- 参考書名
- アカデミック初級の使い方・レベル・勉強法など特徴を徹底解説!
- 出版社
- Z会
- 発売日
- 2010/1/16
- ページ数
- 296
- 科目
- 英語
- タイプ
- 長文読解
- レベル
- 難関ランク
- 目安時間
- 68 h
こんにちは、アクシブアカデミーです。プロ講師と、東大・早慶をはじめとする難関大生によるアクシブアカデミーの分析チーム「Axiv Lab」による参考書分析です。今回は「アカデミック初級の使い方・レベル・勉強法など特徴を徹底解説! 」を解説しています。大学受験用の参考書は、たくさんあって現状の自分の学力や志望校にどれがあっているのか選ぶのが難しいですよね。そんな方へ向けて「アカデミック初級の使い方・レベル・勉強法など特徴を徹底解説!」を参考書のレベル、特徴、使い方、勉強法、を解説していきます!
目次
アカデミック初級の基本情報
参考書レベル・難易度
難関ランク
『システム英単語』や『ターゲット1900』などのメインとなる単語帳を既に終えていることが、本書に取り組む上での前提となります。しかし、そういった基本的な英単語帳をある程度マスターしていれば、意味を類推することのできる単語も多く、また意味がわからなくとも、その周囲の単語を理解して結果的に文章全体を理解できるといったように、取り組みやすい内容となっています。
また、長文に即して専門的な単語や背景知識を学習する参考書のため、長文読解の学習もある程度終えていることが前提です。ただし、長文読解そのものの難しさというよりも、専門用語や一つ一つの単語の難しさに特徴があります。各章長文読解の前に背景知識の説明があり、その中で専門用語となる名詞などの新たな単語は説明されているので、難解なものを学ぶという側面はあるものの、非常に手をつけやすい構造になっています。難関ランクに位置付けられるものの、文章それ自体は日東駒専〜MARCHレベルのものだと考えて良いでしょう。
習得までに必要な目安時間
68時間
文章1題につき1時間ずつ、それに加え、各章の冒頭と最後での背景知識の確認や単語の確認するのに2時間ずつ、合計68時間かかるという内容です。単語帳と長文読解の参考書の間のような参考書なので、単語帳として考えると語数に対して長く感じますが、長文の要素も入っていると考えると妥当だといえます。ただし本書は長文読解の解説が載っているわけではないため、読解そのものに躓いてしまうと、かなり時間がかかってしまいます。もしあまりにも時間がかかるようであれば、長文読解の参考書に戻って丁寧に学習する必要があるかもしれません。
アカデミック初級の概要
全7章で構成されていて、各章には、長文そして単語学習のための要素が散りばめられています。
具体的には、①専門的な英単語を交えた日本語での背景知識解説 ②長文 ③豆知識 ④単語集といった内容で各章が構成されています。もっとも、②の長文に関して、その内容は問題演習ではなく、読解となっており、英文の直後に日本語訳が記されていて、英文に慣れること、そしてその内容を理解することに焦点を当てた作りになっています。また④単語集については、ただの単語の羅列ではなく、文章中での意味と辞書的な意味が両方まとめられており、大変覚えやすい内容となっています。
全ての内容に取り組むことにより、英語における読解力や語彙力など、様々な知識を伸ばすことができます。
アカデミック初級はこんな生徒におすすめ
- 読解の助けになるような背景知識、単語を身につけたい生徒
- 基礎的な単語帳をマスターしている生徒
- 基礎的な単語をおさらいしつつ、やや応用的な単語にも取り組みたい生徒
- 最難関ランクの大学を目指している生徒
本書は、『システム英単語』や『ターゲット1900』といったメイン単語帳のレベル以上の専門的な単語を学習しつつ、読解の助けとなる知識を身につけられる参考書です。実際の入試において求められる「教養」や一般常識よりやや高度な知識を学習できるため、長文読解の様々なテーマに対する対応力をもう一歩高めることができます。
この参考書自体が、受験英語のみならず、TOEFLやTOEICなどといった試験にも対応しているため、受験英語の先に求められる英語能力や、根本的な英語力を養ううえでも、やっておいて損のない内容です。
ただし、早慶や旧帝大などの最難関ランクの大学を目指す生徒が、入試でよく出題されるテーマをより理解できるようにするための参考書であり、早い段階で無理に取り組もうとするとかえって時間がかかってしまいます。長文が難なく読める程度の読解力が身についてから学習するようにしましょう。
アカデミック初級の特徴
教養を深める背景知識
本書は、各章の冒頭に「背景知識」と題した知識補充の項目があり、入試問題やその後の学業でも求められる教養を深めることができます。これに加え、基本的には日本語で記されている背景知識の文章中に、キーワードとなる用語の英訳も記されており、単語帳には掲載されていない専門的かつ頻出分野の単語を確認することができます。
問題演習ではなく英語の知識を重視
本書は長文の記載がありながらも、タイトルも示しているように単語学習をメインの目的としています。各章には約6〜7つの長文が掲載されていますが、ページの下部には語句や構文の項目を、直後のページには英文の日本語訳を記載しており、長文読解の問題演習という形式を採用していません。インプットを重視したい場合、非常に使い勝手が良い内容になっています。
やや難しい内容ながらも、取り組みやすい工夫
本書は、ややアカデミックな分野を扱うため、一つ一つの内容に重みがあるものとなっています。そのため受験生にとってはハードルが高く見えるかもしれませんが、各章冒頭には日本語で背景知識の解説があるため、取り組みやすい工夫がされているものと言えるでしょう。また、英語の長文の項目も、各文章が約1ページにおさまるような分量で構成され、読みやすいものとなっています。
アカデミック初級の使い方と注意点
アカデミック初級の効果的な使い方についてですが、あくまで「長文を掲載した単語帳」という意識を持って取り組むと良いでしょう。長文が掲載されていると読解の出来や不出来を重視してしまいがちですが、問題演習がついていないインプット重視の参考書です。読解そのものについての難しさを感じる場合は、長文読解の参考書に力を入れることで解決しましょう。
具体的な使い方としては、各章ごとにまずは1周目を進めていき、次の章に入ったら前の章は隙間時間に音読するのが、単語のインプット、ひいては英語長文に「慣れる」ということに役立ちます。
その上での注意点ですが、この参考書は何周もして初めて効果が発揮されるものなので、一周長文を読んで満足せずに、音読などを通して何周も取り組む必要があります。あくまで「長文の掲載された単語帳」という意味合いが強いので、何周も取り組まなければいけないのは、『システム英単語』や『ターゲット1900』と同様です。
また、入試の直前期に1周目に取り掛かっている状態は望ましくありません。長文読解の初歩的な学習を終え、この程度の語数なら難なく読めるくらいの生徒が、難しいテーマや専門的な内容の文章も手早く深く理解できるようになるための参考書として計画的に取り組めると良いでしょう。
本書の特徴として、文章を通して教養を深めることができるということもあるので、音読等を行って復習をする際には、その内容も意識して覚えることを心がけると、入試問題を解く際に必要となる英語以外の知識や、わからない単語を類推する力も養うことができます。
上記のように、本書は単語を覚える側面と背景知識を頭に入れる側面の両方を併せ持っています。その代わり、単語帳のようにすべての単語だけ書き出してあるリストのようなものはないため、語句のみを学習したい場合は、下記の「具体的な勉強法」で紹介しているように一部を書き出すなどして学習しやすいように工夫してください。背景知識を読むだけのために使うにはもったいない情報量の詰まった参考書のため、単語まで併せて覚えられると理想的です。
アカデミック初級の詳細な進め方
S1 | 10.0h | 第1章経済・ビジネス (8題×1.0h+その他2.0h) |
S2 | 8.0h | 第2章心理学―知能・思考 (6題×1.0h+その他2.0h) |
S3 | 10.0h | 第3章社会学―戦争・核・人種差別 (8題×1.0h+その他2.0h) |
S4 | 7.0h | 第4章医療・健康 (5題×1.0h+その他2.0h) |
S5 | 12.0h | 第5章物語・自伝・演説 (10題×1.0h+その他2.0h) |
S6 | 11.0h | 第6章地球・エコロジー (9題×1.0h+その他2.0h) |
S7 | 10.0h | 第7章(補章)良質の科学エッセイを読む (9題×1.0h+その他1.0h) |
アカデミック初級の具体的な勉強法
背景知識解説
- テーマごとに読みながら、赤字の単語とその意味をルーズリーフに書き出す。
※赤シートなどを使う場合、日本語訳部分をオレンジペンなどで書いてもよい。
※ここでは単語の暗記が主な目的ではないため、文章の内容もしっかり理解して頭に入れる。また、どんなテーマとどんな単語が結びつきが強いのか気を配りながら読むこと。 - ルーズリーフを使い、書き出した単語の意味を答えて3周する。
※英語と日本語の両方を読み上げながら進める。
Phrases & Passage
以下を、各文章ごとに繰り返す。(目安時間:60分/題)
- Phrasesを確認する。
- 英文をひと通り読み、日本語訳をみる前に赤字部分の単語の意味が推測可能か考えてみる。
※赤字以外で語句や内容に不安がある場合、ページ下部の「語句と構文」を見て確認する。 - 日本語訳を見て文章の内容を確認する。
- 何度もリスニングして、英文を5回音読する。
※リスニングする際は、日本語訳も参照してよいが、音読の際は基本的に英文のほうを見る。
※音読の際は文章をなぞるだけではなく何が書いてあるか考えながら、英文の内容を理解できるスピードで読む。
※リピーティング、オーバーラッピング、シャドーイングでもよい。 - Phrasesの、日本語部分を隠して3周する。
※英語と日本語の両方を読み上げながら進める。
※派生語や多義語まで目を通しておく。
知ってますか?・Related Words & Phrases
- 「知ってますか?」を読みながら、その章で得た知識を整理する。
※対応する文章の内容も思い出しながら読むとよい。 - 「知ってますか?」の赤字の単語とその意味を、冒頭の背景知識解説で書き出したルーズリーフの続きに書き出す。
- 「Related Words & Phrases」の内容を確認して、音読しながら3周する。
- 背景知識解説と「知ってますか?」で書き出した単語をまとめて音読しながら3周する。
復習する際は・・・
〈Passageごとに復習する〉
- 各「Passage」の英文を読み、赤字部分の単語の意味を考える。
- 日本語訳を確認し、単語の意味も確認する。
- 関係する背景知識解説、「知ってますか?」を読む。
- 「Phrases」に掲載されている単語の意味を音読しながら確認する。
- 章が終わるごとに、背景知識解説と「知ってますか?」の単語がまとめられているルーズリーフを音読しながら確認する。
〈語句のみ確認する場合〉
本書の単語は索引以外に一覧がなく、以下の4箇所に分かれて掲載されている。
- 背景知識解説部分の赤字
- 各文章のPhrases
- 「知ってますか?」部分の赤字
- 「Related Words & Phrases」
⑴と⑶はルーズリーフに書き出してあるはずなので、そのルーズリーフと各章の⑵⑷のページを確認する形で復習するとよい。
アカデミック初級の分析者コメント
受験英語だけでなく、根本的な英語力向上に役立つような参考書だという印象です。もっともその分注意しなければならないのは、大学受験の問題演習に特化しているわけではなく、あくまでその読解の助けにするために用いるものだという考えでスケジュールを立てて取り組むことでしょう。
(慶應義塾大学法学部)
長文自体の難易度が物凄く高いというわけではないので、長文に慣れる+長文で扱われる専門用語に慣れるという目的での学習に向いています。頻出単語も小出しになっていますが、こちらは『ターゲット』シリーズや『システム英単語』シリーズのような単語帳で詳しく学習し、本書はあくまで知識を深めたり総合的な英語力をつけたりするために利用すると良いでしょう。
(慶應義塾大学文学部)
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