大学受験にあたり、塾や家庭教師の力を借りる人は非常に多いものです。分からないところや難しいところ、試験の頻出箇所を教えてくれるこれらの選択肢は、受験を戦い抜くうえで、非常に強い味方となるものだからです。
今回は、このような「学校以外での学習の場」のなかから「オンライン塾」を取り上げて、その特徴やメリットデメリット、ほかの学習方法の違いについて詳しく解説していきましょう。
コロナ禍で広がったオンライン塾! それってどんなもの?
オンライン塾とは、その名前の通り、インターネット回線を使って授業をしていく塾のことです。
基本的には生徒は在宅で指導を受けて、講師はインターネットを行使して生徒に授業を教えていきます。ほかの生徒や、講師と対面で会うことなく授業が進んでいくのが特徴です。
また、オンライン塾は、集団授業を基本とするものと、家庭教師スタイルで1対1で進めていくものの2つがあります。
かつて塾といえば、教室に通い、そこで授業を受けるのが一般的でした。これにも多くのメリットがあるのですが、2019年からはやり始めた新型コロナウイルス(COVID-19、以下「コロナ」の表記に統一する)の影響があり、今までの対面形式の授業が難しくなったため、オンライン塾に切り替える塾も増えてきたという経緯があります。「勉強」のように比較的オンライン授業になじむ形態だけではなく、対面でなければ難しい料理教室や英会話教室でもリモート授業が増えたとされていますから、コロナの影響は非常に大きかったといえます。
ただ現在はコロナが第5類になったこともあり、「オンライン塾+一般的な塾」のように、「オンラインで授業も行うが、塾の建物に足を運んでもらってそこで勉強を教えることもできる」などのような複合的なスタイルを採用している塾もあります。
今後もオンライン塾は、一定のニーズを誇り続けることが予想されます。
対面 | 学習方法 | |
---|---|---|
通信教育 | × | アプリor紙で受講可能、ケースによっては映像授業もある |
オンライン塾 | 基本×、教室制度のあるところもある | オンライン授業、録画授業の受講もあれば、リアルタイムでの受講もある |
教室型塾 | 〇 | 紙での授業が基本、塾によってはオンラインでのサポートもあり |
家庭教師 | 〇 | 教材型、生徒が用意する参考書に沿うなどさまざま |
オンライン塾のメリット~「どこでも講義が受けられる」
ここからは、オンライン塾のメリットについて見ていきましょう。
- 通う時間が節約でき、安全である
- 地方と都市部の格差がない
- 費用が比較的抑えめに設定されているケースが多い
- 感染症対策にも有効
- 繰り返しの学習ができる
- 塾では緊張してしまう子もリラックスして受けられる
一つずつ解説していきます。
通う時間が節約でき、安全である
オンライン塾を利用しているご家庭にとったアンケートでは、「オンライン塾にした決め手は何だったか」という質問に対しての答えは、「送迎がなくなるから」という理由が1位を占めていました。
送迎の負担は意外と大きく、比較的「近場」として扱われる自宅から15分の距離であっても、保護者が送るとなれば、家→塾、塾→家(塾に行く)+家→塾、塾→家(塾から帰る)と、1時間もの時間がかかります。近場でかつ高校生の場合は子ども1人で通わせることも考えられますが、そうした場合、「夜に子どもを1人で歩かせるのは不安だ」という気持ちを持つ親御さんもいることでしょう。また、受験前の大切な時期に、風邪をひく可能性があります。加えて、通塾にかかる時間は、勉強時間を確保したい時期には「負担」としてのしかかります。
オンライン塾や通信教育にして自宅で授業を受けるようにすれば、このような心配がありません。
出典:PRTIMES(株式会社スプリックス)「送迎不要の「オンライン学習塾」のニーズが増加、自らの意思でオンラインを選ぶ子どもも多くなり、これまで以上にオンライン学習塾が一般化
オンライン個別指導塾「そら塾」:保護者に向けたオンライン学習塾に対するアンケート調査を実施」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000067.000045711.html
地方と都市部の格差がない
都心部で生活している人の場合は、塾もオンライン塾も家庭教師も選びたい放題です。費用はかかるものの、望めば現役医大生や東大生などから直接指導を受けることもできます。そのため、「高いレベルの大学を受験したいが、教えてくれる講師がいない」「近くの塾では、授業の内容が物足りない」となることはほとんどありません。
しかし人口の少ない地方の場合、「お金を出しても、そもそも指導に来てくれる人がいない」「高いレベルの授業をしてくれる塾がない」という状況に陥ることがあります。このような教育格差は非常に大きく、地方では選択肢が非常に少なくなります(あるいはまったくありません)。
しかしオンライン塾や通信教育を選べば、日本全国、どこからでも同じ質の授業が受けられます。高いレベルの講師をそろえているところのなかにはオンライン授業を積極的に行っているところもあるので、このようなところを利用すれば、「住んでいる地域による教育格差」というディスアドバンテージを大きく縮めることができます。
費用が比較的抑えめに設定されているケースが多い
オンライン塾も家庭教師も教室型の塾も、その費用にはばらつきがあります。たとえば同じ「高校3年生の塾」であっても、医大や超難関大学を狙う人のためのものか、授業についていくためのものかで、費用は大きく異なります。またコマ数や時間によっても左右されますし、特別学習を行うのか、マンツーマンでの指導なのかそれ以外なのかで費用も変わってきます。そのため、実際に比較するときには、候補となっている塾の費用をきちんと見比べることが大切です。
ただ、そのうえで、まとめて解説するのであれば、オンライン塾は教室型の塾や来訪型の家庭教師よりも費用が安く抑えられる傾向があるといえます。
データによって違いはあるものの、通信教育は1年でかかる費用40000円程度、がオンライン塾の場合は1年でかかる金額が15万円程度、教室型の場合は20万円程度、家庭教師の場合は32万円程度が相場です。
つまりオンライン塾はほかの方法に比べて、負担費用がかなり少なくなります。もちろん形態にもよりますが、家計に寄り添ってくれる選択肢だといえます。
出典:スタディサーチ「高校生の通信教育の費用、選ぶ時のポイント、おすすめの通信教育について」
文部科学省「結果の概要―令和3年度子供の学習費調査」
https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-100012573_3a.pdf p15
塾選「【2025年最新】高校生におすすめのオンライン塾20選!授業内容から費用まで徹底比較! 」
https://bestjuku.com/article/3997/
家庭教師のアーチ「家庭教師の相場は高校生だといくら?費用のポイントとお得な選び方を紹介します! 」
https://k-arch-fukuoka.net/archives/8445
家庭教師のあすなろ「【家庭教師の料金相場】3つの視点で料金の仕組みを詳しく解説」
https://www.seisekiup.net/box/62/
感染症対策にも有効
もともとオンライン塾が流行し始めた理由のひとつとして、「コロナ」がありました。
ただ、恐い病気はコロナだけではありません。受験直前の時期である冬にはインフルエンザや風邪の罹患率も非常に高まります。教室型の塾であったり、多くの生徒に教えている家庭教師からの対面の指導であったりした場合は、ほかの生徒や講師が罹っている感染症が移るリスクも高くなります。また、塾に行くための電車の中などで、風邪を移されてしまうかもしれません。
学校や買い物にも行くため、オンライン塾にしたからといって、感染症になるリスクをゼロにすることはできません。しかしオンライン塾を選ぶことで、感染症に罹るリスクを下げられるのはたしかです。
繰り返しの学習ができる
録画が可能なオンライン塾を選んだ場合、多くのケースで、「見たいときにいつでもその授業を見られる」という状況を作ることができます。そのため、自己学習をしているときに詰まったら戻って授業を見たり、重要なところで映像を止めて再度確認したりすることができます。これは、教室型の塾にはないメリットです。
また、受験時は多くの人が夜まで学習をします。家庭教師に来てもらっていても、家庭教師が帰った後にわからない点が出てしまうこともあるでしょう。そのような、「夜中に起こる『分からない!』」に対して、丁寧に寄り添えるのもオンライン塾の強みです。オンライン塾の録画映像ならば、夜中でも早朝でも、自分が必要と思ったタイミングですぐに授業を受けられます。
塾では緊張してしまう子もリラックスして受けられる
教室型の塾での団体授業(少人数授業であっても、ほかの子がいる状態)では、緊張してしまうという生徒もいます。
「分からないところがあったら質問してください」と講師が呼び掛けたとしても、「こんなことを質問して、授業を止めたらほかの子の迷惑になってしまうのではないだろうか」と考える人もとても多く見られます。その結果として、せっかく塾に来ているのに、分からないことが分からないままに進んでしまうということがよくあります。また周りの学習速度と比較して、「自分は遅れている」と落ち込んでしまう生徒もいます。
しかしオンライン塾の場合、周りに人がいません。
講師とも画面を隔てて向かい合うことになるため、リラックスして授業を受けることができます。
オンライン塾にはデメリットもあり、本人の克己心がキーとなる
上ではオンライン塾のメリットを紹介しましたが、正しく判断するためには、オンライン塾のデメリットにも目を向けなければなりません。ここからは、あえてオンライン塾のデメリットについて解説します。
- 良くも悪くも競い合う相手がいない
- 良い意味での強制力がない
- 質問がなかなか難しい状況に陥ることも
- 小さな弟妹がいる場合は、環境管理が難しい
- 計算式などの確認をしてもらいにくくなる
一つずつ解説していきます。
良くも悪くも競い合う相手がいない
オンライン塾の場合、周りにほかの受験生がいません。
もちろん模試の結果などで間接的にほかの受験生と自分の成績を比較することはありますが、定期的(週に1回~)にほかの受験生と顔を合わせる機会はないため、彼らの理解度や情熱を直接知ることはありません。
これは上で挙げた「リラックス効果」をもたらすものではありますが、同時に競争心を失わせるというデメリットもあります。
良い意味での強制力がない
「受験や勉強は自分のためにやるもの」ということは、先生も講師も保護者も受験生本人ももちろん知っています。また、勉強に楽しさを見出す人もいるでしょう。
しかし勉強をしていくどこかのタイミングで、必ず「もうやめたい」「遊びたい」という気持ちは湧き出てきます。参考書に向かい合う気力がなかったり、開いていても別のことを考えていたり、ついうとうとしてしまったりすることもあるでしょう。
しかし教室型の塾では周りの人がみんな真面目に勉強をしていますし、家庭教師の場合は自分を目の前で「見張って」いる人がいる状況になります。そのためこれらが、良い意味での強制力となり、勉強に向かわざるを得ない空間を作ってくれます。
オンライン塾ではこのような「良い意味での強制力」がないため、克己心が強くないと、勉強に向き合うことが難しくなる場合があります。
質問がなかなか難しい状況に陥ることも
上でも軽く触れましたが、オンライン塾では「質問がなかなか難しい状況」になりがちです。
家庭教師の場合は1対1であるため、必ず家庭教師側から「ここまでで分からないことはない?」と確認が行われます。教室型の塾の場合も、講師はすべての生徒の顔を見ていますから、「手を挙げられていないけれど、聞きたいことがありそうな顔をしている生徒」に対して「〇〇さん、何か質問はありませんか?」と水を向けられるケースが多いといえます。
しかし映像・録画型のオンライン塾ならばそもそも質疑応答の時間が設けられていないこともありますし、質疑・応答の時間が設けられているオンライン塾でもおとなしい生徒の場合はなかなか発言ができなくなります。
もっともこれは、1対1のオンライン塾(オンライン家庭教師)を選ぶことである程度対処は可能です。そしてこの方法をとれば、「オンライン塾ならではのリラックスした環境」と、「通信教育のみでは難しいリアルタイムでの質問」の両方のメリットが得られます。
小さな弟妹がいる場合は、環境管理が難しい
オンライン塾のデメリットとして、よく「設備が必要になる」挙げられます。これもたしかに真実なのですが、設備は一度整えてしまえば問題ありません。
むしろ問題は、小さな弟妹がいるご家庭での、「お兄ちゃんと遊ぶ!」「なんでこのお部屋に入れないの」という声や、泣き声やテレビの音などでしょう。
家庭音を遮断するための機能もありますが、小さな子どもの動きを完全に制御することはできません。
また、「家族がいる状況」そのものが集中力を妨げる要因になることもあります。
計算式などの確認をしてもらいにくくなる
現在の通信機器は非常に発達していますが、それでもオンライン塾の場合は講師が生徒の手元を確認することが少し難しく、計算式などの細かい文字を判別されにくくなるという欠点があります。
受験において、途中式は非常に大きな意味を持ちます。
特に数学を受験科目に入れることを考えているのであれば、事前に機器や授業風景の確認、また「手元の計算式の確認はしてもらえますか」などの質問を塾側にしておくとよいでしょう。
ほかの学習方法との違い
ここまで、オンライン塾の特徴やメリットデメリットについて解説してきました。最後に、オンライン塾とほかの学習方法の違いを、比較しながら解説していきます。
高いが「個別での指導」に強い家庭教師、経済的に続けやすいオンライン塾
現在では1対1で教えてくれるオンライン塾もありますが、それでも、より細かい指導を期待するのであれば、対面での家庭教師の方に軍配があがるでしょう。特に医大や超難関校を狙って受験したいという場合は、質の高い家庭教師によるマンツーマンの対面での指導が有効です。
ただこのような、対面でのマンツーマンでの指導は受講料が高くなりがちです。家庭教師を使った場合の1年間の平均支出額は32万円ですが、医大や超難関校の突破を目指した場合、1年間の平均支出額が85万円ほどにまでなる可能性もあります。
しかしオンライン塾ならば、費用は大きく抑えられます。またオンライン塾の場合は交通費などが発生しません。この「交通費」は、ちりも積もれば山となる、の代表的なもので、月に5000円程度も変わってくることもあります。
ある程度長期的に授業を受けたいと考えるのであれば、経済的に続けやすいオンライン塾を選ぶのもひとつの選択肢です。
出典:東大家庭教師友の会「東大家庭教師友の会料金」
https://www.tomonokai.net/price/
表情や手元が見えやすい教室型の塾、安全性が高く教育格差も抑えられるオンライン塾
教室型の塾の場合、生徒の表情や手元が講師からよく見えます。そのため「質問したそうな顔をしている子」を講師が指名して水を向けたり、手元の計算式を確認しながら授業を進めたりすることができます。また、周りに同じ受験生がいるため、競争心がわきやすく、良い意味での強制力も発生します。
オンライン塾が教室型の塾よりも優れているのは、まず「安全性」の面です。
オンライン塾の場合は家で授業を受けられるため、夜の暗いなか(塾が終わる時間は、場合によっては22時を過ぎることもよくあります)で子どもを歩かせる危険性はありませんし、送迎の手間もいりません。また受験生にとっては大敵となる感染症のリスクも減らせます。
さらに、住んでいるところが地方であり、塾の選択肢が狭いという場合も、オンライン塾は有効です。オンライン塾の場合は日本全国どこでも同じ授業が受けられるため、教育格差を小さくすることができます。
もっとも費用が安く済む通信教育、多少の強制力は持つオンライン塾
通信教育もオンライン塾も、「家で受けられる」という点では共通しています。そのため、感染症のリスクを減らし、安全性を高めるという点では、両方とも同じものだといえるでしょう。
通信教育のもっとも大きなメリットは、「費用が非常に安い」ということです。高校生向けの教材であっても3000円程度から始められますし、20000円を超えるプランはそれほど多くありません。要点をまとめたカリキュラムは、試験対策に非常に有効です。
ただ、通信教育はオンライン塾以上に強制力のないものです。「通信教育を始めてみたけれど、熱心にやっていたのは初めのうちだけ」「そのうち、開けてもいない教材が溜まっていってしまった」というケースはしばしば見られます。
オンライン塾で、かつリアルタイムでの配信の場合は、塾や家庭教師ほどではないものの、ある程度の強制力は持ちます。画面越しであったとしても、「まったくやらない」「寝る」という選択肢を取る生徒は決して多くありません。また、オンライン塾の場合はリアルタイムで質問できる環境が整っているところも多く、個々人に合わせた学習プランを講師が一つひとつ作ってくれるところもあります。
費用 | レベル | 質問のしやすさ | 強制力 | |
---|---|---|---|---|
オンライン塾 | 2、比較的安い | 多岐にわたる、全国どこでも同じ授業が受けられる | 3、1対1ならばしやすい | 3、リアルタイム授業なら |
家庭教師 | 4.高い | 多岐にわたる、超難関校や医大を考えている人に適している | 1、非常にしやすい | 1、1対1で見られているので強制力は非常に高い |
一般的な塾 | 3、比較的高い | 自分のレベルによって選べるところが多い | 2、講師が水を向けてくれる塾、マンツーマン指導塾ならしやすい | 2、周りに人がいるので高い |
通信教育 | 1、安い | 重要なところをカリキュラムで学べる | 4、しにくい、タイムラグがあることもある | 4、低い |
※数字は順位
※カリキュラムやプログラム、値段は、それぞれの教育機関で大きく異なるので、確認が必須
オンライン塾のメリットとデメリットをよく把握して、選ぶかどうかを決めよう
オンライン塾は自宅で授業が受けられるため、感染症のリスクがなく、日本全国どこでも同じ質の授業が受けられるうえ、費用が比較的安めというメリットがあります。
しかし良い意味での強制力がなく、競争力が育ちにくいというデメリットもあります。
オンライン塾は学習方法のひとつではありますが、唯一絶対の正解ではありません。教室型の塾や家庭教師、通信教育とも把握して、自分に合った学び方を選びましょう。
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