仮面浪人とは、大学に通いながら、第一志望の大学に再受験するために勉強を続けることです。仮面浪人という言葉は聞いたことがあるものの、一般の浪人生との違いを知っている人は少ないのではないでしょうか。今回は、仮面浪人の合格率やメリット・デメリットをご紹介します。さらに合格のためのポイントも解説しますので、少しでも仮面浪人を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
仮面浪人とは?
仮面浪人とは、大学に通いながら、別の大学受験を目指して勉強を続けることです。通常の浪人と異なり、大学生という身分を持ちながら受験勉強をするため、「仮面」という言葉が使われています。
仮面浪人を選択する理由は、人によってさまざまです。たとえば、「第一志望に落ちたが、現役で合格した大学にいったん入学して再度チャレンジしたい」「単なる浪人よりも、1年後の保証がある状態で受験したい」というようなケースがあげられます。
仮面浪人には2つのタイプがあります。
- 大学生活と受験勉強を両立させるタイプ:普通に授業に出席しながら、空き時間で受験勉強を進める。
- 受験勉強を中心とするタイプ:大学には籍だけを置き、実質的には予備校生として過ごす。
合格を目指すうえで、どちらの方法が自分に合っているか、よく考えて選択することが大切です。
仮面浪人で志望校に合格できる成功率
じゅけラボ予備校がおこなった浪人生の受験成功率、浪人年数調査によると、一般的な浪人生が第一志望校に合格する確率は最終的に約50%と報告されています。これは浪人生の半数が目標を達成できているという、決して低くない数字です。
合格した年数は、1年目が42.1%と最も高く、2年以上浪人した場合は30.2%と、多浪するほど合格率が低くなることが分かりました。
仮面浪人の場合、大学の授業や課題との両立が必須となるため、学習時間は通常の浪人生の半分以下になることも珍しくありません。限られた時間での受験勉強を強いられる環境を考慮すると、仮面浪人での第一志望校合格率は一般浪人を下回ることが予想されます。とくに2年以上の仮面浪人となると、さらに厳しい状況になるかもしれません。このように、仮面浪人は一般の浪人以上に難しい挑戦となります。
参考:じゅけラボ予備校|浪人生の割合・浪人率はどのくらい?現役生の合格率の調査データも公開
仮面浪人のメリット
仮面浪人のメリットは、おもに以下の3つがあげられます。
- 大学生の肩書を維持できる
- 第一志望の受験だけに集中できる
- 受験に失敗しても在籍大学で卒業できる
それぞれ解説します。
大学生の肩書を維持できる
仮面浪人では大学生という身分を保ったまま受験勉強ができます。これには以下のようなメリットがあります。
- 履歴書の空白期間を避けられる
一般的な浪人を選んだ場合、1年間の学歴の空白が生まれてしまいます。しかし、仮面浪人であれば大学生という立場を維持できるため、この空白期間を作ることなく受験に再挑戦できます。就職活動の際に有利に働く可能性もあるかもしれません。
- 周囲に説明しやすい
大学生という立場があるため、親戚や知人に対して浪人していることを説明する必要がありません。また、「予備校生です。」というよりも「大学生です。」と答えられる方が、多くの人にとって心理的な負担が少ないでしょう。
- 大学生ならではの特典を利用できる
学生証があれば、交通機関や映画館、美術館などで学生割引が利用できます。さらに、大学の設備(図書館、自習室など)を使って勉強できるのも大きな利点です。
第一志望の受験だけに集中できる
仮面浪人のメリットは、第一志望校一本に絞って受験勉強ができることです。現役の受験生は、万が一の不合格に備えて複数の併願校を受験するため、それぞれの入試傾向に合わせた対策が必要です。
また、一般的な浪人生も、二度目の浪人は避けたいという考えから、複数の大学を受験することになります。その結果、志望校対策に使える時間と労力が分散してしまうのです。
しかし、仮面浪人の場合は、すでに在籍している大学があるため、不合格への不安を抱えずに済みます。そのため、志望校一校に的を絞り、その大学の入試傾向や出題パターンを徹底的に研究できます。
仮面浪人は、どうしてもこの大学に入りたいという強い思いを持つ受験生にとっては、理想的な受験スタイルといえるでしょう。
受験に失敗しても在籍大学で卒業できる
仮面浪人のもう一つのメリットは、受験に失敗しても現在の大学で学び続けられることです。一般の浪人生の場合、不合格になると再度1年間の浪人生活を送るか、進路を大きく変更するかの選択を迫られます。
しかし、仮面浪人であれば、たとえ志望校に合格できなくても、現在在籍している大学でそのまま学業を続けらます。経済的な余裕があれば、次年度の再チャレンジも可能です。
また、仮面浪人を始めた後でも、状況に応じて方針を変更できる柔軟さもあります。たとえば、大学生活を送るなかで新しい興味が見つかったり、今の大学の良さに気づくこともあるでしょう。その場合は、受験勉強を中止して現在の大学に専念するという選択もできるのです。
仮面浪人のデメリット
仮面浪人のデメリットは、以下の4点です。
- 経済的負担が増える
- 勉強時間の確保が難しい
- 受験へのモチベーションが維持しづらい
- 友人との付き合い方が難しい
それぞれ解説します。
経済的負担が増える
仮面浪人最大のデメリットは、経済的負担の大きさです。まず、大学に籍を置くための費用が必要になります。大学の初年度納入金の例は以下の通りです。また、入学金、授業料のほかに施設の利用料などがかかります。
大学名 | 入学金 | 授業料(年間) | 初年度納入金 合計 |
---|---|---|---|
宇都宮大学(学部共通) | 282,000円 | 535,800円 | 817,800円 |
早稲田大学(政経学部) | 200,000円 | 1,081,000円 | 1,281,000円 |
日本大学(文理学部・理系) | 260,000円 | 1,100,000円 | 1,360,000円 |
【参考】
宇都宮大学「入学金・授業料」
早稲田大学「入学金や授業料など納付金」
日本大学「入学者納入金一覧|日本大学入試ガイド」
これらの費用に加えて、予備校や塾に通う場合は、30〜50万円程度の支出が必要です。また、実家を離れて一人暮らしをする場合は、家賃や光熱費、食費などの生活費も考慮しなければなりません。
このように、仮面浪人は一般の浪人と比べて大幅に費用がかかります。多くの場合、費用を工面するのは保護者の方です。「入学金や学費を払ったのだから、今の大学のままでよいのでは?」「再受験するなら最初から浪人すればよかった。」という意見も出やすく、保護者に理解してもらえない場合は、仮面浪人をすることは難しいでしょう。
仮面浪人を選択する際は、経済的な負担を家族としっかり相談し、計画を立てることが重要です。
勉強時間の確保が難しい
仮面浪人の最大の課題は、大学生活と受験勉強の両立です。大学では授業への出席が必須で、レポート提出や定期テストの準備も欠かせません。時間割の組み方によっては朝から夕方まで大学で過ごすことになり、受験勉強に使える時間が大幅に制限されます。
さらに、大学の授業で疲れた後では集中力も低下しがちです。授業の合間の短い時間では効率的な学習が難しく、疲労から十分な効果が得られないことも。また、定期的に大学の課題に時間を取られるため、受験勉強を継続することは簡単ではありません。
このため、浪人生が1日10時間以上の勉強ができるのに対し、仮面浪人はその半分程度しか勉強できないことも珍しくありません。時間の使い方を工夫し、効率的な学習計画を立てることが成功への鍵となります。
受験へのモチベーションが維持しづらい
仮面浪人の場合、失敗しても大学生でいられるという安心感が、逆に受験勉強への意欲を低下させる原因になることもあります。
大学生活を送るなかで、サークルやアルバイト、友人との付き合いなど、さまざまな誘惑に直面します。周りの学生たちが大学生活を楽しむなか、自分だけ受験勉強することに孤独感や焦りを感じることもあるでしょう。「今日は勉強を休んで友達と遊ぼう。」「この程度の勉強で大丈夫だろう。」という甘い考えが生まれやすい環境です。
また、大学での新しい発見や経験を通じて「今の大学でも悪くないかも。」という気持ちが芽生えることもあります。これ自体は決して悪いことではありませんが、中途半端な気持ちのまま受験勉強を続けることは、貴重な時間とお金を無駄にするリスクにもなります。
仮面浪人を選択する際は、なぜ志望校に行きたいのかという明確な目的意識を持ち、定期的にモチベーションを見直すことが重要です。
友人との付き合い方が難しい
仮面浪人生は、大学の友人関係で悩むことがあります。仮面浪人を隠して通学する場合は、度重なる遊びや飲み会の誘いを断りづらく、勉強時間の確保が難しくなります。
正直に打ち明ける場合は、応援してくれる友人もいれば、どうせ来年はいなくなる人だからと距離を置かれることも。
仮面浪人生にとって、友人関係は悩みの種になることもあります。自分の性格や状況に合わせて、付き合い方を慎重に選びましょう。
仮面浪人の受験を成功させるポイント
仮面浪人の受験を成功させるポイントは以下の通りです。
- 目標を明確にし、計画を立てる
- 勉強時間を確保する(休学も検討する)
- 塾や予備校を活用する
それぞれ解説します。
目標を明確にし、計画を立てる
まずは現在の学力と目標とする大学の合格ラインとの差を正確に把握しましょう。去年の受験で合格できなかった原因(苦手科目や時間配分など)を分析し、克服するための計画を立てます。
具体的には、
- 各科目の目標点数を設定する
- 月ごとの学習スケジュールを決定する
- 定期的に模試を受けて進捗を確認する
模試を受けたら、結果に合わせて学習プランの見直しをおこないます。常に、なにをいつまでに学習すればよいかを明確にしておくことが重要です。
勉強時間を確保する(休学も検討する)
仮面浪人を成功させるためには、勉強時間の確保が不可欠です。大学での単位取得に必要な最低限の授業のみを履修し、それ以外の時間は受験勉強に充てることが重要です。また、サークル活動やアルバイトは基本的に控えめにし、受験勉強を優先する姿勢が必要になります。とくに夏休みや冬休みなどの長期休暇は、集中的に勉強できる貴重な期間です。
十分な勉強時間の確保が難しいと感じた場合は、休学という選択肢も検討しましょう。ただし、休学に必要な費用は大学によって大きく異なり、数万円から100万円以上までさまざまです。経済的な面も含めて、慎重に判断する必要があります。
塾や予備校を活用する
独学での受験勉強には限界があるため、塾や予備校の利用も効果的な選択肢です。経験豊富な講師による指導は、入試傾向を的確に分析し、効率的な学習方法を提案してくれます。また、定期的な面談や添削指導を通じて、モチベーションの維持にも役立ちます。
最近では、オンライン予備校も人気です。大学の授業の合間や通学時間を利用して学習できる柔軟性が魅力です。ただし、予備校にはそれぞれ特色があり、費用も異なります。自分の学習スタイルや目標に合った支援体制を選ぶことが大切です。
よくある質問(FAQ)
仮面浪人に関するよくある質問をご紹介します。
仮面浪人と編入の違いはなんですか?
仮面浪人とは、大学に在籍しながら他大学の一般入試に再挑戦し、合格した場合は1年生から再スタートする方法です。一方、編入は現在の学年を活かしながら、2年次や3年次から他大学に入学できる制度です。それぞれの特徴をまとめました。
仮面浪人 | 編入 | |
---|---|---|
受験方法 | 一般入試を受験 | 編入学試験を受験 |
入学時期 | 1年生からスタート | 2〜3年生からスタート |
受験できる大学 | ほぼすべての大学を受験可能 | 編入制度を取り入れている大学のみ(東大、京大、慶應などは実施なし) |
単位の扱い | これまでの単位は無効 | これまでの単位を活かせる可能性あり |
卒業までの期間 | 通常より1年長くなる | 標準の4年で卒業可能 |
このように、仮面浪人は1年生からのやり直しになる一方、編入は既存の学習成果を活かしながら転学できる制度です。どちらを選ぶかは、自分の目標や状況に応じて慎重に検討する必要があります。
仮面浪人を禁止している大学はありますか?バレたらどうなりますか?
基本的に仮面浪人を禁止している大学はありません。どの大学に通うかは、個人の自由であり、多くの大学は公式な規制を設けていません。
ただし、以下のような場合は、仮面浪人していることがバレる可能性があります。
- 出席率が極端に低い
- 必修科目の単位を落とす
- 課題やテストを提出しない
バレた場合の具体的な罰則規定はありませんが、進級できなかったり、学内での評判が下がったりするなどの影響はあり得ます。そのため、大学の単位はしっかり取得しながら受験勉強を進めることが賢明です。
仮面浪人の再受験を成功させるには計画的な学習計画が重要
この記事では、仮面浪人のメリット・デメリット、成功のためのポイントを解説してきました。仮面浪人は大学生活と受験勉強を両立させなければならないため、一般の浪人以上に難しい挑戦です。
仮面浪人を成功させるポイントは以下の通りです。
- 明確な目標設定と具体的な学習計画の立案
- 勉強時間の確保
- 塾や予備校の活用
しかし、「自分だけで勉強を続ける自信がない。」「効率的な学習方法を知りたい。」という方も多いのではないでしょうか。そのような方には、大学受験の専門家からのアドバイスを受けることがおすすめです。アクシブアカデミーでは、一人ひとりの状況に合わせた学習プランの提案から、モチベーション管理まで、トータルでサポートしています。仮面浪人を考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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