「仮面浪人ってどんな状態のこと?」「普通の浪人生ではなくて、仮面浪人をするとどんなメリットやデメリットがあるの?」と考えたことはありませんか。仮面浪人とは、大学に入学してから別の大学に合格するために勉強を続けている人のことを指します。次回の受験で、仮に志望校に合格できなかったとしても、現在在籍している大学に残れるというメリットもありますが、大学生活が忙しく受験勉強との両立が難しくなり、大学生であることがデメリットになるケースがあるのも事実です。この記事では、仮面浪人をすることのメリットやデメリットについてお伝えしていきます。また、仮面浪人をする場合はどのような点に気をつけるべきか、成功率を高めるポイントとともに、「これをやってしまうと失敗する可能性が高くなってしまう!」という点についても解説していきます。
目次
仮面浪人とは
仮面浪人とは、いったん大学に入学したあとに、別の希望する大学に合格できるよう勉強を続けている人のことを指します。仮面浪人には、大学に通学しながら仮面浪人するパターンと、大学を休学して受験勉強に専念するパターンがあります。
仮面浪人の志望校合格率
仮面浪人をした人の第一志望合格率は、およそ10%程度と言われています。リクルート進学総研が行った調査結果によると、2022年4月に大学進学した現役生の第一志望合格率がおよそ70%であることを考えると、仮面浪人の第一志望合格率はかなり厳しい数字と言えます。
現役生であれば、「第三志望の大学でも良いかな」と考える人もある程度いるかもしれませんが、あえて大学進学をしたあとに再び受験勉強を行う仮面浪人生のほとんどは、第一志望校合格にこだわりがあるはずです。
浪人生は現役生と比べると、総合型選抜や学校推薦型選抜などの利用が厳しくなっているため、志望校の合格率が下がっている側面があるかもしれません。いずれにしても、仮面浪人での第一志望合格率は決して高くはないことを知っておきましょう。
仮面浪人のメリット5つ
仮面浪人の第一志望合格率は決して高くはないとお伝えしましたが、もちろんメリットもあります。以下で、ひとつずつ解説していきます。
抑えとなる大学を受験する必要がない
仮面浪人をする場合は、現在在籍している大学が滑り止めとなるため、わざわざ抑えとなる大学を受験する必要がありません。受験する大学が少なくなることで、受験料の節約につながるのはもちろん、第一志望の大学の対策に集中できるメリットがあります。また、入試本番前に緊張が高まり、メンタルに悪影響を与えてしまう場合もあることを考えると、進学先が確保されていることは、精神的な安心にもつながるでしょう。
入試に落ちても行く大学が確保されている
仮面浪人の場合、もしも翌年の大学入試で失敗してしまったとしても、現在在籍している大学にそのまま通学し続けることができます。「浪人すれば、現役の時よりもレベルの高い大学に合格できるだろう」と考えてしまいがちですが、実際には現役の時よりも難易度が低い大学にしか受からなかったというケースも多く見られるのが現実です。そう考えると、もしも翌年の入試に失敗してしまったとしても、最低限、現役の時に合格した今の在籍大学のレベルが確保できるというのは安心につながるのではないでしょうか。
大学生という立場を確保できる
仮面浪人は仮面という言葉からも分かるように、自分から浪人していることを伝えなければ、周りの人から見ると普通の大学生と何ら変わりありません。たとえば周囲の人の目が気になる場合、大学生という立場を確保できるのはメリットです。世間体が気になる家族がいる場合にも、有効な方法と言えるでしょう。
また、大学で学んでいる内容が受験勉強に役立つ場合があったり、大学で知り合った友人と交流したりすることで、忙しい受験生活の中でもリラックスできる時間を持つことができます。映画館や公共交通機関、その他の公共施設などで学割を利用できることもメリットのひとつです。
いつでもやめることができる
仮面浪人をすると決めて勉強を続けていても、何かのタイミングでもう受験をやめようと思うことがあるかもしれません。大学で学んだり、新しい友人と交流したりするうちに、新たにやりたいことが見つかったり、現在の在籍校でも希望の学びができると感じることもあるでしょう。
そのような場合でも、すでに大学生という立場を確保しているため、いつでも仮面浪人をやめることができるのです。環境の変化によって、当初の希望とは異なる進路を目指すようになったとしても不思議ではありません。その場合、いつでも受験勉強から撤退できるのは、仮面浪人ならではのメリットです。
大学で取得した単位を移行できる場合がある
晴れて翌年の入試で第一志望校に合格した場合、現在の在籍大学は退学することになりますが、その際、1年次に取得した単位を新しい大学に移行できる場合があります。たとえば、早稲田大学の文化構想学部と文学部では、入学する前に別の大学で取得した単位について、最大36単位までの移行を行っています。
注意が必要な点としては、すべての大学がこのような移行制度を持っているわけではないということです。また、単位の移行ができる大学であっても、教授会などで認められたものしか移行できないため、仮面浪人中に取得した単位をすべて引き継ぐことができるとは限りません。
必ず、新たに入学する大学のルールを確認し、申込期限までに必要な書類を揃えて手続きを行ってください。
仮面浪人のデメリット4つ
ここまで、仮面浪人のメリットについてお伝えしましたが、もちろんデメリットもあります。以下で、ひとつずつ解説していきます。
大学入試のための勉強時間が少なくなる
仮面浪人は、大学入試のための勉強時間が、純粋な浪人生よりも少なくなるというデメリットがあります。仮面浪人をしていても身分は大学生です。そのため、在籍している大学の授業に出席し、課題をこなし、テスト勉強をしたりレポートを書いたりする必要があります。それに加えて大学入試の準備をしなくてはならないため、必然的に勉強時間が減ってしまうのです。
もちろん、休学しているなどの理由で大学の勉強をする必要がない場合もありますが、多くの仮面浪人生は大学に通学しているため、受験勉強と大学の勉強の両立に悩む場合があります。
サークルや友人づきあいなど誘惑が多い
大学では勉強以外に、クラスメートとの付き合いやサークル活動などの誘惑が多くなります。もちろんすべての誘惑に打ち勝ち、周りとの付き合いを断って受験勉強できるのであれば良いですが、なかなかそういう人も少ないでしょう。
しかし、あまりにもサークルや友人づきあいに時間を割いてしまうと、勉強時間が減ってしまうのはもちろん、精神的にも良くない影響を与えてしまいます。「無理して仮面浪人を続けなくてもいいかな」「今の大学にこのまま在籍していてもいいかもしれない」など、受験勉強への本気度が下がり、やる気がなくなるといった可能性も考えられるからです。
大学も仮面浪人も中途半端に終わる可能性
あまり考えたくはありませんが、翌年の受験に失敗したうえに、在籍大学でも必要な単位が取れておらず留年してしまう。あるいは在籍大学で学び続ける意欲が持てず、退学する可能性があります。「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがありますが、最悪の場合、大学も仮面浪人も中途半端に終わる可能性があることは覚えておきましょう。
費用がかさむ
繰り返しお伝えしてきましたが、仮面浪人は世間的には大学生という扱いです。そのため、在籍大学への入学金や学費を払わなくてはなりません。翌年の入試で晴れて志望校に合格し入学する場合、今度は新しい大学の費用が必要になります。つまり、最低でもプラス1年分の費用が必要になるということです。
仮面浪人中に塾や予備校に通う場合は、その費用も追加で必要になります。学期中は大学との両立が忙しく独学をしていた場合でも、夏期講習などには通う人も多いでしょう。このように、追加費用がかかることがデメリットと言えます。
仮面浪人の成功率を上げる4つのポイント
これまでお伝えしてきたように、仮面浪人にはメリットもあるものの、多くのデメリットが存在します。そのような中で勉強を続け、志望校に合格する確率を上げるためには、以下で述べるようなポイントを意識していくことが重要です。
仮面浪人をする目的を常に胸に刻み込む
周りの学生が大学生活を楽しむ中、わざわざ仮面浪人を選択した理由や、翌年晴れて志望校への合格を勝ち取ったあとにどのような学生生活を送りたいのかを、常に忘れないようにしてください。
大学生活が進み、新しくできた友人との付き合いや、サークル活動あるいは大学の講義が充実してくると、仮面浪人を決意した最初の強い気持ちを忘れがちになってしまいます。常に当初の目的を胸に刻み込み勉強を続ける、強い精神力が大切です。
細切れ時間を利用して計画立てて勉強する
日頃は大学の授業やテストがあり、純粋な浪人生のようなまとまった勉強時間の確保が難しいため、細切れ時間を利用して無駄なく勉強するように努めましょう。講義の空き時間や通学の電車内、友人との待ち合わせ場所に早めに到着した場合などにできる勉強内容を考えておくと、無理なく学習が進められます。
学期中はアルバイトやサークル活動があるかもしれませんが、夏休みや冬休みの長期休暇は、まとめて勉強できる貴重な期間です。細切れ時間に行う学習と、まとまった時間が確保できる時に行う学習内容を分けて、計画立てて勉強するようにしてください。
また、定期的に予備校の模試を受けることをおすすめします。現時点での実力を把握し、弱点分野を見極め、いつまでに何を勉強すればよいかが明らかになるからです。模試を受けたら勉強計画の見直しを行い、必要であればスケジュールの見直しを行っていきましょう。
大学の授業を履修しすぎないようにする
大学の授業は、必修科目など最低限の履修に抑えるようにしましょう。興味がある科目をあれもこれもと取ってしまうと、大学の勉強に追われてしまいます。その結果、受験勉強ができなくなってしまっては本末転倒だからです。「大学の授業は晴れて翌年希望校に合格して入学してから、取りたいだけ取るぞ!」と心に決めて、無理のない程度に履修するようにしてください。
友達付き合いに流されすぎない
仮面浪人のデメリットでもお伝えしましたが、友達付き合いに流されすぎないことが大切です。
一般的に浪人生は友達付き合いを絶ち、孤独に勉強するイメージがあります。仮面浪人の場合、大学でコミュニケーションを取る友人がいるのは、ストレス軽減という意味ではメリットになります。しかし、友達付き合いを優先しすぎると、勉強時間の確保が難しくなったり、最悪の場合、仮面浪人を続ける意欲がなくなってしまったりする可能性があります。
友人とは、適度に付き合うように心がけてください。
仮面浪人の失敗率を高めてしまう3つの行動
それでは逆に、仮面浪人の失敗率を高めてしまう行動について、以下でお伝えしていきます。必ず志望校に合格したいのであれば、以下のような行動は決して取らないようにしましょう。
勉強計画を立てない
とくに勉強計画を立てず、行き当たりばったりで勉強する。好きな科目だけ勉強したり、気が向いた時間帯だけ勉強したりしていると、失敗する確率が高まります。現役時代に、志望校まであと一歩、わずか数点差で落ちてしまった場合、「これなら次は必ず受かるだろう」と慢心している人に起こりがちな現象です。
活動が多いサークルに入ったり過度にバイトを行ったりする
進学先の大学で活動時間が長いサークルに入ったり、毎日のようにアルバイトを行ったりするなどして、勉強時間が確保できないケースがあります。サークル活動に時間が取られるため勉強時間が少なくなる人もいれば、昼間だけではなく夜勤のアルバイトも行い、睡眠時間が不足して体調を崩す人もいます。いずれにしても、生活リズムの乱れが受験勉強に影響を与えるケースです。
友人からの遊びの誘惑などに負ける
サークルに入らず、アルバイトをしていない場合でも、友人からの遊びの誘惑につい負けてしまう人がいます。「今日は別に遊んでもいいかな、明日から頑張ろう!」というセリフがつい口を出てしまう人は要注意です。
仮面浪人に失敗した場合の進路3つ
もし、残念ながら翌年の受験に失敗した場合、その後の進路はどうなるのでしょうか?主に、以下の3つのパターンが考えられます。
在籍大学に通う
仮面浪人は一年だけと決めている場合は、そのまま現役時に合格した在籍大学に通い、卒業を目指します。留年をしなければ、同級生と同じく4年間で卒業できるのがメリットです。
もう一年仮面浪人する
精神的にもかなり厳しくなり、費用もさらに必要となりますが、在籍している大学の勉強と両立させていく覚悟で、再び仮面浪人をすることも可能です。
在籍大学を退学する
在籍している大学に残る理由がないと考えている場合は、大学を退学する場合もあります。その後の進路としては、純粋に浪人するほか、やりたいことが見つかったので専門学校に進学する、海外の大学に留学するなどが考えられます。
まとめ
本記事では、仮面浪人のメリットやデメリット、仮面浪人を成功させるための方法についてお伝えしてきました。仮面浪人をして、第一志望の学校に合格する可能性はおよそ10%と決して高くはありません。大学の勉強と受験勉強を並行して行うのも、想像以上に大変でしょう。しかし、仮面浪人をしても絶対に行きたい大学があるのであれば、強い意志を持って学習を続け、希望校に合格することは夢ではありません。本記事が、仮面浪人について考えている人にとってお役にたてば幸いです。
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