いよいよ来年から、センター試験に代わって大学入学共通テストが始まります。
共通テストは当然前例のないものなので、センター試験のように過去問も明確な対策も存在せず、受験生のみなさんは不安な状況だと思います。
そこで本ブログでは公民科目の1つ、「現代社会」について来年度の共通テストの展望を見ていこうと思います。
現代社会は、地理・歴史に比べて覚える内容が少なく、また政治・経済、倫理と比べて内容が易しいため、数多くの受験生が好んで選択します。
しかし来年度からの共通テストでは、これまでのセンター試験から一定程度の出題内容の変更が余儀なくされます。当然、受験本番に向けた準備も変えていかなければなりません。
そこで今回は、今年2020年度のセンター試験との比較を交え、またこれまでの2回の共通テストの試行問題を概観しながら、現代社会が大学入学共通テストでどのように出題されるそうなのか、またそれに向けた対策法もあわせて、ご紹介していきます。
目次
大学入学共通テストの概要と、センター試験と共通テストの違い
では早速大学入学共通テストの概要について、共通テストとセンター試験の違いについてご紹介します。
①大学入学共通テストの概要
第1回の共通テストに関して、現段階で決まっていることとしては、
試験時間:60分
配点:100点
という大枠の情報のみです。
これまでのセンター試験から引き続き、大問数やトータルの問題数、出題分野などの事前告知はありません。
ただ試験主催者の出題方針として、
- 現代社会の課題や⼈間としての在り⽅⽣き⽅等について多⾯的・多⾓的に考察する過程を重視する。
- ⽂章や資料を的確に読み解きながら基礎的・基本的な概念や理論,考え等を活⽤して考察する⼒を求める。
- 問題の作成に当たっては,図や表など,多様な資料を⽤いて,データに基づいて考察し判断する問題などを含めて検討する。
と発表されています(参考)。
このことから、社会課題やそもそもの人の在り方などをあらゆる角度から思考し、また提示された文章や資料から適切な考察を導いていくことが求められるとわかります。
センター試験時代も決して断片的な暗記で攻略できる内容ではありませんでしたが、いかに教科の中での知識を用いて、適切に思考していくかがポイントとなるでしょう。
②大学入学共通テストの試行調査とセンター試験との違い
続いて、これまで実施された2回の試行調査と、これまでのセンター試験がどう違うのかについて簡潔にお伝えします。
1.文章やグラフなどの資料の量が増加
まずは、問題で提示されている文章、グラフなどの量が大きく増加しました。
思想家の主張の内容が問題文のベースになったり、また1つの問題の中に複数の表・グラフが提示されるなどしました。
これを受けて、資料の本質的な意味合い(思想家の論説であれば主張のポイント、背景など)を理解しておく、またグラフの解釈の仕方を予め把握しておく必要があります。
2.読解力で解答する問題が増加
長めの文章から、論理的に読解・思考する問題が大幅に増えました。反して、教科書的な知識で解答できる問題はセンター試験に比べて減少しています。
上記で触れたような、前提となる抽象的な文章(思想家の論説、法律の条文など)から、政策などの具体的な実例を対応させる問題が多く目立ちました。
よって、現代文や英語長文の学習のように、文章を論理的に読解する力が必要です。
いずれにしても、用語のつめ込みなどの断片的な暗記では、センター試験以上に高得点が望めない構成になっています。ただ、必要な知識量としてはセンター試験の時とさほど変わらないと思うので、例えば法律や政策であればそれらの目的・背景を理解するなど、情報をつなげて捉える体系的な学習を心がけましょう。
大学入学共通テスト 2017年度試行調査総括
続いて、これまでの試行調査の出題内容を細かく見ていきましょう。
まずは第1回、2017年度の試行調査からです。この試行調査では、全体の難易度としては、例年のセンター試験とそう大きくは変わらなかったと思われます。しかし問題数は例年のセンター試験の2/3ほどまでに減少し、文章やグラフなどの資料から論理的に読解・思考する問題が大半を占めました。
反して、教科書的な知識で解答できる問題は激減しています。また、単一の問題の中でも資料が複数出てくる問題も出されています。これまでの知識を用いて、情報を素早く処理していくことが求められるでしょう。
大学入学共通テスト 2017年度試行調査分析
それでは第1回の試行調査について、具体的に内容を見ていきます。
大学入試センターのサイトに問題と解答が記載されているので、そちらも参照しながら読んでいただければより詳細に理解できるでしょう。
試験概要
試験時間:60分
大問:5題
設問数:23題
試験時間は、センター試験と変わらず60分です。
しかし1問あたりの情報量が一気に増加しています。
今回のの試行調査は、じっくりと問題文と選択肢を読み込んで、国語的に・論理的に読解する問題が大半で、基礎知識を問う問題はそれほど出題されませんでした。
そしてそれに対応し、問題数は2/3まで減少しています。多くの人が最後の問題まで解答できたでしょう。
大問ごとの分析
続いて大問ごとの解説です。
第1問
問1と問2は、いきなり文章読解の問題でした。共通テストではこれらのように、知識を前提としない論理的な読解を求める問題が急増すると思われます。教科書で得た知識を、概念的・理論的に理解することが必要になってくるでしょう。
問3は、問1・2と連動して、抽象的な主張と実際の制度や政策とを結びつける問題です。制度や政策の目的を、問題の中で正しく理解できるかどうかが問われる設問になっています。
問4も読解問題です。推論という思考法に合わせて、現代社会における課題への対応策のスタンスについて解釈する問題です。
第2問
問1は、第1問の問3と同じく、抽象的な概念の提示から、実際の行動とを対応させる問題でした。ここでは青年期のアイデンティティについての要素が問題文として挙げられ、高校生の感情や行動、人生設計を交えたリアルな事例を記述した各選択肢とをつなぐ形式でした。問2は、2014年のセンター試験からの引用で、葛藤についての知識問題でした。問3も、2015年のセンター試験(追試験)からの引用で、日本における宗教や文化についての知識問題です。問4も、2011年のセンター試験の「倫理」からの引用で、『デカメロン』を問題文のベースにした、文章読解問題でした。
第3問
問1は、貨幣の質と物価の変動のつながりの理解が問われる問題でした。お金のしくみについての根本的な知識をベースに、問題文と選択肢文を注意深く読み解く必要がありました。このようにお金の根本の原理の理解のチェック、またそれを応用してその場で思考するような問題は本番の共通テストでも出題される可能性があります。問2は、エンゲル係数の時間的な変化を示すグラフから、解釈の内容を問う問題です。実際の場面と経済指標との関係性の理解について問われました。空欄Zは新傾向で、自分たちの解釈が合っているどうかを検証するために、新たにどのような調べものをすればよいのかを問う問題です。「仮説・検証」の思考法について問われているので、日々の主体的な学習の質が測られる設問でもあります。問3は、経済状況やその時の企業・政府などの行動を仮定し、需給曲線がどう変動するかの解釈が問われました。問4は、為替レートと企業活動・海外とのお金の流れ方についての関係性を問う問題です。問5は、地球温暖化防止策の経済的な角度からのアプローチについて、知識と思考力の両方を測る問題でした。
第4問
問1は、衆議院議員選挙、参議院議員選挙それぞれの有効投票についての知識問題でした。この設問は選択完答型であったため、正答率は5%を下回る難問となりました。本番でもこのように、多数の選択肢の中から複数を全て正答させるタイプの設問が出ることも考えられます。問2は、思想家と論説の名称、そして主張内容についての一致を問う知識問題でした。2014年の追試験からの引用です。問3は、第二次世界大戦後の世界での出来事を、時系列に沿って解答させる問題でした。今回はそれぞれ出来事同士は時間的に離れていましたが、時間の流れに沿って知識をつなげて理解していくことはセンター試験から引き続き重要です。問4は、成年年齢引き下げの構造理解のために、必要な資料を適切に選んでいくという問題です。
このように多数の資料が1問の中で提示され、資料そのものの意義や位置づけを理解して解答する問題は共通テストならではです。
第5問
問1は、三権分立についての知識問題です。2007年のセンター試験からの引用です。問2は、法人の権利についての知識問題です。2003年のセンター試験からの引用です。問3は、国と地方自治体の行政機関についての知識問題です。2003年のセンター試験からの引用です。問4は、法律の規定について、最高裁判所が実際に違憲(14条第1項の「法の下の平等」からの逸脱)と判断した事例について問う問題でした。問5は、裁判員制度についてのディベートをベースに、どの生徒の主張内容かどうかを推定させる思考問題でした。
大学入学共通テスト 2018年度試行調査総括
続いて、第2回の試行調査の紹介に移ります。ここでも全体の難易度としては、例年のセンター試験、また第1回の試行調査とそう大きくは変わらなかったと思われます。
ただ今回は第1回と比較して、教科書的な知識をもとに解答を導く問題の割合が大きくなりました。それでもまだセンター試験と比較すると、文章や表・グラフなどの資料はやはり増えていて、読解力・思考力を要する問題も多いです。
これまでの知識を用いて、情報を素早く処理していくことが求められるでしょう。文章の読解力が問われる問題、資料からの考察が必要な問題と、いかに提示された情報を正しく解釈、運用するかが重要視されているように感じました。
大学入学共通テスト 2018年度試行調査分析
それでは直近のプレテストについて、具体的に内容を見ていきます。
試験概要
試験時間:60分
大問:6題
設問数:31題
2017年度の第1回試行調査から、設問数が大幅に増えました。
またセンター試験と比較すると文章や資料などの情報量が一気に増えているので、時間をかけて解く問題が一部出てくるでしょう。
大問ごとの分析
それでは大問ごとに問題を見ていきます。
第1問
学校新聞を想定し、倫理分野中心に出題されました。問1は、問題文と選択肢の内容一致を問う読解問題でした。問2は、民主主義の文脈に沿って、請願についての問題です。センター試験同様の知識問題でした。問3は、経済的自由と精神的自由の観点から行政について考える問題でした。提示されたフレームワークに基づいて論理的に選択肢を読解・処理していく作業です。問4は、青年期の定義づけについての設問です。選択肢内の論理的整合性が正誤の判断になる、読解問題でした。問5は、悩みや葛藤の中の防衛機制についての設問です。センター試験でもよく見るような、典型的な知識問題でした。問6は、書道教室を舞台に、ロールズとセンの考えに即した選択肢を解答する問題です。これも事前知識というよりかは、前提の考えと選択肢の実例とを論理的につなぎ合わせる思考問題でした。問7は、ラッセルの幸福論とイソップ寓話の資料をベースにした読解問題です。センター試験の倫理でもおなじみの、提示された文章をベースに思考する問題でした。問8は、 キング牧師の演説をもとにした読解問題です。問9は、アドルノについての一般的な知識問題でした。
第2問
政治分野の小問集合です。ほとんどが、センター試験から大きく変わらない知識問題です。問1は、地方自治体における直接請求権についての知識問題です。問2は、『アメリカのデモクラシー』の著者が誰か、また住民自治についての理解を問う問題でした。問3は、中央省庁と国家公務員に関する法整備の現状を問う知識問題でした。問4は、衆議院解散の根拠となる憲法上の規定の理解を問われました。知識問題でもこのよう制度の根拠を問う設問は出てくるものと考えておきましょう。問5は、国際政治の展開について、国際経済の流れをふまえて時系列的に理解できているかを問う問題でした。元のヒントが少ないので、出来事同士の前後関係、因果関係の理解ができている人ほど選択肢を絞り込めたでしょう。選択肢以外はノーヒントかつ8択で、高難易度の問題になっていますね。正答率もわずか11%でした。地歴公民の共通テストでは、他の科目でもこのように時間軸的な内容把握が必須となってきます。
第3問
人権や国民主権が中心の大問でした。問1は、議会制民主主義と、大統領制・議院内閣制の知識理解について、海外諸国の実例もふまえて解答する問題でした。問2の憲法前文の問題は、完全な読解問題でした。政治分野はこのような抽象的なアプローチも必要になってきます。問3は一院制、二院制それぞれのメリット・デメリットを選択する問題です。やや変則ではありますがいたって標準的な知識問題です。問4の教育を補助する主体についての問題です。抽象的な主張から具体的な事例を導く、読解力が求められる問題でした。問2もそうですが、この手の問題はセンター試験でも過去出題されているのでチェックしておきましょう。問5は難問です。判決文をベースにした設問でした。文章量が非常に多く、かつ内容も読み取りが比較的難しいものです。
第4問
国富論をベースに5問出題されました。問1は読解問題でしたが、アダム=スミスの主張についての基礎的な知識からも解答できる問題です。問2は、抽象的なリード文と仮想の実例を対応させる、試行調査でももうおなじみになった思考・読解問題です。問3は、アダム=スミスの主張に対応した自由放任主義的な経済政策を正しく選ぶ問題でした。問4は、問2と同じく類似の抽象→具体の説明問題で、共通テストらしい読解問題でした。問5は、リストの保護貿易に当てはまる主張を選ぶ、一般的な知識問題でした。
第5問
冒頭はセンター試験同様、会話文から出題テーマを展開する形でした。問1は、持続可能な社会の実現のための取組みについて多角的な知識が求められました。問2は、提示された資料と選択肢の考察文から、思考力を問う問題です。問3と問4は、選択肢比較で正解を絞り込む問題です。第1回の試行調査でも同様のものが出されているので、本番でも再現される可能性が高いと思われます。
第6問
問1では膨大な資料が提示されていますが、解釈力などの高度な思考力はさほど必要ではなく、問題に沿って適切な情報を引っ張ってくる「処理能力」にウエイトが置かれた問題でした。問2は基準に沿って主張をグループ分けする問題です。構造的には第1問の問3と同様で、論理的思考力、読解力が求められます。
これまでのセンター試験
興味のある人は、ついこの前まで行われていたセンター試験についてもおさらいしておきましょう。
共通テストを作成しているのも、センター試験時と同じく「大学入試センター」です。
そして出題者からして、現代社会という科目からどんな学びを得ていてほしいのかについてはそれほど大きく変わることはないと思われるので、直近のセンター試験も充分な参考素材になります。センター試験で問われた知識や思考法が、ある程度は共通テストにも引き継がれるということを前提に、最近のセンター試験の傾向、そして本年度のセンター試験の内容を見ていきましょう。
○概要
試験時間:60分
大問:6題
設問数:36個
○問われている能力
- 教科書の基礎的、体系的な知識理解。出来事や制度の名称だけでなく、設立の目的・背景や実際の影響・効果などについての体系的な理解
- 資料やグラフから、正しく情報を読み取る能力
- 最近起こった出来事の知識や背景理解
これらの力が問われていました。
2020年度のセンター試験
こちらも別のサイトに問題と解答が記載されているので、ぜひご参照ください。
概要
・試験時間:60分
・大問6題
・設問36個
難易度は例年通りでした。予想平均点は18年、19年と同じく50点台後半と見られます。出題形式もほぼ変更はありません。ただ細かい設問の出し方に、ややひねったものがありました。また従来と同じく、断片的な知識の詰め込みでは高得点は難しいと思われます。そして時間軸や因果関係を考慮した体系的な理解や、論理的な思考を併せて解答する必要のある設問も見られました。
大問ごとの分析
続いて大問ごとの分析です。
第1問
政治経済分野の総合問題でした。オリンピック・パラリンピックから派生したリード文をもとに、政治・経済の標準的な知識・理解が問われました。問1は、環境に関する条約や法律についての知識問題でした。例年よく出題される分野です。問2は、戦後復興の中での経済政策や経済の動きについての出題でした。今年はコロナウイルスの影響で世界規模で経済が大きく動いている年でもあるので、経済についての大局的な視点を測る問題に注意しましょう。問3は、昨今の訪日外国人観光客の増加に対応したやや時事的な内容でした。しかしこれといって知識の必要のない、やや計算が必要な資料問題でした。問4は、成年年齢の引き下げに関する時事的な内容が問われました。なお2019年度に引き続き、民法の「契約」部分についての出題も兼ねています。問5は、情報に関しての法律、モラルについて問われました。若い世代でも様々な角度でインターネットに触れる機会が今後は拡大していく見込みですから、今後情報まわりについての知識は必須といえるでしょう。問6は、日本の財政についての知識問題です。特別会計予算の意思決定など、事務的な要素の内容が問われました。問7は、最高裁判所の過去の実際の判決からの出題でした。判例の名前と内容と最終的な判断と、体系的な知識理解が求められました。問8は、内閣についての憲法上の規定についての内容でした。内閣や国会の行動範囲・意思決定権限は頻出テーマなので、ぜひ押さえておきましょう。
第2問
ここではそれほど分野に偏りはなく出題されました。問1は、家族についての規定の知識を問われました。特に夫婦の姓についての選択肢は、昨今の選択的夫婦別姓の議論に沿った時事的な内容でした。問2は、示したい情報に対して適切なグラフを選択させる問題でした。アクティブラーニングの潮流もあり、調べ学習やアウトプットを意識した問題は今後共通テストでも増えていくでしょう。問3は、労働についての法整備の知識問題です。選択肢にある正規雇用・非正規雇用の手当の問題は、時事的な内容でした。問4は、青年期についての知識問題です。選択肢3の主張内容がルソーのものであるとの知識を測る問題でした。問5は、マズローの欲求階層説についての体系的な知識を問う問題です。2019年度に続き出題されました。
第3問
近代の思想など倫理的な分野と、政治・経済分野の混合問題です。問1は、思想家と提唱した内容とを合致させる問題でした。いずれも基礎的な内容の選択肢で構成されていました。問2は、西洋の学者と論説についての問題です。倫理分野の比較的高度な知識まで問われました。問3は、会社法と企業の分類についての問題です。今回正解の選択肢となった株主総会の意思決定権限は、頻出事項です。問4は、経済指標の理解について問われました。受験生で苦手とする人は多いですが、比較的出やすい分野でもありますので注意が必要です。問5は、国家の在り方について、思想家の主張やフランスの人権宣言など、多角的に知識を問われました。問6は環境や資源についての知識問題です。選択肢中のバーゼル条約は、昨年から連続しての出題です。問7は、民間の資金の動きに関する問題です。選択肢はいずれもやや詳細な知識で構成されました。問8の資料問題は、それほど知識の必要のない問題でしたが、やや計算が複雑だったかと思われます。
第4問
ここでは倫理分野と経済分野がそれぞれ出題されました。問1は、日本思想に関する問題でした。日本史を履修していない受験生は少し苦労する知識レベルだったかもしれません。問2は、偏見や差別に関する、倫理分野からの出題でした。このあたりは共通テストの思考問題で出題しやすい分野であるとも思われますので、習慣的に考える癖をつけておきましょう。問3は、人種差別や民族差別を中心とした知識問題です。問4は、2019年度に続き、リカードの比較生産費説についての出題です。問題文、提示資料、選択肢分をそれぞれ注意深く読み、論理的に思考して解答する必要がありました。問5は、情報通信技術についての知識問題です。最新の用語がそのまま選択肢に登場する分野なので、日々のニュースチェックが重要です。
第5問
経済分野からの出題です。問1は、中国を中心としたアジアの経済についての出題です。AIIBや改革開放政策などの中国の大きな経済政策についての知識が必要でした。問2は、経済学者とその主張内容についての知識問題です。センター試験で見かけるオーソドックスな形式・知識の問題でした。問3は、景気後退や経済危機の背景を問う問題でした。このように出来事の因果関係の理解を問う問題は頻出です。問4は、労働や所得の分配について、特に「働き方改革関連法案」の内容についての理解が問われました。やはり時事的な内容のチェックは必須です。問5は、日本の社会保険制度に関しての知識問題です。確定拠出型年金や労災保険の支払い主体など、幅広く問われました。
第6問
政治分野からの出題です。問1は、世界各国の政治制度に関する知識問題です。3年連続の出題となる、重要度の高い分野です。問2は、政党政治についての出題です。過去の政党政治の歴史や、マニュフェストや政党助成金についての知識が問われました。問3は、選挙制度についての出題です。衆議院と参議院の比例代表選出の方法についての知識が正答に必要でした。問4は、地方自治についての出題です。選択肢も多く、やや正答が難しい設問でした。問5は、リード文との内容一致を問う読解問題でした。
今後の共通テストではこのように読解力を必要とした設問が増加すると思われます。
共通テスト特有の問題 ここがセンター試験とは違う
ここで、これまでのセンター試験では出されなかった、共通テスト特有の形式の問題を再度紹介します。
まずは、第1問の問1です。
これは普段の日常生活と行政サービスへの問題意識と要望について、問題文と選択肢とを照らし合わせる問題です。普段の授業や教科書で出てくるような知識は、ここでは必要になりません。ここでは、国語的な純粋な読解力が必要になります。用語を断片的に拾ってざっくりと理解するのではなく、主張の方向性やや論点を見極め、一語一句丁寧にそれぞれ読み進めていきましょう。
大学入学共通テストに向けた対策
最後に大学入学共通テストに向けた対策についてご紹介します。
①知識
センター試験と比べて、必要な知識量に変わりはないでしょう。引き続き、空間軸(国際比較など)や時間軸(物事の流れ、経緯)、因果関係、そして制度や政策、公的機関の目的や背景を意識した体系的な知識獲得を前提に学習していきましょう。物事を体系的に理解していくために、公民分野で定評のある蔭山先生の著書『蔭山の共通テスト現代社会(大学受験Nシリーズ)』 が、内容がわかりやすくかつコンパクトなのではじめの1冊に最適でしょう。また、『高校 これでわかる現代社会(シグマベスト)』も、図解がふんだんに盛り込まれていて、初学者にとって理解しやすい参考書です。共通テストでは知識を構造的に思い出せるかどうかが重要なので、ビジュアルで直感的に覚えたい人、文字を追っかけて暗記することが苦手な人にはこちらもおすすめできます。
②資料
共通テストでは他の科目同様、読み取る資料の量は大幅に増加する見込みです。教科書で習った基礎的な知識が、資料の上ではどのような位置づけで登場するのかについて把握しておきましょう。
③文章読解
情報の読み取りは、表やグラフにとどまりません。共通テストでは、有名な著書の一文や生徒の主張などをベースに、具体と抽象を行き来させる読解問題が数多く見られます。特に第1回の試行調査では顕著でした。読解についてのノウハウを吸収する狙いで、現代文を早めに対策しておくのも1つの手でしょう。
④時事問題
センター試験同様、日々のニュースはチェックは必須です。常に高くアンテナを張りながら、授業で習った知識とつなげていきましょう。『時事問題に強くなる本』シリーズであれば、必要事項を広く拾えるでしょう。その際、用語は体系的に身につけること、そしてそのニュースについて自分なりに考察を加えることが実力アップにつながってくるでしょう。
⑤演習
センター試験の過去問も、充分対策につながります。試行調査の知識問題も、センター試験と変わらず目的・背景、時系列などの体系的な理解を問う問題が数多く出題されています。また、倫理、政治・経済の試行調査も、共通テスト独特の読解問題や資料問題の対策に利用できると思われます。
まとめ
さあ、共通テストにおける現代社会の出題傾向について、ある程度はクリアになってきたでしょうか。
英語や国語などの科目と比べれば、センター試験と出題方式は違えど、求められる能力や知識量にそれほど大きな変更はないように思われます。引き続き、授業や教科書で習った知識の体系的な理解を怠らないようにしましょう。
加えて他の科目も顕著ですが、共通テストでは論理的思考力が必要な問題がかなり出題されます。常日頃からあらゆる事象に疑問を持ち、背景や目的・意義、それを踏まえての現状の把握や未来の予測など、自らすすんで思考する癖を身につけましょう。
なお以下の記事では、まだ受験に時間が残されている高校1・2年生を中心とした、共通テストに向けての長期対策について解説しています。ぜひ一度目を通してみてください。
https://axiv-blog.com/2020/09/14/kyotsutest-sgh-12/
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