「SMARTって大学群、初めて聞いた!」と思った人もいるかもしれません。首都圏にある私立大学で難易度が近い大学群がグループ化されていますが、長年MARCH(マーチ)が有名でした。しかし、MARCH各大学(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)の難易度にばらつきが生じるようになり、最近はSMART(スマート)という大学群が登場しています。この記事では、SMARTに含まれる大学とその特徴、その中でも入学しやすい学部、SMARTという大学群には有用性があるのかについてお伝えしていきます。
MARCH(マーチ)の中に生じた難易度の違い
以前からマーチに含まれる大学は、早稲田・慶応・上智の次に難易度が高い大学群として認識されていました。とくに現在の受験生の親世代(40~50代)にとっては、マーチという言葉はなじみ深いことでしょう。しかし時間の経過に伴い、マーチの中に難易度のばらつきが出てきました。大学によっては難易度が低い学部では、日本大学や東洋大学と同じ偏差値のケースも出てきているのが現状です。
現在は、MARCHの中でも明治・青山学院・立教が上位グループで、中央・法政が下位グループと言われています。もちろん、学部によっても難易度は異なるため一概には言えませんが、全体的な位置づけとしては上位と下位に二分化されていると考えてください。
MARCH各大学の偏差値
河合塾が発表している2024年9月現在のデータによると、MARCHの各大学の偏差値は、以下のようになります。
- 明治大学 58.8~62.5
- 青山学院大学 57.5~62.5
- 立教大学 55.0~65.0
- 中央大学 56.3~61.3
- 法政大学 55.0~61.3
青山学院大学も最低偏差値が57.5となっていますが、全体的な学部学科の平均偏差値を見ると、中央大学や法政大学よりも高くなっています。そのため、マーチの中でも上位グループとして考えられているのです。また、明治大学は学部学科間で難易度のばらつきが少なく、偏差値60以上の学部学科がほとんどです。中央大学は、看板学部と言われている法学部が61.3ですが、ほかの学部学科の多くは偏差値が50台となっているため、マーチの中でも下位グループと位置づけられています。
新しい大学群「SMART(スマート)」とは
前述したように、難易度が変わってきたことにより、MARCHという大学群でくくることに違和感を覚える人が増えてきました。近年、SNSや予備校などでマーチに変わって使われるようになってきたのが「SMART(スマート)」という大学群です。以下で、詳しくそれぞれの大学について解説していきます。
SMARTに含まれる大学について
SMART(スマート)とは、以下の5大学です。マーチ同様それぞれの大学の頭文字を取っていますが、上智大学はSophia(ソフィア)なのでSが使われています。
- S:上智大学(偏差値55~65)
- M:明治大学(偏差値58.8~62.5)
- A:青山学院大学(偏差値57.5~62.5)
- R:立教大学(偏差値55.0~65.0)
- T:東京理科大学(偏差値56.3~60.0)
マーチからは上位グループの「MAR」3大学。そして、早慶上理と呼ばれてきた難関大学群の中で、マーチ同様に難易度にばらつきがあり、下位グループと言われている上智大学と東京理科大学を加えた5大学を「SMART(スマート)」と呼ぶことにしたのです。
SMARTの難易度
SMART(スマート)の難易度ですが、学部によっても異なります。しかし、大まかに分類すると、早稲田・慶応と中央・法政の間と考えてください。それでは、SMARTそれぞれの大学をランキング付けするとどうなるのでしょうか。もちろん、学部によって偏差値が異なるため一概には言えませんが、全体の偏差値のバランスをもとに表すと、以下のようになります。
順位 | 大学名 |
1位 | 上智大学 |
2位 | 明治大学 |
3位 | 立教大学 |
4位 | 青山学院大学、東京理科大学 |
全体的な偏差値のバランスから見ると、上記のようになります。上智大学は残りの4大学と比べると、かなり偏差値が高めです。また、明治大学は学部学科ごとの難易度のばらつきが少なく、全体的に難易度が高いため2位となりました。立教大学も難易度のばらつきが少なく、看板学部である異文化コミュニケーション学部の偏差値が65.0と高めになっています。青山学院大学と東京理科大学については、学部学科間の難易度にばらつきはあるものの、平均的な偏差値は似ている傾向があります。
SMARTの大学別難易度(文系)
SMARTの大学別難易度(文系)は以下のようになります。※最高偏差値が高い順に記載しています(河合塾を参照)
順位 | 大学名 | 学部名 | 偏差値帯 |
1位 | 上智大学 | 神学部、文学部、総合人間科学部、法学部、経済学部、外国語学部、国際教養学部、総合グローバル学部 | 55.0~65.0 |
2位 | 立教大学 | 異文化コミュニケーション学部、現代心理学部、経営学部、文学部、経済学部、社会学部、法学部、観光学部、コミュニティ福祉学部 | 55.0~65.0 |
3位 | 青山学院大学 | 文学部、経済学部、国際政経学部、法学部、教育人間学部、経営学部、社会情報学部、地球社会共生学部、コミュニティ人間科学部 | 57.5~62.5 |
4位 | 明治大学 | 政治経済学部、文学部、情報コミュニケーション学部、法学部、経営学部、商学部、国際日本学部 | 58.8~62.5 |
5位 | 東京理科大学 | 経営学部 | 56.3 |
上智大学は、神学部以外の文系学部は総じて偏差値が高めのため、1位となりました。立教大学は異文化コミュニケーション学部が偏差値67.5と高く、青山学院大学は国際政治経済学部の偏差値が65です。明治大学は4位となっていますが、すべての学部学科が偏差値60以上で難易度にばらつきがないため、全体的にレベルが高いと言えるでしょう。また、東京理科大学は理系学部しかないと思われがちですが、経営学部があります。
SMARTの大学別難易度(理系)
SMARTの大学別難易度(理系)は以下のようになります。※最高偏差値が高い順に記載しています(河合塾を参照)
順位 | 大学名 | 学部名 | 偏差値帯 |
1位 | 東京理科大学 | 理学部、工学部、先進工学部、薬学部 | 56.3~60.0 |
2位 | 明治大学 | 農学部、理工学部、総合数理学部 | 58.8~60.0 |
3位 | 上智大学 | 理工学部 | 58.8 |
4位 | 青山学院大学 | 理工学部 | 57.5 |
5位 | 立教大学 | 理学部 | 56.3 |
理系学部では東京理科大学が1位となりました。文系と比べ理系は学部数が少ない傾向にあり、偏差値ランキングも文系とはだいぶ異なります。
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SMARTで入りやすい穴場学部
SMARTの難易度を文系、理系別でお伝えしましたが、各大学で難易度が低めの入りやすい学部学科が存在します。
以下で詳しくお伝えしていきます。
上智大学
カトリックの大学である上智大学には、神学部があります。アカデミック英語能力判定試験(TEAP)利用の偏差値は55と入りやすくなっているため、英語が得意でキリスト教の信奉や布教に関する知識に興味があればおすすめです。また、総合人間科学部看護学科もTEAP偏差値が55と入りやすくなっています。
明治大学
明治大学は学部間の難易度のばらつきがあまりありませんが、理系学部(総合数理、理工、農)の一部の学科は偏差値が57.5となっています。穴場というほど低くはありませんが、多少ほかの学部学科よりも入りやすいと言えるでしょう。
青山学院大学
青山学院大学は、文系と理系の難易度に差があり、理系は偏差値57.5と全般的に入りやすくなっています。文系で入りやすいと言われているのは、まだ設立されてから数年のコミュニティ人間科学部です(偏差値57.5)。社会情報学部も入りやすいと言われています。
立教大学
立教大学は目だった穴場学部というものはありませんが、観光学部やコミュニティ福祉学部、スポーツウエルネス学部の偏差値が55.0となっています。スポーツウエルネス学部は、コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科が改組され2023年4月から学部として独立しました。
東京理科大学
東京理科大学は、理系学部のみと思われていますが、文系学部もあります。経営学部ビジネスエコノミクス学科が穴場と言われており、最低偏差値は55です。
SMARTの各大学の特徴
それでは以下で、SMART(スマート)の各大学の特徴について解説していきます。
上智大学
イエズス会が作ったカトリック系の上智大学は、メインキャンパスが四ツ谷にあります。キャンパスを歩けば英語が聞こえるというイメージを持たれていますが、留学生や帰国子女も多く国際色が強い大学です。各学部の専門科目以外に、カトリックならではの宗教学や哲学といった一般教養の科目が多いという特徴もあります。ほとんどすべての学部学科が四谷キャンパスにありますが、神学部の大学院授業の一部は石神井キャンパス、看護学科の2年次以降の授業は目白聖母キャンパスで行われます。
明治大学
明治大学は、3万人以上の学生が在籍する人気校です。親世代にはバンカラなイメージがありましたが、現在はオシャレなイメージの大学に変わり、女子学生にも人気があります。駿河台・和泉・中野キャンパスがあり、法学部・商学部・政治経済学部・文学部・経営学部・情報コミュニケーション学部の1・2年次は和泉キャンパスへ、3・4年次は駿河台キャンパスで学びます。
中野キャンパスには国際日本学部と総合数理学部があり、神奈川の生田キャンパスでは理系(理工学部と農学部)の学生が学んでいます。明治大学は就職に強いと言われていますが、OG・OBとの繋がりが強いため、就職活動でのOB・OG訪問も活発です。
青山学院大学
学生数約2万人の青山学院大学。青山キャンパスは表参道の駅近くにあり、オシャレなイメージから女子に人気の大学です。近年では箱根駅伝での活躍も目立っており、スポーツでも有名になっています。青山学院大学は、全ての学部で独自の外国語教育プログラムが行われており、「英語の青山」とも呼ばれています。留学生も多く、国際感覚を養いたい学生に向いている大学と言えるでしょう。
神奈川県にある相模原キャンパスには、理工学部、社会情報学部、地球社会共生学部、コミュニティ人間科学部があります。一般教養科目として、どの学部の学生でも授業が履修できる「青山スタンダード」を導入しているため、文理問わず一定の教養を身につけられるのが特徴です。
立教大学
学生数は約2万人。ツタに覆われた赤レンガ造りの建物やチャペルが立ち並び、とてもオシャレで雰囲気の良い池袋キャンパスは広く知られています。キリスト教に基づく人間教育を行っている立教大学は、「自由な精神」に基づき教育を行ってきました。幅広い分野の教養を身に付けるリベラルアーツ教育を行い、広い視野をもつ学生を育成しています。
一方、埼玉県にある新座キャンパスは緑にあふれ広々としており、観光学部、コミュニティ福祉学部、現代心理学部の学生が通学しています。また、グローバルリーダーの育成に力を入れており、希望すればリーダーシップ開発プログラムを受講できるのも特徴です。
東京理科大学
東京理科大学は、社会的評価も高く、就職先も良いイメージで知られている総合大学です。名前から理系学部のみと思われがちですが、経営学部もあるため文系の学生も在籍しています。神楽坂にあるメインキャンパスのほか、葛飾キャンパス、野田キャンパス、経営学部国際デザイン経営学科(1年次のみ)の学生が全寮制で学ぶ北海道の長万部キャンパスがあります。(現在は新型コロナウイルスの影響で、長万部キャンパスは閉鎖中)
東京理科大学は、他大学と比べると授業が厳しく、留年する学生が多いと言われています。留年率は約2割。大学全体の留年率は約1割であることを考えると、多い方と言えるでしょう。一般的に、理系学部は文系学部に比べると、留年率が高いことも影響しているかもしれません。
早稲田大学・慶應大学の特徴
ここからはかつての区分だった早慶上理、MARCHのうち、早稲田大学、慶應義塾大学の特徴について解説していきます。
早稲田大学
早稲田大学は、13学部を擁する総合大学です。東京都に本部を置く私立大学で、約38,600名の学生が在籍するマンモス校です。 看板学部として知られる政治経済学部は、内閣総理大臣の数が東大に次ぐ2番目であるなど、多くの人材を政財界に送り出しています。
「全学副専攻」は、主専攻と合わせて他学問分野を体系的に学ぶことができる制度で、社会で活躍できる個性溢れる人材を育成しています。学部や学年を問わず誰でも挑戦でき、独自の専門性の開拓を後押しする機会として人気です。
慶應義塾大学
慶応義塾大学は、10学部を擁する総合大学です。東京都に本部を置く私立大学で、約28,000名の学生が在籍しています。小学校から大学・大学院までを擁し、日本で最も長い歴史を持つ総合学塾として、多様な人材を輩出しています。
「AI・高度プログラミングコンソーシアム」を設置し、さまざまなレベルでAI・プログラミング技術を修得したい学生のニーズを満たす講義が行われています。講師側も学生のため、受講する学生に寄り添ったAI教育を可能にします。
中央大学・法政大学の特徴
中央大学、法政大学の特徴について解説していきます。
中央大学
中央大学は、8学部を擁する総合大学です。東京都に本部を置く私立大学で、約25,000名の学生が在籍しています。難関国家試験の対策に力を入れており、国家公務員の合格者数は私立大学のなかで堂々の1位を誇っています。
「C-compass」というオリジナルのシステムを通して、目標から行動計画の設定までをセルフマネジメントできます。学生生活から課外活動までの幅広い取組みでPDCAサイクルを繰り返すことで、コンピテンシーの成長を促します。
法政大学
法政大学は、15学部を擁する総合大学です。東京都に本部を置く私立大学で、約27,000名の学生が在籍しています。英語外部入試の採用や全国での入試実施など、さまざまな学生を受け入れるための入試改革を行っています。
「コロナ禍でも充実した学生生活を送れるように」と発足した学生生活応援プロジェクトは、オンラインからオフラインまで誰でも楽しめるイベントを実施しています。なかには、海外大学との交流会など、グローバルな企画もあります。
SMARTは大学群として有用性はあるか
前述したようにMARCHの難易度にばらつきが出てきたことや、推薦制度を利用した入学者が増えた結果、難易度が下がりつつある上智大学という存在を考えると、SMARTという大学群は有用性があると言えます。しかし、ここ数十年、MARCHという大学群が世間に浸透しているため、すぐにMARCHが消滅してSMARTに代わるとは思えません。
また、MARCHの下位グループと言われている中央大学が、法学部のキャンパスを都心に移転することになったため、再び難易度が上がっていく可能性もあります。そのため、今後また新たな大学群が形成される可能性もあるかもしれません。さらに、SMART(スマート)という言葉は、「賢い、頭が良い」という意味があります。そのため、大学の難易度的にもちょうどピッタリの名称として、世間に受け入れられる可能性も大きいでしょう。
まとめ
本記事では、MARCHの大学群の難易度のばらつきがキッカケで新しく生まれた大学群「SMART」についてお伝えしました。まだ、世間にはMARCHの方が広く知られていますが、各大学のレベルが近いことや、「賢い」という意味の「SMART」は覚えやすいこともあり、世間で受け入れられる日も近いかもしれません。本記事が、大学選びの参考になれば幸いです。
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