「公立大学と、国立大学って何が違うの?」と思ったことはありませんか。私立大学と比べると、公立大学と国立大学は学費が安いというイメージを持っている人が多いかもしれません。それは事実ですが、公立大学と国立大学には、ほかにも必要な入試科目数が異なったり、入試日程が異なったりなどさまざまな違いがあります。ご存じない人も多いかもしれませんが、公立大学の中には3科目で受験できる大学もあります。そのため、私立大学を目指して科目数を絞り準備してきた人でも、受験可能なのです。本記事では、公立大学と国立大学の違いについて解説し、合わせて国公立大学のメリットやデメリットについてもお伝えしていきます。
目次
公立大学と国立大学の大学数の違い
公立大学と国立大学の細かい違いについて解説する前に、まずは大学数の違いについて説明します。
文部科学省が示したデータによると、令和4年5月1日現在、国立大学は86校、公立大学は99校設置されています。学生数は国立大学が596,174人、公立大学は163,097人です。公立大学のほうが数が多いのに、学生数が国立大学の3分の1以下なのは不思議と思われるかもしれませんが、学部学科の設置数や定員数が異なるためです。
以前は国立大学の数が公立大学の数を上回っていましたが、近年では、経営難の私立大学と公立大学の統合が増えているため、公立大学の数のほうが多くなっています。
公立大学と国立大学の違い4点
それでは以下で、公立大学と国立大学の主な違いについて、ひとつずつ解説していきます。
運営元が異なる
公立大学と国立大学では、大学の運営元が異なります。
具体的には、国立大学は国が母体となり、国税を資金源として運営されています。国立大学法人が設置している大学です。一方、公立大学は都道府県や市町村などの地方自治体が母体となっており、地方税が資金源となっています。公立大学法人が設置している大学です。
入試制度が異なる
公立大学と国立大学では入試制度が異なり、一般的には国立大学のほうが合格のハードルが高いと言われています。
具体的には国立大学の場合、7割程度の大学が共通テストで5教科7科目以上を課しています。一方、公立大学は大学によって必要な科目数が異なりますが、東京都立大学や横浜市立大学のように、3教科で受験可能な大学もあるのが特徴です。
このように、公立大学では私立大学受験を想定して準備して来た場合でも受験が可能になっているのに対し、国立大学では科目数が多いため、苦手教科を含め幅広い範囲をまんべんなく学習しなくてはならないという違いがあります。
試験日程に違いがある
国立大学と公立大学では、試験日程に以下のような違いがあります。
- 国立大学:前期日程および後期日程。後期日程は行わない大学も多い。
- 公立大学:中期日程。前期日程と後期日程はほとんどの場合行われない。
例年、前期日程は2月下旬(25日頃)、後期日程は3月中旬(10日~13日頃)に行われます。中期日程は後期日程の少し前に行われるため、3月8日頃です。このため、試験結果次第では、国公立大学をそれぞれ前期・中期・後期と併願することも可能です。しかし、私立大学とは違い、国立大学と公立大学の両方を受験した場合でも、最大3校までしか受験できません。
前期日程で国立大学に合格した場合は、中期日程で公立大学に合格したとしても合格取り消しとなってしまいます。そのため、公立大学が第一志望の場合は、前期日程では国立大学を受験しないなどの注意が必要になってくるのです。
大学の規模が異なる場合がある
大学によって異なるため一概には言えませんが、国立大学のほうが一般的な学部を網羅しており、規模が大きくなっています。前述した通り、国立大学の学生数は約60万人なのに対し、公立大学は約16万人しかいません。公立大学にも、複数の学部を設置しているところもありますが、看護学部のみを設置している単科大学なども多く、小規模運営の場合があるのが特徴的です。
国公立大学に共通するメリット2点
ここからは、国立大学と公立大学の両方に共通するメリットについて解説していきます。
費用が私立大学と比べると安い
公立大学、国立大学とも、学費や施設設備費などの費用が、私立大学と比べるとかなり安くなっています。
一例を挙げると、早稲田大学先進理工学部の1年間にかかる学費(入学金を含む)は約175万円なのに対し、東京大学の理科I類は約82万円です。
受験料や学費は国立大学、公立大学ともほぼ同じですが、公立大学では、運営している都道府県に在住している場合、入学金が安くなるというメリットがあります。たとえば東京都立大学では、通常の入学金は28万2000円ですが、都内在住であれば半額の14万1000円です。
教員ひとりあたりの学生数が少ない
国立大学、公立大学とも、教員ひとりあたりの学生数が私立大学と比べると少ないため、手厚い教育が受けられるのが特徴です。日頃の講義や実習で質問がしやすいのはもちろん、ゼミなども少人数で行われる可能性が高いため、より学びを深められる環境だと言えます。
公立大学のメリット
次に、公立大学ならではのメリットについて、ひとつずつお伝えしていきます。
地域密着型のため地元就職に有利
公立大学は地元の都道府県が運営しているため、地域に密着した教育研究活動が行われます。そのため、地元企業とのつながりも強く、就職の際に有利な傾向があると言われているのです。
顕著な例としては、看護学部を持つ公立大学では、大学が設置されている都道府県や市町村にある病院への就職率が高いと言われています。たとえば川崎市立看護大学では、卒業生のうち91%が就職しましたが、64%が川崎市内の病院、27%が市外の病院に就職しました。
3教科で受験可能な場合がある
公立大学の中には、以下のように共通テストが3教科のみで受験可能な大学もあります。
東京都立大学法学部
- 共通テスト3科目(英語・国語必須、数学・日本史・世界史・地理から1科目選択)
- 二次試験は2科目(国語必須、世界史・日本史・地理・数学から1科目選択)
横浜市立大学国際教養学部、国際商学部B日程
- 共通テスト3科目(英語必須、数学・国語・社会(日本史、世界史、地理)から2科目選択)
- 二次試験は英語と小論文。
国立大学のように5教科7科目の受験が必要ではないため、受験しやすく、私立大学と併願しやすいのもメリットです。
比較的綺麗な校舎や施設が多い
一般的なイメージでは、私立大学のほうが校舎や施設が綺麗だと思われていますが、多くの公立大学が1990年代以降に設立されているため、比較的綺麗な大学が多いです。
国公立大学に共通するデメリット4点
ここからは、国公立大学に共通するデメリットについてお伝えしていきます。
私立大学に比べ難易度が高い大学が多い
国立大学は、共通テストで5教科7科目以上の受験を課すケースが多く、公立大学も私立大学と比べると受験科目数が多い大学が多くなっています。
また、記述式の問題も多く、知識があるだけでは解けない問題も多く出題されるため、私立大学と比べると難易度が高い大学が多いです。そのため、地方にある国公立大学など、比較的入学しやすいと言われている学校であっても、少なくとも共通テストで半分以上の得点が取れないと合格できないと言われています。
私立大学と比べて受験機会が少ない
国立大学は前期日程と後期日程、公立大学は中期日程の最大3回しか受験のチャンスがありません。さまざまな受験方式を設定して複数回の受験機会がある私立大学と比べると、受験機会が少ないことはデメリットと言えるでしょう。
設置学部数が少ない
ほとんどの国公立大学では、経済学部や法学部、理工学部など一般的な学部しか設置されていません。
私立大学は時代の流れに合わせてさまざまな学部を新設しています。たとえば成城大学では、2005年に社会イノベーション学部が新設されました。もちろん、国公立大学でも新設学部が設置されることはありますが、そのスピードは私立大学にはかなわないでしょう。
このように、時代の流れに即した学部学科で学びたい人にとっては、国公立大学は学部選びの自由度が低いと感じるかもしれません。
施設が古い場合が多い
国立大学は、設立が古いため明治期に建てられた校舎も多く、施設が古くなっている場合があります。公立大学については前述した通り、設立された年度が比較的新しいため綺麗な校舎を持つ場合も多いです。
多くの私立大学では、新しい設備を兼ね備えた校舎や施設があるため、施設の新しさを重要視する受験生にとっては、設立されてからの年月が長い国公立大学はマイナスポイントになるかもしれません。
まとめ
本記事では、公立大学と国立大学の違いについてお伝えしてきました。一般的には、私立大学と比べると費用が安い点が共通するため、国立も公立も同じような大学ではないかと思われがちですが、運営元が異なっていたり、入試科目や入試日程にも違いがあったりします。公立大学は中期日程で受験可能なため、前期日程および後期日程で受験できる国立大学と合わせて上手に受験スケジュールを組むことで、希望の大学への合格可能性が高まると言えるでしょう。
本記事が、公立大学および国立大学の受験を検討している方にとって、お役にたてば幸いです。
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