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共通テストの特徴
大学入試センターから発表された共通テスト国語の問題作成方針には
「言語を手掛かりとしながら、文章から得られた情報を多面的・多角的な視点から解釈したり、目的や場面等に応じて文章を書いたりする力などを求める」
とあります。現代文もその一環であり、文章をミクロ、マクロ両方の視点から的確に読み取る能力が重視されていると言えます。
共通テストでは評論文と小説文が一題ずつ出題される構成になっており、それぞれ5〜6問の設問があります。設問としては漢字・語句問題から内容説明問題までバランスよく出題されることが特徴です。
センター試験との違い
問われていることには本質的に大きな違いはありませんが、出題形式に多少の変更があり、より論理的思考力を意識した構成になっています。大きく挙げられるのは以下の二点です。
①関連する複数の問題文
令和四年度の共通テストでは、関連するテーマの文章が二つ出題され、より多角的かつ本質的な理解が求められた。
②図や表の使用
図や表を用いて本文の内容を整理し直す形で理解を問う問題が出題された。
いずれにしてもより本質的な理解を目指した変更であり、文章全体を通じたマクロな視点の重要性が増しました。
また、令和四年度の共通テストではセンター以降出題され続けてきた語句問題が出題されず、漢字問題も数が減るなどより内容重視の問題になりました。
共通テストの構成
共通テスト国語は全4題で80分、そのうち二題が現代文となっています。残りの二題の古文漢文に比べボリュームが多く時間を取る現代文にかけられる時間は、約40〜45分に収まることが多いです。
例:2022年の場合
大問一(評論) | 大問二(小説) | |
問題数 | 6問 | 5問 |
配点 | 50点 | 50点 |
文字数 | 6400字程度 | 7100字程度 |
特徴 | 「食べる」ことをテーマに二つの異なる文章が提示され、それぞれ文章中の傍線部について問う内容説明問題が中心で、最終的には両文章の比較も求められた。(1)では漢字、語彙問題が出題された。 | 文法問題の出題はなく、傍線部に関する内容説明問題が中心であった。最終問題である(5)では生徒のメモという体でまとめられた図を中心により進んだ本文の解釈や内容理解を求められた。 |
漢字問題
(例:2022年共通テスト)
(ⅰ)傍線部(ア)(イ)(エ)に相当する漢字を含むものを、次の各群の①~④のうちから、それぞれ一つずつ選べ。
(ア)カジョウ …①ジョウチョウな文章 ②予算のジョウヨ金 ③汚れをジョウカする ④ジョウキを逸する
カタカナで指定される部分は複数の同音異義語が存在する場合もあり、前後の文脈から正しい単語と漢字を選ぶ必要があります。選択肢①~④でも同じように前後に文章が続くため、こちらも同じように判定する必要があります。指定される単語はあくまで標準レベルのものがほとんどであり、高校修了レベルの語彙力、漢字力が有れば問題はないでしょう。ただし得点の安定しにくい共通テスト現代文では漢字、語彙問題は必ず取る必要のある問題です。苦手意識のある人は漢字問題集を使った対策をするようにしましょう。
語彙問題
(例:2022年共通テスト)
(ⅱ)傍線部(ウ)・(オ)とは異なる意味を持つものを、次の各群の①~④のうちから、それぞれ一つずつ選べ。
(ウ)襲い … ①ヤ襲②セ襲③キ襲④ライ襲
これらはどれも同じ「襲」という漢字を含む単語ですが、それぞれの単語内で「襲」の示す内容は違っています。「襲う」という意味で用いられる①③④に対し、②の世襲は「身分・財産・職業などを、嫡系の子孫が代々受け継いでいくこと。(デジタル大辞泉)」であり、ここでの「襲」は「受け継ぐこと」を意味しています。ポイントは漢字の意味を示している訓読みです。②の「襲」は「襲ぐ(つぐ)」の意味を持っています。漢字と単語の意味について正しく理解しているか問う問題です。
内容説明問題
(例:2022年共通テスト)
傍線部B「(略)」とあるが、それはどういうことか。その説明として最も適当なものを次の①~⑤のうちから一つ選べ。
共通テストの内容説明問題は、様々な指示や指定がされている場合もありますがかなり標準的な問題形式をとります。文章を正しく理解していれば特に問題はないでしょう。明らかに異なる選択肢のほかに正答か判断がつきにくい選択肢も存在していますが、文章の内容から飛躍していないか、強い断定やかなり無理のある考察をしていないか、足りない要素が存在していないかに気を付けていけば正しい選択肢はきちんと判別できるでしょう。
選択肢は問題文を読む前に見てしまうと誤った解釈の原因となるため、少なくとも傍線部前後まで文章を読んだうえで問題に取り掛かるようにしましょう。
発展的な内容説明問題
(例:2022年共通テスト)
共通テスト現代文では、文章の内容をまとめた図やメモを用いて新しい視点から文章の内容を検討する問題が出題されます。問題のテーマは意見や文章の相違点、心情の推移など、文章の内容をよく理解する必要のあるものです。一般的な内容説明問題への対策に加え、このような問題も過去問や対策問題集を通じて慣れておく必要があります。
共通テストの対策
共通テストの現代文は文章、設問ともに標準レベル以上のかなり骨のある問題が出題される上、スピードも要求される試験です。段階を踏んで受験現代文の読み方、解き方を身に着けたうえで、共通に適した読み方、解き方も意識した演習を行っていきましょう。
共通テスト現代文で得点するために特に必要な要素は
【読解】
①評論文的な堅い文章に慣れる
②全体的な視点で読解できるようになる
【設問】
③選択肢問題に対する正しいアプローチ
④漢字問題で落とさない
読解
共通現代文読解でポイントとなるのは読解速度です。共通テストで出題される現代文二題に割ける時間は80分中40分前後、一題当たりおよそ20~25分ですが、文章量、文章難易度から読解に時間を使いすぎてしまい設問を解く十分な時間が残らないことが失敗してしまう要因の一つです。
①評論文的な堅い文章に慣れる
大学受験現代文の難しい文章をきちんと読めるようになるためには、受験現代文特有の語彙や頻出テーマを捉えておく必要があります。わからない用語や表現が多ければ多いほど読解の理解度や速度は失われ、頻出テーマを一通り抑えていれば全体的な読解の助けになります。キーワード集を用いて現代文単語やテーマについての短い文章を読みながら頻出の概念について理解を深めましょう。
②全体的な視点で読解できるようになる
長い文章を短い時間で正確に読み通すには、細かい部分に注目した読み方ではなく、マクロな視点で文章全体を意識した読解をする必要があります。ここでマクロな視点で読むとは、文章構造を意識して読むということです。
全ての文に全力を注ぐのではなく、今著者が何を言っているのかを捉えようとすることが大切です。具体例を示している部分は速度を上げ、筆者の主張が述べられている部分はスピードを落として正確に読み取ろうとすることは直接読解速度の向上につながります。それだけでなく全体的な視点で著者の主張やそこに至る流れを理解することは文章読解の根幹を問う共通テストでも重要な設問要素となるため得点を伸ばすためには特に重要です。
設問
③選択肢問題に対する正しいアプローチ
全問選択式である共通テストでは、複数の選択肢から最も的確な解答を選ばなくてはなりません。受験現代文で問われる本質的な実力に加えて、選択式の問題形式に対応した演習を積む必要があります。具体的には、過剰な表現に敏感になること、要素の過不足に注目することなどが挙げられ、明らかな間違いから消していく消去法が効果的です。
④漢字問題で落とさない
共通テストでは必ず漢字問題が出題されます。点数が比較的安定しにくい現代文では落としたくない問題です。漢字用の参考書を使って一度まとめて終わらせてから、演習や定期的な復習を通じて確認していくことが大切です。要求されているレベルは高くないため、標準レベルの知識を完璧に仕上げましょう。
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