- 参考書名
- 化学基礎問題精講(4訂版)
- 出版社
- 旺文社
- 発売日
- 2020/2/20
- ページ数
- 336
- 科目
- 化学
- タイプ
- 理解本・問題集
- レベル
- 基礎ランク
- 目安時間
- 61時間30分
こんにちは、アクシブアカデミーです。プロ講師と、東大・早慶をはじめとする難関大生によるアクシブアカデミーの分析チーム「Axiv Lab」による参考書分析です。今回は「化学基礎問題精講(4訂版) 」を解説しています。大学受験用の参考書は、たくさんあって現状の自分の学力や志望校にどれがあっているのか選ぶのが難しいですよね。そんな方へ向けて「化学基礎問題精講(4訂版)」を参考書のレベル、特徴、使い方、勉強法、を解説していきます!
目次
化学基礎問題精講(4訂版)の基本情報
参考書レベル・難易度
基礎ランク
化学基礎問題精講の難易度はその参考書の名前の通り基礎レベルです。しかし、化学の入試問題は一部の難関私立や国立二次試験を除いて基礎的な問題で占められており、基礎的な問題とはいえ、決して簡単とは言えません。また、難しい応用問題は基礎力なくしては解けません。化学で点をとるには「基礎ならたぶんわかるでしょ」、ではなく「基礎は絶対にわかる」と言い切れるくらい完璧にする必要があります。
本書で出題される問題は青い「必修基礎問」と黒い「実践基礎問」に分けられています。青い「必修基礎問」はその大半が共通テストのような選択問題となっており、全体的に「実践基礎問」より簡単になっています。どちらも、実際の大学入試問題として出題されていたものもあり、大変実践的となっています。
習得までに必要な目安時間
61時間30分
高校の化学の基礎レベルを解説した参考書としてはどちらかといえば早いといえる時間です。
参考までにセミナー化学は大体190時間、化学重要問題は150時間ほどが目安時間となっています。これら二つの参考書は化学基礎の解説も含まれているため、単純に比較することはできませんが、これらと比べて圧倒的に早く終わるのは間違いないでしょう。かといって、解説が雑になってしまっているということもなく、効率的な参考書といえるでしょう。
化学基礎問題精講(4訂版)の概要
3章17項目で構成されています。
第一章は「理論化学」、第二章は「無機化学」、第三章は「有機化学」となっています。これらの章の中により具体的となった項目で分けられており、その中でさらに具体的となった問題名を持つ青い「必修基礎問」と黒い「実践基礎問」があります。そのすぐ下に問題解説とそのすぐ下に問題解説と別冊のいらない一冊で完結する参考書となっています。
解説では、始めに「精講」という問題に関連する知識を整理し、それをどう使えばいいかの実践的な説明があります。その後通常の問題解説が始まりますが、その中でも特に重要なところは「Point」として強調されています。解答は解説の下にすぐに見つけられるよう別に記載してあります。
化学基礎問題精講(4訂版)はこんな生徒におすすめ
- 化学の基礎に自信がない人
- 化学の基礎を早く習得したい人
化学における基礎知識に自信がない人におすすめです。本書は化学の基礎問題を間違えてしまう時がある人、基礎知識があいまいな人がその改善として取り込むのにぴったりな参考書です。
また、化学基礎問題精講は教科書とは大きく違い、問題とそれに対する精講、解説で構成されています。いわゆる教えるだけの部分がないためある程度の化学知識があれば素早く効率的に勉強することができます。しかし、逆に言えば全く化学がわからない人ははじめはただ解説を読むだけとなってしまい、本書を進めるのが苦痛となってしまうかもしれません。はじめて化学を勉強するような人は同じ系列で一つ下の難易度である「化学入門問題精講」から始めてみましょう。
化学基礎問題精講(4訂版)の特徴
問題ごとにテーマが記載
本書は全3章で構成されており、その章の中でいくつか問題が出題されています。出題されている問題にはその問題のテーマが記載されており、すぐになんの知識が必要かわかるようになっています。これは最初の目次でも確認することができ、復習するときにどの問題を解けばいいか非常にわかりやすくなっています。
効率的な「精講」
本書には、教科書のような解説のみが記載されている部分がありません。その代わりに、問題ごとに「精講」というものがあり、そこに必要となる知識とその使い方が書いてあります。これによってよりページ数を少なく、効率的に勉強ができるよう工夫されています。
次にやりたい参考書が見つかりやすい
『化学基礎問題精講』は『精講』シリーズの一つであり、同じ系列に『化学入門問題精講』や『化学標準問題精講』などがあります。『精講』シリーズの中では中間の難易度の参考書となりますので、難しすぎると感じたら『化学入門問題精講』、簡単すぎると感じたら『化学標準問題精講』に取り組むことができます。
化学基礎問題精講(4訂版)の使い方と注意点
まずは、「精講」と「解説」を見ずに問題に取り掛かりましょう。最低でも5分は考えて、それでもわからない場合は「精講」を見て、どのように解けばよいのかをもう一度自分なりに考えてみましょう。そして最後に、「解説」を読んで解き方を確認しましょう。問題が初見で解けた場合でも解説にはさっと目を通しましょう。特に、「Point」と記載されているところをよくチェックして自分の知識や考え方に抜けがないかを確認してください。答えは一番下に簡潔に記載されているので見つけやすく、間違えていたかどうか素早く確認することができるでしょう。
本書は、各問題ごとにその問題が何についての問題か題名がついており、見るだけでどの分野かわかるようになっています。それはもちろん目次にも記載されており、復習するときにどの問題を解けばいいのか、その問題がどこにあるのかわかりやすくなっています。試験直前でも「Point」や「精講」を優先して読むことで素早く復習することができるでしょう。他の参考書と比べてもコンパクトかつスピーディーに復習ができるので、試験会場に持っていく参考書の中でもおすすめの一冊です。
化学基礎問題精講』は大学の個別試験の過去問から問題が厳選された実践的な問題集です。本書のタイトルにもある「精講」によって、より効率的に、少ない時間のページ数で化学の基礎を勉強できるようになっています。その一方で、本書には問題とそれに対する「精講」と「解説」しかないので、多数の分野を絡めたような難しい応用問題は取り扱っていません。難関私立大学や国立二次試験のような難易度の高い問題が解けるようになるには、『化学標準問題精講』のような参考書にステップアップして勉強する必要があるでしょう。
化学基礎問題精講(4訂版)の分析者コメント
数多くある「精講シリーズ」の一つで化学問題精講としては中間の難易度を誇る参考書です。このシリーズ全ての特徴として、実践的で効率的な勉強ができるように工夫がされてあります。その一方で、本のように読んで理解するだけのところがあまりないので好き嫌いが分かれると思います。一度学校の図書館などで使ってみてから常用するかどうかを判断することをお勧めします。(東京工業大学生命理工学部)
『化学入門問題精講』から『化学基礎問題精講』へステップアップするときの難易度の差より、『化学基礎問題精講』から『化学標準問題精講』への難易度の差の方が大きいので、その点は注意すべきですが、全体としては接続が可能な良いシリーズです。自分自身の理解度に合わせて、別の問題集をこのシリーズの間に挟んでいくとうまくレベルアップできるでしょう。(東京大学理科一類)
化学の参考書分析一覧に戻る
各科目の参考書分析