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共通テスト物理基礎の特徴
文系受験生が共通テストで選択する理科基礎と呼ばれる科目群は、身近な諸現象を取り上げる中でその背後にある実感しづらい科学的な概念や法則を意識することがテーマとして挙げられています。
共通テスト作成方針にも
「日常生活や社会との関連を考慮し,科学的な事物・現象に関する基本的な概念や原理・法則などの理解と,それらを活用して科学的に探究を進める過程についての理解などを重視する」
という文章を見ても、日常生活との関連が強く意識されていることがわかります。
また、令和3年度大学入学共通テスト問題評価・分析委員会報告書によると、「物理基礎は,身の回りの事物・現象に関心をもたせ,日常生活や社会との関連を図りながら, 科学的に探究するために必要な資質・能力を育成する科目である」とあります。単なる暗記力だけではなく、思考力も問われているのが物理基礎の特徴です。
センター試験からの変化
問題 | 第一問 | 第二問 | 第三問 | 合計 |
共通テスト(2022年) | 小問集合 4問 | A電気 2問 B電気 2問 | 熱、力学、電気 8問 | 16問 |
共通テスト(2021年) | 小問集合 6問 | A波 3問 B電気 3問 | 力学 5問 | 17問 |
センター試験(2020年) | 小問集合 5問 | A波 2問 B電気 2問 | A力学 2問 B力学 2問 | 13問 |
センター試験(2019年) | 小問集合 5問 | A波 2問 B電気 2問 | A力学 3問 B力学 2問 | 14問 |
出題範囲や問題構成についてあまり変化はありませんが、問題量が若干増えています。
大学入学共通テスト問題評価・分析委員会報告書によると、
「本年度から,共通テストとなり,これまでのセンター試験から,より思考力・判断力・表現力 等を発揮して解くことが求められる問題を重視して出題されることとなった。「物理基礎」においても,出題趣旨にのっとって,日常生活の現象を適切に扱っている問題が多く,実際に探究的な活動を想定しながら出題する傾向が強く見られた。」とあります。
例えば左下の画像のように、ただ計算するだけではなく、実際の事象と絡ませ物理の原理を問うものがみられました。また、右下の画像のように、実際の事象を使った計算問題が増加している傾向にあります。このような問題はセンター試験にはあまりみられませんでした。単純な知識問題だけではなく、物理に対するより深い理解と思考力が問われるようになったと考えられます。
共通テスト物理基礎の構成
第一問 小問集合
力学、電気、波動、電磁波(暗記分野)、熱など様々な範囲から小問として出題されています。難易度は高くありませんが、全て表やグラフ、図を通して考えさせる問題であり、基本的な知識を正しく理解した上で思考力を働かせなくてはなりません。これらの資料を正しく読み取るためには、インプット中心の学習だけでは対策不足になりがちであり、演習を積む必要があります。演習問題集や過去問を用いてその場での対応力を意識した学習を組み込むようにしましょう。
第二問 電熱線の発熱量について
直列、並列による電流の流れ方の違いや、抵抗電圧、消費電力について問われました。
Aでは実験例の結果から正しく内容を理解しているか問う正誤問題が中心でしたが、二問とも組み合わせ式の問題でした。つなぎ方の違い、電圧、電流、抵抗、発熱量の関係性について正しく理解する必要がありました。
Bでは実際に計算を必要とし、2021年度には見られなかった文字式を用いて答えさせる問題が出題されました。電力量についてその求め方だけではなく電力がスカラー量であることなど、きちんと正しい理解を持っているか確認する問題でした。
第三問 熱、力学、電気
A、Bのように章分けはなされませんでしたが、異なる材質で作られたスプーンをテーマに、熱、力学、電磁気という異なる物理的性質を通じた考察を行う融合問題でした。とはいえそれぞれの設問での関連は薄く、独立した問題として解くことが可能であったため、特に融合問題としての深い理解が求められるわけではなかった印象です。
長い会話文や様々なシチュエーション、図や表が用意されており、資料に対する読み取り能力と基本的な知識を正確に理解しているかどうかが問われました。
また、(2)は質量や重力、浮力といった力の関係性について正しい理解を求める問題でしたが、このように複数の概念を正確に把握し、それぞれの関係性について理解しておくことは物理基礎における重要なポイントです。
共通テスト物理基礎の対策
共通テストで物理基礎を利用する場合の勉強法について説明します。
物理基礎の全体のボリュームは比較的軽いため共通テスト直前に詰め込んでしまうことも可能ですが、こなさなければいけないタスクに追われがちな試験直前では最後まで手に付けられないという受験生も多く、基本的な知識事項の習得は大切ですが演習量を確保する必要があるため、他教科との兼ね合いを意識した計画的な学習が必要です。
最も安定した勉強ルートは学校のカリキュラムを軸に計画的に進めていくことです。年単位で少しずつ進めていけば日々の勉強時間はかなり少なくて済む上、十分な演習量も確保できます。
また、共通テスト物理基礎で特に重要となるのは過去問演習です。上記で述べたように、共通テストはセンター試験に比べて、ただ計算させるだけではなく考えさせる問題が増えました。しかしながら、問題形式や範囲、また内容も大きく変わったわけではありません。過去問や同形式の問題集を通じて共通テスト物理基礎の特徴的な考え方やレベル感を身に着けていくことが大切です。
高1・高2の対策方法
高1高2から物理基礎の勉強を始める場合、物理基礎の範囲は高2までに終わることになる場合がほとんどです。定期試験などをペースメーカーとして活用して、高得点を意識して勉強することが大切です。学校で配布されている教科書などを中心に学習を進め、教科書傍用問題集で演習をすることが基本になるでしょう。教科書や授業でわからない所については別途理解本を利用することも効果的です。
高2秋の共通テスト模試では8割の得点を目標に改めて復習を行いましょう。高3で他の教科の勉強時間を確保するためにも、早い段階から共通を意識して学習を進めていきましょう。
受験生の対策方法
高2までに理解本もしくは教科書、また傍用問題集のすべての範囲を終わらせていることが理想ではありますが、物理基礎は受験生になってからでも十分対応はできます。
- 基本事項を理解するための参考書(理解本)や教科書で基礎知識を習得する
- 問題集を使って、①で習得した基礎知識を基に問題を解く力を養う
- 過去問に挑戦
物理基礎では、その発展科目の物理に比べ、条件が容易で分かりやすく、イメージしやすい問題がほとんどです。そのため、①で基礎知識を習得した後にそのまま③の過去問演習に入って構いません。あいまいな理解のまま演習に移ってしまうとその後の成長速度も遅くなるので、最初に理解本をしっかり読み込んでから演習に移りましょう。知識確認も兼ねているため、わからなかったところや曖昧だった箇所は理解本に戻って必ず復習しましょう。また、共通テストは過去の問題と類似の問題が出題される傾向が強く、典型的な思考パターンや解き方を掴むことを意識することで本番での対応力も向上します。実際に試験を受けている想定で解くようにしましょう。
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