関西にある「産近甲龍」と呼ばれる大学が人気を集めています。知名度や卒業後の就職状況により難易度も上がっており、「関関同立」と呼ばれる難関校とひけを取りません。これら人気校の入試では、一般選抜の他に共通テスト利用と呼ばれる方式を採用しています。今回は、産近甲龍の入試傾向と共通テスト利用のメリットについて解説します。合格に役立つ情報をお届けしますので、最後までお読みください。
目次
産近甲龍とは
産近甲龍とは、関西にある京都産業大学、近畿大学、龍谷大学、甲南大学の4つの大学のグループです。この地区では「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)と呼ばれる難関校が有名ですが、産近甲龍の4つの大学は人気とともに難易度も上昇し、関関同立に次ぐグループとなっています。
関西私学での位置づけ
関西の私学はいくつかの大学がグループで呼ばれることが多く、難関校の「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)、関関同立に次ぐグループとして「産近甲龍」、さらに「摂神追桃」(摂南大学、神戸学院大学、追手門学院大学、桃山学院大学)などがあります。「産近甲龍」の学部によっては「関関同立」と同程度の難易度を持つ大学もあり、難易度はグループごとに分類できない場合もあります。
各大学の難易度
各大学の平均偏差値は次のようになります。総合偏差値のほかに文系と理系でも分類すると、理系では近畿大学が突出しています。
大学 | 平均偏差値 |
京都産業大学 | 55 |
近畿大学 | 57 |
甲南大学 | 58 |
龍谷大学 | 56 |
京都産業大学の難易度
京都産業大学の学部別偏差値は下記のとおり54〜62%です。参考までに、共通テスト得点率は64〜82%となっています。
学部 | 偏差値 |
文化学部 | 55~61 |
外国語学部 | 54~62 |
法学部 | 56~58 |
経済学部 | 57~60 |
経営学部 | 57~60 |
現代社会学部 | 56~61 |
国際関係学部 | 57~62 |
理学部 | 54~59 |
情報理工学部 | 55~59 |
生命科学部 | 54~57 |
近畿大学の難易度
近畿大学の学部別偏差値は下記のとおり52〜70%です。参考までに、共通テスト得点率は57〜92%となっています。
学部 | 偏差値 |
文芸学部 | 53~65 |
法学部 | 62~65 |
経済学部 | 62~67 |
経営学部 | 59~65 |
総合社会学部 | 60~66 |
国際学部 | 61~68 |
情報学部 | 57~64 |
工学部 | 52~59 |
産業理工学部 | 52~57 |
理工学部 | 56~61 |
建築学部 | 60~61 |
医学部 | 69~70 |
薬学部 | 58~65 |
農学部 | 57~60 |
生物理工学部 | 53~58 |
甲南大学の難易度
甲南大学の学部別偏差値は下記のとおり55〜68%です。共通テスト得点率は64〜84%となっています。
学部 | 偏差値 |
文学部 | 60~68 |
法学部 | 59~62 |
経済学部 | 62~65 |
経営学部 | 61~65 |
マネジメント創造学部 | 58~61 |
フロンティアサイエンス学部 | 56~60 |
理工学部 | 55~58 |
知能情報学部 | 55~57 |
龍谷大学の難易度
龍谷大学の学部別偏差値は下記のとおり49〜70%です。参考までに、共通テスト得点率は57〜83%となっています。
学部 | 偏差値 |
文学部 | 49~70 |
法学部 | 60~63 |
政策学部 | 58~63 |
経済学部 | 58~64 |
経営学部 | 59~63 |
社会学部 | 56~64 |
国際学部 | 60~66 |
先端理工学部 | 54~58 |
農学部 | 54~58 |
私大の共通テスト利用とは
共通テストとは、「大学入試共通テスト」の略称です。かつての共通一次やセンター試験の流れをくむもので、国公立大学の一次試験とされているのは広く知られているでしょう。この共通テストは2023年で3年目を迎えます。共通テストの成績を使って、私立大学を受験できる制度を「共通テスト利用」入試と言うのです。私学の大学入試には大きく分けて一般選抜と共通テスト利用があります。次から一般選抜と共通テスト利用の違いを説明していきます。
一般選抜
一般選抜では、原則として大学の独自テストのみを受験することになります。多くの大学では、一般選抜と大学入学共通テスト利用の両方を併願可能です。私立大学の一般選抜で最も多いのは3教科型の入試です。また、一般選抜は定員が多いのが特徴です。ただし、一般選抜には純粋に独自テストだけとはせずに、共通テストの結果を一部反映させている大学もあるので注意が必要です。
共通テスト利用
共通テストには単独型(利用型)と併用型があり、それぞれ大学によって運用に違いがあります。
単独型 (利用型) | 共通テストの点数だけで合否判定 |
併用型 | 共通テストと大学独自テストの二段構え 独自テストでは小論文や面接などの二次試験を行う |
多くの私大で共通テスト利用が進んでいるのは、メリットがあるからです。次から、メリットとデメリットを説明します。
共通テスト利用のメリット
共通テスト利用のメリットは次のようなものがあります。
- 大学ごとの過去問対策が不要(単独型の場合、特に効果が大きい)
- 一般併願と比べて受験料が安い
- 同じ大学内の同じ学科でも、一般選抜と併願するなど複数回受験できる
- 前期・後期など試験日程が複数あり、他大学とも併願しやすい
- 国公立大学の受験対策が無駄にならない
共通テスト利用のデメリット
メリットが多い共通テスト利用ですが、デメリットもあるので注意が必要です。
- 一般選抜に比べて定員が少ない
- 全国の多くの受験生が受験するので合格ラインが高くなる
- 理系や医学部などでは、一般選抜に比べ科目数が多くなる場合がある
- 一般選抜の対策が遅れている場合、共通テスト対策が負担となる可能性がある
産近甲龍の校風・特徴を紹介
受験校に合わせた試験対策を考える前に、志望校の校風や特徴を理解しておくことも大切です。産近甲龍の人気の秘密を探ってみましょう。
京都産業大学
神山キャンパスに10学部10研究科が集まり、14,000人以上の学生が一カ所で学ぶ一拠点総合大学です。2015年に創立50周年を迎えました。
学生数14,153名(2021年6月現在)
近畿大学
西日本最大級のマンモス校です。2025年で創立100周年を迎える総合大学で、西日本に6つのキャンパスと様々な研究施設を持っています。2021年度一般入試での延べ志願者数は8年連続日本一です。近大マグロをはじめとした実学の研究は有名となっています。
学生数33,234名(2020年5月現在)
甲南大学
2019年に創立100周年を迎えた伝統ある総合大学です。マンモス校にはない少人数教育を特徴に、きめ細かい学生支援を行っています。
学生数8,693名(2021年6月現在)
龍谷大学
創立約380年と産近甲龍では最も歴史の深い総合大学です。キャンパスは文系と理系で分かれています。
学生数は19,096名(2021年6月現在)
産近甲龍の共通テスト科目と特徴
産近甲龍の共通テスト科目と特徴について解説します。共通テストの科目は、学部学科ごとに細かく分かれているのが特徴です。非常に細かいので、詳細は必ず各大学の公式サイトで確認してください。
京都産業大学
京都産業大学では、理学部と生命科学部を除き3科目型、4科目型となっています。いずれの学部も前期と後期に受験可能です。同一学科でも一般選抜と前期・後期を組み合わせて2回まで出願できます。複数の学部学科の併願も可能です。
近畿大学
マンモス校だけあって試験地も多いのが特徴です。共通テスト併用方式には、A日程・B日程・後期があります。入試制度の特徴としては、文系の学部間で併願できる「文系学部他学部併願方式」や理系の学部間で併願できる「理系学部他学部併願方式」など様々な併願方式を活用することができます。共通テスト利用方式(前期・中期・後期)では、全学部で3回出願のチャンスあり、医学部のみ二次試験として小論文と面接があります。
甲南大学
甲南大学には一般選抜の方式として、一般選抜・共通テスト併用型・共通テスト利用型の3つの試験方式があります。さらにそれぞれの方式に、前期と後期の2つの日程が設けられています。どの日程が自分にあっているか早い段階から具体的な受験戦略を立てておくことが大切です。前期共通テスト利用には外部英語試験活用型などもあります。
龍谷大学
龍谷大学の入試には共通テスト利用型と併用型があり、さらに前期・中期・後期に分かれています。26もの地域に試験地があるのも特徴です。
産近甲龍の共通テストのボーダー
産近甲龍の共通テストでのボーダーはばらつきがありますが、学部によっては一部、難関校と同じレベルのものもあります。次から個別の傾向を解説します。京都産業大学では、共通テストのAボーダーライン(合格可能性80%)の得点率は75%〜80%ですが、一部の難関学部では80%台になっています。学部ごとのボーダーラインの差は少ないのが特徴です。
近畿大学は、京産大よりも共通テストのボーダーラインのばらつきがあります。Aボーダーラインは60%〜80%台ですが、医学部では90%以上の得点率となっています。甲南大学では、Aボーダーラインは70%〜80%ですが、理系学部の一部には60%台のものもあります。龍谷大学も、共通テストのAボーダーラインは70%〜80%で学部ごとにばらつきはありませんが、仏教系学科は突出して高くなっています。
まとめ
大学入試は純粋な一般選抜から、共通テスト利用・外部テスト活用など制度の変更がめまぐるしくなっています。ただ受験生からすると、前期・後期日程や一般選抜との併願など受験機会が増えるので共通テストはおすすめです。産近甲龍は人気のある大学であり、第一志望とする学生も多くなっています。どうしても入学したい学生にとって、一般選抜と共通テスト利用が併用できることは複数回受験できることになり大きなメリットです。た
だし、一般選抜対策が遅れがちで、共通テスト対策まで手が回らない場合はデメリットになるかもしれません。それでもメリットが大きいので、学習計画の進捗を常に見直して共通テスト利用も視野に入れてみてください。今回の記事が合格の確率アップにつながれば幸いです。
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