目次
私立大への対策
・細かい暗記が必要となる
・利用できる学部が少ない
大学によってどのような問題が出るのかはまちまちではありますが、一般的には細かな知識が問われやすいと考えられているのが私立入試における地理という科目です。入試では川や都市の名前が直接聞かれることが多く、ほかにも2021年度明治大学入試では正誤問題でnato非加盟の国やユーロ非導入の西欧国を判別させる問題が出ました。やはり曖昧な暗記や大枠の理解だけでは通用しにくい傾向があります。また、世界史や政経に比べると利用できる大学、学部もすくないというのも特徴の一つです。そういったコストパフォーマンスの低さ、選択肢の狭さから私大受験において地理は敬遠されがちな科目となっています。
例:2020年の場合
明治大学(全学部統一) | 早稲田大学(教育・文科系) | |
試験時間 | 60分 | 60分 |
大問・小問数 | 4題・47問 | 4題・50問 |
解答形式 | 記号式 | 記号・記述式 |
その他特徴 | 標準レベルの地理用語を答えさせる問題が目立つ一方、資料を読み取る問題についてもバランスよく出題される。固有名詞を問う問題は少ない。系統地理からの出題が中心であることが多い。 | 例年地誌的な内容から固有名詞を問う問題が多かったが、2020年度は標準~やや難レベルの地理用語を問う問題が目立った。各大問で与えられた問題文に対し空欄や傍線部に関する問題を解く形式だが、傍線部の記述や引用された資料について地理的思考力を働かせる問題も出題された。 |
私大入試で地理を選択する場合は、地図帳や統計帳を使って勉強しましょう。特に地図帳には多くの情報を書き込んでいき、入試本番でも頭に思い浮かべられるようになれば正解にグッと近づきます。また大学の傾向にもよりますが、地誌に割くウェイトを増やしましょう。地誌で各国の知識をより詳しく学習することで実践的な力がつきます。とはいえ難しい用語や固有名詞は正答率も自然と低くなるため、入試本番では基本的な問題を落とさないことが最も大切になってきます。系統地理が学力の基本となるのは変わりませんが、+αで進んだ学習が必要になるでしょう。
また早稲田大学、上智大学のように論述問題を出題する大学もあるので自分の志望校の過去問は早くに確認し、対策に組み込みましょう。講義本に加え教科書を熟読し、背景や影響など論述に出てきそうな文章にはマークを付けるとよいでしょう。
講義本レベルの学習が済んだ後は一問一答で重要度の低い単語までさらったり、詳細な知識を問う参考書を使うことで知識量を増やしていきましょう。特に入試に論述が出題される場合は、問題集も論述を含むものをこなすのがおすすめです(100題、標問精巧など)。
基本的な出題形式
問題文 → 穴埋めor下線部 + 論述(大学による)
もちろんこの限りではなく、ほかにも単問集合や、一枚の地図をテーマに小問が設定されていくなど様々なパターンがあります。
(立命館2020)
上記の問題では、自然環境、特に河川に関する文章を穴埋めする形の問題となっています。河川の固有名称や重要な地理用語が問われています。下線部について問う形でも同じく用語が問われており、大学によっては記述問題が出されることもあります。
細かい用語の例
どこにも載ってないような単語や、ニュースなどで流れる時事用語が問われることがあります。自信をもって答えることは難しく、逆にここでは差はつきにくいと言えるでしょう。
(早稲田2020)
A.2.線状降水帯
A.3.ブラックアウト
上記の問題で問われる用語は比較的頻出度が低く、いずれ地理用語集第二版(山川)二も収録されていません。気になったテーマや時事的な内容や用語についてアンテナを張っておくことが大切です。
国公立大二次試験の対策
二次試験においても本質は共通テストと大きく差はなく、細かい知識よりきちんとした理解が重要になります。統計地理→地誌と理解本の内容を完璧に抑えることに加えて、その知識を自分で説明できるようになっておく必要があります。キモとなる中〜大論述では、適切な用語や典型的な表現を正確に使用する必要があり、そのためには問題演習を重ねて「論述慣れ」しておくことが必須です。それに加えデータ、地図の読み取り方など指標へのアプローチ力も上げていきましょう。
こういった問題は、問題文やグラフ、表を読み取り、その文章や指標の意味をすでに学習した知識とリンクさせることが必要です。様々な問われ方がありますが、その場で新しい論点を見つけるのではなく、すでに持っている知識を引用する問題には違いありません。理解本や教科書ではきちんと背景や影響などの論述ポイントが書かれているので、前後を意識した学習を進めていきましょう。
例:九州大学の場合
試験時間:90分
問題構成:二題構成、全7問
特色:上記の構成からわかるように、一つの設問に長い時間をかける必要があるのが特徴です。多かれ少なかれ、記述中心の国立二次では一問当たりの解答時間が長くなる傾向にあります。九州大学は特にその傾向が顕著であり、2020年度の問題では7問中5問が論述問題で、それぞれ150〜300文字以内という記述量の多い設問でした。
二題とも特定のテーマに関する図表が提示され、その背景や問題点など地理的思考力を働かせて資料を読み解く問題となっています。要求される知識そのものは教科書レベルのものですが、正確な理解と知識を応用した高レベルの資料の読み取りが必要となっています。
論述の例
パターン① 用語説明(内容)
(北海道2020)
A.言語、宗教など異なる文化を持つ民族集団が、国内でお互いの文化を尊重しつつ対等な立場で共存を目指す考え方や政策。
上記の問題における「多文化主義」は高校地理では標準レベルの用語ですが、正しく説明しようとするとその難しさに気付くと思います。何となく意味はわかっていても、要点を押さえ、正しい用語を使って点数が取れる答案を書きあげるには、用語集や一問一答を用いて日頃から説明を読み込んでおく必要があります。
パターン② 用語説明(性質)
(名古屋 2020)
上記の問題では、三角州の形態の特徴とその生成要因について問われています。三角州は河川が上流から運んできた土砂が河口に堆積したものだという理解と、沿岸流や潮汐の作用を考慮する必要があります。三角州の形態に種類があることは進んだ内容とはいえ受験地理の学習内容の一環であり、これら知識事項をきちんと習得しているか、それを問題を解く上で意識、思い出すことが出来るか、また正しく記述できるか、が関門となっています。
パターン③ 背景説明
(九州 2020)
上記の問題では、アメリカ合衆国における移民事情について問われています。国際関係の歴史とアメリカ合衆国の地誌的な知識が必要です。こちらは系統地理における現代世界の課題や地誌における北アメリカで学ぶ内容となっています。国際関係を始めとする社会的な動向や変化は地理においては出されやすいテーマであるため特に注意が必要です。
パターン④ グラフ読み取り
(東京 2020)
上記の問題は、各都市圏における人口の流入・流出を示すグラフから各時期の日本における社会的な変化とその要因を述べさせる問題です。グラフや表から設問で問われている内容について正しく読み取ることと、既存の知識を総動員してその背後にある要因について考察しなくてはいけません。記述内容は既存の知識で書けることが殆どですが、知識と結びつけるには訓練が要ります。こういった能力は演習しなければ身につかないので数こなしていくことを意識しましょう。
パターン⑤ 時事、国際関係問題
(九州 2020)
上記の問題は2020年度の問題ですが、現在問題になっているウクライナとロシアの政治的・経済的関係について問われています。系統地理の現代世界の課題及び地誌での知識が問われています。日頃から時事問題にアンテナをはっておき、高校地理で学んだ様々な知識と結び付けて考える習慣をつけることが大切です。
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