目次
日本史の特徴
日本史という科目の特徴は、「狭く深く」出題されるため、暗記事項が圧倒的に多いことです。
山川出版社の日本史用語集に掲載されている用語数は、解説がついているものに限定すると6600語、解説がついていないものも含めると10000語を超えています。よって、過去問の傾向や自分の割ける勉強時間によってどこまで勉強するのかを決める必要があります。とはいえ、よく出題される知識は決まっています。さらに言えば、よく出題される知識を正確に解答できるようになれば多くの入試問題で合格点に近い点数がとれます。このように、日本史という科目は一見無限にも見える用語を暗記しなければならないように思えますが、大学入試を突破することにおいてはやるべきこと、覚えるべき用語は決まっていると言えるのです。
日本史の対象地域
日本史は、対象となる主な地域が日本と周辺の東アジアとごく狭い地域に限られているため、そのぶん、個々の歴史的事象の内容について詳しく学び、それらの時間的な推移や展開も細かく学んでいくことになります。つまり、「日本史では、歴史をタテに見る視点が重要」になります。
日本史は、紛らわしい用語や事項が多く存在するので、それらを意識的に区別しながら覚えていく作業が重要になります。各時代の政治や経済や文化の特徴をとにかく細かく勉強するので、そのぶん内容や名称が似ているけれど微妙に異なる事項がたくさん出てきます。日本史の学習では、この紛らわしい違いを区別することに苦労します。たとえば、鎌倉幕府の東北地方の統治拠点は「奥州総奉行」でしたが、建武の新政では「陸奥将軍府」、室町幕府では「奥州探題」と呼ばれていました。このように、同じ東北地方の統治拠点でも時代によって呼び方が変わるのです。これは紛らわしい用語名称の例ですが、内容に関しても同様のことが言えます。このことから、日本史の入試問題では正誤問題が作りやすく、細かい違いを聞いてくる問題が主となります。
日本史の問題の特徴
日本史の出題の特徴として、1つの用語でも様々な角度から出題されるため、流れを理解していないと入試問題には対応できないことがあります。流れを掴むこと(一つの用語から政治史・文化史・経済史に派生できる力)がなにより重要です。難関大の問題は用語が難しいのではなく、実際には基本的な用語でも意外な角度から出題され答えられないケースが多いのが日本史の入試問題の特徴です。
例えば下記のように伊藤博文という1つの語句で様々な角度から問題が作成されます。
・明治十四年の政変で罷免された大隈重信は、国会の早期開設を主張し、時期尚早派であった伊藤博文・岩倉具視らと対立していた。
・1885年12月に第一次伊藤博文内閣が成立した
・岩倉使節団の副使は伊藤博文・木戸孝允・山口尚芳と大蔵卿の大久保利通である。
・天津条約の日本側の全権は伊藤博文、清国側の全権は、李鴻章である。
・日清戦争の結果、伊藤博文と外相陸奥宗光が日本全権、李鴻章が清国全権となり、1885年に下関条約が締結された。
・1900年、憲政党は伊藤博文を総裁に迎え、立憲政友会を結成した。
・初代韓国統監は伊藤博文である。
日本史の時代区分と特徴
<原始>
①先土器時代
狩猟採集をメインにして生活していた氷河時代。マンモスのような大型動物が生息していた。
②縄文時代
氷河時代から気候が温暖になった時代。
この時代の特徴は、竪穴住居での定住生活や磨製石器の発明。
③弥生時代
この時代の最大の特徴は稲作を開始したことである。
稲作の開始により、村が誕生し、権力争いが発生する。
<古代>
④古墳時代
大王(おおきみ)を支配者とするヤマト政権が、関西地方を中心に、西は九州東は関東までを支配する大国を創り上げる。
⑤飛鳥時代
天皇中心の律令制度が確立する。仏教が伝来した。
⑥奈良時代
藤原氏の台頭。律令体制が崩壊する。
⑦平安時代
桓武天皇が平安京へ遷都する。その後藤原道長や藤原頼通を筆頭に、再び藤原氏が台頭して天皇より強い権力を得る(摂関政治)。藤原氏のせいで自分の土地を自力で守らなければならなくなったことで武士となる人々が出現し始める。平氏や源氏がその代表格である。
<中世>
⑧鎌倉時代
平氏に勝った源頼朝が鎌倉幕府を開く。しかし、源氏の血筋は3代で途絶え、以降は執権である北条氏が幕府を運営した。元寇は鎌倉時代に起こった。
⑨室町時代
南北朝を合一した足利義満が室町幕府を開く。しかし幕府の支配力は低下し、応仁の乱をきっかけに戦国時代へとつながる。
<近世>
⑩安土桃山時代
数ある戦国大名の中から織田信長が頭角を現し、全国統一まであと一歩のところまで支配力を広げるが、本能寺の変で明智光秀により討たれる。その後信長の部下であった豊臣秀吉が全国統一を果たす。
⑪江戸時代
大坂の陣で豊臣氏を破った徳川家康が江戸幕府を開く。数々の幕政改革を行うと同時に開国し、西洋や中国、アメリカ等の諸外国と貿易を開始した。しかし、江戸時代末期には倒幕運動が盛んとなり、15代将軍徳川慶喜でその幕を閉じる。
<近代・現代>
⑫明治時代
新政権が樹立される。明治政権は鎖国を行った江戸時代とは異なり、欧米化を意識した急速な近代化を行った。その結果日清戦争や日露戦争で勝利し、列強の仲間入りを果たすこととなる。
⑬大正時代
明治時代に連なり、民主主義を求める運動が活発化する。第1次世界対戦による大戦景気のために日本は急激な経済成長を遂げ、さらには当該戦争にも勝利する。しかし、戦後恐慌により日本経済は一気に停滞してしまう。
⑭昭和時代
大正時代末期に発生した恐慌は続き、政党政治の腐敗も進む。次第に軍部が勢力を増し、内閣総理大臣までもが軍部出身者に変わってしまう。そんななか第2次世界対戦が勃発し、日本も参戦することとなる。しかし結果は敗北。勝利国であるアメリカの指導の元、民主主義国家として高度経済成長時代を迎える。
⑮平成時代
バブルが崩壊して高度経済成長は終わりを迎え、長い経済不況へと突入する。しかしながら、インターネットの普及により社会のあり方は大きく変化する。
日本史の出題パターン
語句・選択問題
人物や事件を単純に答える問題や、人物や事件に関係している内容を選択肢から選ばせる問題です。
(これを主導した人物は誰でしょう?この時期に活動した組織はなんでしょう?〇〇年に編纂された物はなんでしょう。この人物と深い関わりがある内容を選びなさい。)
例
藤原武智麻呂の子孫に当たる人物として正しいものを、次のA-Eのうちから選べ。
a 藤原仲麻呂 b藤原百川 c藤原種継 d藤原冬嗣 e藤原広嗣
正誤問題
短文の正誤を聞く問題で、共通テストを筆頭に4択問題が最も出題されますが、大学によっては3択や5択の問題も見受けられます。代表的な問題としては①正文選択問題、②誤文選択問題、③正文組み合せ問題、④2文の正誤判定問題が挙げられます。正文選択問題とは、複数の選択肢の中から正しいものを1つまたは複数選択する問題です。反対に誤文選択問題とは、複数の選択肢の中から誤ったものを1つまたは複数選択する問題です。そして正文組み合せ問題とは、複数の短文のうち、正しいものの組み合わせを選択する問題です。最後に2文の正誤判定問題ですが、これは2つの短文のうち、どちらが正しいのか、またはどちらも正しいのか、逆にどちらも誤っているのかを答える問題です。
これらの問題には、一見3択問題に見えるが、3つの選択肢(ア)(イ)(ウ)が全て間違えである場合は(エ)とマークする、などひっかけ問題も存在するため注意が必要です。
例
平安時代の藤原氏について述べた文として正しいものを選びなさい。
A 冬嗣は桓武天皇から蔵人頭に任じられ、のちの摂関家の基礎を築いた。
B 良房は他氏を退けるとともに、臣下ではじめて摂政の任についた。
C 忠平は醍醐・村上両天皇の摂政・関白となって実権を握った。
D 頼長は源義朝と結んで平治の乱を起こしたが、平氏に討たれた。
(大学入試センター試験【日本史B】2016年)
解答 B
解説
A 桓武天皇→嵯峨天皇とすれば正解
C 醍醐・村上天皇は摂政・関白をおかなかったため誤り
D 頼長→信頼とすれば正解
整序問題
時代や事件の順番を並べ替える問題です。詳細な年号を暗記する必要はありませんが、有名な年号や紛らわしい出来事の前後関係、紛らわしい単語を暗記する必要はあります。学習すればすぐに得意になるといったことはなく、時間をかけて歴史の大まかな流れをマスターすることが高得点奪取への近道です。
例
事件の起きた順番として正しいものを選べ。
a 応天門の変→承和の変→阿衡の紛議→安和の変→菅原道真の左遷
b 承和の変→応天門の変→阿衡の紛議→菅原道真の左遷→安和の変
c 承和の変→応天門の変→菅原道真の左遷→阿衡の紛議→安和の変
d 応天門の変→阿衡の紛議→承和の変→安和の変→菅原道真の左遷
e 応天門の変→承和の変→菅原道真の左遷→安和の変→阿衡の紛議
解答 b
解説
年号を暗記するのではなく、関わった藤原氏の家系図などから順序を暗記することが正攻法。また、本問のような頻出の整序問題は語呂などで覚えても良いです。
承和の変(842年)
応天門の変(866年)
阿衡の紛議(887年)
菅原道真の左遷(901年)
安和の変(969年)
史料問題
史料問題は、史料を読み、穴埋めやその時代の文化や特徴を答える問題です。また、史料の作者や事件を答えさせる問題が出ることもあります。問題の類型としては、単純に絵や作品の作者や出来た年代を答える問題、憲法などの有名な文献史料の穴埋め、昔の文献をみて意味を答える問題(初見ならほぼ古文と一緒になってしまう)などが挙げられます。
資料問題
資料問題にも複数の類型があります。抽出された年表があって穴埋めをする問題、グラフなどがあって、パーセンテージなどの軽い計算をして答える問題(共通・センター)、解説文やメモ、図を見比べながら答える問題(2021年共通テストは新聞の一部が載っている)などです。
論述問題
論述問題は、時代的背景や結果を論述させる問題で、国公立の二次試験や最難関私立大学で出題されることが多いのが特徴です。論述問題は国公立大学の二次試験及びわずかな私立大学でしか出題されないため、自分の志望する大学の傾向を分析することを推奨します。例えば一橋大学は、近現代史かつ経済分野の問題が多く出題されます。論述問題を苦手とする学生が多いのは、出来事の歴史背景、理由、制度の中身、ある二つの物事の違いの説明など細かいところまで聞かれるため、幅広くかつ深い知識が求められるからです。
日本史の参考書の種類
① 理解本(教科書・漫画・実況中継)
教科書や理解本
時代ごとに流れとその時の出来事を説明した教材です。
教科書は日本史という科目のほとんどの内容を網羅したもので、大学入試の問題は教科書の内容を逸脱しないように、言い換えれば教科書に記載されている内容のみで問題が作成されます。したがって、教科書の内容をすべて理解して暗記すれば日本中の殆どの大学の入試問題で合格点をとることができます。
いわゆる理解本と言われる、教科書ほどの文章量ではなく、要点を絞って歴史の流れを簡潔にまとめてある参考書も有用です。理解本は「日本史の復習がしたいけれど、教科書を読んでいる時間はない」という人や、「単語は暗記できているが、日本史の全体像があやふやである」という人に特におすすめです。中には、より入試問題に対応した形式で記述してある理解本もあります。教科書の記述では見落としがちな歴史の流れを強調してくれていたり、より私立大学の問題で頻出である用語について解説を加えているものもあります。
マンガ
マンガは、主に初学者や日本史が苦手な人におすすめの参考書です。日本史は共通テストレベルでさえも膨大な単語・歴史的背景を記憶する必要がある科目であり、私立大学・国公立大学の入試ではさらに多くの知識が不可欠です。したがって、まずは歴史の大まかな枠組みや移り変わりを文字の少ないマンガで学ぶことにより、日本史に対する苦手意識を払拭することが大切です。
② 用語暗記(一問一答・穴埋め問題集)
一問一答
一問一答は、私立大学で日本史を受験する学生にとって必需品と言っても過言ではありません。一般的な一問一答では、共通テストレベル・標準私大レベル・難関私大レベルなど難易度に分かれた単語を暗記します。したがって、短い文章の文脈判断が主な共通テストとは異なり、単語の穴埋めや選択問題が多く出題される私立大学の入試対策に適した参考書です。
流れ穴埋め問題集(整理本)
流れ穴埋め問題集は、特に私立大学対策に有効な参考書です。単語の暗記ができているのかを確かめられる上、図表を利用したレイアウトが理解の手助けになるのである程度学習が進んだ後にその内容を整理するために使用することを推奨します。また参考書のレベルは、受験基礎レベルのものが多く出版されています。
③ アウトプット用問題集
入試形式問題集
入試形式問題集は他のどの参考書とも異なり、応用問題を掲載した参考書です。その名の通り実際の入試問題を用いていることがほとんどで、難易度が高いことが特徴です。実際の入試問題を解けるようになることを目的として編集されているため、一問一答のような一義的な視点ではなく資料や地図から出題されたり、時代の枠組みを超えた出題がされています。ほとんどの学生が高校三年生の秋に日本史の全範囲を終えるため、一番早くてもその時期からの使用をお勧めします。ただし、例えば古代の学習を終えたからよりレベルの高い問題に触れたいという人は、ぜひとも挑戦してみてください。さらに、この手の参考書は解説が非常に充実していることが多いため、有効活用しましょう。
論述問題集
私立最上位大学や国公立大学で日本史を使う場合は論述が出題されます。論述は日本史の学習の中でも最終レベルの教材です。流れの理解、用語の暗記が深くできている必要があります。必要のない大学も多いので、志望校の傾向に合わせて用いましょう。
④ 補足用(資料集・用語集・史料・年号)
資料集
資料集は、文章がその殆どを占める教科書と異なり、図表や写真が大半を占めます。この参考書の使いみちとしては、覚えた用語を多面的に理解するために資料や図表を確認するといった形になります。また、入試でよく問われる用語や年表がまとめられているので受験期まで有用な1冊になります。
用語集
用語集は、辞書としての使用が一般的でしょう。日本史の用語でわからないものや不明瞭なものを調べるために使います。ただし、最難関大学を志望する生徒は教科書に掲載されていない用語を覚えることや、教科書などでは記載しきれていない流れの把握に使用することもできます。
年号・史料
「年号の穴埋めが出る」「毎年必ず史料問題が出る」といった特殊な問題形式の入試を出す大学を志望する場合は必須ですが、通常の勉強にはさほど必要ありません。年号は語呂での暗記の教材が多くあります。出題されない場合も主要な出来事の年号を暗記することで、日本史の流れの整理がしやすくなります。史料は教科書や資料集にも掲載されていますが、大学によっては多く出題されるところもあるため、教科書や資料集で足りない場合に補強として用いると良いでしょう。
⑤ 過去問
過去問を使うタイミングは①勉強を開始する前(志望校が決まった段階)と②基礎知識が仕上がった状態の2つのタイミングがあります。
①のタイミングで過去問を見る目的は、志望する大学の問題が記述式なのか、マーク式なのかを確認すること、どんな問題が出題されているのかに軽く目を通してゴールのイメージをすることにあります。
②のタイミングで過去問を見る目的は、出題傾向、時間配分、難易度(深さ)、現状と自分とのギャップ、自分のミスの傾向を知ることで、今後の受験戦略の計画を立てる材料にするためです。
これらをふまえて、今後どのような参考書が必要なのか、今の参考書でも戦えるのかを判断し、今後の勉強方針を立てることが重要です。
また、模試や過去問の暗記が第一の目的ではありませんが、大学によっては過去に出題された問題と類似するものや同じ選択肢が使用されることも度々あるので、暗記しておくことをおすすめします。
最後に過去問演習の意義について説明します。当たり前のことですが、過去問とは過去に大学が出題した問題です。したがって、その問題傾向は限りなく本番の入試に近いはずであり、制限時間の長さ、論述問題は出題されるのか否か、史料問題の有無等志望大学の入試の特徴を把握しておくことには非常に意義があります。そのため、たとえ日本史は暗記がメインの科目といえども、過去問演習は志望校合格に不可欠な過程です。
日本史でよくある質問
Q. 日本史と世界史は何が違う
日本史と世界史の要求される知識量や問題形式に関しては、それほど違いありません。また、受験科目としての制約も一部の外国語学部を除いて日本史か世界史の選択によって影響を受けることはほぼありません。最終的には好みに合わせて選択すると良いですが、日本史と世界史では知識の整理方法に大きな違いがあります。
日本史と世界史の違いを簡単に説明すると、「日本史は狭く深く、世界史は広く浅く」と言う点です。
日本史は、対象地域が狭く、内容を詳細に学ぶので内容や名称は似ていて紛らわしいものをしっかり区別しながら縦に深く学んでいく作業が大変になります。
一方で、世界史は対象範囲が広いので各地域の歴史については概要把握に止まりますが、各地域や時代の歴史をバラバラに学ぶので、時代や地域相互の関連をつなげる横に見ていく作業が大変になります。
日本史はとりあえず暗記すれば良いのか?
日本史は覚える量が膨大であるため、ただ暗記するだけでは太刀打ちできません。しっかりと流れを整理して、用語を整理して覚えていく必要があります。また試験では一つの用語に対して、様々な角度から問題が出されるため、それぞれの事件や人物の関連性や因果関係を把握している必要があります。
日本史を勉強をする際に意識することは歴史は繋がりがあるということ。それぞれの事件や人物には必ず因果関係が存在しています。いきなり一問一答などで点の勉強をするのではなく、しっかり線で勉強する意識を持ちましょう。
Q. 勉強時間をとっているのに点数が取れません
日本史に時間を使っているのに点数が取れないという状況もまれにあります。その原因は流れを理解していないために、知識が定着しないことにあることが多いです。流れを理解することは、一見すると時間がかかり、それよりも一問一答で暗記する時間に使った方が良いと思う受験生も多くいますが、流れを抑えることでたくさんの用語をまとめて記憶できるため、実は時間がかかりません。
具体例
関ヶ原の戦い
豊臣秀吉が死去した後は、五大老(徳川家康・前田利家・毛利輝元・上杉景勝・宇喜多秀家)の中の一人である家康が台頭してきたことに豊臣サイドの石田三成達が危機感を持ったことが原因である。
結果として1600年に関ヶ原の戦いが起きて東軍の徳川家康が西軍の石田三成に勝利し、1603年徳川家康は征夷大将軍に任命されて江戸幕府を開くことになった。
このように関ヶ原の戦いというキーワードから流れを掴んでおくと、豊臣秀吉・五大老・江戸幕府・征夷大将軍・石田三成など芋づる式に暗記することができます。圧倒的に暗記事項が多い日本史の負担を減らす手助けとなります。
Q. 何度やっても歴代徳川将軍とその政策や文化史が暗記できません
目にする回数を増やすこと、大きく書いてインパクトで暗記するなど様々な方法がありますが、どうしても覚えられない苦手な箇所は誰にでも存在します。おすすめしたいのが苦手な暗記箇所はあえて覚えずに、試験会場に持っていって、当日覚えてしまおうという方法です。苦手な箇所の参考書のページや、苦手な単語を書いたものの一覧でもいいです。参考書の場合は当日見る付箋を貼っておくと良いです。直前期にA4用紙裏表3枚くらいにまとめておきます。そうすると当日その分野は得点できることが期待できます。近代史が苦手な受験生は多いですが、そのまとめなどを持っていくと良いでしょう。
Q. 日本史Aと日本史Bの違いがわかりません
日本史Aは近代史を中心としています。問題の難易度自体は日本史Bとさほど変わりませんが、日本史Bは原始・古代から現代までの非常に幅広い範囲を扱うため、日本史Aの数倍の学習時間を要します。よって結果的に、日本史Aのほうが日本史Bよりも格段に高得点を取りやすくなっています。
しかし、ここで重大な問題が発生します。実は日本史Aは、難関大学を中心として、多くの私立大学では使用できないのです。とはいっても稀に、例えば国公立大学では東京外国語大学、私立大学では札幌大学・常磐大学というように、共通テスト利用で使用することが可能な場合もあるため、国公立大学を第1希望で、私立大学を2科目受験や数学受験をする場合などには使ってみても良いかもしれません。
先に述べたとおり日本史Aは高得点を狙いやすいですが、参考書がかなり少なく、教科書を使って暗記していく形になります。ただ、はまれば得点源にしやすいです。共通テストやセンター試験の過去問が参考書として出てないため、大学入試センターからダウンロードして強化していくなど、工夫が必要です。
さて、日本史Aと日本史Bの違いの詳細を見てみましょう。
まず最初に、教育課程で取れる単位数が違います。日本史Aは2単位、日本史Bは4単位となっており、学習範囲の差が現れています。詳しくは、日本史Aは近現代史を中心に学習し、範囲は少ないです。反対に日本史Bは、古代から現代における日本の歴史を通史で学ぶことになっており、政治史を中心として、文化史、経済史など多様な分野について学習します。
日本史Aは、この学習時間の短さを利用して、職業を専門とする専門学科や定時制・通信制において採用されることが多いです。そして殆どの大学受験で必須な日本史Bは、普通科においては地理歴史の選択科目としてほとんどの学校で開講されています。冒頭で述べた通り、日本史Aで受けられる大学も一部ありますが、ほとんどの国立大学二次試験(個別試験)・私立大学一般入試では試験科目として日本史Bが指定されているため、日本史Bを選択することを推奨します。
次に、それぞれの難易度について見てみましょう。
共通テスト・センター試験の平均点と受験者数(2021年度:共通テスト 2020年度:センター試験)
平均点
2021年 日本史A 49.57点、日本史B 64.26点
2020年 日本史A 44.59点、日本史B 65.45点
受験者数
2021年 日本史A 2363人、日本史B 143363人
2020年 日本史A 2429人、日本史B 160425人
受験人数に明確な差があるのではっきりと比較することはできませんが、上記の結果を見ると平均点が高いのは圧倒的に日本史Bということがわかります。これは受験者層の違いが影響していると考えられます。
Q. 自作まとめノートは作ったほうが良いですか
参考書のほうがまとまっているので、まとめる意味はあまり無いでしょう。やるなら教科書や理解本に知識を集約したり、知識が整頓されているまとめ本のような参考書1冊に書き込んでいく方が良いです。まとめるのにも時間がかかりますし、書いて満足してしまって、最後までそれを暗記しきる人は少ないのが現実です。稀にノートを作ることで整頓され、暗記までできる人もいますが、成功確率が低いので、やるべきではないと思います。
ただし、どうしても覚えられない事項に関してはまとめノートを使うと、何度も復習したり、試験直前に暗記できるので効果的です。
Q. 日本史の学習は秋からで良いですか
日本史は暗記科目であることは否定できない事実なので、逆転合格を狙っている人であれば、最後に詰め込むこともできます。しかし、時間をかければ確実に点数が上がっていく科目なのに最後に時間が足りなくなって、得点源にできない場合がほとんどでしょう。特に日本史を学習する人の多くが文系で、同時に英語と国語という言語系を学習しており時間を取られます。そうした科目は人によって上昇までに必要な時間が異なりやすい科目なので、確実に点数化しやすい日本史は定期的にあげておくことをおすすめします。
Q. 教科書で勉強したほうが良いですか
教科書の知識は最強です。教科書を暗記して資料集や用語集で補足したら、早慶レベルまで合格できます。しかし、教科書は数行に重要な語句が多く出てきます。そのため、教科書を読解する能力と、どこを暗記すべきか、流れをまとめる能力が必要になってきます。実際に早稲田に合格する生徒も教科書から始められない場合もあります。その場合は4倍位の分量の実況中継や、流れがわかる本のような理解本を使って、先にある程度のレベルまで高めるか、教科書を読解する補助として使用することをおすすめします。学校で教科書を使ってどれだけわかりやすい授業が展開されているかで、はじめから教科書を使えるかが分かれることになるでしょう。
Q. 学校に先行して夏までに独学で全範囲終わらせるべきですか
アプリでの映像授業や流れの参考書を使ってできる人もいます。
しかし、実際にやってみると効率が悪い場合が多く、うまくいかない生徒も少なくありません。学校の担当の先生次第で、学校の授業の良し悪しもありますが、現役生の場合は授業や定期テストがあるため、そこに多くの時間を取られることになります。独学で先行して進めるためには、他の科目も勉強しなければいけない状況で、学校の授業と同じ深さで、学校のスピードの数倍を出すことが必要になるため、多くの時間を日本史に割く必要があります。もしそれを嫌って分量を少なく、さらっと学習するだけでは知識として残りません。さらに模試の範囲も10月から全範囲になるため、それまでは逆に時間が分散され、思うような偏差値もでにくくなります。そのため、学校も模試もすべて無視して受験日まで走れるという一部の人を除いては現実的でないことが多くなってしまいます。
日本史で身につくこと
日本史を勉強する意義は2点あります。1点目は現在の日本を理解することに繋がるということです。2点目は将来を予測したり、良い判断ができるようになることです。
1点目の現在の日本を理解することについて、現在の日本の政治や経済や文化はこの数十年で形成されたものではなく、何百、何千年もの歴史が積み重なって成り立っています。ゆえに、歴史を学ぶことは現在の日本のルーツを知ることでもあるのです。歴史を紐解いていくことにより、日本特有の文化や国際的な日本の立ち位置などをより深く理解できます。
2点目の将来を予測することに繋がることに関して、実際に歴史を見ていくと同じような失敗を人類は何度も繰り返しています。さらには過去に起きた出来事が形を変えて、別の国や地域で繰り返されることがあります。過去の出来事から、なぜ起きたのか、理由や関係性、失敗を学ぶことで、現在起きていることがこの後どのように進むのか予測したり、将来の良い判断をすることの参考になります。
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