目次
私大世界史の特徴
一般的な私大世界史の特徴として
- 記号式
- 暗記偏重(一問一答形式が目立つ)
ということが挙げられます。ただし大学によって試験の特徴、難易度は異なるため、志望校の傾向に沿った対策を立てることが大切です。
同じ記号式中心でも、共通テストは資料問題が多く、思考力が問われるものとなっています。そのため、「資料内のヒント」→「発想」→「答え」というプロセスが発生する場合がほとんどです。一方私大は一問一答や単純な正文誤文判断の問題が多い傾向にあります。年表フローチャートや一問一答を覚えていれば解ける問題の出題がほとんどです。ただし、上位私立学校になると単純な一問一答ではなく、一連の流れを正文誤文判断する問題が多くの割合を占めるようになり、用語に関しての細かい概略や流れが載っている参考書を用いて勉強する必要があります。
以下に大学群別のおおよその難易度の目安や問題例を記しましたので参考にしてください。
日東駒専・・・一問一答形式が多い。純粋な知識を問うものが中心。
例:下線部1(エーゲ文明)に関する説明として最も適切なものを、次の①~④の中から一つ選べ
(日大全学部2021)
①ドイツのシュリーマンが、クレタ文明を発掘した。
②クレタ文明の中心地は、クレタ島のクノッソスである。
③イギリスのエヴァンズは、ミケーネ文明を発掘した。
④ミケーネ文明の中心地は小アジアのトロイアである。
①→誤文(シュリーマンが発掘したのはミケーネ文明、クレタ文明を発掘したのはエヴァンズ)
②→正文
③→誤文(①と同じ根拠)
④→誤文(ミケーネ文明の中心地はティリンス)
MARCH→日東駒専と同じく知識偏重だが、用語の難易度や暗記レベルが高い。
日東駒専と同じく知識偏重だが、用語の難易度や暗記レベルが高い。
例:下線部ア(ゲルマン諸民族)に関して、5世紀以降のゲルマン諸民族に関する次の記述の内正しいのはどれか。
(明治法学部2021)
A.東ゴートは、5世紀中頃のフン人の帝国の崩壊によって独立し、現在のハンガリーに定住した。その後テオドリックに率いられて493年には、イタリア半島に進出し東ゴート王国を建てた。しかし同王国は、554年にフランク王国によって滅ぼされた。
B.ライン川上流域に定住したブルグンド人は、5世紀初めフン人に敗れ南下し、443年にガリア東南部にブルグンド王国を建てた。しかし同王国は534年にフランク王国によって滅ぼされた。
C.568年にロンバルド人によってイタリアに建てられたランゴバルト王国は、8世紀にビザンツ帝国の侵攻を受け滅ぼされた。
D.ゲルマン人傭兵オドアケルは、476年に西ローマ帝国を滅亡させ、自らをローマ皇帝と名乗ったが、テオドリックの率いる東ゴート人に敗れ、帝位は東ローマに返上された。
E.西ローマとゲルマンの連合軍は、451年のカタラウヌムの戦いにてフン人を破り、その指導者であるアッティラを戦死させた。これがきっかけとなり、フン人の帝国は崩壊した。
A→誤文(東ゴートの滅亡は555年である)
B→正文
C→誤文(ランゴバルト王国を滅ぼしたのはフランク王)
D→誤文(オドアケルは自らをローマ皇帝と名乗っていない)
E→誤文(アッティラは戦死をしていない)
早慶上智→基礎問題と応用問題の融合が目立ち、流れの意識が重要になる。用語集や資料集に載っているような細かい知識や概要などを問われる場合が多く、短い記述問題の出題もある。
例:「安史の乱」に関連して正しいものを一つ選べ
(早稲田商 2020)
1.安禄山は娘の皇帝の妃となったが、それを妬む者の詭言におぼえた安禄山は、この反乱を起こした
2.史思明は安禄山を暗殺して、自ら大燕皇帝と称した
3.この反乱の鎮圧に協力したウイグルは、その勢いで長年の仇敵であった東突厥を併合した
4.揚炎は、安史の乱鎮圧後の財政再建に貢献した
A.4(安史の乱は玄宗の楊貴妃に対する寵愛(仕事をせず、楊貴妃にお金の使いまくっていた)からの愚政への不満からであり、安史の乱後、唐は一時的にではあるが安定するため財政は再建されたと考えられるため)
私大世界史の対策
基本的な学習は世界史の具体的な勉強法ー世界史勉強法②と変わりません。
世界史の勉強の流れはこちら
単元ごとに基礎から応用まで段階に応じたインプットとアウトプットを繰り返し行っていきましょう。
世界史の勉強法外観
STEP | タイトル |
STEP1 | 世界史学習の前提知識 |
STEP2 | 世界史の基本徹底 ①学習分野の概要をNHKの動画など入門レベルの教材で掴む ②教科書レベルに取り組む (1)細かな流れの理解 暗記本の範囲で区切り、理解本+資料集で詳細理解 (2)用語を暗記する 暗記本で用語暗記→理解本でブロック暗記 次の時代の①を学習する・・ 学校や模試の範囲まで終えたら次の時代に進まずSTEP3へ進む |
STEP3 | 演習を積み多面的に用語を理解する |
STEP4 | 過去問分析→過去問演習 |
暗記偏重の私大世界史対策では、教科書に載っている知識を穴なく網羅しておく必要があります。特に一部の大学では教科書の内容を超える知識や載っていない用語を問われることもあるため、用語集や資料集も用いてより細かいインプットを行うようにしましょう。
STEP2では、教科書を読む→資料集で確認→一問一答で確認という流れで教科書レベルの知識に取り組んでいきます。全体像や流れが大事であることは事実ですが、私大世界史において名称や用語学習を避けて通ることはできません。大学の傾向に応じて最終的に頻出度の低い用語にも対応できるまで一問一答を用いて知識を定着させていきましょう。イメージしづらい内容についても、資料集で年表のフローチャートや地図を見たり、用語集で出来事や人物の詳細な情報を確認しながら、自身の知識を整理してインプットの仕上げを行いましょう。
演習においてもレベル別に段階を踏んだ学習が大切です。知識の定着がある程度終わったら、過去問演習や問題集などに取り組んでいきます。私大の傾向として知識事項の確認という側面が強いため、共通や国公立対策に比べるとSTEP3と4における違いは小さいといえます。ここでは、自身の苦手な分野の確認や抜けている知識の入れ直し、また一問一答とは違う独特な視点で出される問題に慣れるのが主な目的となります。ここで間違えた問題も資料集や用語集で確認し、確実に自分の知識にしていきましょう。
過去問は問題傾向や求められる知識レベルの確認、本番を意識した試験対策として用いるとよいでしょう。
語句の暗記方法
王朝名や王様の名前などは一旦順に暗唱できるように覚えてしまうとよいでしょう。読み方は工夫したり、出来るだけ省略したりして言いやすくし、覚えやすくしましょう。ex.ヘンリ2世→ヘン2,リチャード1世→リチャ1 工夫を凝らし、繰り返し唱えることによって音や体で段々と覚えられるようになります。
特にカタカナは音で覚える、漢字は書いて覚えるのがおすすめです。なので、出来るだけカタカナの語句は何度も口で唱えて覚えてしまいましょう。漢字に関しては書いて、言って、見て覚えましょう。出来るだけ五感をフル活用して覚えようとすると、脳に印象が残りやすく、知識として定着しやすくなります。
国公立世界史の特徴
国公立受験において世界史が受験科目となっている大学は少なく、学部も文学部などに限られているため志望校の情報収集をよく行うようにしましょう。
一般的な国立世界史の特徴として
- 記述問題の比重が大きい
- 論理関係が問われる
ということが挙げられます。ただし大学によって試験の特徴、難易度は異なるため、志望校の傾向に沿った対策を立てることが大切です。
国立二次において世界史を選択する受験生は、それぞれの出来事をその名称にのみ注目して暗記をするのではなく、流れやその時々の状況を正確に理解し、論理関係の中でそれぞれの出来事を捉えるよう意識しながら学習を進めていくのがポイントです。
また、世界史の教科書や理解本では通史的(時系列的)に学んでいくものが多いですが、実際の試験問題では特定のテーマについて総合的に世界史を捉えなおす問題が多く見られます。
ex. 「帝国」は、今日において現代世界を分析する言葉として用いられることがある。「古代帝国」はその原型として着目され、各地に成立した「帝国」の類似点をもとに、古代社会の法則的な発展がしばしば議論されてきた。しかしながら、それぞれの地域社会がたどった歴史的展開はひとつの法則の枠組みに収まらず、「帝国」統治者の呼び名が登場する経緯にも大きな違いがある。
以上のことを踏まえて、前2世紀以後のローマ、および春秋時代以後の黄河・長江流域について、「古代帝国」が成立するまでのこれらニ地域の社会変化を論じなさい。解答は、解答欄(イ)に20行以内で記述し、必ず次の8つの語句を一度は用いて、その語句に下線を付しなさい。
漢字 私兵 諸侯 宗法 属州 第一人者 同盟市戦争 邑 (東大2017)
この問題では「古代帝国」というテーマのもと、ローマ帝国と春秋時代以後の黄河・長江流域について、その社会変化の類似点、相違点を比較しながら記述する必要があります。知識の単純な集合ではなく、同時期かつ当時大規模であった二つの地域についてそれぞれの特徴を比べ合わせていく作業が必要になっていることがわかると思います。
上記のように、通史的な視点だけで解ける問題ではないパターンが難関校には存在します。このような問題に対応するために、発想力や多角的な視点を身に着けていかなければいけません。そのためには教科書に載っている内容を完璧に抑えたうえで、実際にこのような問題を数こなすことが大切です。
共通テスト | 私大(早稲田商) | 国公立(東大) | |
問題数 | 全5題、32問 | 全4題、50問 | 全3題、17問 |
試験時間 | 60分 | 60分 | 150分 (世界史、日本史、地理から二科目選択し合わせて150分となっている) |
問題傾向 | ・記号式 ・資料を用いた読み取り問題が多く出題される ・問われる内容は標準レベルのものが多く、重要度の低い内容について問う問題はほとんど見られない | ・ほぼ記号式 ・論述問題も一題出題される ・用語を答えさせる問題、時系列順に並べる問題、正誤問題が中心 | ・記述式 ・大問1(大論述) 大問2(小、中論述) 大問3(一問一答、用語確認) ・大論述は500~600字程の記述を要求され、単純な知識事項の羅列ではなく題意に沿って考えながら記述していくことが大切。 |
国公立世界史の対策
基本的な学習は世界史の具体的な勉強法ー世界史勉強法②と変わりません。
教科書を中心に、単元ごとに基礎から応用まで段階に応じたインプットとアウトプットを繰り返し行っていきましょう。
大学によりますが、細かい用語より正確に因果関係を把握していくことが大切です。重要な用語にばかり注目するのではなく、当時の状況や因果関係を的確に記述した教科書の文章全てが重要となります。
世界史の勉強法外観
STEP | タイトル |
STEP1 | 世界史学習の前提知識 |
STEP2 | 世界史の基本徹底 ①学習分野の概要をNHKの動画など入門レベルの教材で掴む ②教科書レベルに取り組む (1)細かな流れの理解 暗記本の範囲で区切り、理解本+資料集で詳細理解 (2)用語を暗記する 暗記本で用語暗記→理解本でブロック暗記 次の時代の①を学習する・・ 学校や模試の範囲まで終えたら次の時代に進まずSTEP3へ進む |
STEP3 | 演習を積み多面的に用語を理解する |
STEP4 | 過去問分析→過去問演習 |
①理解本or教科書で世界史の全体像を掴む
始めに理解本や教科書を用いて全体的な流れをインプットしましょう。ここでいう「流れ」は、地域や国の大まかな変遷のことです。いつ国が興ってどのようにして滅びたのか。また、いつの時代にどこの国が活躍していたか、始めはかなり大雑把な知識でもよいので今後の学習の骨組みとなる世界史の全体像を身につけましょう。
なかなか暗記が進まないという方もこの段階では用語や名称の暗記は重要度の高いものに絞って覚えていくとよいでしょう。世界史はインプットを繰り返し行うことが効果的です。教科書や理解本を周回していく中で徐々に細かい用語も覚えていくとよいでしょう。
こうした全体像が捉えられると、「歴史の常」のようなものが見えてきます。「中央集権化した大国家では、やがて地方有力者が勢力を持ち始め、崩壊していく」流れやがその代表例です。個別の事案をそれぞれ覚えるのではなく、より広い視点で世界史を捉えなおす行為は大学受験世界史では頻出パターンです。このような広い視点を持つためには習得した知識を法則化したり、他にはない特徴を見つけて体系化することが必要です。
②一問一答で知識を定着させながら、資料集・用語集なども併用し具体的なイメージをつける
全体像や流れが大事であることは事実ですが、難関大論述ではそうした流れを適切な用語や名称を用いながら論じる必要があります。従って名称や用語学習を避けて通ることはできません。用語暗記が不安な方は一問一答で知識を定着させていくとよいでしょう。イメージしづらい内容についても、資料集で年表のフローチャートや地図を見たり、用語集で出来事や人物の詳細な情報を確認しながら、自身の知識を整理してインプットの仕上げを行いましょう。
③過去問演習や問題集を通じて、問題を解く際必要な多角的な視点に慣れていく
知識の定着がある程度終わったら、過去問演習や問題集などに取り組んでいきます。ここでは、自身の苦手な分野の確認や抜けている知識の入れ直し、また一問一答とは違う独特な視点で出される問題に慣れるのが主な目的となります。ここで間違えた問題も資料集や用語集で確認し、確実に自分の知識にしていきましょう。
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