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四当五落は遠い昔の話! 受験生の平均睡眠時間は最低でも6時間


勉強が生活の中心となる受験生のなかには、「寝る間も惜しい」と睡眠時間を削ってでも勉強時間を確保しているという人も多いのではないでしょうか。またかつては、「大学に受かるためには、睡眠時間を減らして勉強に打ち込むこと」が良しとされていました。しかし現在の考え方では、「しっかり眠って、集中して勉強に打ち込むこと」が理想とされています。ここでは、受験生の睡眠時間と、よく眠れている人の割合、睡眠時間が短すぎることで起こるリスク、そして良い睡眠を確保する方法について解説していきます。

現在の受験生は最低でも6時間は寝ている

昭和の時代には、「四当五落」という言葉が受験生や講師の間で使われていました

これは、「1日の睡眠時間を4時間にして勉強していた人間は大学に受かり、5時間にしていた人間は落ちる」という意味の言葉で、受験が今以上の切実さと難しさを持っていた受験戦争時代に言われていたものです。

ただしこれは随分昔の話であり、その後受験生の睡眠時間に対する価値観は徐々に変わっていきました。

睡眠時間を減らして勉強することは効率が悪いとされ、受験生でもしっかり睡眠時間を確保することが重要とされるようになったのです。

受験生と睡眠時間の関係をまとめた統計は、いくつかあります。

たとえば、東大生に「大学受験半年前の睡眠時間は何時間くらいでしたか?」と聞いたアンケートでは、6時間~8時間と答えた人の割合が実に90%にも上っています。もっとも多いのは「1日に7時間以上寝ていた」とした層で、これが全体の45%を占めています。

この統計の非常に興味深いところは、「大学入試が近くなった後の方が、睡眠時間が長くなった」という結果が出たところです。

普段の睡眠時間の長さは6時間以下の人が全体の41%を占めていたのに対して、受験半年前だとこれが35%にまで下がります。

また、「1日に8時間寝ていた」とした層は、受験半年前の方が10%も多く、受験が近くなればなるほど睡眠時間を確保しようとする動きが見られました。

 

また、ほかの統計では現役合格者に対して、細かく期間を分けて平均睡眠時間についてのアンケートをとっています。

もっとも長かったのは1年生および2年生の休暇時で、このときの平均睡眠時間は7.4時間とされています。

3年生に入るとやや短くなり、3年の2学期では6.0時間まで短くなりますが、受験勉強の追い込み時期である3年生の冬期休暇中6.2時間とやや伸びています。

 

大手塾の取った統計も見ていきましょう。

ここでは、3年生の2学期平日と、入試直前の時期の睡眠時間についてのデータがまとめられています。

前者で一番多かったのは「6時間」でこれが半数を超えていて、「7時間」と答えた人が22.4%、「5時間」と答えた人が16.3%です。

対して入試直前の睡眠時間のアンケートでは、「6時間」と答えた人が39.8%、「7時間」と答えた人が29.5%、「5時間」と答えた人はわずか10%程度しかいません。

 

「受験生のとき、あなたはどれくらい寝ていましたか?」を聞いたアンケートは、統計ごとによって多少異なります。

しかし上のデータからも分かるように、平均睡眠時間が6時間を切った統計はありません。

多くの受験生は6時間~8時間は寝ていて、さらに入試直前の期間はむしろ睡眠時間が長くなっていることが分かります。

「睡眠時間を削って勉強時間にあてること」が受験戦争を勝ち抜くための方法だといわれたのはもう遠い昔の話で、現在はむしろ「勝ち抜くためにもしっかり睡眠時間を確保すること」が重要視されているのです。

出典:

PRTIMES(株式会社AND-X)「《受験生ママ必見》東大生の98%が重要だと回答※1 !勉強において重要な〇〇とは!?」

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000126556.html

 

高校生新聞ONLiNe「現役合格する高校生の勉強時間は?効率の上げ方、睡眠やスマホの注意点を教えて」

https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/6638

 

【公式】河合塾(X、旧Twitter)「★ #イマドキ受験生 1日の睡眠時間は?★」

https://x.com/kawaijuku_jp/status/1064782898249834497

睡眠の大切さは知られているが、「よく眠れている」と答えた人は4人に1人

睡眠時間の確保の重要性は、非常によく知られています。

上で挙げた東大生合格者のアンケートによれば、「睡眠は重要である」と答えた人は実に98%にも上りますし、睡眠の質がテストの結果に関わっていると答えている人も90%近くに達しています。

しかし同時に、少なくない数の人が「良い睡眠をとれないこと」に悩んでいるという事実もあります。

寝具を扱う会社がとったデータによると、「良い睡眠がとれている」と答えた人は4人に1人を切るくらいしかいません。

「最低限の睡眠がとれている」と答えた人は約半数で、睡眠状態が良くないと答えた人も4人に1人程度います。

これは寝具会社の統計ではありますが、ほかの統計結果などでも「睡眠は重要ではあるものの、良質な睡眠を確保できていない」と答えた人は多く、これが勉強にも大きな悪影響を与えています。

出典:

PRTIMES(株式会社AND-X)「《受験生ママ必見》東大生の98%が重要だと回答※1 !勉強において重要な〇〇とは!?」

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000126556.html

 

OYASUMI「まくらみつかる、シアワセみつかる。統計データ」

https://news.yahoo.co.jp/articles/d0e9936bb705a66c11952b38377d175f5426e573

睡眠時間が短いことで起こるリスクとは

睡眠時間が短かったり、良質な睡眠をとれていなかったりした場合、受験に不利になるリスクがいくつも生じます。

  • 集中力がなくなる
  • 風邪などを引きやすくなる
  • 精神的なストレスが積み重なりやすくなる

 

それぞれ見ていきましょう。

集中力がなくなる

睡眠時間が確保できていないと集中力がなくなり、成績も悪くなると指摘されています。

広島県がとったデータでは、「睡眠時間が7時間を切る子どもは、国語や算数の成績が悪い」と示唆されています。

5時間未満の睡眠時間しか確保できていない子どもは国語の正答率が51.9%であるのに対して、7時間以上の子どもは70.0%近くになっています。

また算数でも同様の傾向が見られます。

上記のデータは義務教育(15歳まで)を対象としたものですし、「そもそも睡眠時間をきちんと確保できていて規則正しい生活習慣を送れている子どもは、家庭環境が整っていて勉強に打ち込める状態にある」とみることもできます。

ただ、睡眠時間が足りないと集中力が欠けることはよく知られていることであり、また集中力が欠けるとそれがテストの成績に悪影響を与えることも自明の理だといえます。

睡眠時間が足りずにぼんやりとした頭ではケアレスミスも多くなるため、十分な力が発揮できなくなります

出典:

福島学校「校長室だより」

https://www.wakayama-wky.ed.jp/fukushima/wp-content/uploads/sites/76/2015/09/ff5b6502fa90e88c113b55aaf053fa20.pdf

風邪などを引きやすくなる

風邪などの体調不良は、受験生にとって大きなリスクです。

試験本番のときに体調を崩していては十分な実力を出せなくなりますし、勉強期間中に風邪をひいてしまえばその加療期間は学習がストップしてしまいます。

本番でしっかりと力を発揮し、継続的かつ十分な学習時間を確保するためには、体調管理を行うことが必要不可欠です。

しかし睡眠時間が足りない生活を日常的に送っていると、ウイルスや細菌に対する抵抗力が落ちてしまいます

風邪やほかの病気に対して対抗する力である免疫力は、睡眠をとることで強化されます。

また、睡眠は日中に積み重なった疲労を解消したり、受けたダメージを癒したりするために必要不可欠なものです。

睡眠時間を確保することで病気になりにくくなりますし、またたとえ病気になっても早く回復しやすくなります

睡眠時間が5時間未満の場合、そうではない人に比べて風邪をひくリスクが5.5倍にもなるというデータがあります。

また、風邪をひいてしまった場合も、肺炎になる確率が1.4倍にもなります。

また風邪をこじらせて入院(加療期間の目安は7日~14日程度)にまでいたってしまった場合、その期間は学習がストップしてしまいます、場合によっては受けようと考えていた学校の試験が受けられなくなってしまう可能性すらあります。

受験生のなかにはインフルエンザワクチンを接種する人もいるかと思われますが、睡眠時間が十分に確保できていない場合は、ワクチンの効果も十分に出ないとされています。

出典:

ベンザブロック「免疫を高める「睡眠」の重要性」

https://benza.jp/knowledge/immunity/

精神的なストレスが積み重なりやすくなる

睡眠は、ストレスとも深い関係があります

「ストレス源は何か」と聞かれた場合、多くの人は「人間関係」を挙げるでしょう。

しかし10代~60代を対象としたアンケートでは、「人間関係がストレス源になっている」と答えている人とほぼ同じ割合の人が「睡眠時間が足りないことがストレス源になっている」と答えています。

また厚生労働省のサイトでは、「ストレスは睡眠の質を悪化させ、睡眠時間の短さもまたストレスとなる」として警鐘を鳴らしています。

うつ病において不眠は非常にメジャーな症状ですが、不眠がうつ病を悪化させることも示唆されています。

睡眠不足が原因でストレスが溜まる→ストレスが溜まったことでなかなか眠れなくなる→睡眠時間が足りなくなる→睡眠不足が原因でストレスが溜まる……というように、負のスパイラルに陥ってしまうことがよくあるのです。

ストレスは万病の元であると同時に、集中力の欠如や焦りの原因にもなるものです。

受験生にとってストレスコントロールは非常に重要なものですが、良質な睡眠はこのストレスコントロールのもっとも有効な手段のうちのひとつといえます。

出典:

ヤクルト「10 代~60 代の男女 8,400 人に聞く季節の変わり目の不調に要注意?!「不調やストレスと睡眠の健康意識調査」結果概要」

https://www.yakult.co.jp/company/news/file.php?type=release&id=170060772785.pdf

 

厚生労働省働く女性の心とからだの応援サイト「睡眠トストレスの関係」

https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/column-7.html

睡眠時間と、良質な睡眠の確保のために

受験生にとって良質な睡眠と睡眠時間の確保が重要だと解説したところで、最後に、「それではどうしたら良質な睡眠を確保できるのか」について説明していきます。

睡眠には

  • バランスの良い食事をとる
  • シャワーではなく、浴槽に浸かる
  • 寝る2時間前にはスマホから目を離す
  • 環境を整える

 

の4つのポイントを守ることが重要です。

バランスの良い食事をとる

バランスの良い食事をとることは、良質な睡眠を作るうえで欠かせません

不規則な食事は胃もたれをもたらし、眠りを阻害するからです。

また、睡眠に良いとされる食材を積極的にに取り入れることも重要です。

アミノ酸のうちの一種であるグリシンは、休息をもたらす栄養素として知られています。

このグリシンはエビなどの魚介類や鶏肉によく含まれています。

また、グリシンと同じアミノ酸に分類されるトリプトファンは、睡眠を促進させるメラトニンの生成をサポートするものです。

大豆や乳製品に含まれているのですが、これが働き始めるのは摂取してから14時間以降です。

そのため、朝食もしくは昼食のときに食べておくことをおすすめします。

また、意外なことに、ビタミン類も睡眠をもたらすためのキーとなる成分です。

特にビタミンB6は重要で、これには深い睡眠をサポートする効果があります。

なお、ビタミンB6はバナナやカツオなどに大量に含まれています。

眠気を覚ましてくれるコーヒーは受験生の強い味方ですが、摂取しすぎると睡眠に支障が出てしまいます。

コーヒーを飲むのは寝る4時間前までとするのがよいでしょう。

シャワーではなく、浴槽に浸かる

「時間がもったいないから」とシャワーで済ませてしまう人も多いかもしれませんが、一日の疲れをとるためには浴槽に浸かることが重要です。

眠る2時間ほど前に浴そうに浸かると、布団に入るころにちょうど体温が下がり始めて心地よい眠りにつくことができます。

良質な睡眠を目的としてお風呂に浸かる場合は、38度程度のお湯で30分くらい入るのが理想的とされています。

安眠を導くとされているラベンダーのアロマオイルを使ったり、入浴剤を使ったりするとよりリラックスできるでしょう。

なお冬場は若い人でもヒートショックを起こしやすくなるので、浴室―脱衣所の気温をできるだけ近づけておくことをおすすめします。

これは湯冷めによって引き起こされる風邪を予防するための方法としても有効です。

寝る2時間前にはスマホから目を離す

スマホやタブレットのライトは人間の脳を活性化させ、眠りを妨げる要因となります

ベッドにスマホを持ち込む人も多いと思われますが、良質な睡眠を得たいのであれば、眠る2時間前にはスマホの使用をやめる方がよいでしょう。

現在は、勉強のツールとしてスマホやタブレットを活用している人も多いことでしょう。

これ自体は決して悪いことではありませんが、しっかりと睡眠をとりたいという場合には悪影響が大きいといえます。

眠る直前まで勉強したい人は、単語帳やノート、教科書を使ったアナログ式の学習に切り替えることをおすすめします。

環境を整える

「良い睡眠を得るためには、どのような環境が望ましいか」と検索すれば、「湿度は40%~60%、室温は夏場で26度前後、冬場で20度前後で、間接照明を採用するのが望ましい」という答えがヒットするでしょう。

ただ、これは正しい答えではあるのですが、受験生の多く(高校3年生)の場合は、「自分の部屋=勉強部屋=眠る部屋」であることがほとんどだと思われます。

そのため間接照明を採用することは難しいでしょう。

また勉強に理想的な室温は22度~24度程度とされているため、この気温に合わせると、夏に眠るときには少し寒く、冬に眠るときには少し暖かすぎるという状況になります(ちなみに湿度は、勉強部屋の理想も寝室の理想も40%~60%程度で共通しています)。

このような「理想的な勉強部屋と、理想的な寝室の格差」を埋めるためには、こまめな温度調整が必要です。

エアコンはだいたい10分程度もあれば効き始めますから、眠る前に温度・湿度調整をするとよいでしょう。

また、遮光カーテンを使うなどして、入ってくる光を調整するとより深く眠れます。

睡眠をしっかりとることは、受験を勝ち抜くうえで非常に重要なことです。

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