目次
世界史の特徴
世界史のテストの特徴は、「広く浅く」出題されることにあり、出題問題の幅は日本史に比べると狭いといえます。しかし、だからといって世界史が日本史に比べて簡単なわけではありません。受験生が世界史を難しいと感じる要因は「様々な時間軸の中で国家間・宗教間の関係を整理しないと理解ができない」ことや、「国の盛衰が激しく、目まぐるしく変わる」こと、「地理的要素が多く絡んでくる」ことなどが挙げられます。世界全体の国や地域の関係性や流れを長い時間にわたって正確に把握しなければいけないのです。
世界史に必要な要素は大きくわけて5つあります。世界史という科目を習得するために必要な要素が①~③、そしてそれを困難にしている世界史特有の要素が④~⑤です。
要素①人名や条約名、戦争など固有名詞の暗記
世界史の醍醐味は流れだといってもやはり暗記科目であることに変わりなく、暗記は避けては通れません。世界史の用語数は約5600語(参照:山川世界史用語集)、そのうち共通テストレベルの暗記数は4200語ほどです。これらは名称を暗記するだけでなく当然その中身について正しく説明できるようにならなければいけません。それに加えて重要な年号に関しても覚えなくてはならないため、やはり暗記は世界史を学習するうえで甘く見てはいけないところです。
要素②順序関係、流れの理解
世界史は当然歴史の学習なので、時間軸を無視した学習は世界史習得にはつながりません。これは単純に前後関係を暗記するという意味ではなく、その背後にある「論理関係」を理解することが正しく世界史を理解するということにつながります。
例えば
①A君がB君の悪口を言った。
その後
②B君は成績がいいのが自慢のA君にテストの点数で勝ってやろうと考え、勉強した
という二つの出来事があったとき、それらの順序を暗記するのではなく
①(背景)A君は欲しいゲームがあったが買えなかった。それをB君は買って周りに自慢していた
(出来事)A君がB君の悪口を言った
(結果)B君はA君のことが嫌いになり、何か仕返しがしたいと考えた
②(背景)・B君はA君のことが嫌いで、何か仕返しがしたいと考えている
・A君は毎回テストの点数が良く、本人もそれを自慢していた
(出来事)B君は成績がいいのが自慢のA君にテストの点数で勝ってやろうと考え、勉強した
(結果)B君はテストで好成績を取った
それぞれの出来事をその名称にばかり注目して時間の流れを軽んじた暗記をするのではなく、このように流れやその時々の状況を正確に理解し、論理関係の中でそれぞれの出来事を捉えることが世界史を理解するということであり、点数にもつながるようになります。
要素③自分の中でパターン化、体系化する
以上の二つの要素を疎かにせず世界史を学習していけば、教科書に書かれていることは一通り理解できていることになり、点数という見える形でも結果は表れてくるでしょう。しかし論述問題が出題される一部の国立大学などではそれだけでは対応できない問題というものが出題されます。
たとえば2011年の東大世界史では「12世紀ルネサンス」に関する問題が出題されました。これはかつてイスラームがヘレニズム文化のように衰退しつつあったヨーロッパ諸文化を保存し、やがて再びヨーロッパ世界に輸入される「12世紀ルネサンス」につながったことなど、イスラームがその領域拡大に伴って周辺地域の交流地点となっただけでなく異文化同士の融合や新しい文化の誕生にまでつながっていくことを理解しているか問う問題でした。このように個別の事案をそれぞれ覚えるのではなく、より広い視点で世界史をとらえなおす必要のあるテーマです。このような広い視点を持つためには習得した知識を法則化したり、他にはない特徴を見つけて体系化することが必要です。こうして得た知識を再整理することは受験対策であるだけでなく、これまでの人類の営みを理解して自分なりの解釈を得ることでもあり、自分の考えの幅や深さが広がることにもつながるでしょう。
要素④国家間・宗教間の関係を正しく理解する
様々な条約や戦いを理解するうえで国家間・宗教間の関係はとても重要となります。世界史の学習で最も大事なことは、条約や戦いといった歴史上の出来事をそれ単体として覚えるのではなく、歴史という大きな流れの中でその原因と結果、そしてその影響を正確に捉えることです。
(例)「30年戦争」と「ウェストファリア条約」
例えば世界史を勉強して中世に入り、狭いヨーロッパにおいても大小限らずたくさんの勢力が台頭しあうようになると、三十年戦争という宗教戦争が起こります。これは非常に重要度の高い戦争であり、どの教科書でも登場する戦争ですがかなり複雑な背景から引き起こされたものです。
・三十年戦争が起こった要因(対立)は以下の通りです。
対立軸①:旧教徒と新教徒の対立
1555年のアウクスブルクの宗教和議ではルター派の信仰は認められたが、個人の信仰の自由やカルヴァン派は認められず、これには「信仰する宗教は領主に左右される」という点で限界があるものだった。
対立軸②:神聖ローマ皇帝(ハプスブルク家・旧教)と領邦君主の対立
神聖ローマ帝国領内のドイツでは、それぞれの領主が独立性を強く持っていて主権国家の形成が遅れていた。これに対して神聖ローマ皇帝は自身のドイツにおける支配権を強めようと画策した。その一環として、ローマカトリック(旧教)の信仰を強要するが、これに対して前述した新教徒の反乱がおき、それと呼応して領主達も神聖ローマ皇帝と対立をしていく。
対立軸③:国際的な主権国家間の対立。特にハプスブルク家とブルボン家の対立
様々な国が新教徒側に加勢するが、これは神聖ローマ帝国の勢力を弱め、欧州における覇権を取ろうとする思惑があった。その中でも欧州で当時ハプスブルク家と二大勢力と言われていたブルボン家が支配するフランスは、元々旧教国であったが、30年戦争をハプスブルク家と対立して新教徒側で参戦した。
結果新教徒側であるフランスが勝利を収め、旧教徒側である神聖ローマ帝国及びハプスブルク家が敗北しました。
・この講和条約であるウェストファリア条約について重要な項目は以下の4つです。
1.アウクスブルクの和議が再確認され、新教徒の信仰が認められる。またカルヴァン派の信仰も認められた。(←対立軸①)
2.ドイツの約300の諸侯は独立した領邦となり、それぞれ立法権、課税権、外交権を持つ主権国家であると認められた。 = 神聖ローマ帝国の実質的解体(←対立軸②)
3.フランスは、ドイツからアルザス地方の大部分とその他の領土を獲得した。(←対立軸③)
4.オランダの独立の承認(オランダ独立戦争の終結)と、スイスの独立の承認
1のアウクスブルクの和議は、ルターが行った宗教改革における最終的な解決策でしたが、不完全であったためそれが尾を引く形でこの30年戦争が始まりました。
因果関係 … 宗教改革→30年戦争→信仰の自由
2の神聖ローマ帝国の実質的解体とは、ハプスブルク家の没落を意味し、後のブルボン家率いるフランスの勢力拡大につながっていき、絶対王政につながっていくことが挙げられます。
因果関係 … 神聖ローマ帝国の実質的解体→ブルボン家の絶対王政→フランス革命→ナポレオンの誕生
要素⑤目まぐるしく変わる国の盛衰を整理し、地理的要素を正しく理解する
8、9世紀の世界地図と10世紀の世界地図を見比べると、例えばアッバース朝が解体して勢力を大きく落としていたり、フランク大国が分裂したり、唐も五代十国に分裂するなど多くの国が盛衰し、その形態を変えていっていることがわかると思います。これを理解するには、国内外の事情とその因果関係を整理しなければなりません。また、国家の位置関係も当然把握しておく必要があります。
例としてアッバース朝を見てみましょう。
①イスラーム中心の統治体制
前身であるウマイヤ朝でのアラブ中心的な統治体制の反省を活かし、アラブ人でなくても、イスラーム教に改宗すればジズヤが免除され、アラブ人にもハラージュが課されることになりました。また、アラブ人のほかにもイラン人を中心とする新改宗者も政府の要職に登用されました。
②中央集権的体制の確立
全盛期のハールーン・アッラシードが法律・常備軍・官僚制度などを整備し、中央集権的体制を確立させました。
③アミール制
圧倒的に広い領地を統治するために、アミール(地方の総督)を設置し、征服地の統治を任せていました。
この3要素が最終的にはアッバース朝の分裂を導いていくことになります。
①→非アラブ人の権力を強くしすぎたために、彼らが中央政府のアラブ人の命令を聞かなくなった。
②→このハールーン・アッラシードが亡くなった後、彼のカリスマ的な統治力によって可能にしていた中央集権体制は崩壊していき、地方分権化が進んでいった。
③→②につながってくるが、カリスマ的な統治者がなくなったため、地方を統治し権力を蓄えていた人はそのまま独立をしようとする動きがみられていった。
このように、国の解体や変遷には因果関係があり、それを流れとしてつかむことが世界史の勉強です。
このような事例はアッバース朝に限った話ではありません。
1.国家は属人性が高い(誰が指導するかによって国の安定感が変わってくる)
2.巨大な国家は後に地方勢力が権力を持ち独立をしていく
など、世界史全体を通じて頻出するいくつかのパターンを考えながら学習することが世界史のコツです!
世界史の要素と参考書の種類
理解本・教科書
教科書、理解本は世界史学習の基盤です。特に教科書は受験直前まで繰り返し読み返していくバイブルとなります。教科書の特徴は論述で使えるような端的かつ的確な表現で説明がなされているところです。編纂している方も大学教授などの専門家の方たちなので無駄のない最適な表現が使われています。論述対策が必要な受験生には特にお勧めしたい教材です。
理解本は純粋に教科書の内容を噛み砕いて世界史の概説について描かれているものから、講義内容を文章化してそのまま参考書にしてしまっている物まで幅広くあります。ここでは用語にこだわって一気にすべて覚えようとするのではなく、まずは世界史全体における流れや因果関係を理解することを意識して読み進めることが大切です。
・高校とってもやさしい世界史
各項目ごとに左ページに地図やイラスト、右ページに空欄式の簡単な問題がついており、世界史の勉強を始めたばかりでどう勉強すればいいかわからない、あるいは世界史に苦手意識をもっている人にオススメです。ただ、タイトルにもあるようにやさしく、基礎的なことしかのっていないことに注意しましょう。
地域ごとの時代の流れがわかりやすくまとめられています。写真や地図が多用されているため、それらを参照しながら読み進めれば、地理的感覚もつかめます。大事な単語は太字になっているので、要点も分かりやすいです。
共通テスト世界史Bの出題内容を網羅しています。世界史学習者の多くが疑問を持ちそうな点については、生徒のキャラが合いの手を挟んでくれているので理解しやすくなっています。物語性が重視されているため、読み進めやすく頭に入りやすいです。平均点+10点以上を狙う受験生にオススメです。
最も代表的で使いやすい理解本の一つです。教科書の内容を筆者の口でとてもわかりやすく説明してくれているため初学者や世界史に苦手意識のある人は特にお勧めです。
巻末には穴埋め形式でより簡潔なテキストがついており、復習の際や全体的な流れを再確認したいときはこちらを利用できます。
ナビゲーターと並んで最も代表的でわかりやすい理解本の一つです。ナビゲーターに比べるとレベルが高い用語や知識も掲載されていますが、筆者である河合塾名物講師の青木先生の非常にわかりやすく面白い講義が収録されており、レベルの高い大学を目指す方や世界史の面白さを知りたいという方にはお勧めの参考書です。もちろん説明はわかりやすく生徒の身に立ったもので、初学者の使用も問題ありません。
巻末には穴埋め形式でより簡潔なテキストがついている上、全体の流れをざっとまとめて講義なさったものを収録したCDが付属しており、復習の際や全体的な流れを再確認したいときはこちらを利用できます。
資料集・用語集
資料集は地図や年表のフローチャート、芸術作品の写真などが掲載されている為、教科書や理解本だけでは得られない知識が身についたり、知識の整理という点でも非常に有用なツールです。是非持っておいて欲しい参考書です。
用語集は世界史の出来事や人物の詳しい内容が載っています。世界史において重要なことはぼんやりとした単語暗記ではなく、流れの中で正しく単語の内容を理解し、流れや出来事について説明する際適切に用いられるようにすることです。用語や因果関係の整理のために使いましょう。
一問一答
流れがキモの世界史とはいえ、基本的な単語に関しては覚えなくては始まりません。教科書や理解本で学習した後は一問一答で単語の確認を行いましょう。一問一答のメリットは短い時間で単語の暗記、もしくは単語の内容についてきちんと確認できることです。既習分野に関しても復習教材として積極的に利用していきましょう。また、ほぼすべての一問一答形式の問題集には重要度が記載されているので、学び始めは最も重要度の高いもののみ確認し、私大受験者など細かい知識が問われる場合には無印の単語まで学習するなど、レベル別に使い分けた学習をするようにしましょう。
・山川 一問一答世界史
問題文に対し用語を答える最も代表的な一問一答問題集です。全用語を三段階の重要度に分けており、自分の学習状況に応じた利用が可能です。他の用語集と違い文章の穴埋めという形ではなく問題文がきちんと用意されているためそちらの方が使いやすいと感じる人にはお勧めです。また、逆に問題文を隠して用語の正しい説明ができるか確かめるという活用法もあり、本書はそういった目的にもかなう簡潔かつ的確な問題文(説明文)となっています。
・一問一答 世界史 ターゲット 4000
オーソドックスな穴埋め式一問一答問題集です。重要度は頻出とそれ以外の二段階で、全問が実際の入試問題から引用されています。また、答えとなる用語に結び付く重要な説明文が太字になっているなど使い勝手もよく、付録要素として試験の争点となりやすい地図や暗記を助ける語呂合わせなど学習に役立つ要素が多数収録されており、空欄を補充した文章を読み上げた音声情報や頻出問題をまとめた最終チェックPDFがインターネットでダウンロードできるなどかゆいところにも手が届く一問一答です。
・斎藤の世界史B一問一答_完全網羅版
オーソドックスな穴埋め式一問一答問題集です。また穴埋め以外にも一部問題文が赤字になっており、別の角度から知識の確認ができます。重要度は三段階に分かれており、問題は実際の入試問題から引用されています。トピックとしてより詳細な説明や学習上のアドバイスが掲載されており、アプリ版の一問一答も付属していることも本書のポイントです。
基礎問題集
穴埋め形式のような問題集から、四択の正誤問題などが載っている問題集など、実際に出題された過去問の形式に寄せられている物が主となっています。理解本・教科書と併用して使うことで、基礎知識と歴史の流れをしっかりと固めていきましょう。
・世界史基礎問題精講
2つのステップに分かれており、ステップ1は基礎問題、ステップ2は実際の入試問題になっています。またそれぞれ問題形式が異なるため、基礎力だけでなく問題形式への対応力・読解力を身につけることができます。世界史の入試勉強を始める人から難関レベルの問題に挑戦したい人にオススメです。
・世界史Bマスター問題集
センター試験を中心とする過去の大学入試の出題傾向を分析して編集されたものであり、世界史の基本的事項はほとんど網羅されています。空欄以外の問題文中の語句に関しても色分けされているため、重要度が一目瞭然です。上に挙げた、詳説世界史Bの内容にほとんど準拠しているため、並行してやるのがオススメです。
応用問題集
詳細な知識を多く収録した私大の難関大学(早慶上智など)を受験する人達が使うと有用な参考書です。
今まで培った知識・歴史の流れを活用し、どこまで応用的な問題が解けるか確認するものですが、難易度が高く用語も難しいものが問われる傾向にあります。二度と入試で出ないような難しい知識問題も掲載されているので、知識の深追いには注意しましょう。
・世界史標準問題精講
問題が4つのレベルに分かれており自分のレベルにあった問題に取り組むことができます。教科書以上の知識を必要とする難問も含まれていますが、それらの問題には詳しい解説がついており、教科書以上の知識まで深めることができます。国公立の二次試験・難関私立大学の入試で世界史を使う人にオススメです。
・実力をつける世界史100題
テーマ毎にそれぞれ一題実際に出題された入試問題を掲載している問題集です。教科書や理解本で進んだ範囲の復習や、苦手分野の確認、補強に有用です。かなりレベルが高い問題集で一筋縄ではいかない問題が掲載されているほか頻出度の高い難語も出題されており、早慶上智などの難関私立〜難関国立受験者にお勧めです。
論述本
難関国立や一部私立の論述問題が出る大学を志望する人に向けた参考書です。特に論述問題を解かなければならない受験生は一冊は持っておくべき参考書でしょう。
多くの論述問題に対して手厚い解説がついており、論述の書き方や書くまでの発想の仕方など、論述を書くにあたっての方法を1から学ぶことができます。また、論述問題は歴史や出来事の流れを整理するにあたって最適な教材となるため、論述を受験で使用しなくても世界史を得意教科にしたい受験生にとっては取り組む価値のあるものです。
・世界史論述練習帳new
例題と考え方、解答例とその添削という構成で、論述の書き方やパターンについてステップを踏んで学習していく流れになっています。60字程度の小論述から600字の大論述まで掲載されており、幅広い問題形式に対応可能です。巻末には論述問題集が付属しており、これは論述対策に非常に有効です。
・大学入試世界史B論述問題が面白いほど解ける本
「世界史論述練習帳new」が東大、一橋を意識した骨のある参考書であるのに対し、こちらは30〜400文字までの小、中論述を中心に論述対策の入門的な参考書になっています。例題と考え方、解答例とその添削という構成で、論述の書き方について各単元における例題を通して解説されています。
・段階式世界史論述のトレーニング
z会出版部から出版された参考書です。例題とその解答例を中心に論述の考え方、書き方が解説されており、模試や過去問の解答解説に近いものが収録されています。文字数を徐々に増やしていくことで段階的に小論述から大論述まで対応できるような構成になっており、特に演習教材として使用すると効果的です。
過去問・実践問題集
上記の基礎・応用問題集が範囲別の演習であるのに対し、過去問や実践模試を用いた演習の目的は「全範囲演習」と「志望校対策」です。必ず実際の試験時間通りに行い、自分に最適な時間配分や問題へのアプローチを見つけていきましょう。間違ったところや知識の抜けを認識出来た箇所に関しては解答を読むだけでなく教科書や理解本に戻って確認し、マークを付けておきましょう。それぞれ忘れやすい箇所や単元があるはずです。それを明確にし、定期的に復習するようにしましょう。
実践問題集は過去問ほどの重要性はありませんが、共通テストのような始まって間もないテストではサンプル不足から積極的に取り入れるべきだと考えます。入試における点数の源は教科書や理解本で得た確かな知識と理解ですが、高得点のために最後にものをいうのは演習量です。過去問ほどの信頼性はないですが、目標に対する自分の達成度を図るためにも有効です。
・共通テスト過去問研究 世界史B
赤本と呼ばれる、最も一般的な共通テスト過去問集です。二回分の本試験に加え思考調査が2回、世界史aが1回、センター試験が10回分収録されています。
・2022共通テスト過去問レビュー 世界史B
黒本と呼ばれる、河合塾出版の共通テスト過去問集です。2012年度以降のセンター試験と、2021年度共通テスト第1日程を収録しています。
・2022-大学入学共通テスト実戦問題集 世界史B
実際のテスト形式を取った予想問題集です。全五回の予想問題が収録されており、直前チェック総整理というまとめノートのようなものが付属しており、入試直前に見返すことができる便利な付録がついていることもポイントです。
・東大の世界史27カ年
東京大学の過去問を27年度分収録した過去問集です。非常に詳しく、問題を解く際に考えなくてはいけないポイントやその方法などがわかりやすく書かれており、受験する大学が決まったなら必ず持っておくべき参考書です。模試についてくるような単純な解答解説以上に、解き方や考え方について教えてくれます。数学の「青チャート」に近い印象を持ちました。今のところ世界史専門の過去問集は東京大学、京都大学に関するものがほとんどですが、二校を受験する方は必ず持っていてほしい一冊です。
世界史でよくある質問
Q勉強時間をとっているのに点数が取れません
世界史は広く浅く勉強を始め、その背後の因果関係を中心に少しずつ知識を深めていく科目です。
たくさん時間をかけているのに点数が取れない原因は、大きく分けると二つあります。
①最低限の知識が不足している
②演習量が不足している(アウトプットしなれていない)
最低限の知識が不足している状態で演習に移り、虫食い式に勉強を進めていくのはとても効率が悪いです。模試で平均点をとれていないor共通過去問で70点とれていない場合は一度教科書や理解本まで戻り、徹底的に勉強しなおしましょう。
ある程度の知識はついているはずなのに点数に反映されないor勉強しなおしたがなかなか点数があがらないという方や、教科書や理解本は見覚えのあるページばかりだという方はアウトプットできるまで知識が定着されていない可能性が有るので、範囲別問題集を活用してインプット後のアウトプットを欠かさないような学習をしましょう。
また、冒頭でも述べましたが因果関係を意識することを忘れてはいけません。単語を覚えていく時には関係を考えながら、関連づけて暗記していくことが重要です。地域ごとに覚える方法や、世紀ごとに覚える方法など、一つの出来事が、どのように次の時代に関係してくるのか、当時はどのような影響があったのかなど物語(イメージ)を想像してあげると、よりわかりやすくなります。
Q歴代中国王朝や歴代アメリカ大統領などが覚えられません
一つの方法として繰り返し暗唱するという手があります。
また、世界史の用語を「歌」で覚えてしまうという方法もあります。皆さんは「この曲、歌詞覚えてるけどよくよく考えてみるとどんな意味か分からない」という経験はないでしょうか。世界史に出てくる人名や国名自体に意味があることは少ないです。このような意味のない言葉を覚えるときにはリズムや音楽と関連付けてしまうのが効率がいい方法の一つです。
Q年号は覚えるべきですか
はい。世界史には度々このような問題が出てきます。
ex.神聖ローマ帝国が建国された当時、中国では唐王朝が栄えていた(誤文)
例えばこのような問題が出たとき、どのような発想をするべきでしょうか。
受験生で唐王朝が何年に興り、何年に滅んだのかまでを覚えている人はあまりいないでしょうから、唐が栄えた大体の年代を違うヒントから判断しなければなりません。
そこで、「唐の時代におこった出来事の年号から、大体の年代把握をする」もしくは「唐の次の時代である五代十国時代や宋の時代の出来事の年号から、唐の時代を逆算する」という発想をし、問題を解いていきます。
この場合はこのどちらかに対応する出来事の年号を覚えていないと、上記の問題を誤文と判断できないため、年号は必要となってくることが多いです。
ですがむやみやたらに覚えるときりがないのに加え、一番大事なことは流れそのものなので覚える年号にしても重要な出来事に押さえるようにしましょう。また国や王朝の正立、崩壊の年号は、世界史の横軸を意識しやすくするキーの一つなので覚えておくことをお勧めします。年号暗記本には重要順に印が降ってあることも多いので、そのまま参考にしてもよいでしょう。
Q世界史を選ぶメリットとはなんですか
世界史は扱う範囲が大変広いため、本当に重要な人物や出来事しか載せられません。日本史ほど細かい内容をおぼえられない、また漢字が苦手だという方にもお勧めです。地理と比べると結果が出やすく、暗記依存度に優れていることもポイントです。
また大学に入ってから受ける講義はグローバルで幅広いものが多く、歴史を重要視しているものが多いです。特に、世界史を受験で利用するのは大半が文系だとは思いますが、文系学部が受ける大学の授業は基本的に社会科学系のものであり、この社会科学の基礎知識というのが世界史に繋がってきます。そのため、世界史を高校で習っていると、大学の授業を受けるうえでの前提知識がある程度入っているため、授業の理解度・面白さがかなり変わってきます。
Q文化史が覚えられません
世界史の文化は「その地域の時代背景や前時代の文化内容」が密接に関わってきます。この因果関係を理解することによって、文化史の内容が頭に入りやすくなると思いますので、世界史の流れを覚えるついでに見ていきましょう。また、基本的に歴史は反動の繰り返し(貴族文化→庶民文化→貴族文化の繰り返しのように、相反する文化体系、考え方がどんどん流行っていく)と認識しておくと理解しやすいです。
ex1.古代ギリシアで哲学や文学などの人文科学的文化が発達した理由→奴隷制の発達によりギリシア市民に余暇の時間が大量に出て、暇つぶしのために人々は文化的趣味を模索したため+激しい戦争の時代ではなかったため
(因みに、古代ローマ帝国が成立すると、その統治の為に使われる実学的文化(法など)が発達する。)
ex2.19世紀初頭にロマン派文学が流行り、その後自然・写実主義に移り、最終的に印象派・象徴主義が生まれた理由→ナポレオンの台頭により、今まで夢物語とされていた「西欧統一」が現実的なものとなり、理想的・空想的なロマン派が流行った→その後ナポレオンの夢は潰えたこともあり、「ロマン派は空想的すぎる、より自然で、現実的な捉え方をする事が正義である」という風潮が生まれ、リアリスティックを求める自然・写実主義が生まれた→カメラなどの登場により現実を正確に写そうとする写実主義には限界が見え、枠に当てはまらない捉え方をする考え方が流行り、印象派・象徴主義が生まれた。
他にも中国文化の歴史なども反動の歴史であるため、念頭に置いて文化史を理解していくと分かりやすいと思います。
世界史で身につくこと
世界史を学ぶということは、言い換えれば「人類の歴史」を学ぶことです。その中で、人類は様々な成功と失敗を繰り返してきました。何回もの復興や世界人権宣言などたくさんの「成功」がある一方で、世界大戦や広島・長崎への原爆投下など、何千・何万年の歴史を経て進化してきた現代の人類でさえ「失敗」があります。
成功の原因は何だったのか。失敗の原因は何だったのか。それを考えられるようになるのが世界史です。繰り返される人類の歴史を学ぶことでその中から法則性を導き出し、今の世の中にも生かすことができる方法を見出していくことに世界史を学ぶ意味があります。世界史を学ぶ中で身につけることのできるこの思考の方向性は、現代の世界情勢を正しく理解する上でも大いに役に立ちます。マスメディアから提供される情報をただ鵜呑みにするのではなく、出来事が起こった背景にはどのような対立構図や利害関係が存在しているのか、といったようなことを考えることができるようになります。このような姿勢は、世界情勢を正しく理解していくために必要不可欠なものです。世界史を学ぶということは、過去の歴史についての知識を得るということだけではなく、これからの世界情勢を正しく把握するための力を身につけるということなのです。
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