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共通テスト利用入試とは?基本知識や一般入試の違い、メリット・デメリットも含めて解説


「共通テストは国公立大学を受験する人のための試験だよね?」「共通テスト利用入試ってどんなテストなのかよくわからない」と思ったことはありませんか?共通テスト利用入試とは、共通テストの結果で合否が決まる方法で、多くの私立大学で採用されている入試方法です。そのため、国公立大学の志望者のみならず、私立大学に行きたいと考えている受験生も、共通テスト利用入試について理解しておく必要があります。この記事では、共通テスト利用入試の特徴とメリットやデメリット、実際に共通テスト利用入試を実施している私立大学について解説していきます。

大学入学共通テスト利用入試とは?

大学入学共通テスト利用入試(以降、共通テスト利用入試)は、共通テストの成績で合否が決まる入試方法です。多くの私立大学が共通テスト利用入試を実施しており、大学によって必要な教科や科目が異なります。共通テスト利用入試と独自(一般選抜)入試を併用することもできるため、高得点を取ることで合格のチャンスも高まるでしょう。

共通テスト利用入試と独自入試との違い

共通テスト利用入試と独自入試(一般選抜入試)では、受験科目に違いがあります

私立大学の独自入試では、受験科目を3科目と定めている場合が多く、文系は「英語+国語+数学もしくは地理歴史・公民から1科目」。理系は「英語+数学+理科」が一般的です。大学によっては、4科目以上の受験が必要だったり、逆に1~2科目で受験できたりする場合もあります。

共通テスト利用入試では、6教科30科目の中から大学が指定している科目を選ぶことになります。独自入試であれば3科目のところを、共通テスト利用入試では4科目以上の受験が必要になる場合もあるため、志望校の受験要項を早めに確認しましょう。

 

また、共通テスト利用入試は以下の2種類に分かれます。

  • 共通テストの成績のみで合否が決まる「単独型」
  • 共通テストと個別試験で合否が決まる「併用型」

 

以下で、ひとつずつ解説していきます。

共通テストのみで合否が決まる「単独型」

「単独型」は文字通り、共通テストの得点のみで合否が決まります。多くの大学で2~4科目の受験が必要ですが、合否判定にすべての科目を利用する場合もあれば、高得点の科目を利用する場合などさまざまです。また、共通テスト利用入試は何校でも出願できるため、どうしても入学したい大学がある場合は、同じ大学の複数学部・学科に出願することも可能です。

「単独型」のメリットは、独自試験を受けずとも合格できることです。しかし、思ったように点数が取れなかった場合は、たとえ複数大学に出願していたとしても、すべてに不合格となる可能性があることは理解しておいてください。

共通テストと個別試験で合否が決まる「併用型」

「併用型」は、共通テストと大学が独自に実施する個別試験の成績を合わせて合否を決定します大学によっては、共通テストと個別試験の結果のうち、成績が良いほうで合否を決定する場合もありますが、いずれにしても、共通テストと大学独自の試験の両方を受験しなくてはなりません。

大学独自の個別試験は、英語や数学などの筆記試験が課される場合もあれば、面接や小論文が課される場合など、学部学科によってさまざまなため、必ず事前に確認することが大切です。

共通テスト利用入試のメリットとデメリット

ここまで、共通テスト利用入試の概要についてお伝えしてきました。一度に複数の大学に出願できるというメリットのほかにも、共通テスト利用入試には複数のメリットがあります。また同様にデメリットもあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。

以下で解説していきます。

共通テスト利用入試のメリット

共通テスト利用入試には、次のようなメリットがあります。

  • 共通テストの成績をもとに複数の大学や学部学科の受験が可能できる
  • 単独型の場合、大学独自の試験を受ける必要がなく、移動の手間がかからない
  • 大学の独自入試(一般選抜入試)との併願も可能
  • 独自入試と比べると受験料が安い

 

共通テスト利用入試「単独型」の場合、大学の独自試験を受ける必要がないため、受験日が少なくなるのはもちろん、大学のキャンパスに足を運ぶ必要がなくなります。遠方からの受験の場合、移動の必要がなくなるのは、特に大きなメリットでしょう。また、共通テスト利用入試の場合、大学にもよりますが、受験料は2万円程度となります。独自試験の場合は35000円程度が平均のため、複数校を受験する場合には、受験料が安いことがメリットになりえます。

何校でも出願できたり、独自入試と併願できたりするのは受験機会も増えてメリットとなりますが、その分受験料がかさむため、現実的な受験プランを作成していくようにしてください。

共通テスト利用入試のデメリット

共通テスト利用入試には、次のようなデメリットがあります。

  • 倍率が高く、独自入試よりも合格しづらい
  • 大学によっては、独自入試よりも受験科目数が多い
  • 共通テストの結果を知る前に、受験大学を決定しなくてはならない

 

共通テスト利用入試は、多くの場合独自入試よりも倍率が高くなります。定員が少ないところに多くの受験者が殺到するからです。そのため、合格最低点も上がり、独自入試であれば合格できる実力があっても、共通テスト利用入試では不合格となる場合があるのがデメリットといえます。

また、難関大学を中心に、共通テスト利用入試で4~5教科の受験が必要です。たとえば早稲田大学では、多くの学部学科で5教科6科目が求められます国公立大学を志望しているなど、最初から5教科をまんべんなく勉強しているのであればデメリットとはなりませんが、私立大学のみを受験する場合、文系・理系とも3科目に絞って勉強している受験生も多いでしょう。その場合、独自試験で課される3教科よりも多くの教科が求められるため、大きなデメリットとなります。

また多くの場合、共通テストを受験する前に、共通テスト利用入試の出願を行います。つまり、まだ自分の得点がわからないうちに、出願をしなくてはならないのです。絶対に浪人は避けたい場合などは、確実に合格できる大学を受験したいところです。しかし共通テスト利用入試の場合は、出願の段階では合否を予測するのがとても難しいため、デメリットとなる受験生もいるでしょう。

共通テスト利用入試の注意点

前述した共通テスト利用入試のデメリットを踏まえたうえで、どのような点に注意すべきかについてお伝えしていきます。

独自入試(一般選抜)よりも募集定員が少ない

共通テスト利用入試は、募集定員がとても少ないため、独自入試よりも合格しづらくなっています

たとえば、上智大学経済学部経済学科の一般選抜の募集人数が260名であるのに対し、共通テスト利用入試(併用型)の募集人数は73名、単独型の募集人数はわずか5名です。そして、単独型の定員5名のところに602名もの出願があったため、倍率は120倍です。このように、手軽に出願できる分、単独型はとくに倍率が高くなりやすいことに注意してください。

合格最低点が高い

共通テスト利用入試は、前述した通り倍率が高くなるため、必然的に受験者のレベルが上がり、合格最低点が高くなる傾向があります

前述した上智大学経済学部経済学科の場合、2021年度入試の共通テスト(単独型)のボーダー得点率は84%でした。受験科目が違うため一様に比較はできませんが、東京医科歯科大学の医学部(前期)では共通テストのボーダーが84%となっています。共通テスト利用入試では、このように難関国立大学のボーダー得点率と同じくらいの点数が求められることを考えると、合格最低点がとても高いと言えるでしょう。

共通テスト利用入試だけに通用する勉強はしない

ここまでお伝えしてきたように、共通テスト利用入試は便利な受験方法ですが、決して合格率が高い方法ではありませんそのため、共通テスト利用入試だけに特化した勉強はしないようにしてください。共通テスト利用入試をメインの受験方法として考えてしまうと、不合格のリスクが高くなってしまうからです。

たとえば共通テストのためだけに、独自入試では必要ない科目を勉強するなどは避けたいところです。基本的には、志望校の独自入試に向けた学習を積み重ね、共通テスト利用入試はサブの位置づけで考えるのが良いでしょう。抑えとして考えている大学を共通テスト利用入試で受験するなど、余裕を持った受験プランを組むことをおすすめします。

共通テスト利用入試を実施している大学

それでは、ここからは早慶上智およびMARCHの中で、共通テスト利用入試を実施している大学について解説していきます。

早慶上智

早稲田大学と上智大学では共通テスト利用入試を実施していますが、慶應義塾大学では実施していません。

早稲田大学

早稲田大学の共通テスト利用入試の特徴は以下の通りです。

受験料20000円
科目数5教科6~7科目の学部学科が多い
ボーダー得点率政治経済学部(89~90%)、法学部(88%)、国際教養学部(91%)、人間科学部(89~90%)、社会科学部(91%前後)、商学部(91%前後)、文学部(89%前後)、スポーツ科学部(90%前後)

 

スポーツ科学部の定員は各学科5名ずつの合計15名で、単独型のほかに、共通テスト+スポーツ競技歴調査書を提出する併用型も採用しています。高校在学中にスポーツ競技で活躍したといった実績がある場合は、併用型を選択するとよいでしょう。

どの学部学科も、合格のためには9割前後の得点が必要とハイレベルです。また、科目数が5教科6~7科目の学部学科が多いことを考えると、国公立大学を第一志望とする受験生が多く利用している可能性があります。

上智大学

上智大学の共通テスト利用入試の特徴は以下の通りです。

受験料20000円
科目数4教科、2023年度より3教科型を新設
ボーダー得点率文学部(77~85%)、神学部(76%)、外国語学部(79~83%) 総合人間科学部(71~87%)、総合グローバル学部(82~83%)、 法学部(82~84%)、経済学部(78~84%)、理工学部(76~80%)

 

早稲田大学とは異なり、4教科での受験が可能です。また、2023年度から、共通テスト利用方式でも3教科型が新設されることになったため、私立大学専願の受験生にも利用しやすくなったと言えるでしょう。

MARCH(マーチ)

MARCHの各大学でも、共通テスト利用入試を実施しています。

明治大学

明治大学の共通テスト利用入試の特徴は以下の通りです。

受験料18000円
科目数3教科もしくは6教科
ボーダー得点率文学部(79~85%)、国際日本学部(74~84%)、法学部(75~80%)、商学部(78%)、総合数理学部(77~79%)、農学部(77~78%)、理工学部(76~81%)、情報コミュニケーション学部(78~84%)

 

明治大学は3教科と6教科受験の2パターンとなります。6教科型は国立大学を第一志望とする受験生向けの受験方式と言えるでしょう私立大学専願の受験生でも利用できる3教科型のほうが受験者が多く、2021年度は30名の募集枠に1800人近くの出願がありました。倍率は60倍近くです。実際には合格者を多めに出しているため、倍率は8.4倍となりましたが、狭き門であることに変わりはありません。

青山学院大学

青山学院大学の共通テスト利用入試の特徴は以下の通りです。

受験料18000円
科目数3~4科目型、2023年度より5~6科目型を新設
ボーダー得点率文学部(75~87%)、教育人間科学部(78~83%)、総合文化政策学部(83~88%)、地球社会共生学部(80~85%)、国際政治経済学部(77~89%)、法学部(74~80%)、経済学部(80%)、経営学部(66~86%)、理工学部(68~80%)、コミュニティ人間科学部(75~79%)、社会情報学部(70~87%)

 

2023年度より、合否判定に利用できる科目数を増やした新規科目型が新設されます。国公立大学志望者にとっては、出願しやすい形式となるでしょう。これに伴い、3~4科目型の倍率が少し下がることも期待されます。

立教大学

立教大学の共通テスト利用入試の特徴は以下の通りです。

受験料18000円
科目数3~4科目型、6科目型
ボーダー得点率文学部(74~85%)、現代心理学部(72~85%)、異文化コミュニケーション学部(80~85%)、社会学部(74~87%)、観光学部(75~81%)、法学部(75~82%)、経済学部(69~79%)、経営学部(78~90%)、理学部(65~75%)、スポーツウエルネス学部(73~78%)、コミュニティ福祉学部(72~78%)

 

立教大学も、国公立大学志望者が出願しやすい6科目型での出願が可能ですまた、英語に関してはTOEICや英検のスコアや級を提出することで、大学側で得点として換算されます。この換算スコアと共通テストの得点の良い方で判定してくれるため、英語が得意な受験生にとっては受験しやすい大学であると言えるでしょう。

中央大学

中央大学の共通テスト利用入試の特徴は以下の通りです。

受験料15000円
科目数3科目型、4~5科目型
ボーダー得点率文学部(77~80%)、法学部(75~86%)、総合政策学部(78~81%)、経済学部(77~82%)、国際経営学部(75~84%)、商学部(75~80%)、理工学部(75~84%)、国際情報学部(77~85%)

 

単独型は前期選考と後期選考があり、前期選考では理工学部数学科以外のすべての学部学科、後期選考では、理工学部以外で行われていますまた、併用型は文学部以外で実施されています。

法政大学

法政大学の共通テスト利用入試の特徴は以下の通りです。

受験料18000円
科目数3教科(3~4科目型)、5教科6科目型
ボーダー得点率文学部(69~86%)、法学部(69~85%)、グローバル教養学部(80%)、社会学部(67~80%)、現代福祉学部(70~82%)、国際文化学部(84%)、経済学部(68~77%)、経営学部(69~81%)、デザイン工学部(69~76%)、理工学部(55~70%)、生命科学部(63~69%)、スポーツ健康学部(79%)、キャリアデザイン学部(69~81%)、人間環境学部(69~82%)、情報科学部(70~72%)

 

3教科型(B方式)は全学部、5教科6科目型(C方式)は国際文化学部・GIS(グローバル教養学部)・スポーツ健康学部以外の学部で実施されています。同一学部内での学科併願はできないことに注意してください。

まとめ

今回の記事では、共通テスト利用入試の特徴やメリット、デメリットについてお伝えしてきました。一度に複数の大学に出願できるなど多くのメリットがありますが、募集人数が少なく合格最低点が高いといったデメリットもあります。そのため注意が必要ですが、やみくもに出願するのではなく、合格の可能性が高い大学に出願するなどの方法で利用するとよいでしょう。

本記事を読むことで、共通テスト利用入試について理解を深め、受験校決定の際の参考となれば幸いです。

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