2020年まで実施されていた大学入試センター試験に代わり、2021年1月、初めての大学入学共通テストが実施されました。共通テストは1月半ばの土日2日間に実施され、原則として国公立大学の一般選抜志望者全員が受験します。多くの私立大学でも、共通テストの結果を用いて入学審査を行う「共通テスト利用入試」を行っているため、全国各地から多くの生徒が受験します。2021年は前年よりも減少したものの、約48万人が共通テストを受験しました。まだセンター試験から大学共通テストへ移行したばかりのため、今後、科目数や出題方式の変更があるかもしれません。常に最新情報を確認しつつ、対策していく必要があります。
この記事では、共通テストの特徴や受験科目、高得点を取るための対策方法についてお伝えしていきます。しっかりとテスト対策を行い、志望大学合格に向けて進んでいきましょう!
目次
そもそも共通テストとは?
共通テストが生まれた背景には、近年のグローバル化や情報化社会の発展があります。これらの変化に対応できるよう、文部科学省が教育制度を変えていく試みのなかで、高大接続改革を進めてきました。今までのセンター試験とは違う新しいテストを行うことで、より効果的な大学教育につなげようというのが共通テストの目的です。
共通テストは各科目の知識や技能を問うものですが、センター試験と同じくマークシート方式です。共通テストでは、単なる知識の暗記ではなく、思考力を問う問題が多くなると言われています。たとえば英語については4技能の総合評価を行うために、英検やTOEICなどの外部検定試験のスコアを利用することが検討されています。実施に当たってはまだ課題も多いため、詳細が議論されている段階ですが、このように英語を含むすべての科目で思考力や判断力、表現力が重視されていくでしょう。
共通テストの特徴
共通テストには出題形式や解答方法に決まった傾向があり、受験科目の選び方にも特徴があります。以下で詳しく見ていきましょう。
出題はマーク式、思考力・判断力を重視した出題へ
センター試験と同じようにマーク式の解答方法となりますが、共通テストでは思考力や表現力、判断力を評価できる出題形式に変更されました。センター試験では知識そのものを問う問題が多く出題されていましたが、共通テストでは基本となる知識をベースにして、グラフや文章、地図などの資料を読み取り解答を導き出す問題が増加しました。また新たな出題形式として、正解が複数あるタイプの問題も出題されるなど、判断力も問われるようになります。
2021年に初めて実施された共通テストでは、当初の想定ほどは思考力を重視した出題ではなかったという声も上がりましたが、今後は単なる暗記ではなく、本質的に理解しているかを問う出題が増えていくでしょう。全ての科目でこういった変更が行われるため、単なる解法の暗記ではなく、深く理解し学んでいくことが重要になります。
出題科目は6教科30科目
共通テストは、「外国語・数学・国語・理科・公民・地理歴史」の6教科30科目で構成されています。社会については、地理歴史と公民を両方受験しても1教科と数えます。30科目の中から、最大で8~9科目(理科の選択科目によって異なる)の受験が可能です。
出題教科、科目、配点、試験時間は以下の通りです。
教科 | 科目 | 配点 | 試験時間 |
国語 | 国語 | 200点 ※現代文100点、古文50点、漢文50点 | 80分 |
地理歴史 | 世界史A 世界史B 日本史A 日本史B 地理A 地理B | 1科目100点 2科目200点 | 1科目 60分 2科目 130分(解答時間は120分)※最大2科目を選択(同じ名称の科目の組み合せは不可) |
公民 | 現代社会 倫理 政治・ 経済 倫理、政治・経済 | ||
数学(1) | 数学I 数学I・数学A | 100点 | 70分 ※1科目を選択 |
数学(2) | 数学II 数学II・数学B 簿記・会計 情報関係基礎 | 100点 | 60分 ※1科目を選択 |
理科(1) | 物理基礎 化学基礎 生物基礎 地学基礎 | 2科目100点 | 2科目選択60分 ※注釈参照 |
理科(2) | 物理 化学 生物 地学 | 1科目100点 2科目200点 | 1科目 60分 2科目 130分 (解答時間は120分)※注釈参照 |
外国語 | 英語 | リーディング100点 リスニング100点 合計200点 | リーディング80分 リスニング60分(機器動作確認30分含む) |
外国語 | ドイツ語 フランス語 中国語 韓国語 | 200点 | 80分 |
- 理科(1)から2科目
- 理科(2)から1科目
- 理科(1)から2科目+理科(2)から1科目
- 理科(2)から2科目
※理科は8科目から、下記のいずれかを出願時に選択する
出願・受験時に気を付けたいこと
共通テストの出願期間は、例年9月終わりから10月上旬です。2020年(令和2年)は9月28日(月)~10月8日(木)の11日間でした。出願期間が10日間前後と短いため、願書の記入から提出までを確実に進める必要があります。そのため、遅くとも9月中には志望大学と何の科目で共通テストを受験するかについて決めておきましょう。後ほど詳しく説明しますが、理科や地理歴史、公民の受験科目については、大学ごとで異なった指定がある場合もありますので、慎重に受験科目を決める必要があります。9月の段階で決めた志望大学が、共通テストの受験時には変わっている可能性があることも考慮して、第二志望以下の大学の受験科目も確認し、出願手続きを行いましょう。
どの科目を受験すればよいの?
入試科目は大学によって異なりますが、国公立大学の7割以上が5教科7科目以上の受験を課しています。
文系学部では「外国語・国語・地理歴史・公民・数学と理科から3科目」、理系学部では「外国語・国語・数学2科目・理科2科目・地理歴史もしくは公民」の受験パターンとなることが多いです。私立大学では3教科での受験が一般的ですが、2教科以下で受験できる大学もあります。出願後は受験科目を追加することはできないため、注意が必要です。また、英語以外の外国語や、数学I、数学II、簿記会計、情報関係基礎、現代社会、倫理、政治経済などの科目については、受験を認めていない大学も多く見られます。そのため、これらの科目を選択する場合は、出願前に志望大学の受験要項を注意してチェックして下さい。
とくに注意が必要な理科の選択方法
共通テストの出願時に、理科の受験科目をあらかじめ決定しておく必要があります。
以下のように理科の受験パターンは4通りありますが、国公立大学の理系学部を受験する場合は4番。国公立大学の文系学部を受験する場合は、1番もしくは2番の大学が多いです。私立大学については、理系学部の場合は2番。文系学部の場合は1番のパターンを要求されることが多いですが、大学により受験科目が異なります。共通テストの出願前に、必ず志望大学が以下のどのパターンに該当するのかを確認しておいてください。
- 理科「1」から2科目選択(例:物理基礎と化学基礎)
- 理科「2」から1科目選択(例:化学)
- 理科「1」から2科目+理科「2」から1科目(例:物理基礎と化学基礎+物理)
- 理科「2」から2科目(例:物理と化学
第1解答科目指定とは?
理科と地理歴史、公民には複数の科目がありますが、2科目受験をする場合には、大学によってそのうちの1科目のみを合否判定に利用する場合があります。現在多くの国公立大学や難関私立大学で採用されているのは、「第1解答科目指定」です。これは、試験開始後最初に解いた方の科目の得点が合否を左右するシステムのため、第1解答科目では高得点を取れる科目を選択するなどの戦略が必要です。
ちなみに、共通テスト受験の際には、理科を2科目受験する場合は、次のような流れで試験が行われます。
- 第1解答科目を受験→答案を提出(回収時間10分)→第2解答科目を受験→答案を提出
第1解答科目の答案は回収されてしまうので、第2解答科目を受験しつつ、第1解答科目の見直しをすることはできないシステムになっています。大学によっては2科目両方の得点が反映される場合や、どちらか高得点の科目の点数だけが反映されるなど、第1解答科目のシステムを採用していない場合もあります。共通テストに出願する前に、志望大学ではどのような方式を採用しているのか、必ず確認しておいてください。
共通テストの対策と傾向・勉強法
それでは以下で、共通テストの出題傾向や各科目の対策、勉強法についてお伝えしていきます。
全体を通して共通すること
センター試験と同じく、共通テストで出題される問題は、各科目教科書の範囲となります。そのため、標準レベルの問題が中心となりますが、問題数が多いため時間内に解き切る力が必要です。難しい問題があまり出題されないため、志望大学のレベルが高い場合は受験者の平均点も高くなるため、ケアレスミスが命取りになる可能性があります。確実に正解していくようにしましょう。出題範囲が全範囲のため、よく出題される分野を中心に対策を立てていきますが、頻出分野で苦手分野がある場合は、徹底的に対策する必要があります。
英語
英語には、リーディングとリスニングが含まれており、200点満点のうち「リーディングが100点、リスニングが100点」という1:1の比率になっています。センター試験の際は、リーディングとリスニングの比率が4:1だったため、一見するとリスニング分野の重要性が一気に上がったように見えます。しかし、大学側で配点比率を自由に決めることができるため、広島大学のように1:1システムの大学もあれば、筑波大学のように従来のセンター試験同様4:1の配点比率を採用している大学などさまざまです。
次に、出題傾向についてですが、リーディングではすべてが読解問題となりました。センター試験では発音やアクセント、文法問題がありましたが、 共通テストでは単独でこれらの知識を問う問題は出題されません。全ての問題が読解問題となったため、早く正確に英語を読む力がより一層必要になりました。文法問題が出題されないため、一見対策は不要に思えますが、文法をはじめとする英語の基礎知識が頭に入っていないと、英文を読みこなし正確に理解することはできません。そのため、基礎となる文法事項についてはしっかり理解した上で、読解問題を早く正確に読む練習をしていきましょう。共通テストはまだ一回しか実施されていないため、センター試験の過去問を利用して問題演習を重ねながら、英文を正確に読み解く学習をしてください。
リスニングについては、学生同士の短い会話や長い講義を聞き取って答えるものまでさまざまです。読み上げられる音声の回数は、センター試験は全て2回でしたが、共通テストでは問題によっては1回読みでした。どの問題で何回読み上げられるかは本番までわからないため、できるだけ模擬試験などを利用して問題形式に慣れておきましょう。また会話を聞き取るだけではなく、図やグラフ、表を読み取って解答する力も求められます。リスニングの練習をする際には、必ずスクリプトがついたものを用い、聞き取れない単語や表現などを確認して学習を進めていってください。
国語
現代文
試験前の予想では実用的な文章が出題されると言われていましたが、2021年の共通テストでは、センター試験と同じく小説と評論が出題されました。今後、ほかの科目と同様、複数の文章を組み合わせた問題が出題される可能性がありますが、現段階ではセンター試験の時と同じような対策を取っていきましょう。具体的には、解答の根拠を本文中から探す練習や、正解選択肢だけではなく、不正解の選択肢のどこに誤りがあるのかも含めて深く読み取る練習をしていくことをおすすめします。
古文
初回の共通テストでは、複数の文章を関連付けて読み取る問題が出題されました。また英語同様、文法のみを問う知識問題がなくなり、読解問題の中で文法知識を問う形に変わりました。英語と同様、基本となる文法や単語の知識がないと読解問題を正解することはできないため、基本知識をしっかり定着させていきましょう。センター試験の過去問を利用して、よく出題される単語や古典文法を確実に頭に入れておいてください。
漢文
漢文もセンター試験とほぼ同様の問題が出題されました。漢文の難易度は国語の中では一番やさしいと言えます。重要な句法や句形、単語や表現を覚えることで、漢文分野で満点を取ることも夢ではありません。過去問を利用しながら文章を音読して繰り返し学習することで、句法や句形も定着します。ぜひ漢文を得点源にできるよう取り組んでみてください。
数学
センター試験と比べて、共通テストでは数学IA、IIBともにページ数が増えました。IAの解答時間はセンター試験の60分から10分長くなり70分となりましたが、センター試験よりも素早く解答に必要な情報を読み取る力が必要になります。また、センター試験では数値をマークする形式がほとんどでしたが、共通テストでは数値のマークではなく選択肢を選ぶ問題が増えたのが特徴です。ほかの科目同様、公式を覚えていれば解けるような単純な問題ではなく、問題文の中に図やグラフが挟まれているなど、注意深く読み取り、正解を導き出すタイプの問題が多く出題されます。まずは基礎事項を定着させるのはもちろんですが、数字を替えただけのパターン練習に終始することなく、問題文の意図を読み取る練習を重ねていきましょう。
共通テスト対策はいつから行うべき?
目安としては、夏休み頃に共通テストの対策をはじめることをおすすめします。秋以降、二次試験対策や私立大学対策を本格的に始めると、共通テスト対策が手薄になる危険性があるからです。
共通テストの問題レベルは標準的なので、基礎固めとして夏休み頃に過去問をある程度解けるようにしておくと安心です。もちろん、その段階で苦手分野を発見した場合は、早めに克服しておきましょう。
まとめ
ここまで、共通テストの特徴や出願時の注意点、受験科目の選び方などについてお伝えしてきました。大切なポイントを下記にまとめます。
- 共通テストでは思考力、判断力を問う問題が増加する
- 出願時に受験科目を決定する
- 最大で8~9科目の受験が可能
- 国立大学は5教科7科目以上、私立大学では3教科の受験が一般的
- 理科、地歴公民では第1解答科目指定を意識した科目選択が重要
そして、共通テストの難易度や対策については、以下の通りです。
- 教科書範囲からの出題
- 標準レベルの問題が多い
- 問題量が多いため、速く解く力が要求される
- 単なる知識のみを問う問題よりも、思考力や判断力を問う問題が増加
- テスト対策は、夏休み頃から始めるのがおすすめ
共通テストはまだ始まったばかりのため、今後出題形式や実施方法に変更がある可能性もあります。最新情報を確認して、出来る限りの準備をして本番に臨みましょう!
◆ AXIV ACADEMY(アクシブアカデミー)の概要
「生徒の人生を真剣に考え、全力でサポートする」
「変わりたい。」を叶えるを実現するために、今までの常識にとらわれない、新しい形態の予備校を運営しています。私たちは、生徒自らが夢や目標を定め、なぜ勉強が必要かを理解できるように正しい情報を提供し、進路指導に時間をかけて受験戦略を立ち上げ、受験で必要な全科目に対して学習計画を練り、進捗管理を行っています。最高の「環境」「指導」「ツール」を提供すべくWebやiPadを活用し、全国のどの地域からでも受講できるように遠隔での指導を行っています。東大の隣にオフィスを構えており、指導チームを中心に、受験に精通した経験豊富な専属スタッフが受験まで1:1でサポートします。
◆ AXIV ACADEMY(アクシブアカデミー)へのお問い合わせこちら
私たちといっしょに「質の高い学習時間」を伸ばしませんか?
●30秒で簡単!まずは資料請求・お問合せください →お問い合わせ&資料請求はこちら
●【無料】受験相談と体験授業も実施中 →無料受験相談&無料体験授業に申し込み
●アクシブアカデミー公式LINE登録で書籍無料プレゼント!! →LINE友達登録はこちらから