目次
理科3科目の中での化学の位置付け
化学は物質の性質や変化を学ぶ科目
中学では理科とまとめられていたものが、高校になると物理、化学、生物、地学に分かれ、それぞれ専門的な内容が増えていきます。その中で、化学は物質の性質や変化を学ぶ科目です。例えば中学校の理科の授業で、金属の性質として金属光沢、展性、延性、電気伝導性、熱伝導性がある、というように習いますが、その理由について深くは触れなかったと思います。高校化学を学ぶと、金属原子には移動しやすい「自由電子」があるため電気をよく通す、といったように物質の成り立ちからその性質をある程度理解できるようになります。
理科4科目中で最もメジャーな科目
下の表に、過去3年のセンター試験及び共通テストにおける理科の各科目の選択者数と平均点を示しています。物理、化学、生物、地学の中で、いずれの年度も最も多くの受験者が選択していることが分かります。
種類 | センター試験 | ||
年度 | 平成31年度 | ||
受験者数 | 【%】 | 平均点 | |
物理 | 156,568 | 36.6 | 56.9 |
化学 | 201,332 | 47.1 | 54.7 |
生物 | 67,614 | 15.8 | 62.9 |
地学 | 1,936 | 0.5 | 46.3 |
合計 | 427,450 | 100.0 |
種類 | センター試験 | ||
年度 | 令和2年度 | ||
受験者数 | 【%】 | 平均点 | |
物理 | 153,140 | 37.1 | 60.7 |
化学 | 193,476 | 46.9 | 54.8 |
生物 | 64,623 | 15.7 | 57.6 |
地学 | 1,684 | 0.4 | 39.5 |
合計 | 412,923 | 100.0 |
種類 | 共通テスト | ||
年度 | 令和3年度 | ||
受験者数 | 【%】 | 平均点 | |
物理 | 146,041 | 37.7 | 62.4 |
化学 | 182,359 | 47.0 | 57.6 |
生物 | 57,878 | 14.9 | 72.6 |
地学 | 1,356 | 0.3 | 46.7 |
合計 | 387,634 | 100.0 |
知識と思考力、両方が求められる
選択する人の少ない地学を除く3科目のなかでは、化学は知識と思考力の両方が求められる科目と言えます。暗記必要度は、生物(暗記が多く求められる科目)と物理(暗記は少なく思考力が求められる科目)の間ぐらいです。例えば下に2021年度共通試験(第1問の問1、第3問の問3)の問題を示します。初めの問1は単純な知識から①と答える問題で、次の問3は思考力を問われる問題です。なぜ思考力を問われるかというと、(1)の式はここで初めて与えられたもので全く覚えておく必要はないからです。「係数比=モル比」の関係になるという誰でも知っている知識を使うだけでは選択肢に引っかかってしまいます。問題文をよく読み、シュウ酸イオンC2O4²¯と二酸化炭素CO2の量的関係を考えて答えを導いてください。
化学を既に勉強している人は下記の解説を読んでみてください。 問3の解説としては、1molのC2O4²¯から2molのCO2が生成されます。(1)と示されている式より、錯イオン[Fe(C2O4)3]³¯2molからCO2が2mol生成され、C2O4²¯は1mol酸化されることがわかります。つまり錯イオンが1molあった場合には、0.5molのC2O4²¯が酸化される、という思考が必要です。
第1問
第3問
また、計算を求められる割合も、物理、化学、生物の順で多くなっています。ただし、物理では基本的に文字式での計算が求められるのに対し、化学では具体的な数値を入れて計算する必要がある場合が多く、より正確な計算力が求められると言えます。式は正しく書けたのに、計算を誤って正しい解答を導き出せなかった、という失敗も生じてしまいます。
暗記量と思考力、あるいは計算力のバランスが物理と生物の中間であることより、化学の学力の伸びもこれらの中間と言えます。物理と比較して、基礎は勉強を進めやすいですが応用の段階で伸びが鈍くなります。一方生物と比較すると、勉強し始めの成績は伸びづらいでしょう。化学(有機)を勉強している人は下記の解説を読んでください。 例えば2-プロパノールという物質の構造式を暗記しただけでは、2-プロパノールの問題しか解けません。これを応用するためには、『2-プロパノールの「2」は端から数えて2番目の炭素を表しており、この命名は構造異性体の区別のために行っている』ということまで理解する必要があります。これが理解できれば、その他1-ブテンや1,2-ジブロモエタンなど、数字とハイフンが付いている初見の有機物が出てきたときにも、構造式が書けるようになります。逆に、構造式から物質名の命名もある程度可能となります。
化学の特徴
化学は大きく【理論】、【無機】、【有機】の3つの分野に分けられます。理論分野は文字通り化学の理論を学ぶ分野で、その内容を踏まえて無機分野、有機分野が展開されます。例えば、理論分野で原子同士を結びつける結合の種類として共有結合、イオン結合、金属結合、分子間力があるということを学びます。その知識をもとに、無機でAgClを扱うときにイオン結合だからAg+とCl¯とで電荷が±0になるのだな、と分かります。一方、有機化合物は共有結合をしているので、結合している原子同士で共有している電子の数を数えることにより分子構造を理解することが出来ます。メタンはC4¯+4H+ではないのです。
つまり、3つの分野の中では理論が特に重要です。ただし理論分野だけで勝負できるわけではなく、高校化学において無機・有機をおろそかにすることは許されません。
理論分野の特徴
理論分野は全体の基礎となる分野で、この分野の知識や原理は無機や有機の問題を解くうえで前提となります。中学校で学習した内容を受け継ぎながら、原子・分子の成り立ちからそれらの反応の原理を学んでいきます。化学基礎はすべて理論分野に該当します。例えば理論分野の大事な単元の一つに酸化還元反応があり、2Cu+O2→2CuOという反応を学びます。この反応では銅は酸化数が0→+2と変化し、酸化されています。ここでは物質が銅であるか亜鉛であるかはあまり重要ではなく、反応の仕組みを理解することが大事です。
また理論分野では、酸化還元滴定や反応速度、気体の状態などの単元で計算問題が多く出題されます。
無機分野の特徴
無機分野では、無機化合物、すなわち炭素元素を含まない化合物を扱います。(ただし、二酸化炭素や炭酸塩は含まれます。)金属の単元では身近な例も出てくるものの、非金属の単元では具体的なイメージが湧きにくいものも多いでしょう。
学習としては無機分野は暗記中心の分野です。しかし、多くの場合は暗記したことがそのまま問われるのではなく、理論分野で学んだ酸化還元などと絡めて出題されます。上で例に出した銅の酸化反応は、無機分野では「無機物質である銅の性質」という枠組のなかで取り上げられます。酸化銅(Ⅱ)は黒色をしていて、一方酸化亜鉛は白色、という様に各物質を具体的に取り上げながらその性質や反応を学ぶため、暗記する事柄が多くなります。
有機分野の特徴
有機分野では有機化合物、すなわち炭素元素の含まれる化合物を扱います(正確には、炭素を含んでいても二酸化炭素や炭酸塩などは含まれません)。基本的な知識を暗記したうえで、構造決定問題等の思考力を必要とする問題に取り組むこととなります。ヨードホルム反応という、CH3CO¯やCH3CH(OH)¯の検出に使われる反応があります。この反応自体は覚えなければなりませんが、「ヨードホルム反応をするのはアセトアルデヒドCH3CHOとアセトンCH3CO-CH3と、、」と物質まで反応と結びつけて覚える必要はなく、問題でCH3CO-Rと見たら「ヨードホルム反応で検出されるな」と気づけることが重要となります。
化学は3つの分野の内容が独立していない
物理が単元ごとに集中的に学習するのに向いている科目であるのに対し、化学は全体の学力を少しずつ高めていくべき科目です。上記の通り、無機、有機分野において理論分野の内容が複合的に絡んでくるためです。理論を完璧にしてから残りの分野に取り組む必要はありませんが、「ある程度」理論分野を固めてから、無機、有機の勉強に進むようにしてください。「ある程度」と言った意図は、無機や有機が理論分野に基づいて出題されるので、無機・有機の問題演習を通して理論化学の復習もでき理解が深まることも多いということです。
例えば下に一部を抜粋した問題は有機分野の穴埋め問題ですが、理論分野の内容が深く関わっていることがよく分かる例です。(キ)の解答は「ファンデルワールス」、(ク)の解答は「水素」ですが、理論分野で学習する分子間力が有機物質にも働いていてその性質に影響を与えていることが分かります。このような問題には、有機分野だけを学習していただけでは対応できません。
「分子間に働く引力である分子間には、(キ)力や(ク)結合があり、有機化合物の沸点や融点に大きく影響する。直鎖状のアルカンでは、分子量が大きいほど、(キ)力が強くなるために沸点が高くなる。アルコールでは、ヒドロキシ基部分での(ク)結合により分子間に強い引力がはたらくため、同程度の分子量をもつアルカンに比べて沸点が高くなる。ブタノールでは、4つの構造異性体のうち、(キ)力が最も弱く、分子間で(ク)結合が形成されにくい異性体Hの沸点が最も低い。異性体Hの構造式は(ケ)である。」(慶應義塾大学2020年度大問3(2))
化学の勉強の6要素(求められる力)
化学で求められるのは、物質がある条件下に置かれた時にどのような状態にあるか、どう変化するかを答える力です。定められた範囲の知識をつけ、その知識を活用するため、そして入試問題で必要な点数をとるために、化学の受験勉強では以下の要素が求められます。
1.暗記
化学では、沢山暗記する事項があります。他の知識と関連付けて覚えるのが難しい場合も多く、そのようなものはゴロを利用して覚えるなど工夫が必要となります。例えば次のような問題は高校化学の学習内容から論理的に解答を導き出すことは難しく、暗記しておくべき内容です。
「金、銀、および銅のうち、電気伝導性、熱伝導性、および展性・延性が最大のものをそれぞれ答えなさい。」(千葉大2020年度)
暗記方法について詳しくは勉強法で述べますが、ここでは日常生活における事象と関連付けて覚える方法を紹介します。電気伝導性と熱伝導性は同じ順番で、銀>銅>金です。例えば熱伝導性は、銀のスプーンを使ってアイスクリームを食べると、アイスクリームの冷たさが速く柄に伝わるため手が冷たくなる、というイメージとともに銀が1位、と覚えます。さらに、電気を伝える銅線は銀を使いたいところだけれど高価なので少し性能の落ちる銅を使っている、という事から知識を頭に定着させます。一方、展性・延性は金>銀>銅という順番になります。私は箔を思い浮かべて、身近な順に金箔>銀箔>銅箔と覚えていました。金箔は、食べ物に使われていたり、金閣寺に貼られていたりするのでよく見かけますよね。銀箔も、工芸品の装飾などで使われているそうです。私はたまたま高校の授業で漆器に使われていると知り、叩いたら銀が延びるというイメージが湧くようになりました。銅箔は配線基盤などの工業製品で使われているそうですが、日常生活ではあまり目にしないと思います。(ただし、最も身近なアルミ箔のアルミニウムは銅よりも展性が下がるので注意が必要です。)このように化学は身近な物質を多く扱う学問なので、実際に自分が触れることのできるものに関連付けて覚えるようにすると暗記しやすくなります。
2.反応や性質の理解
一方で、法則を理解していれば少ない知識でも答えを導き出せる問題もあります。例えば酸化還元反応の反応式を問われた場合、以下の手順を理解していればあらゆる反応式を理解していなくとも解答することができます。知識が必要となるのは①のみであるため、これを理解していれば効率的な学習ができます。
①酸化剤、還元剤それぞれの半反応式を立てる。
MnO4¯+8H++5e¯→Mn²++4H2O
(COOH)2→2CO2+2H++2e¯
②それらからイオン反応式を作る。
2MnO4¯+6H++5(COOH)2→2Mn²++8H2O+10CO2
③完全な反応式にする
2KMnO4+3H2SO4+5(COOH)2→2MnSO4+8H2O+10CO2+K2SO4
3.各分野をつなげて、体系的に理解すること
化学では各分野が関係し合っているため、そのつながりを把握して体系的に理解することが重要です。例えば、酸化還元反応はあらゆる反応問題の基本となります。無機や有機の問題を解きながら理論分野の酸化還元の単元を復習すると同時に、理論分野を学習しながら無機・有機の問題に繋げる意識を持つことで安定した知識を得ることが出来ます。自分で重要事項を書き出すことや、各分野を繰り返して勉強することが重要です。
4.計算力をつけること
化学では速く正確な計算力が求められます。基本的には足し引きや掛け算で解くことができますが、電離平衡の単元では対数を用いた計算が求められるほか、反応速度について原理から理解したい場合微分の計算が出てきます。また計算方法が分かるだけでなく、計算できる、ということが重要です。面倒くさがらずに演習を沢山積みましょう。例えば次の問題(共通試験2021年度第2問)では、正確で速い計算が求められます。この問題ではファラデーの法則Q=It(Q:電気量[C]、I:電流[A]、t:時間[s])を利用しますが、物理のように文字式のまま計算すれば良いのではなく、与えられた値を代入して計算する必要があります。計算を間違えて誤った選択肢を選んでしまえば0点になってしまうのです。
実際の計算は下記です。
5.典型問題のパターンの理解
化学には、登場する「典型問題」があり、それらを学習することが基礎力強化につながります。例えば次の問題(早稲田大学2020年度大問1)は緩衝液の問題ですが、弱酸とその塩の混合量が比で表されている点に独自性があり、緩衝液についてきちんと理解していないと対応できません。参考書では具体的な数字で計算する問題が載っているので、何度も手を動かして解いて理解しておくことで、このような応用問題も解けるようになります。
6.志望大学の傾向の把握と解答力をつけること
化学の試験問題には空欄補充問題、反応式を問われる問題、記述問題、計算問題など、様々な形式がありますが、志望大学ではどのような問題が多く出題されているのか、過去問を確認しておく必要があります。実験についての問題が毎年出題されているなら、教科書や参考書で実験の操作や反応をよく確認する必要があります。
化学で使用する参考書の種類
1.理解本
『照井式解法カード』や『宇宙一わかりやすい高校化学』など、基本的な学習事項が分かりやすくまとめられており、化学の勉強を始めるに当たって導入として読むのに適した参考書です。
2.資料集
『化学図録』や『サイエンスビュー化学』が該当します。概念や性質などを、図や写真を用いて視覚的に理解できるようにまとめてあります。化学の勉強をするときは1冊傍らに置いて、呈色反応などの問題を解いたらその都度確認するようにしましょう。理解本などをベースに学習を進める中で、実際の色などを確認したい時だけ利用するイメージです。
3.教科書傍用問題集
学校で配られる問題集で、『セミナー化学』、『リードα』、『センサー化学』や『リードLightノート化学』などが該当します。基礎を固めるために、1冊を繰り返し解くと良いでしょう。
4.問題集
教科書傍用問題集をある程度解いたら、自分のレベルにあった問題集を解きましょう。1冊をひたすら解くか、あるいは途中でレベルをあげて2冊目に移行するのでも良いでしょう。例えば、『照井式問題集』『重要問題集』などがあります。
5.過去問
共通試験対策として、センター試験を含めた過去問を解いて対策をしましょう。また、志望校の赤本や、難関大の場合は『○○大の化学〇〇ヵ年』といった過去問集のほか、過去問と類似のレベルの問題集や、志望校と近いレベルの大学の過去問も利用して2次試験対策をしましょう。
6.「化学の辞書」
『化学の新研究』『新化学化学基礎+化学 (チャート式・シリーズ)』のように、内容が網羅的にまとめられていて「なぜそうなるのか」という細かい解説まで載っている参考書です。勉強していて分からないことがあったらすぐに調べることができます。化学が得意な人におすすめですが、得意でない人は持たなくて良いでしょう。
化学のよくある質問
Q. 化学基礎を理解していないと化学はできないのですか?化学の勉強の前に化学基礎の復習が必須ですか?
化学の中に化学基礎が含まれているわけではないため、化学基礎の内容を勉強せずに化学だけ勉強して受験に成功するということは考えられません。化学の特徴の項目で、化学には理論・無機・有機の3つの分野があると説明しましたが、化学基礎の内容は理論分野の一部に該当します。そして理論分野は全ての基礎ではじめに理解する必要があると述べましたが、化学基礎はその中でも重要な単元を含みます。ですので、化学基礎なしに無機、有機を勉強することはかなり困難です。
学校で習った順に従って、はじめに化学基礎を理解していることが望ましいです。化学の参考書は化学基礎と化学が同じ参考書にまとまっている場合も多々あります。その場合は、科目の境界はそこまで意識しなくて良いでしょう。
Q. 公式を覚えても、問題を解く時に活用できません。
問題を解く時に公式を上手く使えないのは、公式の意味をきちんと理解していないからだと思います。とはいえ、多くの方にとってはじめから公式を理解して覚えることは難しいと思います。問題を解きながら、公式の使い方を覚え、形式的に何度も解くなかで少しずつ理解していくということで良いと思います。はじめは解答を見ながら公式の使い方を型として覚え、その型通りに解答する練習をします。解答を見ずに自力で解けるようになってくると、公式の意味を考える余裕も出てくるでしょう。そして公式をきちんと自分のものにできたら、複雑な応用問題でもその式の使い方に迷うことは無くなります。
例えば、気体の体積と圧力・温度の問題では必ずボイル・シャルルの法則
pv/T=k(一定)
を使いますが、はじめはどの値を一定にして解けば良いのか迷うと思います。しかし何度も練習するうちに、一定量の気体の体積は圧力に反比例し絶対温度に比例する、ということが理解できるようになります。そして、気体の凝縮問題などの混乱しやすい問題もグラフと関連づけながら解くことができるようになります。
Q. 応用問題になると解けません。
他の教科とも共通することですが、応用問題が解けないということは基本的な内容が分かっていないということです。基礎固めが足りていないので、セミナーなどの基本問題などに戻って解きなおしましょう。基礎を固めて、また応用問題に挑戦してください。自分なりに論理的に解答を作ることができ、いきなり正答できなくても、解説を見て納得できるくらいになっていれば問題ないと思います。
たとえば下の過去問は、理想気体の状態方程式PV=nRTを使いこなせることを前提とし、さらに実在気体で凝縮が起こる場合の気体の状態を考える問題です。温度一定の時は圧力と体積が反比例の関係、圧力一定の条件では体積と温度が比例の関係、体積一定の条件では圧力と温度が比例の関係になるということが分かっていれば、直線がもとになったグラフか曲線がもとになったグラフかまでは絞れるでしょう。ここまでができなければ基礎固めができていないということです。選択肢に検討を付けたうえで低温・高圧の部分がどういうグラフになるか考える必要がありますが、この部分は正解できなかったとしても解説を見て納得できれば意味のある勉強といえるでしょう。次に同じ問題や似た問題を解く時に思い出すことができれば、徐々に応用問題も解けるようになると思います。
「理想気体とは異なり、実在気体は低温・高温にすると気体の一部が凝縮する。そのため純粋な実在気体は、一定温度において体積に対して圧力は図(A)のように変化し、圧力一定にて温度に対して体積は図(B)のように変化し、体積一定にて温度に対して圧力は図(C)のように変化する。」(早稲田大学2020年度 Ⅰ(6))
ただし、分からない時にすぐに解答を見てしまうと、自分がどこまで分かっていてどこでつまづいてしまっているのか曖昧になってしまいます。難しい問題でも、ぐっとこらえて「こうかな」と考えてみることで、途中まではできたけれど後半で考え方が甘かったな、などと気づくことができます。上の例では、理想気体の状態方程式の基礎はきちんと理解できているけれど実在気体に当てはめる時に混乱してしまうな、と気づくことができます。はじめ5分は自力で解こうとしてみる、と決めておくと良いでしょう。
Q. 暗記しきれません。
暗記すべきものは頑張って覚えましょう。一方で、覚えなくても法則から導き出せるものもあるので、効率的な学習を意識してください。「化学の特徴」でも述べましたが、化学は知識と思考力の両方が求められる科目です。例えば、鎖式炭化水素にH₂Oが付加してアルコールが生成する法則が分かっていれば、エタノールの出来方やプロパノールの出来方を個別に覚える必要はないのです。暗記すべきものについては、暗記についてまとめている項目を参考にしてください。
化学で身につくこと
なぜ皆さんは化学を勉強するのでしょうか。受験のためであるのは間違いないと思いますが、理想的には、受験という目的を超えて楽しんで勉強して欲しいと思います。化学は日常生活、衣食住との結びつきが強い科目です。例えば梅ジュースを作る時、容器に砂糖と梅を入れて放っておくといつの間にか液体が溜まっているという不思議な現象が起きます。「浸透圧」を知っていれば、梅の内外で糖の濃度が異なるために梅の内側の水分が外側に染み出たのだと分かります。このように、日々の生活の中で、この現象、この間学んだことだ!と理解できると楽しくなるかもしれません。また、大学での研究を見据えて化学を選択した人もいるでしょう。
共通テストの項目で、日常生活における化学的な現象を問う問題も出されていると書きましたが、そこには出題者の方も化学を日常生活と結びつけて考えてほしいというメッセージが込められていると思います。2次試験でも、最先端の研究をしている先生が大学受験で扱う範囲に内容を絞って問題を作っています。過去問を解きながら、その向こうに人類の発展を支える研究が広がっていると想像するとわくわくしますね。
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