関西の難関私立大学である同志社大学。同志社大学を志望し、受験勉強を進めている受験生も多いと思います。この記事では同志社大学の物理に入試について、入試概要や対策方法などの合格するために必要な情報をまとめています。同志社大学の合格を目指している方は是非参考にしてみてください。
同志社大学の物理について
関関同立の一角、同志社大学の物理試験について記述していきます。今回は、2020年度の全学部統一入試における物理の試験概要を見ていきましょう。
【試験概要】
- 試験時間 75分
- 配点 150点(ただし生命医科学部とスポーツ健康科学部は200点)
- 問題数 26問(そのうち作図は3問)
- 出題形式 空所補充(記述)、作図
- 問題構成 大問3題(力学、電磁気、波動)
- 力学、電磁気は例年出題されるが、あと1題は熱や波動など別の分野のうちから1つ出される。
【受験者平均と目標得点率】
学部によって多少の差はありますが、受験者平均は6割強、合格者平均は約7割となっています。過去問演習をする際には7割以上を目標にすると良いでしょう。
各大問ごとの紹介とその解き方
【各大問で出される問題の詳細】
- 大問1
- 力学
- (ア)~(ケ) 空所補充(記述式)
よくある力学的エネルギー保存則や運動方程式、反発係数など基本的な問題が多く、標準レベルといえます。ただし(カ)からは、重心に関する問もあるので重心に触れた力学の問題を解いたことがないと厳しくなるでしょう。
- 大問2
- 電磁気
- (ア)~(キ) 空所補充(記述式)
- 作図2問
始めは運動方程式など力学との融合問題になってます。力学との融合は電磁気の演習問題でよくあるのでそこで慣れておくと良いでしょう。全体的に大問1,3よりは難しいレベルになっています。特に作図はかなりの思考力を要する問題で難しくなっています。
- 大問3
- 波動
- (ア)~(キ) 空所補充(記述式)
- 作図1問
波の反射と屈折の法則を用いる比較的基本的な問題であり、標準レベルといえます。特別難しい問題はないのでこの大問で8割近く取れないと大きな差につながるでしょう。
【各大問・小問ごとの配点】
- 大問1
- 約33点
- 小問9問
- 大問2
- 約35点
- 小問9問(うち2問は作図)
- 大問3
- 約32点
- 小問8問(うち1問は作図)
【解き方やコツ】
大問1については(ア)~(オ)は力学的エネルギー保存の法則や運動量保存則、反発係数の式など基本的な公式を使った定型問題であるため、問題演習をしっかりできていれば問題ないでしょう。応用問題は(カ)以降で、球が固定されておらず2つとも動くという条件になっています。ただしあまり見ない条件になったからといってここで焦る必要はありません。前の問題同様に運動量保存則と力学的エネルギー保存の法則で解くことが可能です。(カ)では、直後を考えるとCの球は動いておらずDの球はBからの影響を受けて速さが生じています。ゆえに重心の速度はCとDの間と考えられます。(ケ)は、GからみたDがどのように運動するか考える思考力が必要ですが、単振動の周期の公式を覚えていればそこまで難しい問題ではありません。重心を絡めた力学の問題演習をしておけばこの大問1はほとんど正解することもできるでしょう。
大問2については電磁気の「交流・電磁場中の粒子」の問題です。電磁気はよく力学との融合問題が出されます。しかし特別新しい知識が必要なのではなく、力学が理解できていれば電磁気の問題で出てきても焦らずに解くことが可能です。(ア)は原子の分野でも見られる問題です。(エ)までは力学との融合で頻出問題であるので演習がしっかりできていれば解けるでしょう。しかし(オ)以降は難しくなっています。(オ)は前半の結果をうまく使えば計算量を減らすことは可能です。作図の問題は(カ)(キ)までの問題を解くことができ、かつ文章の内容を理解出来ていなければ厳しくなっています。文章が長く段々複雑になっているため、このよう長い文章中における空所補充の問題を多く解いて慣れておくと良いでしょう。また、後半の問題はレベルが少し高いので、それ以前の(エ)までを確実に落とさず正解することが大事になってきます。電磁気で作図させる問題はあまりないが自分が使っている問題集で見つけた場合、理解するまで取り組むと今回のような問題にも対応できる力を養うことができます。
大問3については、まず(ア)は見かけの深さの問題ですが、これはよく聞かれるうえに公式もあるのですぐ解けるでしょう。もしその公式を覚えていなかったとしても、図を描いてtanを用いれば自分で立式することができます。また、そのときの屈折している図も今まで参考書や問題集で見たことがあるはずなのでここは図も書けてほしいです。日頃、問題演習をするときに図を見て確認、理解する習慣をつけておくと良いでしょう。(イ)からは違う問題になっていて半円形のガラスを通り中心に入射する光の問題です。ガラス1に入った時には屈折が起こっていないという状況をまず理解していなければなりません。ガラス中の波長の長さは、空気中での波長の長さと屈折率の比(n1/n2)から求められます。(ウ),(エ)は公式を用いるだけなので問題ないでしょう。ただし、ガラス内部の振動数は空気中での振動数と変わらないということと、単位をそろえることを注意しなければなりません。(オ)は少し応用問題ですが特別難しい力は必要ないのでここで落とすと大きく差がつく問題となります。分からなくなったときは自分で状況整理のために図を描くとよいでしょう。半円であるので半径は15cmと分かっており、あとはガラス中の光の速さをそれぞれ公式を用いて求めるだけなので難しくはありません。この時長さの単位をそろえることも忘れないように気をつけましょう。計算が少し面倒なので計算ミスもしないように注意しましょう。(カ),(キ)以降もどういう状況なのか自分で図を描いて整理すると良いでしょう。
同志社物理の対策・勉強法
力学、電磁気は確実にでるとわかっているので完璧にするべきです。だからといって他の分野を疎かにしていいわけではなく、特に原子は演習不足になりがちな現役生が多いので要注意です。全体としていえることは、特別難しい問題ばかりではなく基本的な公式を用いた問題などみんなが解けるような問題が序盤にはあるので、そこで点を落とさないことが大前提です。また、どんな分野がきてもいいように演習はしっかりと、そして公式の暗記は絶対にしておかなければなりません。
大問1の力学では、その現象にはどのような力が加わってその結果どのような現象につながるのか、ということを理解しなければなりません。ただ演習を重ねるのではなく、その現象が起こる「理由」を理解しておくことが必要です。同志社大学の問題で初めて見るような問題もありますが、それも現象の「理由」がわかっていれば自分で考察を進めることができます。演習を重ねることは大事だが、ただ「慣れ」で解き進めることだけをしていても物理の力は伸びません。
大問2の電磁気は分野が多く結構特色も異なるので、どの分野がきてもひるまないようにしっかり演習をしておく必要があります。標準問題だけでなく少しレベルの高い複雑な問題の演習もしておくと良いでしょう。力学同様に、その現象が起こる「理由」やその流れについて理解していれば、初めて見るような状況下の問題でも対応することができます。また、20年の始めの問題のように原子や力学との融合問題もあるので演習で慣れておくと良いでしょう。電磁気は苦手な人も多いでしょうが、わからないところや納得いかないところがあれば1つずつなくしていくことが大事です。20年は「交流・電磁場中の粒子」の問題でありましたが、電磁気は「コンデンサー」や「直流回路」「電磁誘導」など分野が広く、難しくしようと思えばいくらでも難しくできてしまうのが電磁気です。それぞれで本質的な理解をできるようになることが、応用問題にも対応できる思考力を高めることにつながります。
熱、波動は力学や電磁気と比べても分野が広くはないので特別応用すぎる問題は出ないと思われます。その分演習は多くこなさなければなりません。公式を覚えるのは当然ですが、使い方や頻出問題における解き方の流れ、その「理由」まで理解していれば大問3では8割近く取れるようになるでしょう。20年は波動でしたが、計算する際には「単位」に注意する必要がありました。また、知識も曖昧ではなく確実に暗記していなければなりません。原子は近年どの大学でも出る頻度が増えてきているので現役生は要注意です。ただ原子は暗記事項が多く、光電効果やコンプトン効果など分野ごとに解き方や流れが決まっているのでそれを知っているかどうかで大きく差がつくでしょう。
全体のまとめ
同志社大学は基本的な問題から応用問題まで出ますが、その応用問題も全く解けないものではなくしっかりとした基礎固めや本質的理解ができていたら自分で考察して解き進めることができる問題です。故にその問題で他受験者との差がつくと考えてられます。ただそれは序盤の基礎問題が正解しているという前提なので計算ミスや暗記のド忘れなどを確実に0にすることが合格へのまず1歩となるでしょう。「解ける解けない」ではなく「理解出来る出来ない」で演習を進めていくだけで問題演習に対する取り組み方や意識が変わり、思考力を高めることにつながるということを心にとめておいてほしいです。
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