目次
共通テスト地理の性質
センター試験から共通試験への大きな変化の一つはマーク式の答えにいたるまでの過程、思考を重視するようになったことです。共通テストの問題作成方針の
「問題の作成に当たっては,思考の過程に重きを置きながら,地域を様々なスケールから捉える問題や,地理的な諸事象に対して知識を基に推論したり,資料を基に検証したりする問題,系統地理と地誌の両分野を関連付けた問題などを含めて検討する。」
という文章もこれを示しています。
ですがこれは細かい知識の量より知識の質や理解を重視する地理の性質と一致しており、従来のセンター試験においても地理はこの性質に沿った問題が出題されてきました。過去に実際に出題された共通テストの問題を見ても重箱の隅をつつくような知識は出題されておらず、地理は他教科と比べて変化が少ない科目だったといえます。設問自体もほとんど変化のないものでした。
地理における変化としては
・センター試験では2題出題された地誌が1題に減った。
・問題文が長くなり、より読解力が必要となった。
・選択肢が組み合わせ式になっている問題が増加した。
ことが挙げられます。
また、地理は8割取る教科としてはコストパフォーマンスに優れていますが、9割以上を目指すのはかなり難しい科目です。
高得点が難しい要因として
・その場で考える問題のため、知識はあってもわからないところが出てきてしまう。
・難易度の高い問題がいくつか出題される。
・時間的制約が厳しい。60分32問の出題で、一問あたりの目安時間は1分半だが、この時間内に正確にグラフや表を読み取り答えを出す必要がある。
などが挙げられます。
地理の性質について詳しく述べているのはこちら
共通地理で出題される問題は何か数題が特異な形式を持つということはなく、本質的にはすべてテーマが違うだけで同じ知識と思考力を問う問題です。地図や表、グラフであったり、資料は様々な形をとりますが、資料読み取りが必須となっていることからもわかると思います。形によらず、同じ読み取り能力と地理的思考力を用いることになります。
難しい問題というのは単純に読み取りにくいorノイズがある(誤った浅い論理的解釈もできてしまう)ためであることがほとんどで、簡単な問題と難しい問題に本質的な差はありません。正しく知識と結び付けて、正確な論理的思考をできるかどうかがポイントです。
共通テスト地理の構成
共通テスト地理の構成は以下の通りで、2021、22年度でほぼ同じ構成でした。
2021年 | 2022年 | |||
大問1 | 世界の自然環境 | 七問(20点) | 世界の自然環境や自然災害 | 六問(20点) |
大問2 | 産業 | 六問(20点) | 資源と産業 | 六問(20点) |
大問3 | 都市と人口 | 六問(20点) | 村落・都市と人口 | 六問(20点) |
大問4 | 地誌(アメリカ合衆国) | 六問(20点) | 地誌(ラテンアメリカ) | 七問(20点) |
大問5 | 地域調査 | 六問(20点) | 地域調査 | 六問(20点) |
大問1の自然環境はプレートや植生、雨温図をはじめとするメジャーな問題が多く出題されており、系統地理における基礎知識を修めたうえで図やグラフが示している内容について的確に読み取らなくてはいけません。
大問2の産業・資源は資源や生産量などの分布図や国別の比較などが中心です。
大問3の都市と人口は国家や都市の人口構成、都市の特徴について書かれた文章の正誤判定などが中心です。
大問4の地誌はA、Bパートの二つに分かれています。2021年度はアメリカ合衆国に関する問題が出題され、産業や経済的な理解を問う問題が中心でした。2022年度のAでは、ラテンアメリカの各国に関する問題が出題されました。それぞれの国家間での資源分布やGNIの比較なども出題されました。Bでは比較地誌が出題され、チリとニュージーランドに関する自然的、社会的な比較がなされました。
大問5の地域調査では日本国内における特定地域をテーマにしたセンター試験から続く問題形式です。特定地域の知識ではなく、図や資料の読み取りと論理的思考力が問われます。
引用資料 | 2022年 | 2021年 | 2020年(旧センター) |
表 | 7 | 4 | 8 |
グラフ | 12 | 16 | 14 |
地図 | 16 | 6 | 6 |
その他資料(写真、図など) | 0 | 7 | 2 |
※各設問は捉え方によって地図として見るか、グラフとしてみるかなど判断が分かれるため、あくまで執筆者の一意見です。
※複数の資料を用いる設問は重複して計測しています。
以上からわかるように2022年度共通テストでは全ての問題で資料が使用されており、読み取る能力と速度がかなり重要となっています。
例:2022年度共通テスト大問3(4)
ヨーロッパにおける主要都市の航空について、ヨーロッパ以外から到着する航空便の旅客数からそれらの都市を特定する問題でした。それぞれの国における国際関係がキーで、とくにかつて植民地とした歴史を持つ地域との結びつきを考えることがポイントでした。これらの知識を使用してグラフや図表の読み取りを行うことが共通テストの特徴です。前提にあるのは知識ですが、これを直接答えさせる単純な文章穴埋めのような問題とは異なり、さらに論理的思考力が求められていることがわかります。
またこの問題では都市名だけでなく、やってくる地域についても一部虫食いがあります。このように複数の解答要素があり選択肢が組み合わせ式になっている問題というのも共通テストの特徴です。
共通テスト地理への対策
インプット
・詳しい語句は問われない
・8割が統計地理から出題
以上の性質から、共通地理のコツはズバリ「統計地理をいかに完璧に理解するか」につきます。暗記事項は最低限抑えた上で、背景にある理屈や成り立ちを理解することを念頭に置いて理解本の説明を熟読しましょう。また、試験では地図や統計データを通じて理解が問われます。統計データもですが、特に地図帳は必ず横に開いた状態で勉強を勧めましょう。地図に様々な情報を書き込みながら勉強すると理解がはかどるだけでなく、試験への対応力も向上します。
アウトプット
問題演習は過去問や実践問題集などの共通テストの対策問題集を数こなしていくことが大切です。試行調査問題やセンター試験の過去問も十分に利用できます。ただし古いセンター試験の問題は統計データが現在と異なっている場合があるので、10年以上前のものには無理に手を付ける必要はありません。間違った問題だけでなく正解した問題でも解説を読み、おなじような考え方ができていたか、曖昧な判断はなかったか確認しましょう。間違った問題や苦手だと判明した分野は理解本に戻り復習をしましょう。
まずは理解本の内容を十分に理解し、過去問や模試で7割を安定してとることを目標にしましょう。演習と復習のサイクルを回し、最終的には8割を目指しましょう。
より高い得点が必要となる場合はさらに共通テスト対策の問題集(例:ハイスコア!共通テスト攻略 地理B)を併用し、典型的な問題への考え方をインプットすることで9割を目指しましょう。
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