世界史の勉強に限らず、あらゆる教科の勉強法において多くの方が納得でき、多くの方が支持する考え方があります。
それは、「基礎から段階的に応用レベルまで学習すること」です。
この考えが支持される理由は大きく2つあるでしょう。1つは、「段階的な方が一度に取り組む量が少なく負担を感じにくい」こと。そしてもう1つは、「基礎が最も重要である」ことです。
この考えは世界史という科目の学習にも当てはまります。
基礎レベルから段階的に用語を理解し暗記していくことは世界史という科目の攻略において最短ルートの一つです。
しかし、世界史という科目特有の観点を忘れてはいけません。
世界史は多くの国と地域を学習対象とすることから、①その国や地域の理解、 ②他の国や地域との繋がりの理解 が求められます。
これらの観点を盛り込みつつ、基礎レベルからの伝統的な学習方法をとれば世界史の成績は上がることでしょう。
よって、これから記述する世界史の勉強法は目新しいものではありません。
しかし、ついつい見逃してしまうような世界史特有の視点を意識して伝統的な勉強法を再構築しました。
特に、世界史特有の視点を意識しなければいけない初学者レベルが躓かないように、また演習段階の生徒が確実に実力を養成できるように勉強法を組み立てました。
目次
世界史の勉強法外観
これから紹介する世界史の勉強法は大きく4つのSTEPに分かれます。
次の表を見てください。
世界史の勉強法外観
STEP | タイトル |
STEP1 | 世界史学習の前提知識 |
STEP2 | 世界史の基本徹底 ①学習分野の概要をNHKの動画など入門レベルの教材で掴む ②教科書レベルに取り組む (1)細かな流れの理解 暗記本の範囲で区切り、理解本+資料集で詳細理解 (2)用語を暗記する 暗記本で用語暗記→理解本でブロック暗記 次の時代の①を学習する・・ 学校や模試の範囲まで終えたら次の時代に進まずSTEP3へ進む |
STEP3 | 演習を積み多面的に用語を理解する |
STEP4 | 過去問分析→過去問演習 |
まずは「世界史学習の前提知識」として主要な国や地域の場所を覚えます。
そんなことはわかっていると思われるかもしれませんが、これが意外に出来ない生徒が多いことが実情です。ここに日本史とは違う世界史の性格が見えます。
次に、「世界史の基本理解」です。
教科書レベルの用語の理解と暗記をゴールに据えて、段階的な学習をしていきましょう。
何世紀の出来事かに常に注意することは世界史特有の視点ともいえるでしょう。
また、志望校の傾向などもこの段階で確認をしておきましょう。
いよいよ演習です。
志望大学のレベルまで実力を養成しましょう。基礎知識の確認と二次試験対策の2段階に分かれます。
最後に過去問演習です。
志望校の過去問の分析のために実際に問題を解いていきます。そこで判明した弱点を補強しつつ、志望校特有の視点なども分析していきましょう。
STEP1 世界史学習の前提知識
さて、ここからは具体的な各STEPの説明に入ります。
まずは世界史の前提となる知識の習得です。
具体的には主要な国や地域の場所を覚えることが必要になります。中学卒業レベルの地理がわかっていれば良いので、難なくクリアできる生徒は確認程度で構いません。しかし、あまり自信がない生徒は定期的にテストをするなどして確実に知識を習得しましょう。
主要な国や地域ということですが、おおよそヨーロッパの諸国、アメリカ大陸の国(北南問わず)、イスラーム世界の地理関係、東南アジアの国、アフリカの主要国などです。覚えるのは現在の国名や地域で構いません。
世界史では多くの国と地域が相互に関係しあって歴史を形成してきました。しかし、世界史の学習においては、各国各地域の地理的な説明はしてくれません。地理的に理解できないと、なぜある時点の2地域が関係を持っているのかが腑に落ちず、使える知識になりません。
こうした状況を避けるために学習の初期段階での世界地図の暗記と、各学習段階における復習を確実にするようにしましょう。
STEP2 世界史の基本徹底
世界地図を理解したら、世界のどこの話なのかを意識しながら、世界史の知識を実際に習得していきましょう。
世界史の基本を習得するにあたっても段階的な学習が求められます。
具体的にこのSTEPでは2つの段階に分けて取り組みます。それは、①学習分野の概要をNHKの動画など入門レベルの教材で掴む → ②教科書レベルに取り組む、の2段階です。
①学習分野の概要を掴む
世界史は中学までに学習してきた日本の歴史と異なり、高校で初めて知る知識ばかりです。そのため、全くイメージが湧かないことが多く、いきなり教科書や理解本での学習をすることが難しい場合も多くなります。
つまり、主要テーマのイメージを掴んだ上で、具体的な知識に進むことが望まれます。
ここで使う教材はNHKがまとめている映像や世界史に関する学習マンガなどになります。これらの教材を自身や学校の学習に合わせて、まず使用していきましょう。
実際に理解度をこの段階で図る必要はありませんが、疑問が生じたら必ずインターネットでも良いので調べるようにはしておきましょう。
②教科書レベルの知識に取り組む
ここでは、教科書レベルの理解と暗記を完成させます。とはいえ、教科書が本当に完璧になったらどんな大学であれ十分な点数がとれてしまいます。そのため、ここでいう「完成」とは教科書の本文及び太字用語の理解と暗記です。その他の注やまとめの部分は見たことある状態を作りましょう。また、一問一答では最頻出レベル及び次に頻出のレベルまでを覚えましょう。
それでは、具体的な学習の手順について説明していきます。
使用する教材は、
・教科書(理解本)
・資料集
・一問一答
の3冊です。教科書は難しいようであれば市販の理解本でも構いませんが、理解本での学習が進んだ段階で教科書も使えるようにできるようにはしましょう。その理由は次に説明する各教材の役割で紹介します。
各教材の役割
・教科書(理解本)
世界史の受験勉強において教科書は最強です。どれだけわかりやすい理解本もこの1冊には勝りません。それは、共通テストを始め私大も国公立の問題も教科書を参考に作問されているからです。教科書に掲載されている情報を不足なく理解及び暗記することであらゆる大学で合格点を望めます。
・資料集
資料集は知識をまとめ直す目的でも使用しますが、それ以上に重要な観点として、視覚情報を得る目的で使用します。特に、視覚情報として文化史の写真が挙げられますが、世界史においては地図における把握ができることが資料集を使用するメリットです。こうした視覚情報は時間をかけて何度も参照することで頭に入ります。学習の初期から必ず携帯するようにしましょう。
・一問一答
一問一答は自分の知識の暗記がどこまでできているかを頻出度の形で示してくれます。
また、一問一答のテーマに沿って教科書を読んでいくと、学習のペースが掴みやすくなるというメリットもあります。
学習の進め方
これらの教材を用いて具体的にどのように学習を進めていくのかについて記述していきます。
簡単にいえば、教科書を読む→資料集で確認→一問一答で確認、のプロセスを繰り返します。教科書を読む範囲は一問一答のテーマに合わせて決めると良いでしょう。学校の授業の進捗に合わせることもできます。
また、一問一答に関しては最初は最頻出のレベルに取り組み、そのレベルが8割ほど定着した段階で次のレベルに進みましょう。
この一連のプロセスにおいて、注意したいことがあります。それは一度に全て覚えられると思わないことです。教科書にしろ理解本にしろ、一読で理解できる部分は多くありません。それは学校の授業でも同じことです。さらに暗記となるとその難易度は上がります。そのため、同じレベルを何周もして定着させ、定着後に次のステップに進むことが必要になります。
また、教科書の読み込みは内容を理解したと判断した後も続けましょう。基礎知識が効率的に収録されていることが大きな理由です。その際に、毎回同じ部分を読むのではなく、「今回はこの地域だけ」とか「今回は注釈だけ」などのように理解した後は視点を変更して取り組むと効果的です。
「視点を変える」という観点では、資料集と一問一答についても同様のことがいえます。特に、一問一答は暗記が多少進んだ段階で、いつもと逆の作業をやってみましょう。つまり、用語をみてその説明ができるように挑戦してみましょう。きっと、覚えたと思っていた用語も難航するはずです。
暗記を進めていく中で、具体的な用語の暗記方法を先に説明していきます。大きく分けて2種類の暗記方法を組み合わせることで記憶の効率的な定着を図りましょう。まずはじめに暗記する際にはヘビロテ暗記という暗記方法で取り組みましょう。
ヘビロテ暗記法
世界史の用語暗記において重要なことは3つです
(1)声に出して暗記する
(2)答えが出るようになるまでは書かない
(3)短期間に周回数を多くこなす
自身の取り組むべきレベルの用語の暗記が8割ほど終われば、もう一度理解本に戻りましょう。理解本を復習することで、流れや用語の理解が深まり、今まで一問一答で暗記していた用語もブロックで暗記できるようになっていきます。このように理解本を理解し暗記するのが最終目標であり、一問一答などの暗記本はそのための補助教材として考えます。教科書のような理解本をマスターできれば受験では高得点を取れますが、理解本に書いてある文をはじめから正しく理解し、それを暗記することはなかなかできないので、このように一問一答などの暗記本で用語を覚えることで、段階的に理解本を習得しにいきます。必要であれば一問一答の解答から問題文を答える通常と逆の勉強をすることで、より用語の理解が深まっていきます。
ここでの理解本でブロック暗記する際には図や表の暗記も必要になるため、カード暗記法を使って進めていきましょう。
カード暗記法
また、高校1、2年生の場合は定期テストや模試をペースメーカとすることでこうした暗記プロセスを繰り返し暗記を強固にしていきましょう。次のSTEPで紹介する演習方法を参考に復習をすることも忘れないようにしましょう。
資料集の年表を使って、学習した範囲が世界史全体の中で、どこを学習しているのかを再確認しましょう。教科書や資料集に、年表や、〇世紀のアジア、などの時代ごとの地図や年表があるので、時代の流れを意識することが世界史において非常に重要です。世界史は日本史と異なり、様々な国や地域と時代を行き来するので、日本史と比べ混乱する人が多くでてきます。入試問題の世界史は、地域に絞った問題や、テーマ史、〇〇世紀の世界についてなど、様々なアプローチで出題されます。このような多様な問題に対応するためにも、頭の中を整頓することは重要です。
年号暗記について
世界史で忘れてはいけない観点に「年号暗記」があります。
年号暗記は日本史でも求められることはありますが、世界史の場合はほぼほぼ必須と考えられます。なぜなら、世界史は同時代の異なる地域の順序を問う問題が出題されることも多く、そうした問題は年号を覚えているだけで対応できるからです。日本史は一つの国の出来事なので頭の整理以外に年号暗記をする強い必要性はありません。
例
「諸国民の春」とも呼ばれる時期に起こった事件として正しいものを選べ。
(大学入試共通テスト2022年実施 一部改題)
解答 3 解説 諸国民の春=1848年革命(1848年) フランクフルト国民議会(1848年)、ロシア2月革命(1917年)、青年トルコ革命(1908年)、4はディズレーリではなくメッテルニヒ |
上記は年号を暗記していると確実に解ける問題です。この問題は地域がほぼヨーロッパに限定されていることでまだ流れの理解などからも解答の糸口をたぐることができます。しかし、これが中国などのアジア地域のものまで問われたらどうでしょうか?
こうした問題は流れを理解していることは前提として、覚えている年号からアプローチし、そうした流れの知識で解答の確信密度をあげていくことが基本戦略となることが明らかにできたと思います。
とはいえ、全ての事件などの年号を覚える必要はありません。
重要な事件の年号は確実に覚えなければなりませんが、他のものは何世紀に起きたのかを覚えれば十分となります。
しかし、年号暗記は単調となりやすいため学習の初期から意識することが必要となります。教科書学習において用語は年号をメモすることから始め、最頻出の用語を覚えたらそれらの年号も覚えるようにすることが必要です。また、年号暗記の参考書を購入することも効果的でしょう。そうした参考書には頻出度がついていることも多く、語呂で覚えられれば記憶にも残りやすくなります。
補足 過去問の確認
このSTEPを終わらせる前に、一つだけ追加で説明をしておきます。それはタイトルにもある通り、「過去問の確認」です。
これは全範囲の学習が終わっていなくても構いません。志望校の実際の過去問がどのようなものなのかを早期に確認してください。既習分野だけでも取り組んでみてください。
学習のモチベーションとなることはもちろんですが、出題形式などを早くから理解しておくことは、日常学習での視点が増えるきっかけになり得ます。
そのため、早い時期から一度だけでも過去問の確認をしておきましょう。
STEP3 演習を積み多面的に用語を理解する
教科書レベルの基本的な知識を習得したならば、次は演習に移りましょう。
演習の目的は「これまで習得した知識を実践で使えるようにすること」です。ここでいう実践とはもちろん大学入試の場面になります。そのため、難関大学を志望する生徒は最初からそのレベルの演習をしなければいけないようにも思えますが、そうではありません。難関大の入試問題も教科書レベルの知識を駆使して解けば十分合格点が取れるようになっています。よって、演習段階においても教科書レベルの基礎知識の演習から始めることをお勧めします。その上で、志望校にダイレクトにつながる演習をしましょう。
つまり、演習のプロセスとしては、①教科書レベルの知識の演習 → ②私立大学の対策 or ③国公立二次試験対策 となります。
①教科書レベルの知識の演習では、共通テスト対策の問題集やセンター試験の過去問などを扱うとよいでしょう。また、高校で採用されているものがあればそちらを用いることもできる場合が多くなります。②私立大学の対策としては、自身の志望大学のレベルに応じて問題集を選びましょう。共通テストやセンター試験の過去問で最低でも70%、できれば80%を得点しているのであれば、ここでも細かく段階的なレベル上げをする必要はありません。有名なものとしては、『世界史の100題(Z会)』、『世界史標準問題精講義(旺文社)』があります。最後に、③国公立二次試験対策としては、主に論述対策になります。志望校の傾向に合わせて問題集を選ぶべきですが、論述の進め方についてはこの後に詳しく解説します。
演習の注意点
暗記をただ求められる教科という印象の世界史においてこの段階が非常に重要になってきます。ここまでに多量の用語を暗記してきたと思いますが、世界史という科目において用語の暗記は一部の用語を除けばスタートラインに立つために必要な過程です。いわば、用語の暗記を終えたことでやっと世界史の受験勉強が始まるといっても過言ではありません。試験当日になれば用語をしっかり暗記している生徒がほとんどです。そうした試験会場で世界史で合否が分かれるとすれば、2つのパターンが考えられます。
1.用語の漏れが少ない生徒が合格する
2.用語をさまざまな面から理解している生徒が合格する
本STEPで取り組む問題演習ではこうした2点をより十分にしていくという視点で行うべきです。世界史という教科に限った話ではありませんが、問題演習を目的を意識せずにただ問題を解いて採点と解答解説を読むだけでは効果はほとんど上がらないでしょう。では、どのようにして2つの演習目的を果たすような効率的な学習ができるのか。この点を以下では紹介していきます。
目的意識をもって取り組む
問題演習に取り組む際に重要なことは先にも述べた通り、「目的意識をもって取り組むこと」です。これは世界史に限った話ではなく、あらゆる学習に通じることであります。そして、学習のあらゆる段階においても求められる視点といえます。
例えば、問題集を選ぶ際には自分のレベルはどのくらいでどんな実力をつけたいのかを可能な限り具体的にイメージして問題集を選ばねばなりません。そうしなければ時間に制約のある大学受験において遅れを取りかねないからです。
実際に問題集に取り組む際にもこうした目的意識の視点が求められます。問題を解くときには感触を後で確認できるように残しておきましょう。ある問題を解くにあたって悩んだのか、そうでないのか。また、悩んだのならどの点に悩んだのかをメモするなどしておきましょう。それに加え、共通テストのような選択問題であるなら、正解以外の選択肢についても怪しい点がないかを考えましょう。
問題を解き終わり採点する際は、答え合わせをまずは自分で行うことが望ましいといえます。自分で答え合わせをするとは、問題集に掲載されている答えを参照するのではなく、自身のこれまでに使ってきた教科書や参考書を調べることで答え合わせをすることをいいます。調べる中で間違えた問題はもちろん、解く際に悩んだ問題に関してはどんどん教科書や参考書にマークやメモをしていきます。そうすることで教科書や参考書を振り返る際により注意してその用語を確認できます。慣れないうちはとても時間のかかる作業ですが、この作業を繰り返すことで知識の定着が進みます。また、それだけでなく、続けることで問題ではどういった点が出題されるのかが出題方法とともに意識できるようになります。(受験まで時間がない場合、総合問題集では答え合わせは問題集に掲載されているものを使用し、その後間違えた問題を教科書や参考書で振り返るようにしましょう)
論述問題に関しても同様の方法で取り組みます。むしろ、論述問題では教科書や参考書の記述をそのまま引用すれば正解になる問題も多いので、教科書や参考書の中でどういった着眼点で問題が造られているのかをより実感できます。
自身での答え合わせが終わったり、自身では答えを見つけられなかった場合には問題集に掲載されている答えを確認し解説を熟読します。解説では問題集にもよりますが、受験の観点から解説が加えられていることが多く、悩まず正解した問題の解説でも必ず取り組むべきです。解説や掲載されているまとめはあますことなく暗記できるようにマークしたり、普段使用している参考書にメモしたりするのが良いでしょう。
さて、問題集は何周取り組めばよいでしょうか。この問いへの答えは本STEPの卒業の判断基準に直結します。その答えは問題集のレベルや学習状況、取り組む時期にもよります。しかし、最低でも3周ほどは取り組み、必ず9割以上の問題を根拠をもって解答できるようになるまでは取り組むべきでしょう。
以上のように、①用語の漏れを少なくする、 ②用語を多面的に理解すること、という2つの目的意識を達成するために問題集を利用することについて紹介していきました。演習時の悩みや間違いを日常的な復習の際に目につきやすくすることで①を満たしやすくし、同時に②の用語の多面的な理解を促進することができます。このプロセスを目的意識を忘れずに丁寧に行うことで、世界史の確固たる実力を養成しましょう。
論述対策
最後に、論述対策について別途解説します。
これまで確認してきたように、教科書レベルの知識の演習が終わった段階で論述がメインで出題される大学を受ける生徒は対策を始めましょう。
世界史の論述問題は100文字以内の短いものから300字程度の中くらいのもの、そして500字を超える大論述と呼ばれる3パターンにおよそ分類されます。そのどれもが基礎知識の習得を前提としており、具体的にはセンター試験の過去問などで安定して8割が取れるまでは基礎知識の習得に進めるべきでしょう。
論述問題の具体的な対策として、以下のアプローチがあります。
論述問題対策
勉強の観点 | 対象 | 使用教材 |
①頻出論点を抑える | 全ての論述問題 | 教科書、過去問など |
②書き方を抑える | 東大,京大,一橋など最難関国立 | 過去問など |
①について説明していきます。世界史に限った話ではありませんが、論述問題には頻出問題が存在します。そして世界史の論述問題のほとんどはこの頻出問題をできるようにすることで得点できます。
では、どうすれば頻出問題を知り、得点できるようになるのか。まずは問題集や過去問で出題されている問題の模範解答を自分のノートに模写しましょう。自分で解答を考える必要はありません。そして、その解答の知識は教科書のどの部分に記載されているのか、資料集ではどのように記載されているのかを調べマークしましょう。
この勉強法の目的は2点あります。1点目は、模写を通して頻出問題リストを作っていくこと。そして、教科書などにマークすることで、問題の着眼点を学べることです。作成した頻出問題リストは何度も復習することで問題を覚えていき、教科書もマークした箇所を中心に復習することで、他のマークしていない箇所ではどういった点が出題されそうかを考えることができます。
志望校の過去問が少ないようであれば、『世界史論術練習帳New』の付録部分や、慶應義塾大学経済学部、中央大学法学部などの問題を利用すると良いでしょう。東京大学第2問なども力がついてきた場合には、問題も豊富であることからもオススメです。
②についても説明をします。先に頻出問題ができればほとんどの問題は解けることを説明しました。しかし、一部の国立大の問題は頻出問題の理解だけではあまり得点できません。では、あとは何が必要なのでしょうか。
新しい知識が必要なのではなく、必要なのは「論述力」です。言い換えれば、「問題の要求にしっかり答えること」です。この点に関しては先に例を出した方が良いので、以下に例を掲載します。
例
問題1 アヘン戦争の経緯に留意しながら同戦争の意義を答えよ。 問題2 アヘン戦争の意義に留意しながら同戦争の経緯を答えよ。 |
上記の2つの問題で求められる知識は変わりません。さらにその知識の難易度も平易なものです。しかし、この2つの問題の模範解答は同じものにはなりません。それはそれぞれの問題が最も聞きたいことが「経緯」であるか、「意義」であるかの違いに起因するものです。問題1では「経緯>意義」と力点が読み取れる構成で書けば減点される可能性がありますし、問題2では当然逆のことがいえます。
この対策としては論述問題集の解説やポイントを理解し、過去問演習で身につけていく他ありません。しかし、この点は他の科目の勉強にも活きる視点であるので、地道に取り組んでいきましょう。メモの取り方などを意識することも視点を養う上で効果的といえます。
こうした視点が求められる大学は東大、京大、一橋などの最難関国立大に限られます。他の大学でも部分的に求められますが、全ての問題で注視すべき程ではないので、これらの大学を志望する生徒以外は余裕があれば取り組めばよいでしょう。
用語集の勉強法
また、用語集についても触れます。用語集は早慶の世界史でアドバンテージを得たい場合や、東大などの最難関国立大学を志望する場合に有用になります。早慶を志望する際には単純に用語暗記を進める必要があります。基本的な事項が完全に演習でも使える知識になった後に使用します。教科書や一問一答には載っていない用語を知ることができます。とはいえ、基本事項の復習の方が比重は高く設定することは忘れないようにしましょう。
最難関国立大学対策としては、やはり基本事項は理解したことを前提に、用語暗記ではなく細かい因果関係の把握のために使用しましょう。基本用語の説明事項でも見落としていた因果関係が記述されていることがあり、そうした因果関係の把握は論述問題で出題されることがあるためです。
MARCH関関同立を目指す受験生も、用語集は辞書として、持っていることをお勧めします。問題演習や過去問演習の際に、間違えた用語を、一問一答や教科書で復習するだけでなく、別の角度からも理解するために、用語ごとにまとめられている用語集でも確認すると定着しやすくなります。
また、用語集は単語を難易度別に分類してくれているので、間違えた単語を合格するために覚えておくべきか、覚えなくて良いかの判断根拠にもなります。
STEP4 過去問分析→過去問演習
世界史の流れを理解し個別の用語も覚え、入試問題に即した用語の捉え直しが終われば、ついに過去問に取り組む時期です。志望校の問題形式や傾向を確認し、実際に解いていくことで志望校の求めるレベルに対してどこが足りていないのかを洗い出しましょう。
過去問に取り組む際に注意したい点は「分析」という視点です。多くの受験生が過去問を解くだけになってしまっています。解くだけの演習が推薦できない理由は一つ前のSTEPでも述べました。過去問演習では解くだけでも回数を重ねるうちに点数が上がることが多く、ついつい解くだけの学習に陥りがちです。しかし、点数が上がっている理由は単純な慣れの問題です。志望校の形式に慣れることはもちろん過去問演習の目的の一つではあるのですが、同じくらい重要視したい目的が「分析」にあります。以下では、こうした過去問における「分析」とはなにかを説明していきます。
過去問分析において「分析」とは何を指すのか。それは問題はどのレベルを、どの視点から作っているのか、ということを明らかにしていく作業です。もちろん、赤本を購入すれば問題の傾向や対策について丁寧な説明が掲載されています。また、難関大学であれば予備校の講座や高校の先生から出題傾向やどこを勉強するか詳細なアドバイスがもらえることもあります。現代ではインターネットに無料で有益な情報があることも少なくありません。こうしたことを考えると、自ら分析をする必要というのはあまりないようにも思えます。
しかし、人から聞いた情報と自ら見つけ理解した情報は大きく異なります。人から聞いた情報は導入としては非常に優れていますが、話し手と聞き手の理解が同じになることはありません。大抵の場合は話し手の意図を聞き手が受容しきれない状態になります。つまり、結局のところ、自分で腑に落ちる経験をしないといけないのです。
分析の具体的な方法ですが、前のSTEPにおけるどの点が出題されているのかを自身の参考書で調べマークしていく方法と同じ作業です。「問題を解くときに悩んだ問題をチェックしていく → 答え合わせを自分で調べながら行っていく → 悩んだ問題と間違えた問題は参考書にマークやメモを残していく → 解説を熟読 → 日常学習で振り返る」、この一連の流れを一題一題丁寧に行っていきます。この過程を通して、出題の傾向や着眼点が理解できます。人から聞いた情報があればより早く傾向に気づけるでしょう。
過去問は何年分、また何周すればよいでしょうか。もちろん、受験校の数や時期によることは間違いありません。しかし、ここでの答えは「あるだけやるべき」になります。一つ一つの問題を丁寧に行った上でやれるだけ行うべきです。また、最低2周はすることを推奨します。過去問は復習しなくても良いとする意見もありますが、多くの大学では同じ知識が繰り返し出題されることが多いことなどから復習することが良いでしょう。
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