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大学受験 志望校はどう決める?


志望校を決める際、何を基準に選べば良いかわからずに迷う受験生は多いのではないでしょうか?

大学受験は、高校生が初めて経験する人生の大きな分岐点。

どの大学を志望するか、どの学部を志望するかは、今後の人生のキャリアに大きな影響を与えます。

そして志望校は、高校2年生の冬ごろまでに決定することが奨励されています。

本記事では、大学受験で志望校を決める際に注目すべきポイントを中心に詳しく解説していきたいと思います。

 

志望校決定は高2の冬までに、といわれる理由

 

2024年度の日本の大学総数は813校であり、過去最多となっています。

(出典:「令和6年度 学校基本調査」文部科学省

年々、学部や学科が多様化していること、また大学によっては学域学類制を導入したことにより学生は専攻にとらわれる事なく様々な分野を横断的に学べるようになりました。

しかし、選択肢が増えた分、受験年度の高校3年生になっても志望校を決めれないという人も多いようです。

それどころか、志望校以前に、2年生に進級する時の文理選択や、3年進級時に文転、理転を考える際も、将来のビジョンがわからなくてなかなか決められない、という悩みをよく耳にします。

悩む気持ちも十分理解できますが、高校2年生になるタイミングで、ざっくりとでもビジョンや方向性を決めることをお勧めします。

でもなぜ、受験までまだ時間的猶予のある高校2年生の段階で、ある程度の方向性を決める

必要があるのでしょう?

それは、大学受験の試験科目や試験内容は大学ごとに違っているからです。

抽象的な目標(例:「大学に行きたい」)は、掲げる作業自体は楽で自分を追い込んでしまう可能性がない反面、失敗した時に自分でなんとでも言い訳ができてしまいます。

反対に具体的な目標(例:「〇〇大学に行きたい」)は、時に自分自身を厳しい環境に置くことになりますが、目標が明確であるからこそ有効な戦略や戦術を立てることができ、受験勉強を効率的に進めることができます。

つまり、漠然と抽象的に「大学に行く」ことをゴールに設定すると、何から手をつければ良いかや何にフォーカスして勉強すれば良いかがわからず、勉強してはいるものの結果に結びつかないという状態になりがちです。

逆に、「〇〇大学に行きたい」「〇〇学部で学びたい」と具体的なゴール設定があれば、そこから逆算して今やるべきこと、やらなくて良いこと、いつ何をやれば良いか、がクリアになり、勉強のモチベーションが維持でき、結果に繋がりやすいのです。

 

志望校を決める際に最も大切なことは

 

志望校を決める際に最も重要なこと、それは

自分で考え、自分で選び、自分で最終決定を下すこと

もちろん、家族や先生に相談し、たくさんアドバイスを貰えば良いのです。

ですが、最終的に自分の人生を生きるのは自分自身。

わからないなりに、考え、調べ、検討し、納得した上で、どこの大学で何を学びたいか、の答えを自分自身で見つけることが重要です。

 

志望校を決める際にチェックすべき4つのポイント

 

では次に、志望校を決める際にチェックすべきポイントを4つご紹介します。

  • 自分が学びたい学部(学域)・学科(学類)があるか
  • 合格難易度
  • 入試詳細(1.入試日程 2.受験科目 3.入試方法4.出願要件と出願方法)
  • 大学ホームページのチェックとオープンキャンパスへの参加

自分が学びたい学部(学域)・学科(学類)があるか

 

志望校を考えるにあたり、一番のポイントはまず学部(学域)・学科(学類)を決めることです。

大学を最初に決めるのではなく、「自分が興味・関心がある分野は何か」「将来自分はどんなことをやりたいか」を考え、そのための勉強ができる学部(学域)・学科(学類、例えば医師や看護師、コメディカルワーカーなどの医療職や教員、弁護士といった要有資格の職種を目指す場合は、その資格を取得できるための学習ができる学部(学域)・学科(学類)が何かを考え、次にその学部(学域)・学科(学類)のある大学を選びます。

同じ学部であっても、大学ごとにカラーが違い、カリキュラムにも違いがあるので、オープンキャンパスや説明会などに積極的に参加し、疑問に思ったことなどを質問しましょう。

高校によっては、入学して初めての夏休みを利用して複数の大学のオープンキャンパスを回るツアーを企画している学校もあります。

いくつかの学校を比較できるチャンスなので、上手に利用することで、受験に対するモチベーションがあがりそうです。

合格難易度

 

まずは現在の自分の実力を把握し、客観的に分析しましょう。

具体的には、模試の成績結果を分析し、大学の合格難易度と照合することで、どの程度の乖離があるかを知ることができます。

合格射程内であればモチベーションがあがりますし、暗記をはじめとするインプット学習がメインである高校1年生や2年生の時点で例え志望校判定が『D』だとしても気にする必要はありません。

なぜなら積み重ねた学習の成果が実をむすび、成績が上がるのは演習問題のアウトプットを始める高校3年生の夏頃だからです。

積極的に模試にチャレンジし、過去の合格者のデータを参考にして、「合格するには何をどのように頑張れば良いのか」を自分の中に落とし込むことが大切です。

入試詳細

1.入試日程

 

国公立大学(一般選抜)は、1月に実施される大学入学共通テスト(共通テスト:1次試験)と大学ごとに行われる個別学力検査(2次試験)の合計点で合否が決定します。

個別学力検査は、募集人数を前期・中期・後期と3期に振り分ける分離分割方式で全国一斉に行われます。

以下の図は、分離分割方式の仕組みを表したものです。

(画像出典:河合塾

 

日程は3期とも重ならないので、望めば3校受験できるチャンスがあります。

また、前期と後期は同じ大学に出願することも可能ですし、別の大学にチャレンジすることもできます。

2025年の例を見てみましょう。
共通テスト(1次試験)
2025年1月18日(土)・19日(日)
・全国各地で一斉に実施
・全問マークシート方式

 

個別学力検査(2次試験)
前期中期後期
出願:2025年1月27日(月)〜2月5日(水)
2025年2月25日(火)〜2025年3月8日(土)〜2025年3月12日(水)〜
合格発表:3月1日(土)〜10日(月)合格発表:3月20日(木)〜24日(月)
 一部の公立大学のみで実施※ 難関大学を中心に、試験
自体を縮小・廃止傾向

ここ数年、学校推薦型や総合型選抜入試が拡大し、後期日程自体を廃止したり、募集人数 を減らす大学が増えてきました。有名どころでいうと、東大、京大、阪大は後 期日程の試験がありません。つまり、後期日程においては志望校の選択肢 が減っており、その結果、後期日程の志願率が減少しています。

 

忘れてはならないのが以下の点です。

  • 募集人数の比に差がある → 前期8:後期2
  • 前期と後期では、試験科目の数や内容に違いがある。
  • 各大学ごとに、試験科目の数や内容に違いがある。
  • 3期とも出願の日程は同じなため、前期試験の合否の結果をみて中期・後期の受験をするかを決めることはできない
  • 前期よりも後期の難易度が高い。
  • 前期で合格した大学に入学手続きを済ませると、中期や後期を受験しても合格対象から外れる

 

つまり上記の点を考慮すると、第一志望の大学は前期受験することが基本です。

私立大学(一般選抜)の入試日程は、一般的に1月下旬から2月中旬にかけて行われます。

各大学ごとに入試日程は様々なので、「入試日程を勘違いしていて間に合わない!」という事態を避けるためにも、スケジュール管理に注意しましょう。

 

2.入試教科・入試科目

 

まず共通テストについて最初に確認しておきましょう。

共通テスト(1次試験)
7教科21科目のうち、志望大学が指定する科目を受験(前期日程・後期日程ともに)

出願時に受験科目を選択・決定し、決定した受験科目を試験当日に変更することはできません

共通テストにおいて、国立大学と私立大学では課せられる受験科目の数が違います。

国立大学は、2025年度共通テストから新科目の情報を含む7教科8科目になりました。

「2024年度に実施する入学者選抜から、全ての国立大学は、「一般選抜」 においては第一次試験として、高等学校等における基礎的教科・科目についての 学習の達成度を測るため、原則としてこれまでの「5教科7科目」に「情報」を加 えた6教科8科目を課す。 」

引用:一般社団法人 国立大学協会「2024年度以降の国立大学の入学者選抜制度-国立大学協会の基本方針-

 

また、公立大学でも約半数の募集単位で5教科以上が課せられています。

個別学力検査(2次試験)
前期日程後期日程
・一部難関大学の4教科を除き、2〜3教科

・文系:英語・国語・地理/公民
理系:英語・数学・理科

・入学後に専門分野を学ぶために必要な教
科が課されやすい

・小論文や面接、総合問題などが課される
ことが多い。

私立大学は、共通テスト利用型、独自試験型ともに3科目(文系:外国語・国語が必須+地理・公民・数学の中から1科目選択。理系:英語・数学・理科)です。

「私立の個別入試に全振りするから共テ対策はしない」という私大受験生の声を耳にします。

しかし、2024年度に共通テスト利用入試(一部の学部、学科)を行った私立大学は530校。全私立大学の約9割にのぼります。

また、国公立大学と違い、私立大学は共通テスト利用方式を利用しての出願数に制限数がないため、多くの大学にチャレンジすることができるのです。

 

注意点

 

国立大学▼

  • 大学・学部ごとに教科・科目ごとの配点が異なる
  • 大学・学部ごとに共通テストと個別学力検査の配点が異なる

私立大学(共通テスト利用型)▼

  • 大学・学部ごとに教科・科目ごとの配点が異なる
  • 一般選抜に比べ、難易度が高い
  • 同大学・同学部・同学科であっても一般選抜より、受験教科や受験科目が増えることがある。
  • 大学や入試形態によっては共通テスト利用ができない。

例えば慶應大学一般選抜入試は、共通テスト利用ができません。

 

攻略法

 

国立大学▼

  • 共通テストと個別学力検査のどちらが高配点か確認する。
  • 全体としてどの教科の配点が高いかを確認する。

私立大学▼

  • 高配点の教科から優先的に勉強をする。

共通テストで高得点を目指すには、基礎となる学習がしっかり身についていることが基本です。

「志望校を決定する時期はまだ先だから」と日々の学習を疎かにせず、将来のためにも高校の授業を取りこぼしなく理解できるよう、取り組むことが大切です。

3.入試方法

 

入試方法(一般選抜)もまた、国公立大学と私立大学では違っています。

国公立大学私立大学
原則:共通テスト+個別学力検査・共通テスト利用型入試
・全学部日程入試
・1〜2教科型入試
・特定教科重視型入試

シンプルでわかりやすい国公立大学に比べ、バリエーションが多く複雑な私立大学の入試方法。

例えば、1〜2教科型入試は試験科目が少ない分、受験勉強の負担は軽減しますが、高倍率になりがち。

それぞれの違いを理解し、自分にあった入試形式を選ぶためにも早めに準備に取り掛かりましょう。

4.出願要件と出願方法

 

出願要件や出願方法は大学によって様々です。同じ学部や学科であっても、大学ごとに違うため、必ずチェックしましょう。

自分の志望する学部・学科・大学が決定していると、出願要件や出願方法、ひいては出題傾向まで掘り下げて準備や対処することができるため、効率よく受験に向けて勉強を進めることができるのです。

以上のことからも、なるべく早く志望校を決定し、そこから逆算して無駄なく勉強を進めていきましょう。

大学ホームページのチェックとオープンキャンパスへの参加

大学のホームページを見てみると、キャンパスの概要や授業科目・授業内容、教育課程の他にも

  • 学位や業績を含む教員情報
  • 入学者情報
  • 学部・学科ごとの教育研究目的
  • 卒業生の進路状況

 

などが記載されています。

これらは文部科学省により、インターネット上に公開を義務付けられているのです。

これらの項目をチェックすることで、自分の学びたい分野が学べるか、卒業後はどんな進路が開けるかなど、その大学と自分の志望する内容がリンクするかを擦り合わせてみることができます。

またホームページをみて興味を持った大学には、1年生もしくは2年生の時点でオープンキャンパスに参加することをお勧めします。

多くの大学は、年間通して複数回のオープンキャンパスを開催します。

学校説明会や模擬授業、キャンパスツアー、個別相談会の他にも在校生との座談会といった多くのプログラムが用意されています。

実際に足を運んで生の声を聞くことで、パンフレットやWebサイトをみるだけではわからない「学校のリアル」を肌で感じることができるのです。

 

以下の表は、文部科学省が2023年度に行った「国公立私大の中途退学者数」を表にしたものです。

(出典:ハタラクティブ

 

退学の理由の多くが、「学業不振」「学校生活不適応」となっています。

頑張って勉強してやっと入学した憧れの大学のはずなのに、実際入学してみると「思っていたのと違う」「自分の学びたいものがここにはなかった」となる状況を防ぐためにも、オープンキャンパスを活用しましょう。

 

まとめ

いかがでしたか?

高校2年生の冬までには決めた方が良いと言われている志望校。

わかってはいても数多くの大学の中から自分の興味のある学校を探し出すことは、容易ではありません。自分の将来のビジョンがまだ具体的に描けてない人も多いでしょう。

ですが、先にも述べた通り、自分の人生を生きるのは自分自身です。

日々の生活の中で自己理解を深めつつ、「自分が何を学びたいか」「将来どうありたいか」を探究し、その夢を実現できる大学を選択しましょう。

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