公募推薦を受けるか迷ったら、まず「合格したら通いたい大学か」「第一志望の勉強と対策を両立できるか」「入学手続の期限と費用をどうするか」を並べて考えましょう。早めに進学先が決まる安心だけでなく、そのために使う時間とお金も確認してから決めます。
記事執筆者:朝倉(アクシブアカデミー宝塚校 プロコーチ)|プロフィール
受験の相談では、公募推薦を受ける大学だけでなく、その後の一般選抜に向けた勉強も一緒に考えます。今回は、受けるかどうかを家族や先生と相談するための順番を整理します。
目次
名前だけで受け方を決めない
公募推薦という名前を見ても、ほかの大学と併願できるとは決めつけないでください。「専願」は合格した場合にその大学へ入学することを条件とする方式、「併願」はほかの大学も受験できる方式として使われます。実際の条件は、受ける大学・方式の当該年度の募集要項で確認します。
また、名称だけで推薦書や成績の条件を判断しないことも大切です。たとえば甲南大学の2027年度公募制推薦【教科科目型】は、学校長の推薦書を不要とし、専願制ではないと明記しています。これは一つの方式の例です。自分が受ける方式の「出願資格」「選考方法」「入学手続」をそれぞれ開いて確認しましょう。
合格したら通いたいかを先に考える
第一志望より入りやすそうだから、という理由だけで候補を増やすと、合格しても進学するか迷うことがあります。学びたい内容、通学や生活、学費を見て、「第一志望に届かなかった場合、この大学へ進みたいか」を言葉にしてみてください。
まだ決められないなら、どこで迷っているかを書きます。学部の内容が分からないのか、通学が心配なのか、もう一年受験勉強を続けることも考えているのか。理由を分けると、家族や先生に何を相談したいかがはっきりします。
早めの合格が、その後の勉強をどう変えるか
併願できる方式で進学先を確保できれば、その後の受験校を絞り、第一志望の対策に時間を使える場合があります。一方、公募推薦の対策に新しい科目や問題形式の練習が必要なら、その時間も見込まなくてはいけません。
候補校の過去問を見て、試験科目と問題形式を確かめます。第一志望に向けて今やっている勉強が使える部分と、追加で準備する部分を分けてください。試験までの日数を見ながら、追加対策と普段の復習を予定へ入れられるかを相談します。公募推薦なら簡単に受かる、とは考えないようにしましょう。
試験日と一緒に、入学手続の期限を見る
日程表には、出願締切、試験日、合格発表日、入学手続の期限を記入します。出願の締切では、登録だけでよいのか、支払い・書類提出まで必要なのかも募集要項で確認してください。
特に見たいのは、公募推薦の手続期限が第一志望の合格発表より前かどうかです。先に納付が必要な場合、何をいつまでに支払うのか、辞退すると何が返還されるのかを大学の案内で確認して家族と相談します。大学や方式によって扱いが違うため、一律に「全部返る」「全部戻らない」と判断しません。
「先に必要なお金」と「辞退しても戻らないお金」を分ける
ここは、家族と相談するときに分けて書いておきたいところです。あとで返還を請求できるお金でも、手続の期限までに一度納付する必要があるかもしれません。最終的な負担だけを見るのではなく、その日にいくら用意するかも確かめましょう。
例えば、甲南大学の2027年度公募制推薦【教科科目型】の要項では、第1次手続で入学金、第2次手続で前期分学費・諸費を納める流れを案内しています。入学金は返還されず、前期分学費・諸費は、定められた条件と期日までに辞退を申し出た場合に返還を請求できます。これは同大学の当該方式の例です。別の大学にも同じ扱いを当てはめず、それぞれの要項と入学手続の案内で確認してください。
候補校ごとに、次の四つを一組でメモすると相談しやすくなります。
- 納付期限と金額:手続が複数段階なら、段階ごとに何をいくら納めるか。
- 第一志望の合格発表日:その結果が出る前に、どの納付期限が来るか。
- 辞退時の扱い:返還されない項目と、条件を満たせば返還を請求できる項目。
- 申請方法と期限:どこで、いつまでに辞退・返還の手続をするか。返還時期も確認する。
複数校の納付が重なる可能性があるなら、それぞれの期限を並べて、その時点で必要な合計額を家族と確認します。戻る予定のお金を次の大学の納付に使えると決めつけず、返還時期が分からなければ入試窓口へ確認しましょう。金額や期限の空欄は推測で埋めず、調べる項目として残してください。
対策時間は、試験までの予定へ実際に入れる
過去問を見て必要な準備が分かったら、試験までの週ごとの予定に置きます。「公募も受ける」と決めるだけでは、毎日の勉強は変わりません。何曜日に過去問を解き、どこで間違いを直し、いつ苦手範囲を復習するかを書いて、学校の課題やほかの科目の予定と重ならないか確かめます。
公募推薦で使う科目と、一般選抜で使う科目が同じでも、問題の形式や配点が同じとは限りません。たとえば英語で文法の独立問題が多いのか、長文の比重が大きいのかを、当該方式の過去問で見ます。今の教材で身につけた内容を使える部分と、追加の練習が必要な部分を分けましょう。
時期別の受験戦略の考え方では、試験が近づいたとき、受ける試験で必要な科目に力を集めることも検討します。ただし、公募推薦で使わない科目を、全員が一律に止めるという意味ではありません。第一志望の配点や今の学習状況、推薦の試験後に戻れる時間を見て、何を維持するかも決めます。
対策を増やすなら、今の予定のどこを変えるかまで決めることが必要です。追加の準備を見込んだ結果、第一志望の必須科目の基礎が大きく遅れるなら、受ける方式や候補を見直す相談もできます。受けるかどうかを、気持ちだけでなく予定に置いて考えてみましょう。

合格した場合と、しなかった場合を先に考える
推薦の結果が出る前から、二つの次の予定を用意しておきます。合格した場合は、入学手続をするか、その後も受験できる条件か、一般選抜でどの候補を残すかを確認します。手続の期限があるため、結果が出てから大学を調べ始めると、考える時間が短くなることがあります。
不合格だった場合も、学んだ内容がすべて無駄になるわけではありません。試験でどこに時間を使ったか、復習が必要な範囲は何かを振り返り、一般選抜の計画へ戻します。ただし、受ければ必ず本番慣れになる、早く合格すれば必ず勉強が続く、といった効果は約束できません。自分の準備と予定に合わせて判断しましょう。
家族と相談するときは、「受かったら進みたいか」と「進学先を確保したうえで第一志望も受けたいか」を分けて伝えます。その希望をかなえる方式かどうかを、募集要項の条件で確認してください。専願の条件がある方式では、合格後の考え方が変わります。
募集要項の分からない欄は、質問にして残す
要項のページを開いても、出願資格や手続の表現が分かりにくい場合があります。そのときは、該当ページと分からない文を残して、学校や塾、必要に応じて大学の入試窓口へ確認します。「推薦だから評定が必要なはず」「併願だから手続は後でよいはず」と、名称から条件を補わないようにしましょう。
候補校ごとに、出願できる条件、試験科目、追加対策、各期限、必要な費用を並べます。まだ分からない欄は、調べる項目として残します。条件を確認し、対策を予定に入れ、結果後の動きも考える。この三つがそろった状態で、受けるかどうかを相談してください。
受ける場合と受けない場合を並べる

紙に二つの予定を書いてみましょう。「受ける場合」には、追加対策、試験日、必要な費用、合格した後の手続きを書きます。「受けない場合」には、一般選抜で受ける候補と、進学先をまだ確保していない状態でどう勉強を進めるかを書きます。
早めに合格がある方が落ち着いて勉強できそうな人も、試験を増やさず第一志望の対策を続けたい人もいます。どちらが自分に合うかを、希望・今の学習状況・費用から考えてください。まずは候補を一校選び、募集要項と過去問を手元に置いて相談するところから始めましょう。
参考:甲南大学 2027年度公募制推薦【教科科目型】入学試験要項。制度例の確認日:2026年10月9日。受験する際は各大学の最新の案内を確認してください。
記事執筆者

朝倉|アクシブアカデミー宝塚校 プロコーチ。
1年間の浪人を経て大阪教育大学へ進学し、参考書を使った独学で受験勉強に取り組む。現在は、宝塚校で一人ひとりに合わせた進路指導・学習指導を行っています。
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