「大学入学共通テストに『情報Ⅰ』が追加されたけど、どんな問題が出るんだろう?」「問題の傾向や対策方法を知りたい!」このように考えている大学受験生も多いのではないでしょうか?2025年から大学入学共通テストに加わった「情報Ⅰ」には、大きく分けて3つの出題傾向があります。この記事では「情報Ⅰ」の問題の特徴から、高得点をとるためにやるべき対策まで解説します。大学入学共通テスト利用入試に「情報Ⅰ」を導入している私立大学も分かりますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
2025年から大学入学共通テストに加わった「情報Ⅰ」とは?
まずは「情報Ⅰ」試験の概要を下表にまとめましたので、見てみましょう。
試験時間 | 60分 |
配点 | 100点満点 ・第2問(30点) ・第3問(25点) ・第4問(25点) |
出題分野 | ・情報社会の問題解決 ・コミュニケーションと情報デザイン ・コンピュータとプログラミング ・情報通信ネットワークとデータの活用 |
出題方式 | マークシート方式で、全て必答の大問4題から構成される |
旧課程にも配慮し、試験では「情報Ⅰ」と「旧情報」の2科目が用意されています。
特に第1問は20点しかないので、時間配分が重要です。
15分以上かけると後半が厳しくなるため、制限時間を決めて解かなければなりません。
「情報Ⅰ」は問題文が長く選択肢も多いため、正確かつスピーディーに情報を読み取る力が求められる試験です。
大学受験の「情報Ⅰ」で出題される問題の3つの特徴
2025年大学入学共通テストの「情報Ⅰ」における、試験結果の平均点は下記の通りです。
- 情報Ⅰ:69.26点
- 旧情報:72.82点
引用:大学入試センター「令和7年度大学入学共通テスト実施結果の概要」
今回初めて実施されたため、そこまで難しい問題はなく、平均点も高くなっています。
2025年に出題された問題の特徴を、実際の試験問題とあわせて見ていきましょう。
1.一問一答の問題はほぼ出題されない
2025年の出題傾向を見ると、一問一答の問題はほぼ出ないことが分かります。
教科書の内容の暗記で解ける知識問題は、ほとんどありませんでした。
代わりに、前提条件や長文をよく読んで解く問題が多く出題されています。
特に今回の試験では、日常生活に関連した題材が取り上げられています。
例えば、下図の第2問では、レシート情報を読み解く問題が出題されました。
画像引用:毎日新聞「2025年度 大学入学共通テスト 本試験 問題」(第2問)
レシートに記載された商品名や価格、購入日時などのデータを分析し、「特定の商品がどの時間帯に多く売れているか?」を考察する内容です。
このように、試験では初見のテーマについて、その場で理解しながら解いていく必要があります。
教科書に出てくる用語は、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
2.「その技術を使うと何ができるのか?」まで理解する必要がある
「最低限の知識があった上で、その知識をどう使っていくか?」が問われたことも、「情報Ⅰ」試験の特徴です。
実際に第1問では、「デジタル署名の特徴」や「IPの枯渇問題」など発展的な内容が出題されました。
画像引用:毎日新聞「2025年度 大学入学共通テスト 本試験 問題」(第1問)
これらは単純な知識問題ではなく、その技術を使うと何ができるのかが問われています。
例えば、2つ目のb問題をご覧ください。答えは「2.インターネットに直接接続する機器の増加に対応するため」です。
近年は世界中の人がインターネットを使うようになり、32ビットのIPアドレス「IPv4」だけでは足りなくなってきました。
そのため、128ビットに拡大した「IPv6」が使われるようになっています。
このように「情報技術が使われるようになった背景」まで理解していないと解けない問題です。
普段から身の回りの情報技術に関心を持ち、その仕組みを理解する必要があります。
3.プログラミング問題は、2026年以降に難しくなる可能性がある
2025年の試験はプログラミングを知らなくても、文章をよく読めば解ける傾向にありました。
特に最初の10点分は、「問題文に書かれているシチュエーションを理解する力」があれば答えに辿りつける問題です。
画像引用:毎日新聞「2025年度 大学入学共通テスト 本試験 問題」(第3問 問1)
このことから2026年度以降は難しくなる可能性があります。
なかには「問題文が長くて理解しにくい…」と思う方もいるかもしれませんが、解答に関係する部分はそんなに多くありません。
重要な部分を見つけ出す力を身につけることが、今後の対策として大切になるでしょう。
大学受験の「情報Ⅰ」で高得点をとるためにやるべき3つの対策
2026年以降に「情報Ⅰ」を受験予定の方は、「今からどんな対策をしておけばいいの?」と気になるのではないでしょうか?
ここからは「情報Ⅰ」で高得点をとるために、やるべき対策を3つ解説します。
1.共通テストの配点が高い順に学習する
共通テストの「情報Ⅰ」では、配点の高い問題から優先的に学習しましょう。
2025年は第2問の配点が30点で最も高く、特にシミュレーション問題がよく出題されています。
そのため、まずはシミュレーション問題の理解を深めることが得点アップの鍵となります。下記の順番で学習するのがおすすめです。
- 教科書の内容をしっかり復習し、基礎を固める
- 夏頃から問題集を本格的に解き始める
問題集を解く際は、時間を意識しましょう。
試験では初めて見るテーマの問題が多く、問題文を理解するのに時間がかかりやすいからです。
時間を計りながら解くことで、どこで時間を使いすぎているのかを把握し、ペース配分を調整できます。
特にプログラミング問題で時間をかけすぎると、他の問題に影響が出ます。
「1問3分で解く」など、制限時間を意識して解く習慣をつけましょう。
2.条件や数値に印をつけながら問題文を読む
「情報Ⅰ」の試験は問題文の量が多く、受験生からは「時間が足りなかった」「集中力が切れた」といった声もありました。
「情報Ⅰ」試験は2日目の最後に行われるため、疲れた状態での集中力維持が課題となります。
対策として、問題文を読む際に次の2つに印をつけるのがおすすめです。
- 問題を解くための条件
- 具体的な数値
<イメージ図>
画像引用:毎日新聞「2025年度 大学入学共通テスト 本試験 問題」(第2問)
下線や丸で情報を整理することで、見落としを防ぎ、問題の本質をスムーズに理解しやすくなります。
特に「~ではないケースを選べ」という問題は、正答率が下がりやすいので要注意です。
否定表現を見逃さないよう、強調してマークする癖をつけましょう。
さらに回答済みの空欄に答えを埋めながら書くと、見直しの際にミスを防ぎやすくなります。
3.プログラミングへの理解を深める
2025年の共通テスト(本試験・追試験)では、どちらもプログラミングの問題が出題されました。
そのため、プログラミングへの理解が欠かせません。
プログラミング問題では、「状況設定」や「プログラムの作成条件」を把握することが求められます。
特に問1では、問題の前提を理解するための設問が出ます。
問題文の条件を正確に読み取り、混乱しないようにしましょう。
問題文が長く見えても、解答に必要な情報は限られているため、要点を整理しながら読み進めることが大切です。

プログラミングが苦手な人でも正解しやすい問題が、上図のような問1です。
確実に得点できるようにしておきましょう。
また、プログラムのコードを読む前に、「これは何をするプログラムなのか?」を大まかに把握しておくのがおすすめです。
プログラムの全体像を掴めるので、スムーズに読み進められます。
「情報Ⅰ」を受験科目にしている私立大学を紹介
共通テスト利用方式で「情報Ⅰ」を受験科目にしている私立大学を、一部紹介します。
ぜひ受験校選びに役立ててみてください。
学部 | 学科 | 入試制度 | |
---|---|---|---|
青山学院大学 | 文 | 英米文 | 大学入学共通テスト利用入試(4科目型) |
教育人間科学 | 教育 | 大学入学共通テスト利用入試(3・5科目型) | |
心理 | 大学入学共通テスト利用入試(5科目型) | ||
法 | 法 | 大学入学共通テスト利用入試(3・5科目型) | |
ヒューマンライツ | 大学入学共通テスト利用入試(3・5科目型) | ||
理工 | 電気電子工 | 大学入学共通テスト利用入試(4科目型) | |
情報テクノロジー | 大学入学共通テスト利用入試(4科目型) | ||
社会情報 | 社会情報 | 大学入学共通テスト利用入試(4科目B型・5科目型) | |
コミュニティ人間科学 | コミュニティ人間科学 | 大学入学共通テスト利用入試(3・4・5科目型) | |
明治大学 | 法・商・経営・情報コミュニケーション・国際日本 | – | 大学入学共通テスト利用入試(全方式) |
政治経済 | 政治経済 | 大学入学共通テスト利用入試(7科目方式) | |
早稲田大学 | 政治経済 | 政治・経済・国際政治経済 | 大学入学共通テスト利用入試 |
スポーツ科学 | スポーツ科学 | 大学入学共通テスト利用入試(共通テストのみ方式・競技歴方式) | |
国際教養 | – | 一般選抜(共通テスト利用方式) | |
文化構想 | – | 一般選抜(共通テスト利用方式) | |
文 | – | 一般選抜(共通テスト利用方式) | |
上智大学 | 理工 | 情報理工 | 共通テスト利用方式(3・4教科型) |
同志社大学 | 社会 | 社会・社会福祉・メディア・教育文化 | 大学入学共通テスト利用入試 |
政策 | 政策 | 大学入学共通テスト利用入試(4科目方式) | |
文化情報 | 文化情報 | 大学入学共通テスト利用入試(A・B方式) | |
理工 | インテリジェント情報工・情報システムデザイン | 大学入学共通テスト利用入試 | |
生命医科学 | 医情報 | 大学入学共通テスト利用入試 | |
スポーツ健康科学 | スポーツ健康科学 | 大学入学共通テスト利用入試(全方式) | |
中央大学 | 経済 | – | 大学入学共通テスト利用選抜(単独) |
商 | – | ||
文 | – | ||
国際経営 | – | ||
総合政策 | – | 大学入学共通テスト利用選抜(単独・併用) | |
国際情報 | – |
引用:各大学ホームページ(2025年2月時点)
共通テスト利用入試の中で、選択科目の1つとして「情報Ⅰ」を追加している私立大学がほとんどです。
今後内容が変更される場合もあるので、各大学のホームページをチェックしましょう。
大学受験の「情報Ⅰ」でよくある質問
ここでは、大学受験の「情報Ⅰ」についてよくあるQ&Aを紹介します。
1.大学受験で「情報Ⅰ」の勉強はいつから始めればいいの?
プログラミングやデータ分析など新しい内容が多いため、早めに学習を始めましょう。
特に高1の場合は、今から計画的に進めるのがおすすめです。
プログラミングの穴埋め問題では、コードの流れを正しく理解する力が求められます。
そのため、早い段階から下記を考える読解力を養う必要があります。
- コンピューターにどんな命令を出すのか?
- どうすればコンピューターが正しく動くのか?
まずは簡単な問題から取り組んで、基礎をしっかり固めましょう。
2.大学受験の「情報Ⅰ」対策におすすめの参考書はある?
メインの参考書としておすすめなのが、下記の2冊です。
- 高校の情報Ⅰが1冊でしっかりわかる問題集(かんき出版)
- 共通テスト新課程攻略問題集(情報Ⅰ)(教学社)
1つ目の参考書で知識を習得し、2つ目の問題集で実践的な解き方を学びましょう。
「イラストの多い参考書がいい」「他の問題集も知りたい」という方は、こちらの記事をご一読ください。
目的ごとにおすすめの参考書を紹介しています。
3.「情報Ⅰ」を使わないで受験できる国公立大学はあるの?
河合塾の調査結果によると、「情報Ⅰ」を必須とする国公立大学の割合は次の通りでした。
画像引用:河合塾Kei-Net「国公立大 共通テスト「情報Ⅰ」の設定状況」(2024年8月時点)
97%という割合から、ほとんどの国立大で「情報Ⅰ」が必須だと分かります。
一方、公立大では選択科目扱いの大学が多く、利用しないところもありました。
そのため、受験を考えている大学の入試情報をチェックしましょう。
まとめ
本記事では、2025年から大学入学共通テストに追加された「情報Ⅰ」について解説しました。
2025年は一問一答の問題はほとんどなく、ただ用語を暗記しただけでは解けない傾向にありました。
また、プログラミング問題は読解力があれば解ける問題だったので、2026年以降に難しくなる可能性があります。
まずは共通テストの配点が高い順に学習し、長い問題文を読み解く力をつけましょう。
本記事の後半でおすすめの参考書も紹介していますので、ぜひ活用して得点アップを目指してください。
なお、「『情報Ⅰ』は難しくていまいち内容が理解できない…」と悩んでいる方は、受験のプロにアドバイスをもらうのがおすすめです。
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