文部科学省の資料によると、2021年度現在、日本には国立大学と公立大学を合わせて175校の大学がありますが、どのような入試方法があるのでしょうか?ひと口に大学入試といっても、大学入学共通テストや2次試験を受ける一般選抜から、学校推薦型選抜や総合型選抜などさまざまな受験方法があります。
この記事では、国公立大学の入試の仕組みや受験科目、合否判定について解説します。志望大学合格のために、ぜひ参考にしてください。
目次
国公立大学入試の仕組み
国公立大学の入試方法には、一般選抜、学校推薦型選抜(旧推薦入試)、総合型選抜(旧AO入試)があります。下記でそれぞれの特徴について解説していきます。
国公立の入試タイプ
国公立大学の入試方法は大きく分けて一般選抜・学校推薦型選抜・総合型選抜の3タイプに分かれます。文部科学省の資料をもとに、国公立大学の募集人員割合を示すと以下のようになります。グラフに見られるように、一般選抜の募集人員が全体の8割近くを占めています。学校推薦型選抜や総合型選抜などの募集人員は全体の2割ほどとなっているため、まずは一般選抜での入学を目指して受験対策をしていきましょう。
下記で、それぞれの選抜方法について説明していきます。
【一般選抜】
一般選抜では、1月中旬の土日に大学入学共通テストを受験後、自己採点を行い志望大学へ出願します。そして、2月下旬以降に行われる大学別の個別学力検査を受験し、合否が決まります。
【学校推薦型選抜】
学校推薦型選抜は、9割以上の国公立大学が導入している選抜方法です。「指定校制推薦」と「公募制推薦」があり、どちらも出身の学校長による推薦が必要です。以前は推薦入試と呼ばれていた選抜方法ですが、合格したら原則として入学する必要があります。指定校制推薦は、大学が指定した高校の生徒が対象です。原則として現役生が対象となるため、浪人生は出願できません。推薦基準は高く、学内トップクラスの成績が要求される場合も多いですが、公募制と比べると合格率は高くなります。公募制推薦は浪人生でも出願できる場合もありますが、指定校推薦と比べると実施されている大学が少なく、厳しい戦いとなります。公募制推薦でも学業成績は重視されるため、学校推薦型選抜での出願を検討している場合は、学校の成績を出来るだけ高く保つ努力が必要です。
【総合型選抜】
かつてはAO入試と呼ばれていた総合型選抜は、例年9月頃に実施されます。学力だけではなく、志願者の適性や意欲を総合的に判断し合否を決定するため、書類審査と面接に重点が置かれます。近年は、面接と書類審査に加えて、小論文やプレゼンテーションなどを課す大学が増えてきました。志願者にじゅうぶんな知識や表現力、思考力が備わっているかを判断するためには、従来のような書類審査と面接のみでは判定が難しくなったからと言われています。
国公立入試の合否判定
国公立大学の合否は、一般的に共通テストと大学別に行われる二次試験の合計得点で判定されます。
大学によっては、共通テストの得点を合否判定に利用しなかったり、二次試験の割合が極端に高かったりする場合もありますので、志望大学がどのような配点比率を採用しているのか確認しましょう。また、難関大学や医学部医学科を中心に行われているのが二段階選抜です。共通テストで、大学が定める基準点を満たした受験生のみが二次試験を受験できるシステムです。2021年度は東京大学や一橋大学など、24大学37学科で実施されました。
二段階選抜を実施している大学に出願し、共通テストの得点が基準点に満たない場合は、二次試験を受験できず自動的に不合格となってしまうため注意が必要です。
国公立大入試のスケジュール
国公立大学の入試と聞くと、毎年1月に行われる共通テストが頭に浮かぶ人も多いでしょう。しかし一般選抜以外にも、秋から年内にかけて合否が決定する学校推薦型選抜や総合型選抜などもあります。下記の年間スケジュールで、大まかな1年間の流れをつかんでください。
月 | 内容 | その他 |
6月 | 国公立大学の選抜要項発表 | |
7月 | ||
8月 | 総合型選抜(旧AO)入試出願 | |
9月 | 共通テスト受験案内配布 総合型選抜(旧AO)入試(※) | ※大学によって異なり、8月頃~12月頃に実施 |
10月 | 共通テスト出願 | |
11月 | 学校推薦型選抜出願、実施 | |
12月 | 国公立大学募集要項配布 | |
1月 | 大学入学共通テスト実施(中旬)※ 国公立大学2次試験出願 | ※2021年は1月16日(土)、17日(日)に実施 |
2月 | 前期日程試験実施(下旬)※ | ※例年25日から |
3月 | 中期日程試験実施※ 後期日程試験実施※※ | ※例年8日から ※※例年12日から |
「分離・分割方式」を把握しよう!
分離・分割方式とは、二次試験を前期日程、後期日程の2回に分けて実施する方式です。一部の公立大学では、前期日程と後期日程のあいだに中期日程を設定しています。
受験者は、それぞれの日程で同じ大学、学部を受験しても、別の大学、学部を受験してもかまいません。複数回の受験が可能で、一見自由度が高そうに思える分離・分割方式ですが、全体の募集人数のうち前期日程が8割を占めているのが現状です。近年では後期日程試験を実施しない大学も増えてきました。また、前期日程で合格し入学手続きを行うと、中期日程と後期日程の試験を受けたとしても合格権利が消滅します。そのため、前期日程試験で第一志望の大学の合格を狙うのが一般的となっています。
国公立入試の教科・科目数
共通テスト、二次試験で必要な教科数、科目数は大学や学部ごとによってさまざまです。前期日程、後期日程で教科や科目に違いがあるケースもあります。共通テストは、「外国語・数学・国語・理科・公民・地理歴史」の6教科30科目で構成されています。社会については、地理歴史と公民を両方受験しても1教科と数えます。30科目の中から、最大で8~9科目(理科の選択科目によって異なる)の受験が可能です。
出題教科、科目、配点、試験時間は以下の通りです。
教科 | 科目 | 配点 | 試験時間 |
国語 | 国語 | 200点 ※現代文100点、古文50点、漢文50点 | 80分 |
地理歴史 | 世界史A 世界史B 日本史A 日本史B 地理A 地理B | 1科目100点 2科目200点 | 1科目 60分 2科目 130分(解答時間は120分) ※最大2科目を選択(同じ名称の科目の組み合せは不可) |
公民 | 現代社会 倫理 政治・ 経済 倫理、政治・経済 | ||
数学(1) | 数学I 数学I・数学A | 100点 | 70分 ※1科目を選択 |
数学(2) | 数学II 数学II・数学B 簿記・会計 情報関係基礎 | 100点 | 60分 ※1科目を選択 |
理科(1) | 物理基礎 化学基礎 生物基礎 地学基礎 | 2科目100点 | 2科目選択60分 ※注釈参照 |
理科(2) | 物理 化学 生物 地学 | 1科目100点 2科目200点 | 1科目 60分 2科目 130分 (解答時間は120分) ※注釈参照 |
外国語 | 英語 | リーディング100点 リスニング100点 合計200点 | リーディング80分 リスニング60分(機器動作確認30分含む) |
外国語 | ドイツ語 フランス語 中国語 韓国語 | 200点 | 80分 |
※理科は8科目から、下記のいずれかを出願時に選択する
- 理科(1)から2科目
- 理科(2)から1科目
- 理科(1)から2科目+理科(2)から1科目
- 理科(2)から2科目
共通テストは7科目以上の受験が基本
大学によって異なりますが、共通テストでは国公立大学の7割以上が5教科7科目以上の受験を課しています。
文系学部では「外国語・国語・地理歴史・公民・数学と理科から3科目」、理系学部では「外国語・国語・数学2科目・理科2科目・地理歴史もしくは公民」の受験パターンとなることが多いです。公立大学では3教科以下で受験できる大学もありますが、数が少ないため最初から3教科に絞ると、受験できる大学が限られてしまいます。基本的に、国公立大学を目指すのであれば、7科目以上の受験になると考えて準備をしていきましょう。
2次試験科目は日程によって傾向が異なる
二次試験は大学によって出題科目が異なります。前期日程では、東京大学や京都大学などの一部難関大学では4教科を課していますが、多くの国公立大学では文系、理系ともに2~3教科のケースが多いです。後期日程は科目数を1~2教科と少なくする代わりに、小論文や面接を課す大学も多くなります。中には、東京都立大学の人文学部(後期日程)のように、二次試験を実施せずに共通テストの得点のみで合否を決定する場合もあります。
このように、二次試験の実施教科が大学や学部ごとで異なるのと同様、共通テストと二次試験の配点比率も大学によって異なります。二次試験の配点が高かったり、ある特定の教科の配点比率が高くなる場合もあるので、志望大学がどのような配点比率を採用しているのかを確認し、対策していきましょう。
参考までに、国公立大学の入試配点比率を下記でグラフにしましたのでご覧ください。
東京大学理科一類の場合は、共通テストが110点と、全体の20%しかありません。大阪大学歯学部の場合は、共通テストの割合が東大と比べて高くなりますが、それでも27%程度です。しかし、名古屋大学法学部では逆に、二次試験よりも共通テストの方が配点比率が高くなっています。共通テストが60%、二次試験が40%となるため、共通テストで出来る限り高得点を取ることが大切と言えるでしょう。
特定教科の配点比率が高い例としては、山口大学の理学部(後期日程)があります。共通テスト、二次試験どちらも1000点ずつの換算となるため、比率そのものは1:1です。しかし、共通テストでは5教科の合計を1000点として換算するのに対して、二次試験では数学のみで1000点換算となります。共通テストの5教科1000点の内訳も、数学が500点分と半分を占めるため、とくに数学の得点を重視していると言えるでしょう。
まとめ
この記事では、国公立大学の入試の仕組みや受験科目についてお伝えしてきました。まとめると以下のようになります。
【選抜方法について】
- 入試タイプは3通りある(一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜)
- 一般選抜が全体の8割を占めている
- 学校推薦型選抜と総合型選抜について
【合否決定について】
- 合否は、共通テストと二次試験の合計で決まるのが一般的
- 大学によっては、共通テストのみで判定したり、共通テストの得点は考慮しなかったり、特定の科目の配点比率が高くなったりする
【受験スケジュールについて】
- 分離分割方式で、前期・後期日程がある。中期日程のある公立大学もある
- 多くの大学で後期日程を廃止しているため、第一志望は前期日程での受験が基本
【受験科目について】
- 共通テストでは5教科7科目以上の受験が基本
- 2次試験は日程により傾向が異なる
- 前期日程は2~3教科、後期日程は1~2教科の大学が多い
- 後期日程は面接や小論文を課す大学が多め
受験する大学によって科目や共通テスト、二次試験の配点比率が異なるため、志望大学の要項をしっかり確認して準備していきましょう。
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