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日本史の具体的な勉強法−日本史勉強法②


日本史の全体的な勉強方法

まずは、日本史の全体的な勉強方法から紹介していきます。

日本史の勉強法は大きく分けて以下のSTEPを踏んでいくことが理想となります。

STEP1時代ごとに日本史の大きな流れを掴む

高校初級レベルをマンガや動画で理解→簡易表で軸をつくる
1つの時代を学習したらSTEP2へ進む

STEP2細かな流れを掴み暗記する

①細かな流れの理解
暗記本の範囲で区切り、理解本+資料集で詳細理解

②用語を暗記する
暗記本で用語暗記→理解本でブロック暗記
STEP2の範囲を終えたら再度STEP1に戻り、次の時代のSTEP1と2を繰り返す
学校や模試の範囲まで終えたら次の時代に進まずSTEP3へ進む

STEP3演習を積み多面的に用語を理解する
STEP4過去問分析→過去問演習


以上の流れで学習をしていく中で、意識したいことが2点あります。

まず、各STEPをみてわかる通り、いきなり細かい用語を覚えていくことはおすすめしません流れを理解して頻出の用語から暗記をしていくことが、理解のしやすさからも実際の受験対策の観点からも正解といえる進め方です。

次に、日本史は大きく分けて「政治史・社会経済史・文化史」の3つに分類することができます。基本的には「政治史→(経済史→)文化史」の順番で学習していくことが良いでしょう。経済史は特に最難関国立大学や早慶を志望するのでないのなら、特別な対策はいりません。政治史を理解することを中心に進め、学校の授業や問題演習で目にしたらまとめる意識でいるのが良いでしょう。一方で、文化史は定期テスト対策程度にとどめて進め、他の分野の理解と暗記が進み次第集中的に取り組むことが現実的な戦略になります。

さて、それでは各STEPを詳しく見ていきましょう。

 

STEP1 時代ごとに日本史の大きな流れを掴む

まずは日本史の流れを知る必要があります。日本史の学習では用語をただ暗記するだけでは不十分な場合が多くあります。単純な暗記ではなく、用語を流れの中で位置付ける必要があるのです。流れを理解した上で用語の暗記をすることで初めて大学入試の問題に対応できるといえます。また、暗記のやり方としても流れの中で暗記するやり方が記憶に定着しやすいといえます。

では、具体的に流れを掴むにはどうすればよいのでしょうか。

流れを理解していく過程にもいくつかの段階があります。簡単に述べれば、STEP1大きな流れを掴む→STEP2細かな流れを掴む、の2段階になるでしょう。自分が学習しているのはこの段階のどちらにあたるのかを意識しながら学習していくことが肝心です。

 

時代ごとに大きな流れを掴む

高校初級レベルをマンガや動画で理解→簡易表で軸をつくる

1つの時代を学習したらSTEP2へ進む

「大きな流れを掴む」の段階では何を手がかりに取り組めば良いでしょうか。その下準備として、まず日本史の登場人物や事件を知ることが必要です。具体的な教材として、『日本史の勉強法をはじめからていねいに』やNHKの学習サイトに掲載されている動画などがあります。この段階は中学で歴史が得意だった生徒であってもしっかり取り組んでおきましょう。

以下では大きな流れを掴むための一例を誰もが知っているであろう「関ヶ原の戦い」を挙げて説明します。ここでは「関ヶ原の戦い」という用語を使っていますが、これは以降に表でまとめてある時代区分の説明であっても同様に当てはまります。

 

具体例)関ヶ原の戦いの場合

・・・秀吉が死んだ後、徳川家康と石田三成が対立し、関ヶ原の戦いが起こったらしい。
結果、徳川家康が勝利し、江戸幕府を開く・・・

このように簡単な説明を意識して用語や時代に関して理解を深めましょう。

 

下準備が終わったら、いよいよ大枠を掴みにいきます。日本史における大枠として平安時代や明治時代などの時代区分があります。この時代区分がそれぞれどんな時代なのかを理解し、簡単に説明できるレベルを目指しましょう。以下では、その一例を示します。

 

日本史の大枠の手がかりとなる例(ここでは政治史をメインにまとめる)

時代区分時代の概要
前史・縄文→弥生の違い
古代・ヤマト政権とはなにか
・飛鳥時代とはなにか
・奈良時代とはなにか
・藤原一族の歴史
・この時期の天皇の歴史
・武士とはなにか
中世・院政とはなにか
・鎌倉幕府とはなにか
・北条氏の歴史
・武士社会とはなにか
・元寇とはなにか
・室町幕府とはなにか
・室町時代の社会はどんな社会か
近世・徳川15代の歴史
・武家諸法度はどう変わっていったか
・3つの改革とはなにか
・1600年代にはなにがあったか
・1700年代にはなにがあったか
・1800年代にはなにがあったか
近代・明治維新ではなにが変わったのか
・1900年までに明治政府はなにをしたのか
・産業革命は日本になにをもたらしたか
・藩閥政治とは何か
・政党政治とは何か
・第一次世界大戦までなにがあったか
・戦間期にはなにがあったか
現代・GHQは日本をどう変えたのか
・1950年代にはなにがあったか
・1960年代にはなにがあったか
・1970年代にはなにがあったか
・1980年代にはなにがあったか
・その後現代までに日本及び世界ではなにがあったか

 

STEP1の卒業基準

このSTEPの卒業基準を紹介します。このSTEPを卒業するためには、これまでも述べてきた通り、自分が学習する時代に対して、①各時代区分の特徴と②各時代区分の政権の流れ、の2点を自分の言葉で説明できることが必要です。ただし、全てを完全に説明できるようになる必要はありません。①の段階がしっかり説明できること、そして②の段階で8割ほどが説明できるようになることが現実的な目標になるでしょう。この時点でどうしても理解できない部分があっても、少しであれば今後の学習過程で理解できることが多いからです。また、可能であれば、友人や先生に説明する機会が作れるとよいでしょう。

1つの時代を学習したら、次の時代に進むのではなく、STEP2へ進みましょう。先にすべての時代を学習しても、詳細に理解し、暗記するまでには長時間かかるため、先の時代について忘れてしまうことが多くあります。そのため、時代で区切り、1つの時代を終えたらSTEP2に進み、詳細理解と暗記をしていきましょう。

 

STEP2 細かな流れを掴み暗記する

①細かな流れの理解

学習する時代をマンガ・簡易表で復習→暗記本の範囲で区切り、理解本+資料集で詳細理解

時代区分の理解が済んだら、「細かな流れを掴む」の段階であるより細かい流れの理解に努めましょう。この段階では先の時代区分をさらに細かく見ていくこととなります。

まずはその時代の政権の移り変わりを理解していきましょう。その時の政権が行った政策や政権の移り変わりに起こった事件などを内容まで理解する必要があります。この段階ではいわゆる理解本を使用すると効果的です。具体的には教科書『詳説日本史B』、『金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本』、『石川晶康 日本史B講義の実況中継』などになります。これらの理解本を進める際には、「いつ起きたのか?」「なぜ起きたのか?」「誰が起こしたのか?」を中心に事件などを見ていくと理解が進むでしょう。因果関係やその背景を理解していきます。毎回の学習の区切りとして一問一答の区切りを参考に取り組むことを進めると良いでしょう。 用語をみたときに流れ、因果関係やその背景を説明できる状態にしましょう。

 

また、ここで日本史の学習の全体像とそこから導かれるこの段階での学習意義について触れていきます。日本史という科目の特徴として「教科書が全て」という考えがあります。実際に、教科書の記述をそのまま抜いてきたような問題を出題するような大学も珍しくありません。それ故に、教科書の内容を100%理解し暗記することが最も日本史を攻略するにあたり近道といえることとなります。最難関大学に合格している人の中には資料集を併用し教科書を何周も読み込み本文を暗記する勉強法をしている人もいます。

しかし、実際に教科書のみの学習で入試問題に取り組むことのできるレベルに到達できるのは一握りでしょう。本文をそのまま暗記することは、用語暗記よりも暗記の難易度として高く、さらに習熟度チェックも難しいため、実は暗記できなかったというリスクを追うことになります。大多数は教科書だけでの学習は困難であり、そのために理解本や一問一答などの参考書を使用することとなります。確かに、こうした市販の参考書にも優れたものが多く、ファンのいる参考書があることも事実です。

とはいえ、入試問題が教科書を中心に作問されていることを考えれば、これらの参考書は教科書による学習をサポートするもの、ないし教科書による学習のステップアップとして位置付けて学習計画を立てるべきです。

そうした日本史という科目における参考書の位置付けを踏まえた上で、各参考書をタイプ別に簡単に説明します。

 

1 理解本の考え方

まず流れを掴む参考書として、『実況中継』などの理解本があります。より大きな流れを掴むものとして前述の漫画などを使用することもできます。特に、こうした理解本では付属CDや付録があることも多く、そういったものは積極的に活用していくことが求められます。日本史の学習の初期段階では五感を使って感覚的に理解していくことが重要だからです。

また、理解本を流れの理解のために使用するこの段階では暗記をすることを意識する必要はありません本STEPの冒頭で使用した関ヶ原の戦いを例に挙げると、

「・・・秀吉が死去したのちは、五大老(徳川家康・前田利家・毛利輝元・上杉景勝・宇喜多秀家)の中の一人である家康が台頭してきたことに豊臣サイドの石田三成たちが危機感を持ったことが原因である。結果として、1600年に関ヶ原の戦いが起きて東軍の徳川家康が西軍の石田三成に勝利し、1603年徳川家康は征夷大将軍に任命されて江戸幕府を開くこととなった」

といった内容でこの用語を理解することが必要です暗記を意識する必要はありませんが、一つの用語にこうした流れを確認していく癖をつけることで、暗記が進んだ段階では、豊臣秀吉・五大老・江戸幕府・征夷大将軍・石田三成などの用語までいわば芋づる式に理解及び暗記をすることができます。

流れを理解することは一見すると時間がかかり、それよりも一問一答で暗記する時間に使った方が良いと思う受験生も多くいます。単純な暗記の方が目に見えた結果に出ることもあることから、流れを無視した暗記を勧める先生もいます。しかし、流れを抑えることでたくさんの用語をまとめて記憶できるため、実際には暗記に時間がかからず、さらに入試問題への対応という点でも優れていると言えます。

 

2 暗記本の考え方 

もうひとつの参考書タイプである一問一答などの暗記本は、流れを理解することを促進するツールとして使うことを主眼に、暗記を促進してくれるものとして理解することが必要です。一問一答の区切りを一つのペースメーカーとして使いながら理解本や教科書を通読していきます。その上で、各用語の関連を一問一答で再度確認するといった使い方がこの段階では効果的です。ここではまだ暗記まで行っていません。

 

3 資料集の考え方

資料集の役割

最後に、資料集の役割について説明を加えていきます。

まずメリットに関してですが、資料集のメリットはなんといっても視覚的な情報量の豊富さです。では、具体的にどういった面で視覚的な情報がメリットを持つのかを以下の3類型に区分していきます。

資料集のメリット

①文化史の実際の資料が確認できる
②地名の確認が地図を通して可能
③図や表でまとめているので暗記しやすい


①に関して、教科書では、文化史の作品はほとんど写真がなく、名前だけが掲載されていることが多いです。資料集では、そうした作品の写真が載っているので、文字に加え視覚的に覚えることができ、記憶に残りやすくなります。また、共通テストや入試では、写真が出てきて選ばせる問題も出てくるので、普段から資料集を見ておくと対応しやすいことも実際的なメリットと言えるでしょう。

②に関して、日本史には事件や戦の名前、地名などの固有名詞が当然のことながら出てきます。その中でも、日本史に出てくる地名は今の日本では使われていない名前が多く、どこなのかイメージがつかないことも少なくありません。そこで、資料集で事件や戦が起こった場所を調べたり、農業、特産物などの日本地図を見ることによって暗記しやすくなります。こちらも、共通テストをはじめとした入試問題では、地図が出題され地名に関する事柄が聞かれることが多いことから実際的なメリットがあると言えます。

③に関して、資料集には、政治史や対外関係などの図や表がまとまっています。事件の前後関係やその時代の諸外国での動きを一目で確認できるので、教科書で学習した情報の整理がしやすくなります。

 

資料集の使い方

次に資料集の実際の使い方について説明していきます。資料集は、授業中や教科書などで学習している際に、図や写真が出てくる際には必ず見るようにすることが第一歩となります。資料集では視覚情報を得ることが目的となりますから、復習の際にも同様に参照することで自然と記憶に残ることを期待できます。

また、資料集は日本史の学習において学習初期から入試直前まで使うようにしましょう。視覚情報は定着させるのに時間を要する場合があること、そして学習終盤ではより細かい知識の確認、整理に活用することができます。各時期によって変わる目的を意識しながら進めましょう。

資料集をどこまで覚えれば良いのかという問いも重要なものであります。資料集は教科書に比べ情報量が多いので、「どこまで覚えなければならないのか」と疑問に思う受験生も少なくないでしょう。これに関しては、「教科書や理解本に出てくる用語」を資料集で確認し暗記すれば良いでしょう。それらへの理解を深めてから最難関の私立大学で日本史を得意科目にしたい生徒は他の事項を確認しても良いと考えるのが適切です。

とはいえ、資料集はあくまでも補助的な役割を担うものです。教科書を中心に他の参考書で知った用語について多面的な理解を可能にするためのものなので、資料集だけで勉強することはお勧めできません。問題演習が進み情報を集約する参考書に資料集を選ぶことはあり得ますが、資料集のみや教科書よりも資料集を優先した学習方法はやめましょう。

 

②用語を暗記する

暗記本で用語暗記→理解本でブロック暗記

日本史の時代ごとの大枠を理解したら、次は具体的な人物や出来事をどんどん暗記するSTEPに移りましょう。

どんどん暗記を進めるといっても一度に細かい用語まで覚えることはおすすめできません。ここでも段階的な学習を心がけましょう。自分が今取り組んでいる用語はどの時代のどういった場面に位置するのかを常に意識しながら、段階的に細かい用語を覚えていくイメージです。

また、取り組む分野としては政治史をまず暗記してしまい、その後に文化史の暗記に努めましょう。理由としては、これまでに理解した日本史の流れを政治史の暗記をすることでさらに深められるからです。文化史にも一定の流れや因果関係は存在しますが、政治史と比べ理解しにくく量が少ないため後回しにするのが受験戦略としてベターです。

社会経済史に関しては政治史とともに暗記を進めるようにしましょう。社会経済史の深い理解は次のSTEP3の演習を通じて行っていきます。この段階では用語を知っている、ある程度なら覚えているという状態まで仕上げていきましょう。

具体的なレベル分けとしては、教科書であれば本文の太字の後は注釈の太字を覚え、最後に文化史のまとめなどに取り組むことになります。また、市販の一問一答であれば掲載されているレベルに従って取り組むのがよいでしょう。自身の志望大学のレベルに合わせてどこまで暗記すべきかを検討しましょう。

【用語レベルの捉え方】

教科書①本文太字→②注釈太字→③残りの用語・まとめ欄
一問一答記載のレベル別に取り組む
(資料集)各テーマのメインとなる図の太字→メイン図の他の事項→メイン図以外
(資料集をメインに暗記することはこの段階ではおすすめしない)


では、以上のような用語レベルに基づいて暗記を進めていく中で、具体的な用語の暗記方法を先に説明していきます。大きく分けて2種類の暗記方法を組み合わせることで記憶の効率的な定着を図りましょう。
まずはじめに暗記する際にはヘビロテ暗記という暗記方法で取り組みましょう。

英単語を短時間で覚える!ヘビロテ暗記法

 

日本史の用語暗記において重要なことは3つです
(1)声に出して暗記する
(2)答えが出るようになるまでは書かない
(3)短期間に周回数を多くこなす

8割ほど暗記ができたら次のレベルに進み、同じようにヘビロテ暗記をしていきましょう。一度暗記した用語はしっかり漢字でも書けるように何周か練習する必要があります。最後に自身の取り組むべきレベルの用語の暗記が8割ほど終われば、もう一度理解本に戻りましょう。理解本を復習することで、流れや用語の理解が深まり、今まで一問一答で暗記していた用語もブロックで暗記できるようになっていきます。このように理解本を理解し暗記するのが最終目標であり、一問一答などの暗記本はそのための補助教材として考えます。教科書のような理解本をマスターできれば受験では高得点を取れますが、理解本に書いてある文をはじめから正しく理解し、それを暗記することはなかなかできないので、このように一問一答などの暗記本で用語を覚えることで、段階的に理解本を習得しにいきます。必要であれば一問一答の解答から問題文を答える通常と逆の勉強をすることで、より用語の理解が深まっていきます。

ここでの理解本でブロック暗記する際には図や表の暗記も必要になるため、カード暗記法を使って進めていきましょう。

 

カード暗記法

また、高校1、2年生の場合は定期テストや模試をペースメーカとすることでこうした暗記プロセスを繰り返し暗記を強固にしていきましょう。次のSTEPで紹介する演習方法を参考に復習をすることも忘れないようにしましょう。

取り組んだ範囲において起こった順序を確認することも必要です。暗記作業の際にこうした順序のまとめを簡単に作成しましょう。年号を暗記するのではなく、因果関係を意識しながらまとめることが肝心となります。歴史の順序を細かく知ることの利点は「暗記の際にも流れを意識することができる」ことと、何より「入試問題で問われる」ことに対応しやすくなるからです。一例を紹介します。

 

順序を理解することが求められる問題

古代における藤原氏の政権獲得過程の順序

長屋王の変→藤原広嗣の乱→橘奈良麻呂の乱→恵美押勝の乱→薬子の変→承和の変→応天門の変→赤穂の紛議

 

頻出の順序把握問題は資料集などに収録されていますが、そちらを集中的に行うことよりも日常的に順序を意識して学習する方が対応範囲が広くなります。特に、難関大では頻出事項に関連した形で思いがけない順序を聞いてきたりします。流れをはじめとした順序を理解していないと対応できないような問題に対処するためにも、順序のまとめは暗記作業の際に行いましょう。

また、覚えきれない用語やまぎらわしい用語に関してはゴロを利用することも効果的です。ゴロは流れなどを無視した暗記方法に思えますが、まぎらわしいものを力技で整理することができます。流れは理解していても混乱する用語などには積極的に行いましょう。ゴロは自作のものでも、検索したものであっても構いません。人に紹介する訳でもないので思いついたら是非そのまま覚えてしまいましょう。簡単に一つだけ紹介します。

 

 ♪初期の総理大臣の覚え方

 い 伊藤博文
 く 黒田清隆
 や 山県有朋
 ま 松方正義
 い 伊藤博文
 ま 松方正義
 い 伊藤博文

 お 大隈重信
 や 山県有朋
 い 伊藤博文
 か 桂太郎
 さ 西園寺公望
 か 桂太郎
 さ 西園寺公望

 

STEP2の流れのまとめ

『山川出版日本史一問一答』と『詳説日本史』を例に挙げて説明します。

  1. 一問一答の区分を参考に、因果関係を意識して教科書や理解本を通読する(資料集でも確認する)
    ex) 「文化の始まり」「農耕社会の成立」「古墳とヤマト政権」の区分は教科書p8~15に該当
  2. 該当部分の一問一答を暗記する(ヘビロテ暗記法)
  3. 教科書や理解本と資料集を復習し、ブロックで暗記する(カード暗記法)
  4. 最後に自身の取り組んだ範囲が日本史のどの時代や年号なのかを時代区分の説明とともに確認

 

過去問の確認

基本的な用語の暗記が進んできたら、それと並行して行いたいことがあります。それは「過去問の確認」です。自分の志望する大学(この段階で意識している大学で構いません)の実際の過去問を1年分で良いので確認し、問題の形式などをチェックしておきましょう。実際に解く必要はありません。パラパラめくって、問題の形式を確認しましょう。また、レベルはどのくらいなのかを赤本の解説や学校や予備校の先生に聞くなどの方法でイメージを作りましょう。イメージはSTEP3で詳しく説明する「目的意識」を持つのにおいて有用です。

 

社会経済史と文化史の勉強法

次に、社会経済史と文化史の対策について触れます。

まず、社会経済史について記述します。社会経済史は政治史と同時に暗記していくことはこれまでに述べました。基本的には暗記段階であれば社会経済史はあまり意識せずに政治史の一分野として捉えていて問題ありません。しかし、東大、京大、一橋を志望する受験生や早慶の日本史でアドバンテージを求める生徒は早い段階から社会経済史について意識をしてもよいでしょう。具体的には、時代区分ごとの流れをまとめることです。社会経済の流れを理解した上で政治史と関連する部分はないかを検討することも必要です。江戸時代の農業史や金輸出再解禁の影響などについて説明できるようにすることが一例となります。

社会経済史の詳細

 

次に文化史です。文化史は流れを関連させることが難しく、政治史との重要度の兼ね合いから対策が後手に回ってしまうことがあります。実際にそうなることは仕方のないことです。しかし、文化史を完全に捨てることはできません。共通テストにおいては2割ほどがセンター試験時代から純粋な文化史の知識を問う問題として出題されています。文化史の知識で選択肢を絞ることのできる問題を含めればその比率はさらに上がります。また、難関大学では大問1つが文化史で構成される大学もあります。こうしたことから、比率が政治史に比べ劣るものの、捨てることは受験戦略上非合理であることがわかります。

そうした文化史においては意識すべきことは2点あります。①受験の後半に勉強すること、②頻出なものだけに絞ること、の2点です。①に関しては、文化史は覚えることが多い一方で、単純暗記が多くすぐに忘れてしまうという性質を持っています。そのため、しっかりと暗記をすることは夏休みなどの受験後半に回し、それまでは通史で出てきた際に一度暗記をする程度にしておきましょう。復習を通して知っている用語を増やし、しっかり覚え切るのは最後に回すといった計画を組みましょう。②に関しては、文化史の出題は難関大においても教科書レベルの知識で事足ります。教科書レベルの用語を難易度順に覚えていくことをより意識しましょう。

 

STEP2の卒業基準

最後に、本STEPの修了基準について紹介します。

具体的には自身の志望校レベルの用語の半分ほどを暗記できた段階で次に移ります。例えば、志望校が教科書からは太字になっていないものも含めて満遍なく出題されるのであれば、太字は8割ほど、太字以外は半分以上暗記できた段階で修了です。一問一答などの用語レベルがあるものであれば、志望校が星1まで必要なのであれば、星3と2は8割以上暗記し、1が半分ほど暗記できた段階で演習に移ります。

また、この用語の暗記段階は受験が終わるまで日常学習の一部に組み込む必要があります。暗記段階で覚えたと判断したレベルの用語も計画的に復習する必要がありますし、用語をある程度暗記し演習段階になっても同様に復習は日常的に行います。復習の際には一問一答などの暗記本や教科書や資料集などの説明があるものまで満遍なく使用するのが良いでしょう。特に教科書や資料集などに情報を一元化できるように復習体制を整えることが望ましいといえます。教科書や資料集を参照し簡単に流れを説明し、暗記本で用語を確認という流れが一例です。

これまで説明した暗記を中心とした勉強法においては復習を効果的に行うことが求められます。復習する際に最も必要なことは「単調に行わないこと」です。暗記した際と同じ手順ばかりの確認作業をすることは、単調な作業に陥りがちになってしまいます。また、複数の面から確認することで、引き出しの多さを実現することができます。具体的には、暗記の際には一問一答の区分で行っていたのであれば、復習の際には政治史だけに限定して演習したり、文化史だけに絞ることが効果的でしょう。また、時代を遡る学習も歴史の順序を正しく認識しないといけないので、非常に効果があります。

 

「STEP1 時代ごとに日本史の大きな流れを掴む」の範囲で、この「STEP2 細かな流れを掴み暗記する」の学習を終えたら、再度STEP1に戻り、次の時代のSTEP1と2を繰り返していきます。学校で学習してる範囲や模試の範囲まで進んだら、STEP2を始めから復習していきます。

現役生は秋から冬頃までに学校で一通りの範囲を学習し終えます。そのため、難関大を目指す場合は「日本史の勉強法①」にもあるように学校よりも先行して、教科書を進めるよりも、早い段階で学校で学習している範囲までのSTEP2までを終え、学習した範囲の中でSTEP3へ移行し、新しく学習する範囲と並行して学習をしていくのがおすすめです。他科目も含め学校のレベルを超え、余裕がある場合は、先取りして早めに通史を終え、STEP3.4の時間を増やした方が良いです。既卒生は模試の範囲でSTEP2までを繰り返し、時間があればその範囲内でSTEP3に取り組むのがおすすめです。

また、一問一答の暗記をしっかり行えている場合には次のSTEPを飛ばすことも可能です。その際には、共通テストやセンター試験の過去問の演習をし、志望校の過去問に入りましょう。志望校が早くから決まっている生徒におすすめです。ここで共通テストやセンター試験の過去問の演習を挟む理由は、どの大学にも通用する基礎知識を満遍なく聞いてくれているからです。志望校の対策をするにあたり、最後の基礎力チェックといえます。演習本をやるのではなく、早くに志望校の過去問に取り組みたい場合には是非取り組みましょう。

日本史とは−大学受験の日本史勉強法①

 

STEP3 演習を積み多面的に用語を理解する

日本史の用語暗記が進んだ後は、そうした知識を実際の受験問題においても使えるようにする学習をしていきましょう。

暗記をただ求められる教科という印象の日本史においてこの段階が非常に重要になってきます。ここまでに多量の用語を暗記してきたと思いますが、日本史という科目において用語の暗記は一部の用語を除けばスタートラインに立つために必要な過程です。いわば、用語の暗記を終えたことでやっと日本史の受験勉強が始まるといっても過言ではありません。試験当日になれば用語をしっかり暗記している生徒がほとんどです。そうした試験会場で日本史で合否が分かれるとすれば、2つのパターンが考えられます。

1.用語の漏れが少ない生徒が合格する
2.用語をさまざまな面から理解している生徒が合格する

本STEPで取り組む問題演習ではこうした2点をより十分にしていくという視点で行うべきです。日本史という教科に限った話ではありませんが、問題演習で目的を意識せずにただ問題を解いて採点と解答解説を読むだけでは効果はほとんど上がらないでしょう。では、どのようにして2つの演習目的を果たすような効率的な学習ができるのか。この点を以下で紹介していきます。

また、本STEPでは具体的な問題集として『日本史の100題』(Z会)などの総合問題集に限らず、共通テスト形式の問題集やテーマ史や論述問題集なども射程にいれた紹介をしていきます。

 

目的意識をもって取り組む

問題演習に取り組む際に重要なことは先にも述べた通り、「目的意識をもって取り組むこと」です。これは日本史に限った話ではなく、あらゆる学習に通じることであります。そして、学習のあらゆる段階においても求められる視点といえます。

例えば、問題集を選ぶ際には自分のレベルはどのくらいでどんな実力をつけたいのかを可能な限り具体的にイメージして問題集を選ばねばなりません。そうしなければ時間に制約のある大学受験において遅れを取りかねないからです。

実際に問題集に取り組む際にもこうした目的意識の視点が求められます。問題を解くときには感触を後で確認できるように残しておきましょう。ある問題を解くにあたって悩んだのか、そうでないのか。また、悩んだのならどの点に悩んだのかをメモするなどしておきましょう。それに加え、共通テストのような選択問題であるなら、正解以外の選択肢についても怪しい点がないかを考えましょう。

問題を解き終わり採点する際は、答え合わせをまずは自分で行うことが望ましいといえます。自分で答え合わせをするとは、問題集に掲載されている答えを参照するのではなく、自身のこれまでに使ってきた教科書や参考書を調べることで答え合わせをすることをいいます。調べる中で間違えた問題はもちろん、解く際に悩んだ問題に関してはどんどん教科書や参考書にマークやメモをしていきます。そうすることで教科書や参考書を振り返る際により注意してその用語を確認できます。慣れないうちはとても時間のかかる作業ですが、この作業を繰り返すことで知識の定着が進みます。また、それだけでなく、続けることで問題ではどういった点が出題されるのかが出題方法とともに意識できるようになります。(受験まで時間がない場合、総合問題集では答え合わせは問題集に掲載されているものを使用し、その後間違えた問題を教科書や参考書で振り返るようにしましょう)

論述問題に関しても同様の方法で取り組みます。むしろ、論述問題では教科書や参考書の記述をそのまま引用すれば正解になる問題も多いので、教科書や参考書の中でどういった着眼点で問題が造られているのかをより実感できます。

自身での答え合わせが終わったり、自身では答えを見つけられなかった場合には問題集に掲載されている答えを確認し解説を熟読します。解説では問題集にもよりますが、受験の観点から解説が加えられていることが多く、悩まず正解した問題の解説でも必ず取り組むべきです。解説や掲載されているまとめはあますことなく暗記できるようにマークしたり、普段使用している参考書にメモしたりするのが良いでしょう。

 

さて、問題集は何周取り組めばよいでしょうか。この問いへの答えは本STEPの卒業の判断基準に直結します。その答えは問題集のレベルや学習状況、取り組む時期にもよります。しかし、最低でも3周ほどは取り組み、必ず9割以上の問題を根拠をもって解答できるようになるまでは取り組むべきでしょう。

以上のように、①用語の漏れを少なくする、 ②用語を多面的に理解すること、という2つの目的意識を達成するために問題集を利用することについて紹介していきました。演習時の悩みや間違いを日常的な復習の際に目につきやすくすることで①を満たしやすくし、同時に②の用語の多面的な理解を促進することができます。このプロセスを目的意識を忘れずに丁寧に行うことで、日本史の確固たる実力を養成しましょう。

 

テーマ史、史料、論述の参考書について

最後に、これまで説明してきた『日本史の100題』などの総合問題集以外の問題集について簡単に触れます。テーマ史や史料対策問題集の他に論述問題集が挙げられます。基本的な取り組み方は総合問題集と変わらないことはすでに説明しましたが、その必要性と取り組む時期について説明します。まず必要か否かについては志望校の傾向によります。特に近現代史を頻出としていたりする傾向が志望校にあるのであれば、必要性は高いと言えます。また、論述問題がどの程度出題されるのかもチェックしましょう。論述問題が1問出題される程度であれば専用の対策の必要性は低いことが多くなります。取り組む時期としては、基本的には過去問分析が終わっていることを前提に総合問題集での演習以降になります。過去問と並行して取り組むことが基本となるでしょう。

 

用語集の勉強法

また、用語集についても触れます。用語集は早慶で日本史でアドバンテージを得たい場合や、東大などの最難関国立大学を志望する場合には有用になります。早慶を志望する際には単純に用語暗記を進める必要があります。基本的な事項が完全に演習でも使える知識になった後に使用します。教科書や一問一答には載っていない用語を知ることができます。とはいえ、基本事項の復習の方が比重は高く設定することは忘れないようにしましょう。最難関国立大学対策としては、やはり基本事項は理解したことを前提に、用語暗記ではなく細かい因果関係の把握のために使用しましょう。基本用語の説明事項でも見落としていた因果関係が記述されていることがあり、そうした因果関係の把握は論述問題で出題されることがあるためです。

 

STEP4 過去問分析→過去問演習

日本史の流れを理解し個別の用語も覚え、入試問題に即した用語の捉え直しが終われば、ついに過去問に取り組む時期です。志望校の問題形式や傾向を確認し、実際に解いていくことで志望校の求めるレベルに対してどこが足りていないのかを洗い出しましょう。

過去問に取り組む際に注意したい点は「分析」という視点です。多くの受験生が過去問を解くだけになってしまっています。解くだけの演習が推薦できない理由は一つ前のSTEPでも述べました。過去問演習では解くだけでも回数を重ねるうちに点数が上がることが多く、ついつい解くだけの学習に陥りがちです。しかし、点数が上がっている理由は単純な慣れの問題です。志望校の形式に慣れることはもちろん過去問演習の目的の一つではあるのですが、同じくらい重要視したい目的が「分析」にあります。以下では、こうした過去問における「分析」とはなにかを説明していきます。

過去問分析において「分析」とは何を指すのか。それは問題がどのレベルを、どの視点から作られているのか、ということを明らかにしていく作業です。もちろん、赤本を購入すれば問題の傾向や対策について丁寧な説明が掲載されています。また、難関大学であれば予備校の講座や高校の先生から出題傾向やどこを勉強するか詳細なアドバイスがもらえることもあります。現代ではインターネットに無料で有益な情報があることも少なくありません。こうしたことを考えると、自ら分析をする必要というのはあまりないようにも思えます。

しかし、人から聞いた情報と自ら見つけ理解した情報は大きく異なります。人から聞いた情報は導入としては非常に優れていますが、話し手と聞き手の理解が同じになることはありません。大抵の場合は話し手の意図を聞き手が受容しきれない状態になります。つまり、結局のところ、自分で腑に落ちる経験をしないといけないのです。

分析の具体的な方法ですが、前のSTEPにおけるどの点が出題されているのかを自身の参考書で調べマークしていく方法と同じ作業です。「解くときに悩んだ問題をチェックしていく → 答え合わせを自分で調べながら行っていく → 悩んだ問題と間違えた問題は参考書にマークやメモを残していく → 解説を熟読 → 日常学習で振り返る」、この一連の流れを一題一題丁寧に行っていきます。この過程を通して、出題の傾向や着眼点が理解できます。人から聞いた情報があればより早く傾向に気づけるでしょう。

 

過去問は何年分、また何周すればよいでしょうか。もちろん、受験校の数や時期によることは間違いありません。しかし、ここでの答えは「あるだけやるべき」になります。一つ一つの問題を丁寧に行った上でやれるだけ行うべきです。また、最低2周はすることを推奨します。過去問は復習しなくても良いとする意見もありますが、多くの大学では同じ知識が繰り返し出題されることが多いことなどから復習することが良いでしょう。

 

まとめ

さて、ここまで4つの大きなSTEPに分類して日本史の学習法を紹介してきました。

日本史は暗記科目と言われるように、日本史の学習の少なくない部分が地道な暗記作業に割かれます。今回紹介した学習法ではSTEP2に該当します。しかし、ただ暗記を始めるのではなくSTEP1で個別の知識をいれるための大枠を作り、段階的な暗記をしていくことを強調してきました。もちろん地道な暗記作業の部分は決してなくなりませんが、このような工夫をすることで、暗記のしやすさや受験勉強の観点から適切な暗記作業にすることができます。

そして演習の段階では目的意識について強調してきました。これは他の科目の学習にまで広く適用できる考え方であることも合わせて紹介しました。一つの問題の演習を可能な限り無駄にしないことで、効果的な過去問演習にまで移行できます。日本史は暗記科目ではありますが、そうであるからこそ、工夫をすることで他の受験生をリードすることのできる実力をつけ得る科目であることが伝えられたと思います。みなさんが、今回紹介した学習法を参考に、自身の学習法を確立し、志望校の合格を掴めることを祈っています。

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