を持たずなんとなく勉強してしまいがちな科目です。評論、小説の違いとは何なのか。論理構造(対比、起承転結等)とは何なのか。こういった、現代文における読解力や解答力を養うために必要な知識や意識を、現代文の学習を本格的に始める前にしっかり身に付けましょう。

 

⑵語彙力

 語彙力には、以下の2つの段階があります。

 

①知らないと文章が読めない。

②知っていると文章の理解の助けになる。

 

 まず、①についてです。

 この文章を、皆さんはどの程度理解できますか?

 これはある評論文を抜粋した問題文から、最後の段落をさらに抜粋したものであるため、もちろん理解し難い部分があって当然です。

 しかし、「自発的」「能動性」「自律性」といった語彙は、この段落で初めて登場します。これらの言葉を知らなければ、内容を深く理解できません。このレベルの単語であれば、知っていることが前提になります。

 

 次に、②についてです。

 この文章は、問題文の第2段落目を抜粋したものです。現代の科学技術のどのような現状が批判されているかわかりますか?

 「自然哲学」とは、自然の本性(「なぜ雨が降るのか」など)を神話によって説明するのではなく、合理的に探求しようとした哲学のことです(参考:田中正人『哲学用語図鑑』)。つまり、現代の科学技術は、合理的に自然の原理を説明しようとする性格(自然哲学的性格)を失い、先進国の利益のための単なる装置になってしまっているというのです。

 このことがわかれば、利用するだけの科学を求める考えが加速している現状に対して、世の中はどのような態度をとってきたか、そして筆者はどのように考えているか、という流れに繋がっていきそうだと予想できます。

 

 現代文の重要語彙に関する参考書の多くでは、このように重要な概念を表す語彙(「グローバリゼーション」「ジェンダー」「新自由主義」など)も紹介しています。語彙の意味だけではなく、その概念に対してどのような議論がなされてきたか(例えば「グローバリゼーション」はこれからも続くべきか、など)を知っておくことも重要です。語彙が出てきた際、筆者の意見や立場をより理解しながら読むことができ、非常に読解の助けになります。目指す大学レベルや問題出題傾向によっても必要とされる学習度合いは変わってきますが、とても大切な要素です。

 

⑶読解力

 読解力とは、論理構造や文章の構造に即して内容を理解する力のことです。大学受験において最も大切な要素といえます。読解力は構造に基づいて読み解くので、筆者が本文で言おうとしていることを自分の考えと混ぜることなく理解することができます。

 

上記の文章を読んでみましょう。

 もしあなたが「妖怪?全部フィクションじゃん!なんでわざわざ『フィクションとしての妖怪』っていうの?」と思っていたとしても、構造を読み解くことで、筆者のいう「フィクションとしての妖怪」とは何かを理解することができます。

 例えばこの文章でキーになるのは「確かに」「しかし」「つまり」といった接続詞です。

 まず、「つまり」という接続詞は、前の内容をまとめる時に使われます。「つまり」から始まる一文がこの段落をまとめた重要な一文であることがわかります。

 次に、前の二文に着目してみましょう。「確かに・・・しかし・・・」という言い方は、一般論や想定される反論(「確かに」以降)に対する筆者の主張(「しかし」以降)を述べる際に使われます。これを踏まえてみてみると、筆者は「妖怪ってもの自体は古くからあるように思えるだろう?確かにそうだ。でも、昔は妖怪をフィクションとして捉えていなかったんだ!近世中期から妖怪を『フィクション』として捉える作品が出てきたんだ!今僕たちは妖怪をフィクションとして捉えているけど、この見方は歴史性を帯びた考え方なんだ。」と言いたいわけです。

 

 さらっと読んだだけではわからなくても、このように構造に注目すれば読み解くことができるのです。

 

⑷解答力

 解答力とは、本文読解を踏まえて理解したことを大学側の問いに合わせて答える力のことです。

 

 もちろん、解答力が正しく発揮されるには読解力が前提となります。しかし、受験生は「筆者の作った問い」ではなく「大学側の作った問い」に答える必要があります。本文で述べられていることを、論理構造は変えずに言い換える(もしくはその言い換え方が正しいか判断する)力がなければ正しい解答には辿り着かないのです。

 

 実際の問題でみてみましょう。

 上記の問題の解答根拠は以下のピンク線の箇所になります。(読解の話になってしまうので、詳しい解説は割愛します。)これを踏まえて、もう一度問題の選択肢をみてみましょう。

 

 解答の根拠となる箇所がわかっていても、どれがピタリと言い換えられている選択肢なのか、吟味する必要があることがわかります。

 このように、選択問題では「解答根拠が正しく言い換えられているものはどれか判断する」、記述問題では「解答根拠を自分で正しく言い換える」力が解答力になります。

 

⑸テーマ力

 

自分のテリトリーで内で話が展開されることで内容が掴みやすくなったり、展開や結論が予想しやすくなる力のことです。

 

具体的にいえば、評論においてどれだけその分野の背景知識を持っているかという力です。評論にはテーマがあり、哲学、美術、環境問題、経済等その分野は多岐にわたります。それぞれの分野において簡単な理解があると無いとでは読み易さに大きな差が出てきます。一歩アドバンテージを得るための学習です。

 

現代文のよくある質問

Q. 何から勉強を始めたらいいですか?

A.まずは自分にどの要素が足りていないかを分析してみてください。

科目理解力が足りない場合

 恐らく、参考書や模試の解説を読んでも意味が分からなかったり、イマイチ納得しきれない状態にあるはずです。大学受験における現代文が小学校・中学校の国語と大きく異なるのは論理構造という仕組みをしっかりと理解しなければならない点です。そのため解説でもこの論理構造を中心に説かれているはずです。この解説を理解するには当然論理構造に関する知識がある程度は必要となるわけです。対比、並列、具体に抽象。最低でもこれらの言葉は理解し、具体例をぱっと作文出来る程度に自分のものにしてしまいましょう。基礎レベルとされている現代文参考書にはこれらを詳しく扱うパートが含まれている事も多いのでそちらを活用するのも手です。なんとなく現代文を始めて、やたらめったら演習を積むだけというような勉強に終始しないように現代文という科目の全体像を掴みましょう。

語彙力が足りない場合

 恐らく、取り組みたいレベルの文章に対してわからない語句が多すぎて進まない状態にあるはずです。(逆にそこまでではない場合、語彙力が欠けているとしても他の部分に問題があるはずです。語句の学習に並行して他の要素を重点的に補いましょう。)漢字の参考書を軽く流し読みして、意味がわからない言葉がどれくらいあるか見てみましょう。半分ほどしかわからなかったら要注意です。8~9割はわかるという状態でなければ必ず他のものを併せて学習・復習してください。

読解力が足りない場合

 恐らく、読めたと思ったのに解けない、途中でわからなくなる、という状態にあるはずです。(自分は正しく読解できていると思っている人でも、現代文の点数が伸び悩んでいる人の多くはここに問題があります。)どのようなレベルでも、まずは解法の参考書をしっかりマスターするところから始めましょう。解説の少ない過去問や問題演習で伸びる人はほとんどいません。テクニックとして暗記するのではなく、文章を客観的に読む(問題の出題者の解釈を汲む)ことを意識して学習していきましょう。

解答力が足りない場合

 恐らく、本文の読解が出来ていても、設問を解く技術が身についていないがために問題文の書き表し方と選択肢の文章の書き表し方のギャップに苦しんで、誤った選択肢を選んでしまっている状況にあるはずです。当たり前ですが、現代文の問題の作問者は問題文にある文章をそっくりそのまま選択肢にコピペするはずがありません。本文とは異なる言い表し方で正解の選択肢を作ることがほとんどです。逆に、ひっかけの選択肢には、本文にある表現の仕方を使ってはいるが、設問の趣旨に対する答えになっていない選択肢や、常識的には正しいが、本文で言及されていない選択肢、「常に」や「絶対」という言葉を使用しているがために”言い過ぎ”ている選択肢など、いくつかの典型的なパターンがあるのです。このような選択肢の作られ方を理解しているだけで、設問を解くときにひっかけの選択肢に気づきやすくなります。

また、同じ傍線部問題でも、設問が「なぜ」問題であるのか、「どういうことか」問題であるのかによって、アプローチの仕方は全く異なります。

このように、現代文は本文の読解が出来ても、設問へアプローチする技術が身についていなければ、正しい解答を導き出せない教科です。正しい設問へのアプローチの仕方は、解法について詳しく説明された参考書で学ぶことができます。

テーマ力が足りない場合

 恐らく、ある程度現代文の学習も進んだのに、文章によって点が安定しなかったり、曖昧な理解のまま読み進んでしまう、といった状態にあるはずです。テーマ力とは極端な言い方をすれば雑学や教養に近いものです。例えばある哲学者についての論説が問題文であったとき、その人物の思想について予め知っている場合と知らない場合では明らかに前者が有利です。勿論問題文中で一つも説明がないことはあり得ませんが、その思想を理解するのにある程度時間を取られます。難関になればなるほど尚更です。しかしここで問題なのはテーマ力をどれだけ身に付けたといえ実際に高得点に繋がるかは運という事です。途方もない量の情報の中から幾つかを選ぶ訳ですから、10時間勉強してその分野が出ない人もいれば10分でドンピシャが出る人も居ます。そのためテーマ力単体に勉強時間を割くのは得策ではありません。ではテーマ力はどのように付けていくのが良いのか、まずは現代文単語の勉強によって知識、語彙を付けましょう。語彙力パートでもやりましたが、最近は有名な思想等は概要を載せてくれているものも多いです。または長文演習の中で実践を積み身に付けていく方法です。初めて出会った分野の問題は解説を読んだ際にまるっと理解する。時間があれば追加で調べてみるといった方法で着実にテリトリーを広げていきましょう。

 

Q. 問題文を先に読んだほうがいいですか?

A.先に読んでも構いませんが、利点や注意点を理解したうえで自分に合った解き方を見つけましょう。

 

 問題文を先に読まなくても良いほど精密な読解ができるのが一番理想的であり、それくらいのレベルを目指して学習する必要があります。しかし、本番ではどれくらいのレベルの文章が出題されるかわかりません。自分の今の学力では読み解けない文章を読まなくてはならない時、問題を読むタイミング次第で読みやすくなる可能性があります。その際の利点や注意点を以下にまとめました。

 

本文を読む前に問題を読む場合

〈利点〉

 「何が問われているか」を先に知ることは、そこにはどのような論理構造(対比か因果関係か、など)があるのかを知ることです。これを予め知っておくという意味で先に問題文を読むのは構いません。手がかりなく読み解くよりは、例えば、傍線部のあたりに「因果関係がある」「イコールの関係がある」などと知っていればそれを手がかりにして「どこに」その関係が隠されているのか探すだけで良くなります。

〈注意点〉

 先に問題文を読んでも、すべての問題に対して「何が問われているか」を覚えながら読むことは難しいでしょう。また、そもそも「何が問われているか」は、読解力の習得によって文章を読みながら推測できるようになります。この方法に頼らず、あくまで確認程度におさえましょう。

 なお、問題文の選択肢まで読んでから本文に取り掛かるのは絶対にやめましょう。誤った選択肢まで読んでいるので混乱を招く可能性があるほか、正解の選択肢も、本文を読む前だと理解に時間がかかるためです。

 

本文を読んでいる途中で問題を読む場合

〈利点〉

 本文を最後まで読んだあとで問題に取り掛かり、そこで初めて自分の読み取りが大きくズレていたと気づくと、そのズレを正そうと本文を読み直すため、時間も手間もかかってしまいます。本文を難しいと感じる場合、読解に自信がない場合に、傍線部がでてきたあたりで問題を読むことで、自分の読み取りが合っているか早い段階で確認・修正することができます。

〈注意点〉

 自分の読み取りと合う選択肢があるかぱっと見で確認しても構いませんが、本文を最後まで読まないとわからなかったり、大学のレベルによってはきちんと読解できていても問題を読むことでかえって混乱してしまったりするので、やや上級者向けのテクニックです合っていると思う選択肢がなければ、そのあたりの自分の読解が間違っているかもしれないということだけ認識して、そのまま本文を読み進めましょう。

 このように確認しながら読んだとしても、読み終わった後に改めて解き直す必要があり、やや手間がかかる方法です。読み取りがさほど苦ではないようなら最後まで本文を読んでしまうことをおすすめします。問題演習をしながら、どこまでのレベルなら本文を先に読んでしまっても問題なく解けるか、感覚を掴みましょう。

 

「裏技」にもある程度のリスクやデメリットはあります。なるべく正攻法で解いて、それでも難しい場合に初めてこれらを活用しましょう。まずは解法の参考書や、それに基づいた問題演習の参考書を復習重視で解き直してみてください。

 

Q. いつも途中でわからなくなります。どうしたらいいですか?

A.「何のために」「何を」説明するための箇所か理解していますか?

 

 途中で文章を難解だと感じる理由のほとんどは、何の話をしているかわからないことにあります。「わからない」と感じる場合、大抵はどこがわからないのかさえわかっていません。

 

 噛み砕いて言うと、筆者が何をどう説明したい(「何のために」)がために、今何の話をしている(「何を」)のか、考えながら読む必要があるということです。

 例えば、「リンゴは美味しい!」と言いたい時、「みかんと比べてジューシーで甘い!」という対比を使った言い方や、「昨日食べた津軽りんごがジューシーで甘かった!」と具体例を挙げる言い方などがあります。(ジューシーで甘い=美味しい が本当か、などはさておき)リンゴの話をしていたのに、突然「さて、みかんといえば温州みかんである・・・」という文が出てきた時、筆者は「みかんと比較して」「リンゴが美味しい」こと言うために「温州みかんはリンゴより美味しくない」ことを言いたいはずだと推測しながら読まないと、なぜみかんの話をしているのかわからなくなってしまいます。

 もちろん、最初から「何のために」「何を」説明しているのかなどわかりません。推測が正しいかどうかもわかりません。しかしこういった観点のうち、何がわからないのか考えながら読み進めることが重要になります。筆者は自分の言いたいことを少しずつ明らかにしていくので、読者にとってわからないことを残しながら、筆者の想定する道筋で理解できるよう誘導しているのです。(読者「なんでそうなるの?」→筆者「実はね・・」の繰り返し)

 

  こういった論理的思考を経て本文を読むために「読解力」の養成が必要となるのです。具体や抽象、対比、接 続詞などを頼りに、文、段落、文章全体という単位で、筆者の意図が掴める読解力をまず身につけてください。

 

  

Q. 集中力が続く方法を教えてください。

A.集中できないのは、わからないからです。

 「簡単な文章は最後まで読める」場合は、集中力ではなく論理的思考能力の問題です。(ちなみに、簡単すぎるものに集中する必要はないので、「理解できるし問題は解けるけど集中できない」のであれば問題ありません。)

 通常、論理構造を見出せない文章に対して「理解できない」と感じます。そして、自分がそれを読む手がかりを見出せないとき、そのものに向き合う集中力は切れてしまいます。例えば、おもしろい漫画は集中して読み続けられますよね?これは、セリフやモノローグ、登場人物の表情やコマ割りなどのデザインを情報として論理的に処理し、「理解」しているからです。(絵のかわいさ、かっこよさ、といったことについては触れないでおきます。)こういったものは、多くの人の「論理的思考能力」の範疇にあるから、多くの人が「理解」し、集中して読めるのです。

 一方、支離滅裂な文章を読み続けることはできません。これは、そこに論理構造が見出せず、文学的な魅力も読む手がかりもないためです。これと同じように、自分の「論理的思考能力」の範疇を大きくこえた難解な文章も読み続けるのに苦労します。しかし、支離滅裂な文章と異なるのは、「論理的思考能力」を育めば、手がかりを見つけて読み解くことができる点です。(文学的な価値によって高められる集中力については割愛します。)

 裏を返せば、論理的思考能力が必要とされる試験において、文章に見合う論理的思考能力さえあれば必ず理解して集中できるのです。

 

 もちろん、そもそも文章を読むのに慣れていない場合は、まずたくさんの文章に触れたほうがよいでしょう。ひとつ前の項目を参照して、「論理的思考能力」を身につけていきましょう!

 

Q. 小説の点数が安定しません。

A.基本的な考え方は評論文と同じです。

 確かに、評論文と比べてそれぞれの解釈に左右されそうな印象がありますが、試験とする以上、不確定すぎる部分は問題になりません。また、特に選択式の問題では、選択肢に多少「違う」と自分が思うような解釈が含まれていても、融通をきかせてより確定的な要素で判断する必要があります。例えば、選択肢中で登場人物の心情を表す語句が多少適当でないと思われても、事実関係を精査してその選択肢しか残らない場合はそれが正解になります。

 このように、文章に書かれていることを客観的に汲み取るという意味では、評論文と考え方は変わりません。小説の点数が安定しない人には、こういったことがわかっていない人が多く見受けられます。具体的な解法については、解法の参考書で学習しましょう。小説の解法が詳しくない、または載っていない参考書もあるので注意してください。

 

A.主観的に小説を読んでいませんか。

 小説の点数が安定しない人の特徴として、主人公に感情移入している人や登場人物の感情なんて分からないと諦めている人が挙げられます。このような人たちは、小説問題を主観的に読んでいるために、誤った答えを導いてしまっている可能性が高いです。しかし、主観的に答えが導き出されるような、個人の感性で合否が決まるような問題を大学が出題するでしょうか。するはずがありませんよね。小説の問題にも客観的な答えが存在するのです。

 客観的な小説の読解のためには、小説特有の客観的な心情把握のプロセスに慣れる必要があります。例えば、ある場面での主人公Aの心情を 答えよという問題があったとします。Aの心情を考えるときに、「自分なら。。」と考えてはいけません。Aの心情を読み解くヒントは傍線部の前後に隠されています。ある心情になるためには必ずその原因があります。(例えば、母親に怒られたから、悲しい。など) また、そんな心情になったことが原因でAがある行動を起こすこともあります。(悲しいから、泣いた。など) このような、原因→心情→行動の構造を理解したうえで、原因と行動で挟み撃ちして客観的に心情を読み取ることで、主観に頼らない客観的な小説の読解が出来るようになるのです。

Q. 解答に納得できません。

A.なぜその解答が正しくないと言えるのか、本文を根拠に説明してみてください。

 国語が得意な受験生の多くが、一度は思ったことがあることかと思います。もしこのように感じたら、出題者に文句が言えるくらい、本文中から解答の根拠を出して説明してみましょう。ごく稀に、悪問に対応できるほどの解答力をもって消去法で答えても間違えてしまう問題はあります。しかし、大抵は読解力と解答力でカバーできる問題ばかりです。そして、悪問を捨てても合格点は取ることができます。もし、なぜ解答に納得できないのか、本当の解答はどのようなものか(選択式であれば、それより正しいと思える選択肢を)説明できたら悪問と認定して捨てましょう。うまく説明できない、もしくは本文を根拠にできていない場合は読解力や解答力の問題になるので解法の復習をしましょう。

 

Q. 学校の定期テストは受験に活用できますか?

A.活用出来る部分はあります。

 この質問が思い浮かんだ受験生はおそらく現代文の定期テストが教科書や課題の参考書と丸々同じ文章。設問も授業中、もしくは課題で触れたものと全く同じといった状況にあると思います。「本番は読んだことない文章なのに。。」と感じるはずですし、実際その通りです。そのため活用出来る部分を活用しましょう。出題範囲に含まれている場合は漢字、キーワードのインプットを。テスト勉強として授業の題材であった文章を要約すれば、概要の確認も行えつつ論旨をまとめる練習にもなります。時期にもよりますが成績はとっておいて損はありません。効率的に活用しましょう。

 

Q. 学校の授業は受験に活用できますか?

A.身に付けた解法を使って文章を読む練習として使いましょう。

 せっかく解法を学習しても、他教科との兼ね合いで実際に文章を読む回数が少なくなってしまいがちなのが現代文の特徴の一つです。学校の授業は、コンスタントに現代文的な文章に触れる機会としてよく適しています。解法を学習した後は、学校の授業で触れる文章も客観的に読み解いてみましょう。付属の問題を解いたり、要約したり、様々な使い方があります。教科書に掲載されている文章は、長く難しいものもありますが、学習する文章として質の高い、対比や抽象具体などの構造を含んだ文章が多いです。授業中にしっかり読み解いて活用しましょう。

 

Q. 模試はどのように復習したらいいですか?

A.主に本文読解の復習をしましょう。

 読解演習として取り組む参考書と同様の復習方法で構いません。しかし解説が不十分であるため、使用している参考書を参照する、学校や塾の先生に質問するなどして「何に着目したら読めたのか」「次回以降はどのように解くか」といった視点を持って復習しましょう。

 

現代文で身につくこと

 現代文が苦手だと、学問全般の理解に苦労してしまいます。

 知りたいことを知ろうとしても、文献が正しく読めない(=他者の意見が理解できない)ので、他者への指摘も自分の意見を主張することもできない、というような弊害が生まれる可能性もあります。

 

 数学や英語、その他様々な教科においても現代文で養われるような「論理的思考能力」は必要です。決して、日本語や文章にのみ「論理的思考能力」が使われるわけではありません。

つまり、日本語を使える=「論理的思考能力」がある  というわけではないのです。

 ですので、「普段から日本語を話しているのだから、現代文は勉強する必要がない」などとは考えないでください。

 また、現代文で養う「論理的思考能力」は建設的な議論に必須です。

 例えば、コロナ禍で「オリンピックは中止しろ!」と言っている人と「オリンピックはやるしかない!」と言っている人がいましたね。双方の言っていることがわからなければ、結局どちらが正しいのかわからず、自分の主張もできません。

 相手の言うことを理解できないと反論もできない、自分の考えが間違っているかもしれないのにそれが検討できない、言いたいことがわかってもらえないから話にならない……自分の意見をしっかりもって生きていくためにも「論理的思考能力」は非常に重要な力といえるのです。

現代文の具体的な勉強法−現代文勉強法②

 

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