大学受験の際、選抜方法として一般入試か推薦入試か選択することになります。一般入試と違い、推薦入試にも種類があり、さまざまなルールもあります。当記事では、学校推薦型選抜について概要やスケジュール、必要な準備などについて解説していきます。
目次
学校推薦型選抜とは
学校推薦型選抜とは、従来の「推薦入試」のことです。2021年度入試より改称されました。高校の推薦を受けることで出願できる入試で、一般的には小論文や面接、書類審査等があります。しかし、一部の学校では大学入学共通テストや独自の学科試験を課す学校もあります。一般入試との大きな違いは、高校の推薦が必要という点です。一般入試は出願さえすれば誰でも受験可能ですが、学校推薦型選抜の場合は出身校の推薦が必ず必要となります。学校推薦型選抜には大きく分けて2種類あります。以下の通りです。
- 公募制
- 指定校制
それぞれの選抜内容について詳しく説明していきます。
学校推薦型選抜の種類
先ほども述べたように、学校推薦型選抜には主に2種類あります。どちらの場合でも共通しているのは、「合格したら必ずその大学に入学すること」という専願性がある点です。それらも踏まえて、1つずつ詳しくみていきましょう。
公募制
「公募制」は、志望校の出願条件をクリアし、出身校の推薦があれば出願できます。大学側からの指定がないので、どこの学校からでも出願できます。また、公募制の中でも、学業成績などの基準を超えていれば出願できる「公募制一般選抜」と、学業ではなくスポーツや文化活動をしたことをアピールできる「公募制特別推薦選抜」があります。「公募制一般選抜」では、学生の基本となる学業成績に基づいて評価します。
評定の条件をクリアしているか、普段の学業成績はどうかなどが指標となってきます。「公募制特別推薦選抜」では、スポーツや文化活動などの学業以外の観点からも評価され、部活動やボランティア活動への参加などでアピールできます。
指定校制
「指定校制」は、大学側の指定した学校の生徒が対象となり、私立大学が中心となっています。国公立大学ではほとんど行われていません。指定校制の場合は、志願者が多いと校内で選抜になることがあります。しかし、推薦を受けられれば合格率はかなり高いでしょう。指定校制では、評定平均を指標として選抜します。
3年間の学業成績や学校生活の態度などで評価されるため、高校に入学した時点から受験対策が始まっています。推薦で受験したい場合は、1年生から学業に真摯に向き合い、積極的に授業に参加するなど学校生活における態度も整えましょう。
大学ごとの学校推薦型選抜
学校推薦型選抜は、国公立大学と私立大学で違いがあります。それぞれどのような違いがあるのか詳しくみていきましょう。
国公立大学の学校推薦型選抜
国公立大学の学校推薦型選抜は、公募制のみです。私立大学に比べて募集人員が少ない傾向にあり、基準となる成績も厳しく判定されます。学業成績を重点的に評価する学校が多く、大学入学共通テストを活用する大学が増えてきています。推薦だからといって学業を疎かにするのは得策ではありません。基本的な学力に加え、応用力をつけるなど学力の向上を図りましょう。
私立大学の学校推薦型選抜
私立大学の学校推薦型選抜には、指定校制も含まれます。主な審査基準となるのは、評定平均です。評定平均と言っても学業成績だけではなく、ボランティア活動や取得資格について求められることもあります。また、志望する学科や学部によって求められる基準が異なる場合があります。志望校の募集要項を熟読し、確認しておきましょう。
他の選抜方法との違い
学校推薦型選抜は、他の選抜方法とは異なります。一般選抜や総合型選抜との違いについて詳しく解説していきます。
一般選抜との違い
一般選抜との大きな違いは、求められる基準です。一般選抜の場合は大学共通テストなどの学力試験においてその成績が合否の判断に用いられます。しかし、学校推薦型選抜は、評定平均によって合否が判断されます。学業成績だけではなく、3年間の学校生活における態度や活動内容など高校生活全般が評価の対象となります。学力だけで評価する一般選抜と違い、学校推薦型選抜はスポーツや文化活動などの面でもアピールできるので、成績に不安がある場合は他の視点で評価を獲得できます。
総合型選抜との違い
総合型選抜との大きな違いは、推薦の有無です。総合型選抜は、高校からの推薦を必要とせず、志願者の意思で出願可能です。学校推薦型選抜は高校からの推薦が必須であるため、この点が大きな違いと言えるでしょう。また、総合型選抜は、大学側が求める学生であるか測られるため、学校の特色が出る傾向があります。
一方で学校推薦型選抜は、小論文や面接、書類選考などの選考方法があるので、諸論文や面接に重点を置く大学もあれば、書類に重点を置く大学も見られます。後述するように、スケジュール面においても違いが出てきます。
学校推薦型選抜の出願条件
学校推薦型選抜の出願条件としては、高校1年生から高校3年生までの評定平均が指定されることが多くなっています。評定平均とは高校1年生から高校3年生までに履修した科目の評定を科目数で割った数値のことです。評定平均の指定についても、「全体の評定平均が4.0以上」という指定もあれば、「全体の評定平均4.0以上かつ数学は3.5以上」と、全体の評定平均とともに教科によっても指定される場合も見られます。
志望校の募集要項に必ず記載があるので確認しましょう。また、評定平均はすぐにアップするものではありません。高校1年生から努力を重ね、定期テストで点数を取ったり、ボランティア活動に参加したりという努力の積み重ねが必要です。
評定は関係する?
先ほども述べたように、学校推薦型選抜では評定平均が合否に大きく関係します。つまり、高校1年生から高校3年生までの学校生活全般が評価の対象となるのです。評定は学業における成績だけではなく、普段の学校生活における態度や活動への参観状況などさまざまな視点から評価されます。定期テストの点数だけ取ればいいというものではありません。志望校の出願条件を超えられるように準備しておきましょう。
学校推薦型選抜は併願できるの?
学校推薦型選抜と総合型選抜は併願できるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。
専願が原則
学校推薦型選抜は基本的に専願が原則となっています。大学から「合格したら必ず入学するようにしてください」などの条件が提示されます。多くの大学で受験生の意欲が評価対象となり、他の大学と併願できないようになっています。中でも指定校制の場合は、高校の代表として出願するので専願が原則となっています。
一部の大学では可能
学校推薦型選抜は専願が原則ではありますが、私立大学の公募制では、併願が認められている大学もあります。その場合はどちらも併願可能な大学であることが条件です。志望校が併願可能かどうかは事前にきちんと調べておきましょう。
一般入試であれば併願可能
学校推薦型選抜においても一般入試であれば併願は可能です。推薦入試で不合格だった場合、一般入試で他の大学を受験することは可能です。また、不合格となった大学に一般入試で再度受験するという方法もあります。ただ、推薦入試を受験するのであれば、推薦で合格できるように準備や工夫をすることが、大学に対して誠意ある行動だと思います。
学校推薦型選抜のスケジュール
学校推薦型選抜のスケジュールは国公立大学と私立大学で少し異なります。学部や学科によってはスケジュールが異なる場合があるので必ず募集要項を確認しましょう。以下で詳しく解説していきます。
国公立大学の場合
国公立大学の場合、学校推薦型選抜の出願は、多くの場合11月初めから始まります。11月から12月の間に試験が行われ、12月後半で合格発表となります。大学によっては大学入学共通テストを貸す場合もあるため、その場合は大学入学共通テストの終了後に合格発表があります。
私立大学の場合
私立大学の場合は、10月初めから出願が始まるケースが多いです。10月から11月の間に試験が行われ、12月に入って合格発表となります。私立大学は国公立大学よりも1ヶ月ほど早く出願が始まるので、計画的に出願するようにしましょう。
出願に必要な書類
出願に必要な書類としては以下の4つがあります。
- 調査書
- 学校長推薦書
- 自己推薦書
- 語学試験の証明書
1つずつ詳しくみていきましょう。
調査書
調査書には、各評価の成績や評定平均、授業日数、出欠日数、部活動や活動への参加記録などが記載されています。調査書は学校側が用意してくれるので、先生の早めに相談しましょう。調査書の記載内容は特に評価の基準となるので、各教科の評定平均や学校生活の態度など評価の高い調査書ができるように努力することが大切です。
学校長推薦書
公募制では、学校長推薦書が必要となります。後述する自己推薦書と記載内容が同じにならないよう、先生と調整しましょう。あらかじめ記載してほしい内容を伝えておくとスムーズです。学校長推薦書も学校側が準備してくれるので、作成依頼は早めにお願いするようにしましょう。
自己推薦書
自己推薦書は自分で用意するものです。志望する理由や自分のアピールポイントなどをまとめたもので、面接の際に記載内容について質問されることがあるので、自己分析や志望理由はしっかり考えて記載しましょう。自分自身について深く理解し、面接において質問されても筋道立てて応えられるように準備しておくと慌てずに済みます。
語学試験の証明書
英検やTOEICなど語学関係の試験については合格証明書の提出が必要となります。証明書の有効期限を確認し、期限内の原本を必ず提出しましょう。志望する学部や学科によって異なりますが、語学試験の実績は大きなアピールポイントの1つです。在学中から積極的に語学試験を受験し、合格できるように勉強しておきましょう。
学校推薦型選抜に必要な準備
学校推薦型選抜に必要な準備として以下の6つがあげられます。
- 情報収集
- 書類の準備
- 成績を伸ばす
- 学校生活の見直し
- 小論文や面接の対策
- ボランティアや課外活動への参加
1つずつ詳しくみていきながら、慌てずに準備を進めましょう。
情報収集
まず志望校についての情報収集や受験内容について確認しましょう。自分が志望する大学のオープンキャンパスなどにも積極的に参加し、実際にどんな大学なのか、学校の雰囲気や入学後の生活をイメージします。最近はオンラインのオープンキャンパスも実施している大学があるので、志望校の公式ホームページや学校案内を参考にしてみてください。予約が必要な場合もあるので日程の調整等も必要となります。
受験については、募集要項をよく読み、必要な書類や試験日程、出願条件など事細かにリサーチしましょう。大学によっては評定平均だけではなく、大学入学共通テストを課す大学もあります。合格点や得点率についての条件も忘れずに確認しましょう。公募制で受験する人は、昨年度の募集要項なども参考になります。内容が少し変更になる場合もありますが、出願から受験するまでのイメージがつかみやすくなるのでおすすめです。
書類の準備
先ほども述べたように、学校推薦型選抜には必要な書類があります。学校にお願いして作成してもらう書類もあるので、早めに相談し、作成をお願いしましょう。また、自分で作成する書類に関しても早めに準備し、記載した内容は忘れないように覚えておくことが大切です。面接で質問された際に、記載内容と異なる発言をしたり、答えに戸惑ったりすると面接官からの印象がよくありません。
提出する書類はコピーをとり、面接対策などに有効活用しましょう。書類によっては、有効期限があり、期限が切れてしまうと証明にならないため、必ず期限内かどうか確認し、期限内の書類を提出しましょう。
成績を伸ばす
学校推薦型選抜では、評定平均が評価の指標となります。特に中間テストと期末テストは重要になってきます。定期テストで成績が上がるように勉強方法を見直し、対策しましょう。評定平均は高校3年間の成績の平均が指標となるので、3年間通して良い成績を残すように勉強に取り組むことが大切です。成績の伸ばし方のポイントは以下の5つです。
- 勉強時間を確保する
- インプットとアウトプットを行う
- 苦手教科は独学で勉強しない
- 教材を効率良く使う
- 生活習慣を見直す
学校生活の見直し
評定は定期テストの成績だけではなく、普段の学校生活も評価対象です。授業態度や提出物の提出など基本的な生活態度を見直してみましょう。授業態度や提出物の提出は定期テストでの学力向上にも関係します。授業態度が悪ければ授業内容が頭に入らず、結果的にテストで成績が上がりません。授業には積極的に参加し、提出物も期限内に必ず提出するようにしましょう。また、先生に対する言葉遣いや態度も見直し、改めなければいけない点はしっかり正して評価が上がるように努めてください。
小論文や面接への対策
小論文や面接への対策も重要です。小論文や面接はすぐに結果が出るものではありません。普段から練習や対策を整えて準備しておくことが大切です。小論文は過去の問題などから練習しておきましょう。しかし、数をこなすだけではなく、きちんと添削してもらい、スキルアップしていきましょう。
国語担当の先生に添削をお願いして、模範解答の例を教えてもらうなど工夫することで能力が伸びやすいと思います。面接は内容だけではなく、話し方や態度、表情まで見られます。面接担当の先生との練習や、時には違う先生に面接官をお願いしてみるなど自分に合った方法を探していきましょう。
ボランティアや課外活動への参加
推薦入試では、学校の成績だけで合否を判断するわけではありません。ボランティア活動や課外活動に参加しているか、参加して学んだ能力も評価の対象になります。また、保有している資格についても問われる場合があります。大学側から指定される志望理由書や調査書などに活動の状況を記入することになりますが、空白では印象が悪いです。積極的に活動に参加し、学びを深めたり、新しいことに挑戦したりしましょう。
資格についても同様に、自分の興味のある資格や志望する大学に関連するような資格は積極的に受け、合格できるよう学習していきましょう。
まとめ
学校推薦型選抜について概要やスケジュール、必要な準備などについて解説してきました。学校推薦型選抜には2種類あり、それぞれ対象が異なります。また、スケジュールの面でも違うため、志望校の募集要項をよく読んで確認しておくことが大切です。学校推薦型選抜だけではありませんが、学習面や学校生活での態度など見直し、慌てることなく受験できるよう対策していきましょう。
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