きっと誰もが一度は耳にしたことがあるフレーズです。実際にノートの書き方ひとつで、学習の効率や成績が大きく変わると言われています。
でもきれいなノートって、具体的にはどんなノートなのでしょう?
この記事では、きれいなノート、つまり良いノートとはどのようなものかを探りながら、成績アップにつながるノートの取り方を具体的に解説します。
今日から取り入れられる実践的なポイントをお届けします!
なぜノートをとるのか?ノートをとる目的とは?
「そもそもなぜノートをとるのか?」
この問いかけに、明確に答えられる人は実は少ないのではないでしょうか?
ノートをとる意味を理解していなければ、「ノートをとる行為自体が目的」となってしまい、ただやみくもに板書をするだけとなって、努力に見合った結果は得られません。
孫子の格言に「戦いに勝とうと思うなら、まず、相手のことを知らなければならない。」とありますが、ノートをとる意味をまず理解することで、初めて良いノートを作ることができ、ひいては成績アップに繋がるのです。
では早速、ノートをとる目的について見ていきましょう。
結論から言うと、目的は
- 情報を整理し、記録する
- 記憶を定着させる
の2つです。
情報を整理し、記憶する
学校でも塾でも、多くの授業は先生が教科書を読んで説明しながら、黒板やホワイトボードに字を書いていきます。または、パワーポイントなどを用いながら、内容を読み上げることもあります。
ですが、先生が黒板やホワイトボードに書いた内容は授業の終了と同時に消され、読み上げた内容はいくら思い出そうと頑張っても断片的で不確かなものでしょう。
その理由は、人間の記憶のメカニズムにあります。
記憶は大きく「短期記憶」と「長期記憶」の二つに分けられます。
2つを表にまとめてみます。
| 短期記憶 | 長期記憶 | |
|---|---|---|
| 保持時間 | 数秒〜数分 | 数日〜一生 |
| 記憶内容 | 一時的にみたことや聞いたこと | 昔の記憶など |
| 記憶できる量 | 7±2(5~9) | 無制限 |
短期記憶で扱うことができる情報量は、マジカルナンバーと言われ、7個前後(5~9個程度)とされています。
同時通訳や暗算などでも短期記憶が使われます。
つまり、授業中にみていた黒板やパワーポイント、聞いていた先生の講義は短期記憶として皆さんの脳に保存されるため、記憶の保持時間が短く、時間が経過すればするほど忘れてしまうのです。
ではどうすれば記憶できるのでしょうか?
具体的な方法は、見たり聞いたりしただけでは忘れてしまう情報(短期記憶)を、後から思い出すことができるようにノートに記録するのです。
記憶を定着させる
ここで出てくるのが、長期記憶です。
長期記憶は、数分から一生にわたって保持され、容量にも制限はないとされています。
具体的な例を挙げると、「小学校時代に先生がいったエピソードを今でも覚えている」「昔旅行にいった場所を覚えている」などです。
短期記憶として一時的に覚えたものを長期記憶に変換して記憶を定着させるには「ベストなタイミングで繰り返し復習すること」が必要です。
見たり聞いたりした情報をノートに書き、後から繰り返し復習することで記憶の定着率が大幅に向上します。
ここで、小学校時代に毎日出ていた宿題を思い出して見ましょう。
その大半がその日の授業で習ったことの復習課題だったはずです。
ママがのび太君に「のびちゃん!宿題やってから遊びに行きなさい!」と小言を言うのは、実はとても理にかなっていて、宿題は後回しにすればするほど記憶を辿ることが難しくなり、記憶の定着率が低下するのです。
短期記憶を長期記憶に移行し、繰り返し復習したり、また自分なりに意味づけをして確実に自分の中に落とし込みましょう。
よくあるノート作りのミスとは?
ノートをとる意味が「情報を整理し、記録する」「記憶を定着させる」であることを踏まえ、次はよくあるノート作りのミスとその改善方法を見ていきましょう。
ありがちなミスは、
- 情報を詰め込みすぎる
- きれいなノート=見た目のきれいさ、と勘違いしている
- 自分の言葉で書かず、黒板をそのまま書き写す
- ノートが雑然としている
などです。
情報を詰め込みすぎている
全てを書き写そうとするあまり、情報が多すぎて整理できなくなったり、ノートの余白なくびっしりと字を書いてしまう人がいます。
後から復習しようと見返しても、整理されておらずよくわからなくなってしまったり、補足で書き込みや追加をしたいと思っても余白がなければできません。
きれいなノート=見た目のきれいさ、と勘違いしている
女子生徒にありがちですが、マーカーやペンを何色も使ってデコレーションしたり、必要以上に定規を使って線をひいたり、カラフルな付箋をたくさん貼ってみたり。
このような見た目がきれいなノートを書く人は、かなりの労力を使っている割に、肝心の授業の中身が全く理解できていなかったり、先生がいった重要なポイントを聞き逃してしまっていることがよくあります。
実際に、それを裏付けるブリンストン大学神経科学研究所の研究結果があります。
「人の脳が秩序を好むこと、そして無秩序な状態が常に目に入り続けると、認知資源が枯渇して集中力が低下する」
「人の脳が秩序を好むこと、そして無秩序な状態が常に目に入り続けると、認知資源が枯渇して集中力が低下する」
このようなことになると本末転倒です。
自分の言葉で書かず、黒板をそのまま書き写す
黒板に書かれた字を何も考えることなくただ機械的に書き写す作業は、受け身的であり受け取れる情報量も減ってしまいます。
記憶の定着の観点からみても、記憶に残すにはまず自分が理解し、興味を持たなければ難しいと思われます。
聞いたり見たりしたことを、自分の言葉に置き換えて要約したり、例題を追加するなど能動的なノート作りが大切です。
ノートが雑然としている
全てを書き移そうとするがあまり、焦ってしまって殴り書きになる、ペンやマーカーの使い方に統一性がなくその日の気分によってバラバラである、一つのノートに複数の教科の内容が混在している、というような雑然としたノートは後で見返す気が起きません。
人と差がつくノートとは?
記憶の定着に役立つノート
記憶の定着に役立つ有益なノートとは一体どんなノートなのでしょうか?
具体的には
- 内容を理解し、自分の中に落とし込みながら書く
- 余白を持たせる
- 字の大きさを変えたり、イラストや表を使用する
などがあげられます。
内容を理解し、自分の中に落とし込みながら書く
見たことや聞いたことを全てノートに記そうとせず、授業の内容を理解することを心がけましょう。授業の内容が理解できると、何をノートに書くべきか取捨選択でき、ポイントが何かがわかってくるようになります。
そうすることで時間的余裕が生まれ、さらに見たり聞いたりして理解する余裕が生まれます。
また、教科書の内容をそのまま複写する人がいますが、その作業を授業中に行うことに意味はありません。自分で家でできる作業は置いておき、授業に全集中しましょう。
余白を持たせる
ノートの端から端までを全て使ってしまうと、後から見返した時、必要な情報を拾い出すことが難しくなります。
また、余白がないと、追加したい情報があってもスペースがなかったり、訂正箇所が見にくくなってしまったりと、さらに見にくいノートと化してしまいます。
そして、余白には情報を区切る効果があるとされています。

参考URL:レイアウト力が上がる!デザイナー視点で考える「余白」LANCER UNIT
確かに上のデザインの左右を比較すると、余白のある右側のデザインの方が左側に比べ、視覚的情報が整理されており、見やすいと感じます。
ノートも同様で、余白を適切にとることで、内容が一目でわかりやすくなり、すっきりとして見えます。
また、ノート全体の余白だけでなく、行間の余白も重要なポイントです。

参考URL:レイアウト力が上がる!デザイナー視点で考える「余白」LANCER UNIT
左は行間にほとんどスペースがなく、窮屈な印象です。実際に右に比べると読みづらく、何行目まで読み終えたかわからなくなってしまいます。
後で何度も読み返すことを念頭に起き、余白を意識したノートづくりをしましょう。
字の大きさを変えたり、イラストや表を利用する

参考URL:レイアウト力が上がる!デザイナー視点で考える「余白」LANCER UNIT
こちらの画像はどうでしょう?
おそらく一番伝えたいであろう10%OFFと言う情報が、真っ先に視界に入ります。
ノートでも、見出しは本文に比べて大きな文字にするなど、文字の大きさやレイアウトに工夫をすることで、何が大切な情報かがより視覚化できると思います。
イラストや表、図やグラフを取り入れることもまた、情報の視覚化に繋がります。
ぜひ、取り入れていきましょう。
さらにワンランク上のノートとは?
より良いノートを作るためには、具体的な手法を取り入れることも大切です。 以下に、さらにワンランク上の実践的なノートの使い方を紹介します。
苦手ノート(間違いノート)
メインのノートとは別に苦手ノート(間違いノート)を作りましょう。
苦手ノートとはその名の通り、苦手な問題や間違えた箇所を記載するノートです。
メインのノートと同様に余白をとる、字の大きさを変えたり、イラストや表を利用するなど
意識することのほかにもうひとつ、教科書や問題集の何ページから抜粋したかを記入しましょう。
遡って確認したい場合、出典がどこからかがわからないとまずそこから調べなければなりません。
メインノートとは別に、苦手部分にのみ特化したノートを作ることで、メインノートの見やすさも格段にアップします。
また、苦手ノート(間違いノート)は、弱点がコンパクトにまとまっているため、見返す
際にも間違った箇所をわざわざ探す手間やストレスがなく、効率よく何度も復習し、記憶を定着することができるのです。
どうしても後回しになりがちな苦手教科。
少しでも取り組みのハードルを下げ、苦手を克服していきましょう。
コーネル式ノートを作る
コーネル式ノートとは、アメリカ コーネル大学のウォルター・パウク教授によって考案されたノートです。大手進学塾でも導入されており、多くの情報を吸収し、必要な時にさっと復習できる、と高評価です。

上記のように、コーネル式ノートの基本的なレイアウトは一番上のタイトルを除くと「ノートエリア・キーワードエリア・サマリーエリアの三つのセクションに分かれています。
ノートエリア(A)
メインエリア。ノートの右側にあり、講義や教科書の内容を記録する。
全てを書くのではなく、ポイントを絞り、簡略化することが大切。
キーワードエリア(B)
サマリーエリア(C)
ノートの下部分。総括エリア。ノートの覚えた内容を自分の言葉に置き換えて記載するエリア。
コーネル式ノートのメリットは学習した内容を効率的に整理し、理解を深め、復習をする際に役立つと言うことです。
また最初からページをエリアに分けていることで、適度な余白が生まれ読みやすくなります。
メインノートと合わせて、苦手ノート(間違いノート)を使い、またさらにステップアップしてコーネル式ノートを使うなど、自分なりに工夫してみてはいかがでしょうか?
まとめ
今回の記事では、ノートを取ることの意味、よくあるノートづくりのミス、人と差がつくノートとは、さらにワンランク上のノートづくり、について解説しました。
良いノートの書き方は、学習効果を飛躍的に高める重要なスキルです。
情報を整理し、自分の言葉で書き、後から見返しやすい工夫をすることで、ノートはただの記録から学びのツールへと進化します。
この記事で紹介した方法を参考に、ぜひ自分だけの「良いノート」を作ってみてください。
そうすることで、成績だけでなく学ぶ楽しさも感じられるようになるはずです。









