「大学受験のために英検を取っておいた方がいいの?」「どんな優遇が受けられるの?」大学受験を控えた皆さんなら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。実は、英検は思った以上に大学受験で大きな武器になるのです。入試での英語試験が免除されたり、加点を受けられたりと英検取得者向けの優遇制度はたくさんあります。ただし、どの級をいつまでに取得すればいいのか、どんな優遇が受けられるのかは、大学によって大きく異なります。この記事では、英検を活用した具体的な受験戦略から、知っておくべき注意点まで、詳しく解説していきます。早めの対策で受験を有利に進めましょう!
目次
英検取得は大学受験で有利になる!
大学受験において、英検取得は大きなアドバンテージとなります。なぜなら、多くの大学が「英語外部検定利用入試(外検入試)」を実施しているからです。
英語外部検定利用入試とは、英検をはじめとした民間の英語資格・検定試験の合格級や取得スコアを各大学の入学試験で活用できる制度です。この制度を導入する大学は年々増加しており、受験生にとって重要な入試対策の一つとなっています。
2024年度の文部科学省の委託調査によると、英語の資格・検定試験を活用している選抜区分の割合は以下の通りとなっています。

画像引用:文部科学省委託調査|令和5年度大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究
さらに、旺文社 教育情報センターの発表では、2024年入試において英語の外部検定を利用した大学は462校にのぼり、これは国公私立大全体の60.6%を占めています。
注目すべきは、外部検定を利用した受験生の90.0%が英検を選択していたという点です。このように、英検は大学入試において最も広く認知され、活用されている英語資格といえます。
参考:旺文社 教育情報センター
外部検定利用入試 2024年は462大学!|2024年2月20日
受験生が選んだ外部検定はどれ? <2023年 一般選抜> 受験生の9割が英検を利用!|2022年7月21日
英検取得で受けられる大学受験の優遇措置
英検の取得により受験生が得られる優遇措置は、大きく分けて4つあります。
- 英語試験が免除になる
- 入試の点数に換算・加点される
- 合否判定に加味される
- 出願資格が得られる
それぞれの優遇措置について解説します。
英語試験が免除になる
多くの大学で英検取得者向けの優遇制度として、英語試験の免除制度を設けています。この制度を利用すると、入試当日に英語試験を受験する必要がありません。
試験免除により、受験する科目を減らせるため、他の科目に集中でき、受験勉強の負担も軽減できます。
この制度を利用するには、大学が定める基準(英検の級)を満たしている必要があります。出願前に各大学の入試要項で確認しましょう。
入試の点数に換算・加点される
英検取得者に対する優遇制度の一つとして、入試の点数への加点や得点換算があります。これは、共通テストや個別試験において、英検の級やCSEスコアに応じて一定の点数が加算される制度です。
たとえば、早稲田大学では、英検2級以上の取得者に対して、最大20点が加算される制度を設けています。加点制度が利用できれば、他の受験生より有利な条件で受験に臨めます。
大学によって加点の基準は異なり、学部や入試形態によっても条件が変わるため、志望校の入試要項で詳細を確認することが重要です。
合否判定に加味される
英検の級やCSEスコアによって出願書類の評価で優遇を受けられるケースがあります。とくに学校推薦型選抜や、総合型選抜において、外国語学部や国際関係学部など英語力を重視する学部では、英検などの英語外部検定試験のスコアの提出を求めています。
そのため、出願時点で英検の基準を満たした受験生だけに絞られ、競争率が下がることになるのです。つまり、英検を取得しておくことで、より合格の可能性が高い入試方式を選択できるようになります。
出願資格が得られる
一部の大学では、入試の出願資格として英検の取得を必須条件としています。これは、受験生に一定以上の英語力があることを確認するためです。
たとえば、明治大学の国際日本学部や経営学部では、英検2級以上を持っていることが出願資格の一つとして定められています。このような入試では、基準となる級を持っていないと出願できません。
英検を取得しておくことで、一般入試だけでなく、英検を出願資格とする入試方式も受験できるようになります。つまり、より多くの受験機会を得られるため、合格への道が広がるのです。
これらの優遇措置は、英検の級や入試形態によって適用される条件が異なります。また、同じ大学でも学部によって基準が違う場合もあるため、出願前に必ず各大学の入試要項で確認することが重要です。
参考:明治大学|入試総合サイト
大学受験で英検利用できるおもな大学一覧【2025年版】
2025年度入試の一般選抜において英検を活用できるおもな大学をご紹介します。
国立大学
| 入試方法 | 利用方法 | 級・スコア | 備考 | |
|---|---|---|---|---|
| 秋田大学 国際資源学部 | 前期 | 点数化 | 準1級 | 個別試験「英語」の受験を免除 |
| 富山大学 理学部 | 前期・後期 | 点数化 | 1,700 | 共通テスト「外国語」の満点を上限に加点(30~50点) |
| 千葉大学 国際教養学部 | 前期 | 点数化 | 2,300 | 個別試験「外国語」の満点を上限に加点(40点)または満点とみなす(満点換算の場合は個別試験「外国語」の受験を免除) 英検は受検級の指定あり |
| 大阪教育大学 教育学部 | 前期 | 点数化 | 2級 | 共通テストの満点を上限に加点(15または30点) |
| 広島大学 全学部 | 前期・後期 | 点数化 | 準1級 | 共通テスト「英語」の得点を満点とみなす |
| 九州大学 共創学部 | 前期 | 点数化 | 2,300 | 共通テスト「英語」の得点を満点とみなす(共通テスト「英語」の受験は必須、第1段階選抜を行う場合は共通テストの成績を利用する) |
| 佐賀大学 全学部 | 前期・後期 | 点数化 | 2,050 | 共通テスト「英語」の得点に換算(70~90%)(共通テスト「英語」の受験は必須) 共通テスト「英語」の得点率が50%以上の受験者のみ対象 |
参考サイト
一般選抜では利用できなくても、学校推薦型選抜・総合型選抜で英検を活用できる国立大学は多くあります。京都大学、筑波大学、大阪大学、名古屋大学でも、一部の学部で英検の利用が可能です。
私立大学
| 入試方法 | 利用方法 | 級・スコア | 備考 | |
|---|---|---|---|---|
| 早稲田大学 国際教養学部 | 一般選抜 | 点数化 | 2級 | 総点に加点(最大20点) |
| 東京理科大学 全学部 ※理(第二部)を除く | 一般選抜(グローバル方式) | 出願要件 点数化 | 1,400 | 個別試験の得点に加点(0~25点) |
上智大学 全学部 | 一般選抜(学部学科試験・共通テスト併用方式) | 点数化 | 1,700 | 共通テスト「外国語」の満点を上限に加点(2.5~15%) |
| 一般選抜(共通テスト利用方式) | 点数化 | 2,300 | 共通テスト「外国語」の得点に換算(180または200点)(共通テスト「外国語」の受験は必須、高得点の方を利用) | |
| 青山学院大学 国際政治経済学部 | 一般選抜(個別学部日程B方式) | 出願要件 点数化 | 1,700 | 大学が別途定めるスコアを満たす場合は、個別試験の得点に加点(5~15点) |
立教大学 全学部 | 一般入試 ※文学部 試験日2/11は対象外 | 点数化 | 級・スコアの条件なし | 個別試験の得点に加点(学部・学科により配点は異なる) |
| 共通テスト利用入試 | 点数化 | 級・スコアの条件なし | 共通テスト「外国語」の得点に換算(受験した場合は高得点の方を利用) | |
| 学習院大学 国際社会科学学部 | 一般選抜(プラス試験) | 点数化 | 2級 1,980 | 個別試験「英語」の得点に換算(100~150点)(英語筆記試験の受験は不要) |
| 中央大学 国際情報学部 | 英語外部試験利用方式 | 出願要件 点数化 | 2,067 | 大学が別途定めるスコアを満たす場合は、個別試験の得点に加点(最大150点) 英検は準1級以上受検者が対象 |
参考サイト
大学受験に必要な英検レベル
大学受験で英検を活用する場合、多くの大学で英検2級以上(CEFRのB1レベル以上)が基準とされています。そのため、大学進学を目指す高校生は、まず英検2級の取得を目標とすることをおすすめします。
さらに、難関大学を目指す場合は準1級以上の取得も視野に入れるとよいでしょう。

画像引用:公益財団法人 日本英語検定協会|CEFRレベルと英検CSEスコアの対応
英検準2級:高校生中級レベル
英検準2級は、高校1〜2年生の英語力に相当するレベルです。大学受験の準備段階として位置づけられ、基礎的な英語力を証明する資格です。
【レベルの目安】
| CEFRレベル | A1〜A2相当 |
| CSEスコア | 1,400〜2,400 |
| 必要な語彙数 | 約3,500語 |
| 学習到達目標 | 日常生活で使用される英語の理解と使用 |
4技能(読む・聞く・話す・書く)を測定する試験内容となっています。準2級だけでは大学受験での優遇措置を受けるのは難しい場合が多いため、次の目標として2級取得を視野に入れて学習するとよいでしょう。
英検2級:高校卒業レベル(大学入試に対応できる)
英検2級は、高校卒業程度の英語力を証明する資格です。大学受験での優遇措置を受けるための基準として、最も一般的なレベルとなっています。
【レベルの目安】
| CEFRレベル | A2〜B1相当 |
| CSEスコア | 1,728~2,600 |
| 必要な語彙数 | 約5,000語 |
| 学習到達目標 | 社会生活で必要な英語の理解と使用 |
4技能を測定する試験となっており、2級を取得することで、多くの大学の入試で優遇措置を受けられます。大学受験を考える高校生は、まずは2級取得を目指しましょう。
英検準1級:大学生中級レベル
英検準1級は、大学中級程度の高度な英語力を証明する資格です。医学部や国際関係学部など、専門的な英語力が求められる学部では、準1級以上の取得が出願要件や優遇条件として設定されていることがあります。
【レベルの目安】
| CEFRレベル | B2〜C1相当 |
| CSEスコア | 1,980~3,000 |
| 必要な語彙数 | 約8,000~8,900語 |
| 学習到達目標 | アカデミックな英語の理解と使用 |
4技能を高いレベルで測定する試験となっており、単語の難易度も格段に上がります。学術的な文献の読解や、ビジネスや専門的な場面での英語力が求められるのが特徴です。
合格すれば、多くの大学で手厚い優遇措置を受けられます。英検を大学受験で利用する際の注意点英検を大学受験で活用する際は、いくつかの注意点があります。
ここでは、受験生がとくに注意すべき3つのポイントについて解説します。志望校の出願条件を確認出願条件は、大学や学部によって異なります。できるだけ早い段階で確認しましょう。
- 利用可能な試験の種類多くの大学では、英検以外にもTEAP、TOEFL iBT、IELTS、TOEIC、GTECなど、複数の外部検定試験を採用しています。志望校でどの試験が利用できるのか、また優遇措置の内容はどう違うのかを確認しましょう。
- 提出書類の要件英検を利用して出願する場合は、合格証明書を提出しなければなりません。提出方法は大学によって異なり、合格証明書やCSEスコア証明書など様式もさまざまです。出願前に余裕を持って、必要書類と提出方法を確認しておきましょう。
有効期限に注意・2年以内の成績が一般的
英検の資格自体に有効期限はありませんが、大学入試での利用には期限が設けられていることが一般的です。多くの大学では、出願時から2年以内に取得した成績のみが有効とされています。
有効期限の設定は大学ごとに異なるため、志望校の募集要項で必ず確認しましょう。せっかく取得した英検が期限切れで使えなくなることがないよう、計画的に取得しておきましょう。
取得しておきたい時期「いつまでに取れば間に合う?」
大学受験で英検を活用するための取得時期の目安は以下の通りです。
【入試区分による期限】
推薦入試:高校3年生の第1回試験(11月頃)まで
一般入試:高校3年生の第3回試験(1月頃)まで
余裕をもって高校3年生の第2回試験(10月頃)までに取得しておけば安心です。高校3年生の後半は各教科の追い込み時期となるため、英検の学習に十分な時間を確保することが難しくなります。
また、万が一不合格となった場合、早めに取得を目指しておけば、再挑戦の機会が残されています。
さらに、出願時には英検以外にもさまざまな書類の準備が必要です。証明書の取得や出願書類の作成には時間がかかるため、余裕を持って準備できる時期に取得しておきましょう。
具体的には、高校2年生の秋頃から準備を始めるのが理想です。
また、英検S-CBT(コンピュータベーステスト)という選択肢もあります。毎週土曜日に開催されており、受験日程や会場を自由に選べるため、自分のスケジュールに合わせて受験できます。計画的な準備で、確実に資格取得を目指しましょう。
英検を活用して大学受験を有利に進めよう!
英検は、多くの大学受験で優遇措置を受けられる強力な武器です。試験免除や得点加算といったメリットに加え、受験機会を増やすこともできます。
【英検活用のポイント】
- まずは英検2級の取得を目指す(難関大学志望なら準1級も視野に)
- 高校2年生の秋頃から準備を始めるのが理想的
- 志望校の条件(級・有効期限・提出書類)を確認する
- 英検S-CBTなどの受験機会を活用する
英検の取得は、単なる資格取得以上の価値があります。大学受験での優遇措置に加えて、将来の就職活動でも活かせます。計画的な準備で受験を有利に進めていきましょう。



