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014.受験校選びも重要な戦略の一つー受験校の決め方ー


レベル分けと4つの型から攻める受験校の決め方

 受験を意識し始める当初は、やりたいことや希望を前提に目標を定めてもよいですが、受験が迫ってくるにしたがって、明確に受験校を決める必要が出てきます。

 特に私立大学の受験校の決定は、早ければ早いほど対策する上で有利になります。遅くとも12月中旬までには確定させておく必要があります。冬休み前に、出願に必要な調査書を用意しておかなければいけないからです。

 受験校を検討する際に考慮するべき点は多くあります。以下の項目を確認しながら受験校を決定していくとよいでしょう。

  • 受験回数
  • 受験校のレベル分けと受験型
  • 学部学科重視か大学レベル重視か
  • 配点、倍率、問題傾向
  • 別方式の併願
  • 大学情報(キャンパスの場所、学費など)
  • 受験費用(受験料、入学金、入学金締切日など)
  • 受験順(入学金の支払いに注意)
  • 共通テストの点数次第で一般入試の出願数を変動させるか
  • 中期・後期日程/共通テスト利用の後期日程はいつまでに決める必要があるか
  • 受験場所、移動日、宿泊日、宿泊先(遠方からの受験の場合)

 このような点を考えるなかで、インターネットを検索しても明確な情報がなく、簡単に決定できないものが、「受験回数」と「受験校のレベル分けと受験型」です。受験を成功させるためには行きたい大学ばかりを選ぶのではなく、滑り止めや実力にあった大学を複数選ぶ必要があります。そのためには子どもの実力に合わせて受験検討校をレベル分けし、どのレベルの大学を何回受験したら合格できそうか検討していくことが必要になります。

 まず受験校のレベル分けの方法を説明します。受験校の決定を難しくすることの一つが、受験校のレベルと子どもの学力との比較です。多くの受験生が模試の偏差値と大学の偏差値を照らし合わせながら志望校を見極めていくことになりますが、模試だけでは判断が難しいものですし、模試で一度も判定を出していない大学を検討することも多々あります。さらに、模試は「〇〇大模試」という大学に特化した模試でない限り、共通テストの問題に似せたマーク模試と、国公立2次試験を標準化した記述模試になります。そのため、独自の入試を実施しているような私立大学や国公立2次試験の問題の傾向と一致しないことがあります。

 そこで、私は模試以外の判断材料も取り入れた分類表(図表6-1)を作成し、受験校を「合格確実校(滑り止め)」「実力相応校」「挑戦校」「希望校」というように、生徒に合わせてレベル分けしています。まずは受験を検討している大学の模試での判定や偏差値、過去問の得点等を整理していきます。表にある「合格最低点達成率」とは、合格最低点以上の得点をとれた確率を表し、「過去問得点率」は合格最低点よりも何パーセントくらい多く点数を獲得できたのかを表しています。より正確に合格できる確率を知るために、模試の判定だけに頼らず、過去問を解いた結果も事細かく見ていくことが重要になります。

 実際に生徒指導をしていると、適当な合格確実校を自ら選定できる受験生は少数です。自分のレベルを一段高くみてしまう傾向にあるため、このような基準を設けて受験校を分類し、子どもにも冷静に検討させる必要があります。

 ただし、過去問の結果を判断材料にする際に注意が必要なこともあります。たとえば、過去問には問題ごとの正確な配点が記載されていないことが多くあります。また、過去問や大学で発表されている合格最低点は科目間の得点調整後の点数であることが多いため、合格最低点を取っていても不合格になることもあります。

 いずれにしても、実際の問題での得点率は大いに参考になるため、図表のような基準で受験校のレベル分けをすることをおすすめしています。

 たとえば、文系私立大学志望で、秋ごろの偏差値が60.0の場合、具体的にどのような志望校になり得るか、シミュレーションしたものが図表6-2です。

 受験当日は緊張することが多いため、普段よりも時間が足りなかったり、点数が下がったりすることがあります。目安として、挑戦校は4回受けて1回受かるくらい、実力相応校は3回受けて1回受かるくらい、合格確実校は2回受けておけば確実、と考えておいたほうがよいでしょう。

 次に検討してもらいたいのが、受験型と受験回数です。私は生徒の性格や受験への気持ちから受験型を大きく4パターンに分類しています。図表6-3では、試験を10回、共通テスト利用を5回受験するとした場合の受験型別おすすめの受験回数のイメージを表しています。どの受験型でも子どもの気持ちを尊重しつつ、最低でも1校は合格するという割り振りにしています。

 それぞれの受験型に対する受験校を選定する方針としては以下のようにしています。

① 標準型:合格確実校と実力相応校を確実に合格し、少しでも上位を狙う

② 挑戦型:浪人する可能性もあるが、実力相応校を確実に合格し、挑戦校を狙う

③ 堅実型:絶対に浪人しないように、合格確実校と実力相応校を確実に合格する

④ 突進型:浪人してでも、受験校は妥協しない

 どの受験型でも共通していることがなるべく合格確実校の対策に時間をかけずに合格したいということです。その一つの手段として、共通テスト利用は非常に有効です。国公立志願者だけでなく私立志願者も、共通テスト利用で一つ合格を確保することを考えておくと、受験を安心して進めることができるでしょう。受験料も安く、受験に行く労力も、合格確実校の独自問題の対策をする労力も必要がないという利点があります。また、共通テスト利用は共通テスト後に判定をみることができるので、私立の一般選抜よりも合否が読みやすいという利点もあります。

共通テスト利用は科目と配点をなるべく散らす

 先ほど少し触れましたが、共通テスト利用は一般受験に比べて受験料が安く、1度の受験で複数の大学に出願が可能なため、私立受験においてもコスパのよい重要な受験方式になります。

 この共通テスト利用の戦略次第で逆転合格することも不可能ではありません。共通テスト利用は事前の準備で成否が大きく左右されます。国公立志願者も私立志願者も、文系も理系もよく理解していただきたいと思います。

 たとえば文系で共通テストの模試・予想問題集・過去問などで図表6−4の表のような得点だったとします。その際に、どの大学に出願するべきでしょうか。

 このように同じ点数でもどこに出願するかで得点率が大きく異なります。

 ほかにも2科目しか使わない、国語が現代文+古文だけ、現代文+古文or現代文+漢文などさまざまな配点や併用入試があります。

 また、共通テストを成功させる鍵として押さえておきたいのが、緩急をつけて点数をとるということです。

 受験科目のどれかに特化して得意科目を作っておくと共通テスト利用は成功します。

 この共通テスト利用の戦略だけで、今まで自分のやってきた努力を最大限に発揮することができます。受験校の選定で手を抜く受験生が多いのですが、それは非常にもったいないことです。

 共通テストの後期(第2日程)の利用も視野に入れて、子どもに合った受験校を探すとよいでしょう。

【共通テスト利用のポイント】

・文系私立専願なら現代文のみで固める戦略もあり。国語の試験で古文・漢文を捨てて、現代文のみ解く。現代文に他の人の2倍の時間を使う。

・科目を減らしたときにはボーダーや倍率が上がることがあるので、情報を確認する。

・共通テスト利用だけでなく、併用や後期も調べる。

・併用入試は英語を削れることもある。

・出願締め切りに注意。

・得意科目をつくっておく。

共通テストで点数が取れなくても逆転は可能

 国公立大学を第一志望とする場合には、私立大学を第一志望にする場合とは異なる特別な考慮がいくつか求められることになります。

 国公立大学の最終的な志望校は、1月中旬の共通テストの結果をみて決めることになります。具体的には前期日程、中期日程、後期日程それぞれについて、どこの大学を受験するかを決めて出願します。

 前述のとおり、中期日程を実施する大学は限られているため、一般的には前期日程では第一志望校を、後期日程では安全を期してより確実に合格圏内にある大学を受けることになります。ただし、公募推薦を利用して第一志望校と同等のランクの私立大学に受かっていたり、共通テスト利用や一般入試で合格できそうなイメージが湧いていたりする場合は、後期日程の受験校のランクを下げる必要はなくなり、前期と同じ大学に再チャレンジすることが可能となります。

 また、私立大学よりも国公立大学に行くことを子どもが強く望んでいるような場合には、共通テストと2次試験の配点を検討して、最終的な志望校を決めてもよいでしょう。

 大学によって共通テストと2次試験の配点の比率は異なります。そこで共通テストの点が思わしくなかった場合には、2次試験の配点の比率が高い大学を志望するという戦略が考えられます。特に国公立は2次試験の科目も大学によって異なります。得意な科目に限定して高得点を狙い、その2次試験の配点が高ければ、逆転合格の可能性もあるでしょう。実際に、センター試験(共通テスト)でボーダーを大きく下回ったE判定からでも多くの受験生が合格しています。

 一方、共通テストで高得点を取ることができたのなら、共通テストの配点の比率が高い大学を選ぶという方法もあります。そうすれば2次試験で少々失敗したとしても逃げ切ることが十分可能です。

 各大学の共通テストと2次試験の配点の比率についても、先に触れた「パスナビ」などの受験生向けのポータルサイトや大学ホームページで確認することができます。また、共通テストの約3日後には、大手予備校のホームページから各大学のボーダーを確認できたり、当日の点数を入力することで判定が出るようになったりします。

 共通テストを受けた後に必要と感じたら、こうした受験方法もあることを、アドバイスしてあげるとよいでしょう。

受験に必要な情報を集めるのは保護者の大事な仕事

 大学入試では、どの大学を選ぶのか、そしてどの教科・科目に力をいれるべきなのか、どのような入試制度を使うのかなど、合格の可能性を高めるという戦略上の観点から、慎重に判断・決定すべきことが多くあります。

 また、判断・決定を行うための情報を集める作業も必要になります。受験に関するこうした情報収集は、願書を提出する直前まで行うことになります。もちろん、そのような試験直前の時期は、子どもは受験勉強の「追い込み」に必死になっているでしょうから、子どもが自分でできない場合には保護者が代わりに情報を適切に集めた上で、状況に応じてわかりやすく整理して示してあげるとよいでしょう。

 もし子どもが塾・予備校に通っているのならば、塾・予備校の講師やスタッフのサポートも期待できるでしょうが、そうでなければ保護者が独力でそうした作業をすべて行わなければならないはずです。

 そこで、大学受験や進路に関する情報を集める上で役立つサイトや書籍を、次の表にまとめておきました。ぜひ参考にしてみてください。

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「変わりたい。」を叶えるを実現するために、今までの常識にとらわれない、新しい形態の予備校を運営しています。私たちは、生徒自らが夢や目標を定め、なぜ勉強が必要かを理解できるように正しい情報を提供し、進路指導に時間をかけて受験戦略を立ち上げ、受験で必要な全科目に対して学習計画を練り、進捗管理を行っています。最高の「環境」「指導」「ツール」を提供すべくWebやiPadを活用し、全国のどの地域からでも受講できるように遠隔での指導を行っています。東大の隣にオフィスを構えており、指導チームを中心に、受験に精通した経験豊富な専属スタッフが受験まで1:1でサポートします。

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