目次
地理勉強法の全体的な流れ(共通・二次対策)
理解本+一問一答(統計地理)
↓
理解本+一問一答(地誌)
↓
過去問
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理解本再確認
問題集や一問一答は理解本学習後の理解度確認としての役割にとどめておき、理解本を主体に確実に理解を深めていきましょう。学校で習った知識も再整理され自信をもって問題にいかせるようになります。とはいえ範囲は十分に広く一冊終わるころには初めの方は抜けている可能性があるので、徐々にスピードアップしながら何度も周回するのが理想です。理解本を一通り終わらせたら過去問演習に取り掛かるようにしましょう。また二次試験に利用する場合は志望校の問題形式を確認しておき、記述が出題される場合は記述慣れしておくことも必要です。共通テスト対策に追われる11〜12月を見越せば秋頃取り掛かれれば理想的です。
※共通・二次と私大地理では大きく勉強のやり方が変わってくるので、私大受験で利用する方は「私立大の対策」を参照してください
教科書・理解本の勉強方法
初周〜2周目までは時間がかかってもよいので理解できるまで読み通すことが大切です。理解本では教科書に比べ丁寧に論理構造を説明してくれています。また、やると決めたら一章分は通しで勉強することをお勧めします。何度も講義を受けなおす感覚で、最初は1〜2か月かけて一冊を通し、それ以降は徐々に時間を短くして受験直前までには3周以上しておくのが理想的です。
①初周のゴール
きちんと本文を読み通した後、理解本を伏せてもポイントの内容までは説明できているようにする。一問一答で該当単元の重要度最大の単語に答えられるようになっていればクリア。
②2周目のゴール
波線部や太文字になっている本文の重要な記述を覚える。一周目で覚えた単語の意味や背景を口に出せるようにする。
③3周目以降
定期的に読み返し、忘れていることがないか確認。
(例)
①新期造山帯という単語が答えられる → ②新期造山帯の成因、特徴、分布(アルプスヒマラヤ造山帯、環太平洋造山帯)、性質(火山や地震との関連)が答えられる
①リアス海岸という単語が答えられる → ②リアス海岸の形体、成因、分布、性質(水深が深く波が穏やかで海面養殖に適する、平地が狭く貿易港は発展しにくい)
系統地理と地誌でその勉強法に大きな違いはありませんが、勉強法①でお話したように地誌はあくまで系統地理の焼き直しだと意識することが大切です。系統地理は特に理解を大切に、地誌の学習中は系統地理の知識との関連を意識し、躓いたところや不安になったところは系統地理まで戻って基本的な理解から確認するようにしましょう。また理解がメインといっても基本的な用語の暗記なしには理解もままなりません。特に詳細な知識が多い地誌では暗記の比率も大きくなります。一定の進捗に伴って一問一答での確認をするようにし、基本的な用語に関してはこまめに抑えるようにしましょう。具体的には理解本における章が一つ終わるごとにこの確認作業を行うことをお勧めします。理解本を読む段階で用語暗記から理解までスムーズに進められる人は一問一答を用いなくても大丈夫です。それぞれの地域(アジア、アフリカなど)の学習が終わったのちにもまとめて確認作業を行うなど、アウトプットの機会は多めにとるようにしましょう。
地図帳、統計集、資料集の勉強方法
①地図帳の使い方
地理が理解しやすくなるコツとして位置関係を意識しながら学習することがあげられます。決して地図帳なしに地理の勉強を進めないようにしましょう。理解本を読む時だけでなく、問題演習をした後の復習にも必須のツールです。
教科書・理解本での勉強時に出てきた都市名、地名、主要産地などの情報はそのまま文字だけの学習で終わらせず、実際に地図上でどの位置にあるかをその都度確認しましょう。その際地図上に農産物、鉱産物を書き込んだり、地名を目立つようにマークするなど積極的に情報を追加、強調していくことで自分専用の地図帳にしていきましょう。また、理解本での学習後のセルフチェックとしてアウトプット的な用い方をするのも有効です。例をあげると、代表的な新期造山帯の山脈についてその位置と名前を正確に答えられるかどうかを実際の地図帳を使って確認する作業がこれに当たります。
また、簡略化した世界地図を自分ですぐに書けるようになっておくことも大切なポイントです。この時大切なのは赤道や本初子午線、日付変更線をふくめた緯線、経線に注目することで、国や地域の位置関係を的確に頭に入れることができます。ハイサーグラフなどの気候問題を解くためには、赤道や回帰線の位置と国の関係を明確に把握しておくことが大切です。
(例えばマレー半島の先端、スマトラ島、カリマンタン島の中央を赤道が通ることがポイント。赤道から離れるにつれてAf→Aw)
②統計集の使い方
当然ながら統計データは無数にあり、それらすべてを暗記していくことは不可能です。小麦、米、トウモロコシの世界三大穀物の生産量輸出量、人口ランキングなどメジャーな指標であれば覚えておくとその国の経済規模や特徴を把握するのに役立つため暗記を推奨しますが、マイナーな農水産物を一つ一つ覚えるのも現実的ではありません。
例えば、
茶の生産量 →1中国 2インド 3ケニア 4スリランカ 5トルコ |
という統計でポイントになるのは
・茶は高温多雨な気候を好み、水はけのよい台地や丘陵地で栽培されること ・喫茶習慣のあったイギリスの旧植民地で茶の生産がさかんに行われ、現在でも主要な茶生産国となっていること |
です。大事なことは中国、インドといった順番ではなく、生産量が多い理由や背景を理解しておくことです。これらの自然的、社会的背景が反映されたものが統計であり、それらの背景を読み取る力こそが問われていることを忘れないようにしましょう。勉強中に統計データにぶつかってもやみくもに暗記しようとはせず、なぜこの国が上位に来るのか背景を確認しながら理解を深めていく姿勢を持つようにしましょう。こうした作業を繰り返すことで、実際のテストでも同様の思考回路で解答にたどり着けるようになります。背景を意識しながらデータを取り扱ううちになんとなく上位国の顔ぶれや、一大生産地などを覚えていくという流れが理想的です。国名を上から順に単純暗記することに専心しないようにすることが肝要です。
③資料集の使い方
資料集は非常に情報力が多く論述で使えるポイントが多く記されているなど発展的な学習を進める上では優れた教材ですが、範囲が膨大になるため主要参考書とするのは危険です。2年までは定期テスト対策や自分の疑問点を解消するために使って、受験を意識した高3〜の学習では多用は避けるようにしましょう。特に共通対策では用いないことをお勧めします。国立、私大受験者も地理学習におけるフロー上に用いる必要性はないでしょう。理解本の内容を完璧にしたうえで疑問点を解消したり、息抜きとして読む分には素晴らしい教材だと言えます。
過去問(問題集)の使い方
①問題演習に取り掛かる時期について
知識が追い付かないうちに問題に取り組んでも非常に効果が薄いのが地理という科目の特徴です。理解本の進捗が不十分だと感じている場合はそちらを優先して終わらせましょう。ただし、志望校の問題形式や頻出範囲は把握しておいて損なことはないため、志望校が決まり次第一度確認しておきましょう。また、共通テストで地理を使うと決めた場合もできるだけ早く過去問に目を通しておきましょう。まだ解いたり点数を気にする必要はありません。理解本を一通り終わらせたら、過去問や問題集に取り組み始めましょう。問題を解き、間違えたところや苦手だとわかった単元は教科書や理解本に戻って確認するというサイクルで理解を深めていきましょう。
②過去問の使い方
過去問の流れ…
過去問演習
↓
採点
↓
誤答分析
↓
該当分野の復習
過去問は必ず時間を計って行いましょう。一年を通してやれるとよいですが、まとまった時間が取れない場合毎年構成が固定されている試験ならば大問ごとにかけられるおおよその時間を決めた上で大問単位でやってもいいでしょう。地理はその場で思考し答えを出す科目であり、知識があっても答えられないことが往々にしてあります。だらだら考え続けるより、時間制限を設けて時間内に答えを出せるように練習することが大切です!
また、過去問や問題集は解いたまま放置しないようにしましょう。解いてから時間を置かずに採点し、間違った問題や、正解した問題も自信がない場合は解説を読んで自分の考えとあっているか確認しましょう。一番大切なのはたくさん問題を解くことよりきちんと理解本や教科書に戻って該当分野を確認し、自分の苦手分野は改めて読み返したり整理しなおして完璧にすることです。次に同じ問題が出題されたとき、今度は間違えないようにしましょう。
③過去問はどの程度さかのぼるべきか
受験地理では最新の統計が使用されるため、さかのぼれば当然古いデータが使用された問題に行き着くでしょう。扱うデータも多岐にわたるためこれに関して明確に何年までという区切りはできません。とはいえ一つのデータに対するアプローチの仕方、地理的思考は変わらない上年度の影響を受けない問題が多いので可能な限りさかのぼってストックを確保すべきだと考えます。自らの学習内容と矛盾するような答えがあった場合は最新の統計も見直し、時差が間違いの要因であれば気にすることなく流して良いでしょう。
地理勉強をするにあたっての注意点
用語をむやみに暗記すればいい、というワケじゃない!!
一部の私立大学を除けば、地理では、世界史や日本史と違って単語をそのまま聞かれることはほとんどありません。細かい用語暗記にとらわれず、理屈をとらえましょう。むしろ用語を適切に理解し、使用することのほうが大切です。一見暗記要素に思えない簡単な用語でも正しく理解していないと正解にたどり着けなくなってしまう原因になります。用語の意味はこまめに調べ、何を説明する際に登場する用語かに注目して勉強を勧めましょう。用語検索は地理用語集をお勧めします。
~用語暗記がメインではない例~
【砂漠化】
例えば共通テストの前身である2018年のセンター試験ではサヘルにおける干ばつや砂漠化についての正誤問題が出題されました。直接単語を答えさせさせるのではなくその理解を問う共通試験では、サヘルや砂漠化といった用語だけではなく、その内容が問題の焦点にあてられています。
砂漠化という単語や、「砂漠になること」→「砂漠化」、といった曖昧な知識では不十分であり、そういった不確実な理解では「砂漠になる」=「BWになる」といった誤解を引き起こす原因となります。精度が高く体系的な知識を身に着ける必要があります。
砂漠化 = 半乾燥地域が人為的、自然的要因から砂漠になってしまうこと(ここでの砂漠は気候区分における乾燥地帯のことではなく、植物の生育に適さない土地のこと)
自然的要因…地域的な降水量減少など
人為的要因…①過耕作、過放牧、過伐採による植生の破壊
②過度な灌漑による土壌の塩性化
③(主にアメリカ合衆国で)収穫後の裸地で怒る激しい土壌侵食
「砂漠化」というトピックでもこれだけのことを理解していないといけません。論述で問われるのもこういった背景や論理構造が中心となってきます。
地図帳、統計表を忘れずに!
地理勉強に欠かしてはいけないのは地図帳です。様々な地域の特徴や性質を学ぶ地理では、各国、各地域の位置関係を考え、あてはめながら勉強していく必要があります。実際に問題で問われるときも地図を引き合いに問われることは多いです。講義本を読む際は必ず地図帳を横において、農産物の産地や地形の代表的な場所は書き込んでいくなど手を動かしながら勉強しましょう。また、同じく受験問題で問われやすい物は統計です。無数にある表やグラフを逐一暗記するのは非現実的ですが、統計から学んだ内容(気候的、社会的要因)が反映されているかきちんと確認しながら学習を進めていくことは、理解度、問題への対応力を高めるためにとても役に立ちます。問題も解く際も同様のアプローチを使用するので演習力の向上につながるということです。
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