英文法のインプットは英単語と並行して学習していきます。なぜなら、英文を読むには英文法の学習が非常に重要だからです!英文は単語と演習量だけで読めるようになる!と言う人もいますが、あまり本質的ではありません。私たちは第一言語である日本語を文法学習なしに習得したかもしれませんが、今からは第二言語(以降)としての英語を日本語で学びます。そこで「英語を日本語で短期間に学ぶ」ためにものすごく優秀なガイドを果たしてくれるのが「英文法」です。
英文法を学べば品詞や文型がわかるので、英単語や熟語が非常に定着しやすくなるうえに、複雑な話をしている初見の英文だって正確に読めるようになります。初期段階に英文法をどれだけ身につけられるかが、今後の学習の質を左右するので気合を入れて頑張りましょう!もし英語の学習ルートや参考書ルートの記事を読んでいない方は先に2つの記事に目を通してから、この英文法の勉強法内容を読んでもらえるとより理解ができると思います。
目次
文法に必要な3ステップ
まず、文法学習をするうえでは次の3つのステップがあります。
①英文法インプット
単元別に文法規則の仕組みを理解する。
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②文法の識別
①で学習したことを単元横断的に整理する。
※文法の識別については英文解釈の要素と密接な関わりを持つため、英文解釈の勉強法に記載しています。
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(英文解釈や長文読解など)
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③単独問題用の暗記
四択問題形式や整序問題形式などの参考書を使用し、志望校の出題傾向に合わせて文法事項の演習を行う。
※必要な人あるいは時間に余裕がある人のオプションです。
大学受験の英語学習では、早い段階で長文読解に辿り着くことが重要です。そのため、初めて文法に触れる段階では時間をかけて細かい文法事項まで暗記することはせず、読解のレベルにあわせて学習する形での定着を図ります。
ただし、志望校で文法の単独問題が出題される場合や、志望大学のレベルに合わせて文法知識を強化したい場合などは、ある程度長文読解のレベルを上げてから文法の問題集でしっかり演習していきます。
文法学習の初期段階では「理解」が重要
「細かい暗記はしない」と先ほど言いましたが、誤解のないように言っておくと、一応暗記の要素もあります!ただ、それを圧倒的に助けてくれるのが、文法の理解をすることです。
理解とひとくちに言われてもピンとこないかもしれませんが、一見ただのルールに見える文法事項にも、多くの場合「なぜそのようなルールになっているのか」という理屈があります。なぜなら、文法では「英語話者はこういうルールに従って言葉を並べてるんだね〜」というように、英語話者の共有している言語感覚をルール化しているからです。
だからこそ、本当の意味で英語を使えるようになるためには「なぜこういうルールがあるのか(≒言語感覚)」を理解するのがとても重要になります。理解がない状態で暗記を繰り返していてもいずれ限界がくるでしょう。
ただ、文法をしっかり理解する際に、細かい文法事項の暗記と一緒にやろうとすると非常に大変なうえに時間がかかります。そのため、文法の根本的な概要を理解するうちに自然に覚える程度に暗記を留め、実際の文章を読んで知識や理解を体系的に理解し直す(=まとめ上げていく)ときに細かいことを覚えていく…というのが効率的だといえます。
英文法は、英単語と異なって周回数を増やして単純暗記をするやり方が通用しません。とりあえず暗記して、繰り返せば身につくというわけではないのです。
英文法を学習することは英語の読み方を知ることです。英文法を長文読解と切り離して考えるのではなく、あくまで長文読解の基礎中の基礎だということを念頭において取り組みましょう。
文法を理解するには「機能」が大事!
機能を知るってどういうこと?
文法のルールに伴う理屈を理解する…とは言っても、「何を理解するの?」と疑問に思う人も多いでしょう。文法事項の概要を理解する際には、1〜3センテンスほどの短い英文の読み方を知る(=英文の構造を整理する)ための「機能」として英文法を捉えて学習します。機能には必ず付随する目的があるので、その目的を理解することで、英文法が「使える」知識になっていきます。
それでは具体的な、文法の「機能」の例を見てみましょう!例えば、英語の文法事項に「大過去」というものがあります。
I showed her the picture that you had taken at this station.
(私は彼女に、あなたがこの駅で撮った写真を見せました。)
「大過去」とは、何か基準となるような過去の出来事に対して、それよりも以前の話を重ねて言及したいときに使われるものです。上の例文では、”I showed her”(私は彼女に見せた)という過去の話より前の出来事——”you had taken (the picture) at this station”(あなたがこの駅で写真を撮った)という話が同時に行われています。こういったときに、複数の過去の出来事が起きた時系列を明確にするのが「大過去」という文法であり、時系列がより過去である出来事の動詞が “had V(過去分詞形)” になっていることが目印です。
この例文のように、最初に基準となる過去の出来事が示されているので、それに対して「この内容はもっと過去のものなんだよー」と示す形で使っています。これ以外にも “S V before S’ V’ “といった形や “S V, and S’ V’ ” などで接続詞で時系列が示されていれば過去完了じゃなくてもいい、だとか、会話において基準となる過去が話してる相手との共通了解としてあれば過去完了を使ってもいい など細かいルールもあります。
ただ、これらもすべて、この文を読んでいる人(あるいは聞いている人)を想定して、相手に時系列がわかればいいという根本的な目的があります。これを軸に考えると、例外も覚えやすくなりますね!
一方、和訳したものをみると、「あなたが撮った」「写真を見せた」など、表記には何の違いもありません。この、英語にしかない「出来事の起きた時系列を明確にする」という目的をもった規則が、機能としての英文法です。
実は少しだけ暗記も必要!
ほとんどの英文法は目的をもった機能として理解できますが、覚えてしまったほうが早いものや、理解しようとすると深すぎてわからない(そもそも誰もわかっていない)ものもあります。
そのため、こういったものについては暗記事項としてひとまず覚えてしまうというのが良いでしょう。後々、英文解釈などを通して実際に文法を使って復習することで、機能は自然と理解できるようになります。
例えば、自動詞の一覧や前置詞の細かい用法、後ろに動名詞をとる動詞はどれか…などです。
後ろに動名詞(~ing)がとれてto不定詞がとれない代表的な動詞
mind / enjoy / give up / avoid / admit / finish / escape / put off / postpone / stop / suggest
動名詞は過去・現在を表し、不定詞は未来を表すという文法的な違いから、enjoy(〜をたのしむ)はすでにやっていることを楽しむから動名詞しかとれないと理屈はありますが、その理屈を知っているだけで良くて、文法書に出てくるすべての語の理屈を考えると時間がかかってしまいます。文法書に書いていないものを、いちいち「なんでだろう…」などと考えていたら膨大な時間がかかってしまうので、覚えられないものに関しては調べても構いませんが、覚えられるものは覚えてしまいましょう。
なお、具体的な単語ごとの用法などは覚えたほうが早いですが、仮定法や関係詞の使い方、時制などの基本的な文法事項については理解する必要があります。一般的な英文法の理解本であれば、単純な暗記事項はあまり多くなく、基本的なものは機能まで解説されているはずです。総合英語の分厚い参考書だけに載っているような細かい英文法については今は覚える必要はありませんが、使用している英文法の参考書で疑問がある場合は参照するのがおすすめです。
また、「暗記」ではないにしても、理解したことを忘れてしまうようであれば頭に入っているとは言えません。具体的な単語ごとの用法よりも規則の理解に特化しつつも、参考書の確認問題などに答えられるくらいには覚えるつもりで頭に入れましょう。
具体的な学習の流れ
中学英語の確認
英文法インプット教材を見て、内容が理解できないと思ったら中学英語の復習(疑問文の作り方、be動詞など)をしましょう。中学校の内容は高校の英文法インプット教材ははじめに基礎が書いてあるだけで、改めて深く触れることはありません。理解できている前提で進んでいきます。不要であればこの段階は省略します。
いくら理解するといっても「三単現の “s” はなぜつくのか…」などと考え始めると受験勉強では時間が足りません。ここでは英語のマナーくらいに思ってごく少ない中学レベルの基本情報を暗記してしまいます。しかし、中学レベルだからといって気を抜かずにきちんと確認するようにしましょう。英語の基本は中学レベルにまとまっているので、ここが固まっていないと後々響いてきます。
英文法の理解本
《具体的な手順》
①単元(to不定詞、助動詞、など)ごとに理解本を読む。
②例文を書けるようにテストする。
※同じレベルの単語に置き換えて例文を作れるとよい。
③例文を音読する。
※音読自体の質は求めなくていいので、声に出すことで覚えやすくすることが目的。
※もし教材にCDがついている場合は使用する。
もしここで必要なレベルを理解できるようにするために不足があれば、前提となる知識を確認するために中学英語の知識を学び直したり、全体像を掴むためにもっと簡単で短時間でできる参考書を使って、暗記事項を減らしたりと工夫してみましょう。
英文法の識別
先にも述べましたが、英文法の識別は英文解釈の導入ともいえる部分です。詳細は英文解釈の勉強法に記載しているので、そちらを参照してください。
英文法の単独問題集(オプション)
共通テストで文法の単独問題が出題されなくなったため、文法の四択問題用の問題集は基本的に取り組まなくて構いません。長文においてもやたら小難しい文法の知識が要求されることは稀であるため、これ以降は英文解釈などに即して文法を定着させていくことになります。
ただ、上位校を狙う生徒の中には、難しいレベルの文法が問われる場合があります。志望校の傾向に合わせて適宜文法単独の問題集を追加しましょう。私立大学では文法の単独問題が出題されることが多いため、志望する受験生は特に注意して過去問の傾向を確認し、必要な場合は取り組むようにしてください。なお、基礎レベル修得の際はどの生徒も単独問題集には取り組まず、必要な場合のみ、志望校の過去問前に単独問題集を解きます。
ちなみに、ランダム問題集や整序問題など、様々なタイプの問題集があるので、志望校の出題傾向にあわせて選ぶと良いでしょう。
使用する教材について
ここでは高校知識の多くが書いてある総合英文法ではなく、多少知識量は落ちるとしてもとにかく概要が理解しやすい教材を1冊目に選びましょう。理解本はアウトプットではないので、英文法を解説してくれる授業のような教材がおすすめです。
ここでの知識量は非常に多く、全て暗記しようとすると時間がかかってしまいます。熟語や構文、語法などはここで暗記し終える必要はないので、文法事項の理解に専念してください。これらは後々しっかり暗記し、使える状態にしていくということは頭の隅にとめておきましょう。
その他注意点
ひと通り学習が終わり、基礎レベルが修得できた後は単元別に復習していきます。このときは、総合英文法のような分厚い文法書を辞書のようにして適宜使用してください。
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