「宅浪」とは、自宅浪人の略称です。受験に失敗した浪人生が予備校などには通わず、自宅で独りだけで勉強することから宅浪という言葉ができました。「予備校に通うには時間もお金もかかる」という点から宅浪になる人もいます。宅浪にはメリットやデメリットだけでなく、注意すべきことや宅浪独自の勉強方法もあります。当記事では、宅浪のメリットとデメリット、宅浪を成功させるためにはどうすればいいかなどについて解説していきます。また、宅浪生の1日のスケジュールを例にして1日の過ごし方についても解説していきます。受験という長期戦をどのようにして乗り切ればいいかの参考にしてください。
目次
宅浪のメリット
宅浪のメリットは以下の6つです。
- 費用が掛からない
- 移動時間がかからない
- 好きな環境で勉強できる
- 自分のペースで勉強できる
- いつでも休憩できる
- 自己管理が得意になる
メリットを活かすことで受験を有利に進めましょう。1つずつ詳しくみていきます。
費用が掛からない
宅浪は、予備校に比べてそれほど費用が掛かりません。なぜなら、年数回の模試代と参考書代が主な支出となるためです。具体例でいうと、予備校に通う場合、100万円前後の費用が掛かります。しかし宅浪の場合は20万円前後で済みます。したがって宅浪は比較的に費用が掛かりません。金銭面においては、必要最低限の出費でおさまる点が宅浪のメリットです。
移動時間がかからない
宅浪は、予備校などへの移動時間がかかりません。予備校に通う場合は自宅から電車やバスなどを利用しなければいけません。しかし宅浪の場合は、自宅などで勉強するため、移動時間が不要です。そのため、本来なら移動にかける時間を勉強に費やすことができ、時間の確保という点でもメリットと言えます。
好きな環境で勉強できる
宅浪は自宅だけではなく、近所のカフェや図書館など好きな場所で勉強できます。自分が一番集中できる環境で勉強できるので、集中も高まり、勉強効率も上がることでしょう。宅浪の場合、決まった場所で勉強する必要はないので、集中が途切れてきたら場所を変えるという選択もできます。自分が集中でき、モチベーションの上がる場所で勉強できるところもメリットです。
自分のペースで勉強できる
宅浪は自分のペースで勉強できます。予備校の場合は、わからない点があってもすぐには質問できず、先に進んでしまうことがあります。しかし宅浪の場合はわからない点があれば、その時にすぐ調べることができるので、自分のペース配分で勉強できます。わからないことはまとめておいて後で調べるなど、決まりを作ることで効率良く勉強が進みます。また、予備校ではすでに理解している範囲であっても講義を受けなくてはいけませんが、宅浪の場合は理解できている範囲は飛ばして先に進めることで、効率的に勉強できます。
いつでも休憩できる
宅浪は、いつでも好きな時に休憩できます。勉強に疲れた時やお昼ごはんの後など眠くなったタイミングで仮眠をとることもできます。予備校の場合は居眠りなどできませんが、宅浪の場合はいつでも好きな時に休憩したり仮眠したりできるのでメリットと言えます。後述しますが仮眠は勉強の質を上げるうえでとても役に立ちます。自分が集中できるタイミングで勉強できるので効率が良く、勉強の質も上がります。
自己管理が得意になる
宅浪は、模試の日程や勉強の進め方、一日のスケジュールなどを自分で考え決める必要があります。そのため、自己管理が得意になっていきます。なぜなら、勉強面だけではなく、一日の過ごし方や体調の整え方など自己管理の習慣が身につくからです。そのため自己管理が得意になり、勉強効率もあがっていきます。
宅浪のデメリット
宅浪のデメリットは以下の4つです。
- だらけてしまう
- 分からない問題を解決しづらい
- 話し相手がいない
- 自分で情報を取りに行かなくてはならない
宅浪の場合、デメリットをいかにうまく乗り切るかが大切になってきます。1つずつ詳しくみていきましょう。
だらけてしまう
宅浪の場合、だらけてしまうことがあります。なぜなら、モチベーションが保ちにくいからです。受験生にとってモチベーションは大切です。宅浪においても例外ではありません。予備校の場合は、競争相手がすぐ身近にいるためモチベーションを維持しやすいです。しかし、宅浪は自宅で、基本は一人で勉強するため、モチベーションを保ちづらく、だらけてしまうことがあります。
分からない問題を解決しづらい
宅浪は、分からない問題を解決し難いことがあります。なぜなら、先ほども述べたように、自宅で、基本は一人で勉強するからです。予備校ではわからない問題があれば先生や友達に聞くことができます。しかし宅浪は聞く相手がいないことがほとんどです。そのため、わからない問題があっても聞くことができず、結果勉強がストップしてしまう場合があります。
話し相手がいない
宅浪は、話し相手がいません。予備校では先生や友達など勉強のことについて話したり、隙間時間に他愛もない話をしたりできます。しかし、宅浪の場合は、自宅で一人という孤独な環境です。そのため話し相手がおらず、孤独に感じることも多いでしょう。社会とのつながりが絶たれてしまうと、精神的にも不安定になりやすいので、相談できる相手がいると心強いです。
自分で情報を取りに行かなくてはならない
宅浪は、自分で情報を取りに行かなくてはなりません。予備校では先生が教えてくれるような情報も宅浪の場合は自分で調べる必要があります。例えば、模試の日程や出題範囲、得点傾向など、先生に聞けば教えてくれるような内容も自分で調べます。勉強もしながら情報を集めなくてはいけないので、負担に感じることもあるでしょう。
宅浪中に避けたい失敗例
宅浪は自由度が高い反面、自己管理ができないと失敗に繋がりやすい勉強スタイルです。ここでは、宅浪中に陥りがちな失敗例を挙げ、注意すべきポイントを紹介します。
スケジュールを立てずに勉強する
スケジュールなしで勉強を進めると、無計画な学習に陥りがちです。「今日は何を勉強しようか」と迷っているうちに時間が過ぎてしまうこともあります。対策としては、1週間単位で具体的な学習計画を立て、目標を設定することが重要です。
生活リズムが乱れる
宅浪では、勉強時間と休憩時間のメリハリが重要ですが、自由度が高いため夜更かしや昼夜逆転に陥りやすくなります。生活リズムが乱れると集中力が低下し、学習効率も落ちてしまいます。毎日決まった時間に起床し、規則正しい生活を維持することが大切です。
スマートフォンやSNSに時間を浪費する
宅浪中は誘惑が多く、特にスマートフォンやSNSが大きな妨げになります。気づかないうちに長時間を無駄にしてしまうことも。対策として、勉強時間中はスマートフォンを別の部屋に置く、アプリの使用時間を制限するなどの工夫が必要です。
孤独感に打ち勝てず、モチベーションを失う
一人で勉強を続ける宅浪では、孤独感に悩む人が多いです。周囲のサポートが少ないため、モチベーションが低下しやすく、勉強への意欲を失うことも。オンライン勉強会や模試などを活用して、他の受験生と交流することで、孤独感を和らげ、モチベーションを維持しましょう。
過去問や模試を後回しにする
基礎固めに集中しすぎて、過去問演習や模試を後回しにするケースが見受けられます。過去問は出題傾向を把握するための重要なツールです。早い段階から過去問に取り組み、出題パターンに慣れることが、合格への近道です。
これらの失敗を避けるためには、自己管理を徹底し、計画的かつメリハリのある学習を心掛けることが重要です。宅浪は自由度が高い分、自分の弱点を理解し、適切な対策を講じることが成功のカギとなります。
宅浪に向いている人の特徴
宅浪は、自宅で勉強を進めるスタイルのため、自分のペースで効率よく学習できる点が魅力ですが、その分、自制心や自己管理能力が求められます。そこで、宅浪に向いている人の特徴をいくつか挙げてみましょう。
強い自己管理能力がある人
宅浪は時間の管理が全てです。決められた時間に起き、計画的に勉強を進めるためには、高い自己管理能力が必要です。スケジュールを自分で設定し、実行できるタイプの人が宅浪に向いています。
一人でも集中できる環境が整っている人
自宅での勉強には誘惑が多いため、集中力が求められます。一人で黙々と勉強に取り組める人や、テレビやスマートフォンなどの誘惑を遮断できる環境を整えられる人にとって、宅浪は効果的な学習方法です。
目標達成に対して強い意志がある人
宅浪は予備校のようなサポートがないため、目標に向かって一人で努力を続ける強い意志が求められます。特に、志望校合格への強い動機がある人ほど、宅浪のスタイルに向いているでしょう。
柔軟な学習スタイルを好む人
自分の好きな時間に勉強できる宅浪は、決まった時間に縛られずに学習を進めたい人に適しています。特に、予備校のスケジュールに合わせるよりも、自分のリズムで進めたい人に向いていると言えます。
探求心があり、自己学習が得意な人
宅浪では、自分で参考書や問題集を選び、勉強方法を模索する力が必要です。分からないことがあっても、インターネットや書籍を駆使して調べ、自力で解決できる探求心と自己学習能力が求められます。
このような特徴を持つ人は、宅浪を通じて効率的に学習を進められる可能性が高いでしょう。
宅浪を成功させるためにすること
宅浪を成功させるポイントとして、以下の7つがあげられます。
- スケジュール管理
- 早寝早起き
- 目標や志望校を決める
- ライバル・仲間を見つける
- 勉強環境を整える
- 運動をする
- 遊ぶ時間を作る
勉強ばかりではなく、時には休むことも必要です。受験を成功させるために、以下で解説する内容を理解し、実践してみましょう。
スケジュール管理
宅浪にとって、スケジュール管理は重要です。毎日、1週間、1か月、3か月、1年と目標から逆算して日々のスケジュールを立てることで、モチベーションを保つことにも繋がります。あらかじめスケジュールを立てておくことで、だらけてしまった時に、目標から遠のいてしまっていることを直感的に感じることができます。誘惑に負けることもあるでしょう。そんな時に、スケジュールがあれば目標へ着実に近づいていくための道筋がわかり、だらけや誘惑に負けることも少なくなります。
早寝早起き
宅浪は、早寝早起きが大切です。規則正しく生活することでモチベーションが保てます。特に睡眠は乱れやすいので注意が必要です。受験生は勉強第一になり睡眠を疎かにしがちですが、勉強に集中したり効率を上げたりするためには睡眠は確保しないといけません。睡眠をしっかりとることで勉強の質も上がるのです。受験は長期戦です。1日2日で勝負が決まるものではありません。長期戦を戦い抜くためにも、早寝早起きを心がけ、睡眠をとることが重要になります。
目標や志望校を決める
宅浪で重要なのが、目標や志望校を決めることです。志望校を決めることはもちろん大切なのでほとんどの人がやっていることでしょう。しかし目標を決めるという点はどうでしょうか。具体的な目標設定をしている人は少ないと思います。「〇〇大学に合格する」は具体的な目標とは言えません。具体的な目標とは、いつまでに何をどれくらい行うかなど事細かに決めることです。
人間は、抽象的な目標だけでは行動が伴いません。具体的に数値化したり期限を決めたりすることで初めて行動が伴うのです。学習計画にしても同じことが言えます。毎日の勉強時間はもちろん、朝起きた時間や寝た時間、勉強時間の中でも何の教科を何時間勉強したか1日の記録をつけることで客観的に自分の行動を知ることができます。反省や今後の目標設定にも役立つのでぜひ取り入れてみましょう。
ライバル・仲間を見つける
宅浪で成功するためには、ライバル・仲間を見つけることも大切です。宅浪は孤独との闘いです。ライバルや仲間がいることで、互いに切磋琢磨しながら勉強のモチベーションも上がり、孤独という精神的な不安からも解消されるでしょう。ここで気を付けなければいけないのは、ライバルや仲間というのは、あくまで勉強に関するものであって、遊ぶためのものではないということです。
勉強環境を整える
宅浪では環境も自分で整えなければいけません。メリットでも述べたように、宅浪は好きな環境で勉強することができます。自宅だけではなく、お気に入りのカフェや図書館など自分が集中できる環境を知っておくことも大切です。より集中できる環境で勉強することで勉強の質も上がります。
運動をする
宅浪では、時間を見つけて運動するようにしましょう。自宅などに引きこもっていると運動不足になりがちです。勉強ばかりではなく、息抜きも必要なので、時には外に出て、散歩をしてみるのもいいでしょう。受験という長期戦を戦うためには体力も必要です。また、勉強ばかりしていては、身体が固まって血流が悪くなってしまいます。日光を浴びて体を動かすことで、体内時計を整え、心身ともに健康な状態を目指しましょう。
遊ぶ時間を作る
宅浪だからと言って勉強にばかり時間を費やすのは考えものです。時には趣味や遊ぶ時間も必要です。そのためには、勉強時間をしっかり確保して、勉強とそれ以外の時間の区別をつけましょう。「1日8時間は勉強して、それ以外は遊ぼう」とか「カフェで5時間勉強したら、自宅では趣味の読書しよう」などメリハリをつけましょう。
宅浪の勉強方法
宅浪での主な勉強方法として以下の3つがあげられます。
- インプットとアウトプットのバランスをとる
- 模試を受ける
- 解説が豊富な参考書を活用する
1つずつ詳しくみていきましょう。
インプットとアウトプットのバランスをとる
宅浪においては参考書を用いて勉強するといったインプットにばかり重きを置きがちですが、勉強においてアウトプットは大切です。インプットが新しい知識を覚えることに対して、アウトプットは知識を活用することです。予備校の場合、講義でインプットした内容を自宅に帰って演習や復習することでアウトプットになります。しかし宅浪の場合はテキストを進めるインプットばかりになってしまいがちです。アウトプットの時間を取り入れるようにしましょう。
例としては、以下の通りです。
- 演習する時間の確保
- 覚えたことを紙に書く
- 模試や過去問を解いてみる
模試を受ける
宅浪では模試の受験を検討しましょう。模試は自分の理解度や知識を数値化して客観的にみることができます。予備校では授業をこなしていれば自ずと目標に近づいていきますが、宅浪の場合は自分のペースで勉強を進めるため停滞する恐れがあります。頻繁に模試を受ければ実力を細かに分析することができますが、模試は有料の場合が多いため、計画的に受けるようにしましょう。
解説が豊富な参考書を活用する
宅浪では解説や模範解答が豊富な参考書を活用しましょう。予備校では解答について先生による添削指導が受けられますが、宅浪の場合は添削してくれる人はいません。特に数学や英語の英作文などは添削を必要とします。そのため、参考書で勉強するしかありません。参考書の模範解答を一言一句書き写してみるのです。
そして、この部分はなぜ必要なのかと考えながら勉強するようにしましょう。どうしても添削が受けたい場合や口頭による解説が必要な場合は、インターネットで授業を受けたり、解説動画があったりするので活用するのがおすすめです。
宅浪生の一日のスケジュール
宅浪生の1日のスケジュールを例にしてみましょう。以下はあくまで一例ですので、この通りに過ごせば成功するわけではありません。以下を参考にしながら自分に合ったスケジュールを考えましょう。
参考:1日のスケジュール例
6:00 | 起床 |
6:00~7:00 | 朝ごはん、身支度 |
7:00~12:00 | 勉強 |
12:00~13:00 | お昼ご飯 |
13:00~13:20 | 昼寝 |
13:20~15:30 | 勉強 |
15:30~16:00 | 休憩 |
16:00~19:00 | 勉強 |
19:00~21:00 | 晩ご飯、お風呂など |
21:00~0:00 | 勉強 |
0:00 | 就寝 |
起床
先ほども述べたように早起きは大切です。以下の例では6時に起床しています。起きたら必ず朝食をとりましょう。朝食は、身体を目覚めさせるのと同時に、日中動くためのエネルギーとなります。また、朝は頭も冴えるので勉強に最適な時間です。しかし、ただひたすらに勉強だけをすればいいというものではありません。勉強の合間には休憩時間を設け、心身ともに休めることも大切です。
午前〜お昼
午前中の勉強が終わり、お昼ごはんを終えたら昼寝の時間です。食事のあとは、胃での消化促進のために脳への血流が少なくなります。食後に眠気がするのはそのためです。15~20分程度の睡眠は脳を覚醒させます。厚生労働省が発表した指針によると、午後3時前の20~30分が午後の眠気を覚ます方法として取り上げられています。昼寝をすることでより勉強の質も上がるかもしれません。
午後〜夕方
午後は休憩をはさみながらひたすら勉強の時間です。そして、夕食にも気を配りましょう。夕食のメニューをたんぱく質中心にすることで、たんぱく質が質の高い睡眠に必要なセロトニンの材料となります。また、質の良い睡眠をとるためには、寝る2~3時間前に入浴するのがいいと言われています。入浴により体温を一時的に上げることで運動と同じように寝つきをよくし、深い睡眠を得られます。38度のぬるま湯では25~30分の入浴、42度の熱めのお湯では5分の入浴が望ましいと言われています。約40度のお湯で半身浴をするのもおすすめです。自分の体調や好みに合わせた入浴方法をとりましょう。
夜
夜ごはんやお風呂などを終えて寝る前にも少し勉強時間を取り入れましょう。1日の勉強内容の振り返りやアウトプットも忘れずに行いましょう。そして大切なのが、早寝です。睡眠不足は、翌日の過ごし方や勉強に大きく影響するからです。成人の場合、睡眠の目安時間は6~7時間前後と言われています。起床時間から逆算して、自分の睡眠時間が確保できるようにしましょう。
まとめ
宅浪のメリット・デメリットや宅浪を成功させるためにすることについて解説してきました。予備校に通わず、宅浪で受験を成功させることは容易ではありません。宅浪のメリットだけでなくデメリットも知っておくことで、失敗せずに済むよう対策を取っておきましょう。また、例としてあげた宅浪生の1日のスケジュールも参考にしながら、宅浪で受験を成功させるために何をすればいいのか考え、実践していくことで必ず結果はついてきます。長期戦で厳しい戦いですが、モチベーションをうまく保ちながら受験を乗り切りましょう。
◆ 受験や勉強のお悩みをAXIVにご相談ください
・勉強しているのに定期テストの点数が上がらない
・大学受験の勉強をどのように進めればいいかわからない
・勉強のモチベーションを維持することができない など
このような受験や勉強のお悩みはありませんか?AXIVでは完全無料でカウンセリングを受け付けています。大学受験を知り尽くしたプロコーチがあなたのお悩みを解決します。保護者さまのみのご参加もOK!AXIVグループの公式LINEからぜひお申し込みください!
無料カウンセリングのお申し込みはこちら